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配偶者がいる年金受給者を支援する公的制度|配偶者控除・加給年金の活用法

高齢の夫婦が談笑する

この記事のサマリ
  • 配偶者がいる年金受給者は配偶者控除が受けられる
  • 年金は申請すれば配偶者分の加給年金がプラスされる
  • 年金受給者の死亡後には配偶者が遺族年金を受け取れる

若い頃に結婚したご夫婦も、歳月を経る内には年齢を重ねて、年金を受給するシニア世代になってきます。

また、シニアになってからご縁を見つけて、配偶者と互いに支えあって余生を過ごしたいと考えてる方もいるでしょう。

年金を受給するシニア世代に配偶者がいると、心の安らぎ以外にも何か金銭的なメリットはあるのでしょうか。

今回は配偶者がいる年金受給者が得られる税制上と公的年金の特典について解説します。

配偶者がいると活用できる年金受給者の制度

手の中の赤いガラスのハート

年金受給者に配偶者がいる場合には、以下の公的制度が活用できます。

  • 配偶者控除(または配偶者特別控除)
  • 加給年金

また、年金受給者が亡くなった後でも、遺された配偶者は遺族年金を受給することができます。

遺族年金については後ほど詳しくご説明することとし、まずは年金受給者が生存中に活用できる公的制度を確認していきましょう。

年金受給者の配偶者控除

会社勤めなどをしていた現役時代に、妻または夫の収入が低いときには配偶者を扶養に入れて、給与所得の納税時には配偶者控除が適用できていました。

また、妻や夫がパートをしてある程度の収入を得ていた場合には、配偶者特別控除が適用されていた可能性もあります。

会社をリタイアするなどして収入が年金だけになった年金受給者でも、税制上の理屈は変わりません。

年金も収入の一種(雑収入)なので、給与と同じように配偶者控除もしくは配偶者特別控除が適用できます。

【配偶者控除と配偶者特別控除の違い】
配偶者控除とは…納税者に控除対象配偶者がいる場合に一定の所得控除が受けられること
配偶者特別控除とは…配偶者の年間所得が48万円を超えている場合に一部受けられる所得控除のこと(控除金額は段階的に下がる)

配偶者控除の条件

ダイニングテーブルに置かれたコップの中の草

扶養に入れられる配偶者、つまり控除対象配偶者になれる配偶者は以下5つの条件をすべて満たす方です。

  1. 民法の規定による配偶者であること
  2. 納税者と生計を一にしていること
  3. 年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与収入のみの場合は103万円以下)
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
  5. 納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えていないこと

配偶者特別控除の対象になる配偶者は、上記1~5のうち3だけを満たさない方です。1と2、4と5の条件は満たす必要があります。

配偶者控除の申請方法

配偶者控除は、申請すれば金銭が支給されるような形式の制度ではありません。

年金は受給者の銀行口座に振り込まれる際に、あらかじめ所得税および復興特別所得税が源泉徴収されています。

配偶者がいる年金受給者は確定申告をすることによって、本来差し引かれるべき自分の税金よりも多く差し引かれている旨を申告し、払い過ぎの所得税と復興特別所得税を清算します。

年金受給者が確定申告するときの詳しい方法は、以下の記事を参考にしてください。

年金受給者の確定申告は必要か不要か|要不要の判断基準と申告方法・FAQ付

年金受給者の配偶者控除は確定申告が不要

高齢になると細かい文字が読みづらくなったり、確定申告のために税務署まで出向くのも大変になりがちです。

そのため国では収入が年金だけの年金受給者のために、年金400万円以下、かつその他の所得が20万円以下であれば確定申告手続きをしなくても良いとしています。これを確定申告不要制度と言います。

年金受給者の確定申告不要の要不要

画像引用:政府広報オンライン|ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度

確定申告不要制度を利用するためには、毎年9月頃に年金受給者の自宅へ郵送される「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に記入して返送しなければいけません。返送をしないと配偶者控除は適用されなくなります。

扶養親族等申告書の記入例

公的年金等の受給者の扶養親族等申告書の記入の仕方は、日本年金機構のホームページで詳しく説明しています。

参考 令和3年分扶養親族等申告書の記入方法日本年金機構

また日本年金機構の公式YouTubeチャンネルでも説明動画を公開しています。

新規・継続ともにわかりやすく説明していますので、以下の動画で確認する方法もおすすめです。

【新規に申告する年金受給者向け動画】

【前年度に申告した年金受給者向け動画】

年金に配偶者分がプラスされる加給年金

積み木を積み上げる手

加給年金とは、厚生年金を受給中の方に配偶者や18歳未満の子供がいるときに受給額がプラスされる制度のことです。

配偶者分としてプラスされる加給年金額は年額224,900円です。

加給年金に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。

thinking_about_money 加給年金とはどんな制度?受給条件3つ(被保険者期間・年齢・収入)を確認

なお加給年金は厚生年金における制度なため、国民年金を受給中の年金受給者は加給年金をプラスすることはできません

加給年金受給の条件

加給年金をプラス受給するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 厚生年金の被保険者期間が20年以上ある
  2. 配偶者の年齢が65歳未満(子供の年齢が18歳未満)である
  3. 年金受給者と配偶者(または子)が生計同一関係にある

配偶者が65歳になると加給年金は停止となり、その代わりに配偶者の老齢基礎年金に一定額が加算されるようになります。

加給年金の申請方法

加給年金の申請は、お住まいの住所地を管轄する年金事務所または街角の年金相談センターに「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」を提出して行います。

なお年金事務所や街角の年金相談センターに手続きに行くときには、あらかじめ来訪予約をしておくことをおすすめします。以下の予約受付専用電話で予約をしておけば、混雑する時期でも長く待つ必要はありません。

年金事務所等の来訪相談の予約案内

画像引用:日本年金機構|予約相談について

加給年金額加算開始事由該当届の記入例

加給年金額加算開始事由該当届の書き方は、以下リンクよりご確認ください。

参考 【記入例】老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届日本年金機構

年金受給者が再婚したときの配偶者特典

肩を抱いて座る外国人老夫婦

長年連れ添ったご夫婦ではなく、過去に離別・死別をしてパートナーを失った方が再婚した場合にも、公的な配偶者特典は利用できるのでしょうか。

配偶者控除の制度も加給年金の制度も、夫婦である期間は条件に関係ないため、熟年再婚したご夫婦でも公的な配偶者特典が利用できます。

ただし婚姻届を提出したご夫婦と、事実婚・内縁のご夫婦では、配偶者控除と加給年金では考え方が異なります。

  • 配偶者控除→婚姻届を提出した法律上の配偶者のみが対象
  • 加給年金→事実婚・内縁のパートナーも対象になる

事実婚・内縁のご夫婦が加給年金を申請する際には、事実婚関係及び生計同一関係の認定が必要です。証明書類として以下いずれかの書類の提出が求められます。

事実婚関係・生計同一関係証明書類

画像引用:日本年金機構|生計同一関係証明書類等について

熟年再婚については以下の記事も参考になります。

old_couple_in_the_garden 熟年再婚のメリット・デメリット|幸せになるためのチェック項目

年金受給者の死亡後に配偶者がもらえる年金

夕焼けの海でたたずむ1人の女性

いつまでも夫婦仲良く暮らしたいと思っていても、いつかは別れのときがやってくるのはやむを得ません。

自分が死亡した後に遺される配偶者の生活について心配になる方も多いでしょう。

年金受給者の扶養親族に対しては、年金受給者の死亡後にも代わりに遺族へ年金を支給する遺族年金の制度が設けられています。

加給年金と違い、遺族年金は国民年金・厚生年金の区別なく受給できますので、自分が死んだあとでも配偶者が金銭的に困窮することはありません。

遺族年金については以下の記事で詳しく解説しています。

遺族年金とは|万が一の際はいくらもらえるかを解説

なお遺族年金をもらっている方が熟年再婚したときには、遺族年金の支給は停止されます。

まとめ

緑の中で抱き合うカップル

今回は年金受給者に配偶者がいるときに活用できる公的制度について解説しました。

配偶者の存在によって得られるメリットは、金銭的なものだけではありません。お互いを支え合って暮らしていくことで、心の安らぎや生きる張り合いが生まれます。

公的制度をうまく活用しながら、いつまでも仲良く暮らせるように互いの配偶者を思いやって生活しましょう。

ライター紹介 | 杉田 Sugita
認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。

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