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家族信託の適切な相談先|弁護士・司法書士・行政書士の業務と費用を比較

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この記事のサマリ
  • 家族信託は財産を信頼できる家族等に預けて管理してもらう契約制度
  • 家族信託の手続きは難解なため専門家への相談が必須
  • 家族信託の相談先は弁護士・司法書士・行政書士
  • 十分な知識と実績がある相談先を選ぶことが重要

もし親が認知症になったとしたら、親が所有している不動産や預貯金などの財産を管理するにはどうすれば良いでしょうか。

その手段として、いま家族信託という方法が注目されています。

家族信託とはどういった方法なのでしょうか。そして家族信託について相談したいときには、どこに相談すれば良いでしょうか。

今回は家族信託の適切な相談先について解説します。

家族信託とは

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家族信託とは、財産を所有している人が信頼のおける家族に財産を預けて管理を委託する契約制度です。

財産の管理代行ができる制度としては他にも成年後見制度がありますが、こちらは家族が後見人になるとは限りません。

家族信託は従来の成年後見制度よりも柔軟な対応が可能になります。

家族信託について詳しく知るには、以下の記事も参考にしてください。

家族信託とは?相談先の選び方

家族信託を検討すべき人

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家族信託は親が心身ともに健康であるうちに検討することをおすすめします。具体的には自分の親が70代になったら家族信託の検討をはじめた方が良いでしょう。

なぜなら認知症のひとつであるアルツハイマー病の発症率は、70代後半になると急激に上昇するからです。

新潟大学脳研究所附属生命科学リソース研究センター|アルツハイマー病について

家族信託は契約の一種で当事者同士の意思の合致が要件となるため、認知症で意思能力が低下した人は行うことができません。

まだ元気なうちに適切な対策をしておかないと、いざ家族信託が必要になったときに契約ができないかもしれないのです。

家族信託は自分で手続き可能?

家族信託の契約は、専門家に手続きを依頼しなくても自分たちで行うことができます。

しかし、相続や信託登記・税金など十分な知識を持っている人でないと正しい契約が設計できず、後々トラブルになる危険性があります。

さらに、金融機関で信託口口座を開く際にも、金融機関によっては専門家の介入を条件にしているところがあります。

そのため、家族信託の契約を自分たちだけで行うことはあまりおすすめできません。

家族信託の相談ができる専門家

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家族信託の相談や手続きは、弁護士司法書士行政書士などの専門家に依頼するのが一般的です。

士業の種類により、できる手続き内容や費用が変わってきます。

ここからは弁護士・司法書士・行政書士への相談で、できること・できないことを確認していきましょう。

弁護士

弁護士は家族信託の相談やコンサルティング、契約書類の作成から万一のトラブル時の対応までをトータルに行ってくれる、「できること」が一番多い相談先です。

あらかじめ弁護士に相談しておけば、いざトラブルが発生した場合でも関係者との交渉や、裁判所への手続きをお任せできるので安心です。

司法書士

財産の中に不動産が含まれる場合には、家族信託の相談先に司法書士を選ぶと手続きがスムーズです。

司法書士は登記申請の代理人になることができるため、将来的な相続登記まで見据えた家族信託の相談ができます。また弁護士より報酬が高くないのもメリットです。

ただし、財産管理でトラブルが起こったときには、司法書士は解決までのサポートはしてくれません。司法書士に相談や依頼をする場合、相続トラブルになる可能性が低いことが前提になります。

行政書士

行政書士は契約書類を作成する専門家です。家族信託も契約のひとつですので、書類作成や手続き代行も受け付けています。
家族信託の相談をする際は、「信託」を専門としている行政書士を選びましょう。

司法書士よりも支払いが安価に済むのがメリットですが、その分できないこともあります。

例えば、行政書士は司法書士と違い、登記申請の代行はできません。不動産の相続登記が必要になる場合には、司法書士に別途依頼する必要があり、トータルの支払い費用が高額になる恐れがあります。

家族信託にかかる費用

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家族信託にかかる費用は、持っている財産の評価額で変わります。

また、家族信託を自分たちで行うか、どの専門家に相談するかによっても費用は大きく異なります。

今回は家族信託の契約に必須となる費用と、各相談先に支払う報酬の目安費用をそれぞれご説明します。

必須の費用

家族信託の契約の際に必ず必要となる費用は以下のとおりです。

  • 印紙税(契約書1通につき200円)
  • 登録免許税(不動産が対象、不動産固定資産評価額の0.3~0.4%)
  • 公正証書作成費用(公証役場:3万円~10万円)

専門家への報酬

弁護士・司法書士・行政書士への支払いは、相談だけをした場合の支払い費用と、手続きを依頼した場合の報酬とで分けて考える必要があります。

相談だけをする場合、相談先が弁護士・司法書士は30分ごとに5千円~2万5千円以下(参考:旧報酬規程)が相場と言われています。現在は撤廃されていますので、初回は無料で相談をしている事務所もあります。

相談先が行政書士であれば、初回相談は無料のケースが多いです。

以下は、専門家に家族信託の手続きを依頼した場合の費用目安です。

弁護士への報酬相場

弁護士への報酬は最低でも30万円以上かかります。信託財産1億円以上の家族信託の場合、信託財産の評価額の1%が報酬だと計算すると、弁護士への支払いも100万円以上かかることが想定されます。

司法書士への報酬相場

司法書士への報酬は30万円程度(関東)が目安です。信託財産の評価額による報酬基準は弁護士への依頼と変わらないことが多いです。信託財産に不動産が含まれる場合は登記依頼費用も必要です。

行政書士への依頼費用相場

行政書士が契約書類作成をした場合の一般的な手数料相場は5~7万円程度です。ただし家族信託の全般的なコンサルティングを依頼も行っている行政書士事務所では、信託財産の評価額による報酬基準は弁護士・司法書士への依頼と変わらないことが多いです。

相談先への連絡前に決めておくべき事項

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どんな相談先に家族信託の相談をするにしても、あらかじめ相談すべき内容が固まっていないと適切なアドバイスをもらうことはできません。

特に弁護士や司法書士への相談では時間で相談料が決まるところも多いので、短い時間ですむように相談内容を明確にしておきましょう。

ここからは、相談先に連絡する前に決めておきたい家族信託の決め事について説明します。

信託目的

信託目的とは「何のために信託契約を結ぶか」です。家族信託によって誰にどんな利益があるのか、誰の財産を守りたいのかを明確にする必要があります。

また、家族信託の受託者に信託財産をどのように管理していって欲しいのか、委託者の希望を知っておかなければいけません。

信託財産

家族信託の対象になる財産が委託者の保有財産のどの部分かを明確にしておく必要があります。

家族信託の契約においては、信託財産は委託者の保有財産の全部でも一部でも構わないことになっています。

不動産などの高額かつ管理処分が難しくなってくる財産だけを家族信託にして、預貯金など管理しやすい財産については信託しないという選択もあります。

受託者

受託者とは「財産を管理する人」です。家族・親族の中でも、安心して財産管理をまかせられる相手を選ぶ必要があります。

この相手は資産管理や家族信託に関する知識の優劣よりも誠実であること、そして委託者との関係が良好であることが重要なカギとなります。

家族信託の相談先の探し方

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相談先の種別と相談する内容が定まったら、どこで家族信託の相談先を探せば良いでしょうか。

家族信託の制度は比較的新しい制度なため、すべての弁護士・司法書士・行政書士が家族信託の実務に精通しているとは限りません。家族信託について十分な知識と実績がある相談先を選ぶ必要があります。

一般に対する家族信託の周知や専門家の育成、各団体や行政との橋渡しを目的として設立された家族信託普及協会という団体があります。

家族信託普及協会では直接の家族信託相談は受け付けていませんが、登録されている家族信託専門士の紹介を行ってくれます。

家族信託について確実に対応してくれる相談先を探したいときは、このような機関を利用するのも良いでしょう。

まとめ

今回は家族信託の相談や手続き依頼ができる相談先について解説しました。

親や自分の老後はまだまだ先だと思っていても、誰しもいつかは年をとって、財産管理などの重要な決断が難しくなってくるときがやってきます。

先延ばしにしていざというときに後悔しないように、これからの家族の将来について話し合っておきましょう。

監修 | 行政書士 橋本玲子
行政書士事務所経営。専門は知的財産ですが、許認可から相続まであらゆる業務を行っています。また、遺言執行や任意後見関係を専門とする社団法人の理事もしています。アドバイスや業務遂行でお客様の問題が解決するととても嬉しくやりがいを感じます。行政書士ほか、宅地建物取引士、知的財産管理技能士2級の資格所持。

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