- iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)は積み立て式の私的年金
- iDeCoで公的年金だけでは足りない生活費補填・介護費用の備えができる
- 現役世代はiDeCoで節税ができる
- iDeCoがおすすめできない人もいる
- iDeCoのはじめかたは簡単
老後の不安は何かと聞かれると、多くの人は「お金が不安」だと答えるでしょう。
超高齢化社会の現代では、長い老後生活に備えるために資金をできるだけ準備しておく必要があります。
老後資金の準備策として是非おすすめしたい制度が「iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)」です。
今回はiDeCoについて、おすすめの理由やはじめかたなど基本からわかりやすく解説します。
目次
iDeCo(イデコ)とは
まずはiDeCoについてきちんと理解しましょう。
iDeCo(イデコ)とは、毎月掛金を積み立てて運用し、掛金と運用益を高齢者になってから年金として受け取る私的年金制度のことです。正式名称を「個人型確定拠出年金」と呼びます。
参考 トップページiDeCo公式サイト日本ではすべての人が公的年金(国民年金・厚生年金)に加入していますが、公的年金だけでは老後に資金が不足するかもしれません。
iDeCoは老後に豊かで安定した生活が続けられるよう、自らが選べる「もうひとつの年金」です。
企業型確定拠出年金(企業型DC)との違い
iDeCo(個人型確定拠出年金)と似ている制度に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」があります。
企業型確定拠出年金(企業型DC)とは、企業の福利厚生としての私的年金制度です。加入者はそれぞれの社員ではありますが、金融機関や運用商品の選定は企業が行い、手数料も企業が負担してくれます。
企業型DCの加入者が企業を退職するときには、それまで掛けた掛金はiDeCoに移換することができます。
iDeCoに加入できる人・できない人
iDeCoに加入できる人は以下に該当する人です。
- 20歳以上60歳未満の自営業者・フリーランス・学生の人(国民年金第1号被保険者)
- 20歳以上65歳未満の会社員・公務員等の人(国民年金第2号被保険者)
- 配偶者に扶養されている20歳以上60歳未満の人(国民年金第3号被保険者)
- 60歳以上65歳未満の国民年金任意加入被保険者
上記に該当する人でも、国民年金の保険料を免除されている人や、老齢基礎年金を繰り上げ受給している人などはiDeCoには加入できません。
その他の詳しい条件については公式サイトでご確認ください。
参考 iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等iDeCo公式サイト老後の資産形成にiDeCoがおすすめな理由
以下からはiDeCoによる老後の資産形成をおすすめする理由を2つご紹介します。
公的年金だけでは生活費が足りないから
会社を定年退職した後は、多くの人が年金だけを主な収入源として生活します。
年金受給額の平均は、国民年金に加入していた人は月額5万円程度、厚生年金に加入していた人は月額22万円程度です。
それに対して高齢者世帯(夫婦2人)の月平均支出は26万円程度であり、夫婦の年金加入状況によっては支出が収入を上回る可能性があります。
年金受給額だけで生活費がまかなえない場合には貯蓄を取り崩す必要があり、2019年には金融審議会の市場ワーキング・グループが「老後に備えて2,000万円が必要」との試算を発表し、老後2,000万円問題として大きな話題になりました。
会社勤めをしていて厚生年金に加入していた人でも安心はできません。厚生労働省は将来的に年金給付がゆるやかに減っていく見込みとしており、これから先の年金受給者は2024年現在と同じ額の年金がもらえない可能性が高いからです。
年金受給額の平均や老後の生活資金については以下の記事でも詳しく解説しています。
介護・医療費が高額化するかもしれないから
何ごともなく平穏な毎日であれば、年金受給額が少なくても節約しながらつつましい老後生活は送れるかもしれません。
しかし、高齢になると医療や介護の必要性は増します。特に介護においては在宅介護か施設入居をするかで費用が大きく異なり、民間の介護施設に入居したときの費用は公的年金だけではまかないきれない可能性が高くなります。
親の介護費用が支払えず、子供が介護破産したという例も多く聞かれています。自分が高齢になったときに子供に負担をかけず安心して介護を受けるためにも、事前にしっかりと資金的な備えをしておく必要があるのです。
介護費用の平均を知りたい人は以下の記事をご覧ください。
iDeCoは現役世代にもメリットがある
iDeCo加入によって得られるメリットは高齢者だけの特権ではありません。
iDeCoの掛金は全額所得控除の対象になります。例えば毎月1万円をiDeCoで運用した場合、年間12万円が所得から差し引けるため税金が安くなります。
またiDeCoの運用益も非課税になり、さらには年金受け取り時にも一定の控除があります。
つまりiDeCoは将来に備えるためだけでなく、現役世代の節税目的としても使えるメリットがあるということです。
iDeCoがおすすめできない人
iDeCoは多くの人におすめしたい制度ですが、中にはiDeCoがおすすめできない人も存在します。
以下のような人はiDeCoではなく、他の手段で老後資金の確保を検討しましょう。
生活費に余裕がない人
昨今の物価高で、生活に必要ないろいろなお金が増額しています。
2024年春からは光熱費の補助金が打ち切りとなり、これまでは大丈夫だと思っていた資金繰りが難しくなっている人も多いでしょう。
将来に備えるためにiDeCoに加入しても、それが理由で現在の生活費が足りなくなったら本末転倒です。
iDeCoの掛金は支払いが難しいときには減額や一時停止することはできますが、減額は年1回しかできないため慎重に検討する必要があります。
資金を自由に引き出したい人
人生ではライフステージの変化にともない、多額の出費が発生する可能性があります。
例えば子供の大学進学や結婚などのときには、親が費用を負担するシチュエーションも発生してくるでしょう。
iDeCoで積み立てたお金は60歳になるまで自由に引き出すことができません。そのため多額の現金が必要になっても、iDeCo掛金以外のところから捻出する必要があります。
これから60歳になるまでに出費が発生する可能性がある人は、iDeCoではなく他の積み立て制度などを利用しましょう。
手数料を支払いたくない人
iDeCoに加入してお金を運用するときには、以下の手数料がかかります。
国民年金基金連合会への支払手数料 | 加入時:2,829円 掛金支払時:105円 還付時:1,048円 |
金融機関への支払手数料 | 掛金支払時:66円~523円 |
ぞれぞれの額を見ると少額にも思えますが、毎月の掛金支払いで積み重なると決して馬鹿になりません。
1円でも無駄にしたくない、よくわからない手数料を支払いたくないと考えるタイプの人にはiDeCoでの資産運用は不向きです。
iDeCoのはじめかた
自分にはiDeCoが向いていると判断できた人は、すぐにでもiDeCoを開始しましょう。
以下からはiDeCoのはじめかたを説明します。
STEP1 掛金を検討する
まずは毎月支払う掛金の額を検討します。
iDeCoの掛金は月々5,000円から、1,000円単位で設定が可能です。上記でも説明したように、iDeCoへの支払いが生活費を圧迫してしまっては本末転倒ですので、無理なく支払える額を設定してください。
またiDeCoの掛金は、自分が加入している年金保険の種類によって上限額が異なります。以下iDeCo公式サイトの「カンタン加入診断」で自分の上限額を確かめてください。
参考 iDeCoカンタン加入診断iDeCo公式サイトSTEP2 金融機関を決める
iDeCoは銀行や証券会社などの各金融機関が、それぞれ口座管理や運用商品の管理を行っています。
iDeCoに加入する人は、iDeCo運用商品を提供している金融機関のいずれかでiDeCo口座を開設しなければいけません。
金融機関によって事務手数料や運用商品ラインナップ、サポート体制は異なります。できるだけ多くの金融機関の情報を取り寄せ、比較検討することをおすすめします。
STEP3 運用商品を決める
金融機関を決めたら、次にはその金融機関が提供している運用商品の中から自分が投資する商品を決めます。
iDeCoは単なる積立貯金ではなく、資産を運用する金融商品です。利益は低くても元本が保証されている「元本確保商品」と、運用がうまくいけば大きな利益が期待できる「投資商品」があります。
投資商品の運用成績は経済情勢や市場環境によって左右されるため、元本割れのリスクがあることも忘れてはいけません。
それぞれの運用商品の特徴をきちんと理解したうえで、リスクとリターンを秤にかけて運用商品を決定しましょう。
STEP4 加入手続きをする
掛金と金融機関、そして運用商品が決定したら、選んだ金融機関でiDeCo口座開設手続きと運用商品の契約を行います。
またiDeCo加入時には国民年金基金連合会へ「個人型年金加入申出書」を提出する必要があります。この書類はiDeCo口座開設時に各金融機関から渡され、提出も金融機関へ提出します。
金融機関経由でiDeCo加入申込が終わり、自宅に個人型年金加入確認通知書が到着した後に掛金の引き落としがスタートとなります。
将来的な年金額を増やす方法は他にもある
iDeCoは魅力的な私的年金ですが、加入できる年齢は原則として60歳までのため、もう60歳近い人やすでに60歳を超えた人はiDeCoの恩恵を受けられません。
ですが安心してください。iDeCoに入れなくても将来的な年金受給額を増やす方法は他にもあります。
以下の記事では将来的な年金受給額を増やす方法をいくつかご紹介しています。
なお上の記事で紹介している方法はiDeCoに加入している人でも利用できます。iDeCoで私的年金を用意しつつ、さらに受給額を増やしたい人も参考にしてください。
まとめ
今回はiDeCoについて解説しました。
人生100年時代と言われています。長い老後を豊かな心で過ごすためには、老後になる前からの資産形成が重要なカギになります。
iDeCoや他の方法をフル活用して、しっかりと老後に備えましょう。
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