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絶縁状には法的な効力がない!家族・親族との縁を切るための方法

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この記事のサマリ
  • 絶縁状を送る際は「脅迫罪」にならないように絶縁の意志だけを伝える
  • 絶縁状を確実に送りたい場合は内容証明郵便を利用する
  • 配偶者親族と縁を切りたいときの実質的な絶縁状は姻族関係終了届

両親や兄弟と良好な関係を築いている人がいる一方で、残念ながら不仲になっている人達も少なくありません。「もう何年も会っていない」「顔も見たくない」このような人たちが互いの縁を切るために相手に「絶縁状」を送る場合があります。

今回は、絶縁状の法的な効力と、相手と距離を置きたい場合の実践的な対策を紹介します。

絶縁状とは

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絶縁状とは、付き合いを絶つことを書面で宣言するための手紙のことです。交友関係の場合に使われる「絶交」や親子関係で親から子に対して使われる「勘当」も、意味としては同じものになります。

「もう貴方とは今後一切関わりません」という内容を書面に残すことを目的に作成されます。

書き方の例

絶縁状には、決まった様式はありません。Googleなどの検索エンジンで「絶縁状」と検索するとさまざまなサンプル画像が表示されます。
なるべく強い意志を示す場合は、用紙の右に大きく「絶縁状」と書くとインパクトがあります。自分の氏名を縦書きした後で、「右の者は〇年〇月〇日を以て絶縁いたします」等と書かれることが多いようです。

絶縁状

脅迫罪に該当しないように気を付ける

絶縁状を送る際は、シンプルに今後一切会わない等の絶縁の意思だけを伝えるだけにしてください。色々書きたい気持ちがあったとしても、書面で残してしまうのはNGです。

というのも、「今後見かけたら〇〇してやる」といった感情的な表現を盛り込むと「刑法第222条 脅迫罪」に該当する恐れがあるからです。

刑法第222条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

引用先:e-gov|刑法第222条

内容証明郵便を使って送る

仲の悪い相手に自分の名前が入った手紙を渡すわけですから、通常の郵便では効果が薄いかもしれません。

確実に手に取ってもらいたいと考えるのであれば、通常の郵便ではなく「内容証明郵便」を使って送るのも1つの方法です。

内容証明郵便を使うことで書面として絶縁の意思を残すことができ、自分の気持ちにも一区切りをつけることが期待できます。相手方としても「これはタダごとではない」と焦りを覚える可能性もあるでしょう。

内容証明郵便とは

日本郵便の内容証明郵便の説明は以下のとおりです。

「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度」が内容証明郵便です。

※当社が証明するものは内容文書の存在であり、文書の内容が真実であるかどうかを証明するものではありません。
※内容文書とは、受取人へ送達する文書をいいます。
謄本とは、内容文書を謄写した書面をいい、差出人および差出郵便局において保管するものです。

引用元:日本郵便|内容証明

つまり、内容証明郵便とは送った書類の存在と、送ったという事実を証明する書類のことです。内容が正しいかどうかは証明されるものではないという点は理解しておくことが必要でしょう。

絶縁状の法的な効力

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実は、「絶縁状」には法的な効力が一切ありません。仮に内容証明郵便だったとしても、「送った・届いた」だけで親子関係・兄弟関係を終了することはできません。

絶縁状を送ることは、単純に縁を切る、関係を絶つことを意思表示しているだけです。送ったことをきっかけに「今後は一切会わない」「連絡を取らない」等の事実上の絶縁状態にすることは当人同士の判断にゆだねられます。

ただし、「内容証明郵便」によって送付の事実が証明されることから、相手が深刻に受け止める可能性はあります。

絶縁状を送ることに意味があるケース

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法的な効力のない絶縁状を送ることに、残念ながら大きな意味はありません。ただし、絶縁状をきっかけにして実質的に関係を絶つことを明確にしておくことに意味がある関係性もあります。

親が子から虐待を受けている場合

理由はどうあれ、子供が親に対して危害を加えるケースもあります。身体的な虐待のみならず、高齢の親に対して侮辱的な発言を行うことも考えられます。

そんな時は「財産を相続させない」という選択に至る場合もあるでしょう。しかし、絶縁状を送っただけでは法的効力がないため、将来的に財産が虐待をしてきた子に渡る可能性があります。

相続人から該当する子を排除したい時、実務的には「相続廃除」をすることで相続人から外すことができます。そのきっかけとして「絶縁状」を送ることで、相続廃除した事実を伝えることはできるでしょう。

姻族としての関係を終了させる場合

結婚をした場合、相手方の親族と親戚関係になります。生前に離婚した時には、配偶者の親族との関係はなくなりますが、配偶者が亡くなった場合(死別)は、配偶者の親族とその後の関係がどうなるかは曖昧です。

配偶者の死後、配偶者の親族との関係を終了させたい場合は、「姻族関係終了届」を本籍地、もしくは居住地の市区町村役場に提出します。

「離婚届」は配偶者と双方で離別を決めて手続きをすすめますが、「姻族関係終了届」は配偶者の血縁関係との離別をするもので、配偶者からの届け出だけで有効になります。詳しくはコチラご参照ください。

姻族関係終了届を出せば(あるいは出さなくても)法的に何の関係もなくなります。あえて姻族関係終了届を提出し、配偶者親族との関係を終了させることを明確にすることを「死後離婚」とも言います。わざわざ絶縁状を出す必要はありませんが、法的に「姻族関係終了届」を提出した後に、私的に「絶縁状」を送ることで、姻族関係を終了したことを伝えることはできます。

相続廃除とは

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何らかの強い理由で、親が子に財産を与えないための仕組みが「相続廃除」です。民法892条にその内容が定められています。

民法892条 第八百九十二条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

引用元:e-gov|民法892条

廃除の対象になっているのは、遺留分の対象外である「兄弟・姉妹」以外の相続人です。兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言で財産を与えない旨を書いてしまえば廃除する必要がないからです。

推定相続人から外してしまうこと

相続廃除は、被相続人の意思で法定相続人を相続の対象から廃除することを指します。

家庭裁判所が審判によって相続権を喪失させますが、ほとんどは認められません。命の危険にさらされている、侮辱的な暴言があったなど、相当な非が相続人側にないと請求は棄却されてしまうでしょう。

逆に、相続廃除が認められれば、「絶縁状」を送るだけの理由があると客観的に証明されたことになります。

廃除されると遺留分も発生しない

通常の相続では、最低限の取り分として「遺留分」が定められています。裁判所によって相続廃除された相続人は、この遺留分すら失うことになります。

相続の面においては「完全に縁が切れた」状態です。

廃除された人に子供がいる場合は「代襲相続」の対象

代襲相続とは、「本来の相続人が亡くなっている時に、その子供(被相続人から見て孫)が財産を相続する仕組み」のことです。

相続廃除された人に子供がいる場合は、この「代襲相続」が適用され、代襲相続人である孫には財産が渡るようになっています。

姻族関係終了届とは

姻族関係終了届

姻族関係終了届けとは、「配偶者側の親族との関係を解消するための書類」のことです。配偶者の死亡によって相手方の親族と関係を絶ちたい時に利用されます。

離婚においては、民法728条に「姻族関係は、離婚によって終了する」とあることから、離婚すれば姻族との関係は終わります。

また、728条2項「夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする」とあることから、配偶者が死亡した場合、関係を絶つ意思表示をすれば関係は終わります。

つまり、姻族関係終了届がなくても、離婚や死別であれば姻族との関係は終了します。しかし、その事を配偶者の親族が理解していない場合もあるため、姻族関係終了届を出すことで、「今後は無関係である」ことを書面ではっきりと表記することに意味があります。

姻族とは

配偶者の血族、および血族の配偶者のことです。民法では、「三親等内の姻族」まで自分の親族であると規定されています。

法的な縁が切れる=実質的な絶縁

離婚・死別によって姻族との関係は終了していますが、姻族関係終了届けを出すことで、書面の上でも意思が明らかになります。

つまり、姻族に対して「実質的な絶縁状」の役割を果たしているわけです。配偶者側の親の介護、喧嘩等のトラブルから解消されるため、精神的な支えになる人もいるでしょう。

まとめ

今回は、縁を切るために送る「絶縁状」の法的な効力と、距離を置きたい目的別の対処方法について紹介しました。絶縁状は法的効力がないばかりか、書き方によっては「脅迫罪」に該当する場合もあります。

適切な対処方法を利用して、距離を置く方法を考えるようにしましょう。

ライター紹介 | 高柳政道 Takayanagi Masamichi
1級ファイナンシャル・プランニング技能士。老後に安心して暮らすための知識とノウハウを紹介いたします。

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