- 日本の平均寿命は男性81.09歳・女性の平均寿命は87.14歳
- 日本の健康寿命は男性72.57歳、女性の健康寿命は75.45歳
- 平均寿命と健康寿命の差は10年以上ある
- 健康寿命が尽きた後は自分自身・家族・社会に負担がかかる
- 平均寿命と健康寿命の差を縮める対策が必要
「自分の寿命はいつか」は、誰もが心のどこかで気にしている疑問です。
ですが、寿命には2種類あるということはご存知でしょうか?
ひとつは「(生命が尽きる)寿命」と「健康寿命」です。
今回は2025年1月時点の最新データを引用しながら、日本の平均寿命と健康寿命について解説します。
目次
平均寿命とは
平均寿命とは、人が生まれてから亡くなるまでの平均的な年数のことです。ある集団の中で生まれた0歳の乳幼児が平均して何年生存できるかを、各年齢の死亡率を用いて計算した「生命表」によって算出します。
日本における生命表は厚生労働省が作成し、1年ごとに簡易生命表、5年ごとに完全生命表を発表しています。
平均寿命は国や地域の医療、衛生水準などを示す指標にもなります。諸外国との比較は生命表の作成期間が国ごとに異なるため厳密な比較は難しいですが、外務省の統計によれば2019年時点では日本が平均寿命の長い国第1位となっています。
参考 平均寿命の長い国キッズ外務省平均寿命と平均余命の違い
平均寿命と似た言葉に「平均余命」があります。平均余命とは、ある年齢の人が今後何年生きられるかを、平均寿命と同じく生命表によって計算した年数です。
平均寿命は0歳の乳幼児から高齢者までを一括して計算するため、幼くして亡くなった乳幼児や若い死亡者の存在が死亡平均年齢を大きく引き下げています。
それに対して平均余命の計算は死亡率を特定の年代だけで計算するため、平均余命は平均寿命よりも年齢が高くなります。
健康寿命とは
健康寿命とは世界保健機関(WHO)が2000年に提唱した新しい指標で、「健康上の理由で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指します。
健康寿命の計算は、一般的にサリバン法という算出方法が用いられます。サリバン法では毎年10万人が生まれる状況を仮定し、そこに年齢別の死亡率と「健康・不健康」の割合を与えて健康寿命を求めます。
「健康・不健康」のデータは、日本では主に以下3つの方法で収集しています。
- 国民生活基礎調査の健康票における「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」の質問に対する回答
- 同健康票における「あなたの現在の健康状態はいかがですか」の質問に対する回答
- 介護レセプト等データ(要介護2以上を不健康とする)
WHOが発表した「ワールド・ヘルス・レポート2003」では、平均寿命と同じく健康寿命も日本が第1位になりました。
参考 日本の健康寿命は世界一--WHOが発表全国保険医団体連合会日本人の平均寿命
ここからは最新データに基づき、日本人の平均寿命をご紹介します。
厚生労働省が発表した「令和5年簡易生命表」による、2003年時点での日本人の平均寿命は以下のとおりです。
参考 令和5年簡易生命表の概況厚生労働省男女別の平均寿命
男性の平均寿命は81.09歳、女性の平均寿命は87.14歳です。
前年(2002年)と比較して男性は0.04年、女性は0.05年延びています。平均寿命が延びた主な理由としては、新型コロナウィルス感染症による死者数が減少したためと考えられています。
都道府県別の平均寿命
都道府県別の平均寿命は、男性の第1位が滋賀県の82.73歳、最下位は青森県の79.27歳です。
女性は第1位が岡山県の88.29歳、最下位は男性と同じく青森県で86.33歳です。
平均寿命は飛躍的に延びている
第二次世界大戦から10年が経過した1955年時点の平均寿命は、男性63.6歳、女性67.75歳でした。
その後2000年には男性77.72歳、女性84.60歳まで平均寿命が延び、2019年には男女ともに80歳を超えています。
画像引用:厚生労働省|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-
その後も新型コロナウィルス感染症が流行した2020年頃の期間を除き、平均寿命は飛躍的に延び続けています。
日本人の健康寿命
平均寿命を見た後は、今度は日本人の健康寿命についても確認していきましょう。
健康寿命のデータは厚生労働省「健康日本21(第三次)推進専門委員会」の統計を元に、2022年時点での年齢を記載しています。
参考 健康寿命の令和4年値について健康日本21(第三次)推進専門委員会男女別の健康寿命
男性の健康寿命は72.57歳、女性の健康寿命は75.45歳です。
前回(2019年)の統計値と比較すると男性は0.11年減少、女性は0.07年増加しています。
都道府県別の健康寿命
都道府県別の健康寿命は、男性の第1位が静岡県の73.75歳、最下位は岩手県の70.93歳です。
女性の第1位は男性と同じく静岡県で76.68歳、最下位についても男性と同じ岩手県が74.28歳と、もっとも低くなっています。
健康寿命と平均寿命の差は10年以上
平均寿命から健康寿命を引いた「健康上の理由で日常生活に制限がある期間」は10.1年です。男女別の違いは以下のとおりです。
- 男性:平均寿命81.09歳 - 健康寿命72.57歳 = 8.52年
- 女性:平均余命87.14歳 - 健康寿命75.45歳 = 11.69年
健康寿命と平均寿命の差が10年あるということは、つまり10年間は不健康な状態や介護が必要な状態で毎日を過ごさなければいけないということです。
また、上記で説明した平均寿命と平均余命との違いについても考慮しなければいけません。
令和5年簡易生命表では、65歳の人の平均余命は男性が19.52年(84.52歳で死亡)、女性が24.38年(89.38歳で死亡)と計算できます。平均余命と健康寿命との差は上記よりも長くなり、以下が想定されます。
- 男性:平均余命84.52歳 - 健康寿命72.57歳 = 11.95年
- 女性:平均余命89.78歳 - 健康寿命75.45歳 = 14.33年
健康寿命が尽きるとどうなるか
健康寿命が尽きても実際に亡くなるまでには10年以上の歳月が経つことがわかりました。
では健康寿命が尽きた後には、自分や周囲はどんな10年を過ごすことになるのでしょうか。
健康寿命が尽きたことによる各所への影響を挙げてみました。
当人への影響
いくら生命があっても不健康な状態では、人生を楽しく過ごせません。
痛みや不快感、身体機能の制限は肉体的にも精神的にも負荷がかかり、生きる意欲が低下します。ストレスが自律神経に影響を与え、認知症を発症する原因にもなりかねません。
自律神経と認知症との関係は以下の記事で詳しく解説しています。
家族への影響
健康寿命が尽きて自立した生活が営めなくなると、誰かに日常生活の面倒を見てもらう必要が生じます。多くの場合には配偶者や子どもなどの家族が看病や介護の主な担い手になるでしょう。
看病や介護には肉体的。精神的・経済的な負担がかかり、その負担が家族の関係性を悪化させる原因にもなります。
例えば老老介護による事故や痛ましい事件、子どもが介護を理由に仕事を辞めざるを得ない介護離職問題、また、介護の負担を兄弟姉妹の誰が担うかで揉める可能性もあります。
社会への影響
日本は「国民皆保険制度」を採用しているため、病気の治療や介護にかかる費用の半分以上は国が負担しています。
(国民皆保険制度とは)
すべての国民が何らかの公的保険に加入し、お互いの医療費・介護費を支え合う制度
健康寿命が尽きて医療や介護サービスを受けると、その費用は公的保険からも支払わなければいけません。不健康な高齢者が多くなれば支払う費用も多くなり、公的保険制度が破綻することにもなりかねません。
高齢者を守る公的保険制度について知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
平均寿命と健康寿命の差を近づける対策が必要
残念ながら、人間は誰しも「寿命」が来ることは避けられません。
しかし「健康寿命」であれば、自分の努力によって少しでも寿命に近づけることはできます。
できれば寿命と健康寿命の差をゼロにして、いわゆるピンピンコロリで亡くなるのが、自分にとっても家族にとっても、また社会にとってもベストです。
平均寿命と健康寿命の差を近づけるためには、まずは自らの生活習慣の改善が必要です。病気の元を遠ざけ、心身の老化を最小限にして少しでも健康寿命を延ばす対策を今から始めましょう。
具体的な健康寿命の延ばしかたを以下の記事で紹介していますので、是非参考にしてください。
まとめ
今回は平均寿命と健康寿命について解説しました。
健康寿命は、自分が何の憂いもなく平穏に、楽しく生活できる期間のことです。
今からできる対策をすぐに始めて、寿命が尽きる日まで健康でいられるよう努力していきましょう。

終活カウンセラー2級・認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。

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