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年金受給者の確定申告は必要か不要か|要不要の判断基準と申告方法・FAQ付

この記事のサマリ
  • 年金受給者で確定申告が必要な方は他に所得や控除対象の支払がある方
  • 所得が年金だけの方は確定申告不要制度が利用できる
  • 確定申告をしないと損になるケースもある

会社勤めをしている間は納税手続きを会社が代行してくれていたため、ほとんどの会社員は確定申告を行わなくてすみました。

しかし定年退職後に収入がある方は、自分で確定申告して適切に納税を行わなくてはいけません。

収入が年金だけの年金受給者でも確定申告は必要になるのでしょうか。

今回は年金受給者の確定申告について、要不要の判断基準や申告の仕方を解説します。

年金受給者で確定申告が必要な場合

書類に捺印しようとしている手

確定申告が必要な年金受給者は、年金以外にも所得がある方と、年金支給時の源泉徴収以外に控除対象の支払いがある方です。

年金以外の所得とは

年金受給者が得ている代表的な所得は以下のとおりです。

給与所得 アルバイト・パート等の給与
不動産所得 不動産売却益や収益物件の家賃
配当所得 株式等の配当

すべての所得を確認したい方は国税庁のホームページでご確認ください。

参考 所得の種類と課税のしくみ国税庁

控除対象の支払とは

一般的な年金受給者が確定申告をする際に受けられる主な所得控除は以下のとおりです。

基礎控除 合計所得額に応じて差し引ける控除
医療費控除 年間10万円を超えた分の医療費相当額を差し引ける控除
保険料控除 生命保険・介護保険・個人年金の支払相当額を差し引ける控除
寄付控除 ふるさと納税など寄付金相当額を差し引ける控除

すべての所得控除は国税庁ホームページから確認できます。

参考 所得金額から差し引かれる金額(所得控除)国税庁

年金受給者で確定申告が不要な場合

桜の咲く公園を歩く老夫婦

年金以外に所得がない方に対しては確定申告不要制度が設けられていますので、控除を希望しなければ確定申告を行う必要はありません。

確定申告不要制度は、高齢者にとって面倒な事務手続きの負担を減らす目的により2011年(平成23年)に創設された税申告免除の制度です。

参考 ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度政府広報オンライン

そもそも公的年金の支給時にはあらかじめ所得税を差し引いた額で受給者に振り込みがされているため、年金受給時にはすでに納税が完了している状態になっています。

確定申告不要制度とは税金を免除するための制度ではなく、あくまでも税申告手続きを簡便化するための制度です。

確定申告不要制度の対象者

すべての年金受給者が確定申告不要制度を利用できるわけではありません。

確定申告不要制度の対象者は以下2つの条件をいずれも満たす方です。

  1. 公的年金等の受給額合計が400万円以下の方
  2. 1以外の所得が年間20万円以下の方

確定申告不要制度の対象者

画像引用:政府広報オンライン|ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度

確定申告しなければ損になる可能性も

本に腰掛け腕組みをする男性の人形

上記を読んで確定申告不要制度の対象者だとわかった方の中には「これで面倒な確定申告手続きをしなくてもすむ」「税金を払わずにすんで良かった」と安心している方もいるかもしれません。

しかし確定申告は、税金を追加納税するためだけの申告ではありません。

確定申告の内容によっては税金が還付されるケースも考えられますから、確定申告しないと損になる可能性があります。

控除対象となる支払いが多かった方は、確定申告の権利を使って払いすぎの税金を取り戻しましょう。

還付の可能性がある定年退職者の源泉税

定年退職するときに「退職所得の受給に関する申告書」を提出していなかった方は、退職金の受け取り時には通常の給与所得と同じ税率(約20%)で源泉徴収をされています。

退職所得は通常の給与所得よりも低い税率が適用できる可能性があるため、その場合には確定申告をすれば払い過ぎの税金を還付してもらえます。

定年退職時に申告書を出したかどうかわからない方は会社に確認してみましょう。

確定申告の方法

確定申告の方法は以下のとおりです。

書類作成

確定申告書類の作成方法は以下3つから選択できます。

  1. 手書きで作成する
  2. 国税庁「確定申告書作成書コーナー」で作成する
  3. 確定申告ソフトで作成する

確定申告ソフトは事業所得がある自営業者などに向いていますが、所得がほぼ年金だけという年金受給者が確定申告する上では国税庁の「確定申告書作成書コーナー」を利用するだけで十分に事足ります。

「確定申告書作成書コーナー」は無料で利用できるので、はじめて確定申告をする方がチャレンジしてみるにも手が出しやすい手段です。

提出

確定申告書類の提出方法は以下3つから選択できます。

  1. 税務署に持参する
  2. 郵送する
  3. e-Taxで送信する

マイナンバーカードを取得してマイナポータルに登録している方であれば、マイナポータルと連携して確定申告を行うこともできます。

参考 確定申告を行うe-Tax(国税電子申告・納税システム)

申告時期

確定申告の申告時期は毎年2月16日~3月15日です。

なお2021年の確定申告期限は新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から4月15日まで延長されました。

申告先

確定申告書類の提出先はお住まいの住所地を管轄する税務署です。

国税庁ホームページから、郵便番号・地図などにより管轄の税務署を検索できます。

参考 税務署の所在地などを知りたい方国税庁

必要書類

年金受給者が税務署に確定申告書類を持参する際には、以下書類等を持参します。書類を郵送する際には各書類の本通あるいはコピーを添付します。

e-Taxで確定申告を行う際には、国税庁のe-Taxソフトにイメージデータ(PDF形式)を送信します。

  • 確定申告書(A)(B)
  • 公的年金・個人年金の源泉徴収票
  • 年金以外の所得証明書類(アルバイト・パートの源泉徴収票など)
  • 控除の証明書類(医療費控除明細書・保険料控除証明書など)
  • 身分証明書(免許証・健康保険証・マイナンバーカードなど)
  • 預貯金口座がわかるもの(通帳など/還付を受ける場合)
  • 印鑑

年金受給者の確定申告FAQ

木のブロックで作ったFAQの文字

いざ確定申告手続きをしようというときには、いろいろな疑問が湧いてきます。

年金受給者の確定申告についてよくある質問をまとめました。

個人年金の受給があっても確定申告は不要?

公的年金以外の個人年金でも、受給時に源泉税が差し引かれていれば確定申告は不要です。ただし配偶者の個人年金を世帯主が契約していたなど、契約者と年金受取人が異なる場合には年金受給時に源泉徴収がされませんので、必ず確定申告をする必要があります。

確定申告不要制度の対象者は住民税の申告も不要?

日本年金機構から市区町村の納税担当部署へ公的年金の源泉徴収票が送られている場合には、確定申告だけでなく住民税の申告も基本的には不要です。ただし源泉徴収票に記載されていない各種控除の適用を受ける方は住民税の申告が必要になります。以下のフローチャートを参考にしながら、詳しくは各自治体の納税課にご確認ください。

公的年金所得者のための、確定申告・住民税申告 申告判別フローチャート

画像引用:多摩市ホームページ|年金所得者の住民税申告・確定申告について

申告手続きの代理を子供に頼んでも良い?

納税申告の書類を代理で作成することは税理士にしか認められていません。たとえ家族でも、本人以外の第三者が確定申告をすることは禁じられています。ただし本人が申告書類を作成する上で書類を代筆したり、インターネットでの代理入力、また税務署への提出については家族等の第三者が代行して問題ありません。

年金受給開始後に再就職したら確定申告は不要になる?

再就職をして再び会社が年末調整を行ってくれるようになった方は、確定申告が義務ではなくなります。しかし再就職により年金自体が停止される可能性があるため、年金受給者の再就職に際しては働き方もよく検討する必要があります。

老後 アルバイト 年金受給者は要注意|アルバイト・正社員で働く際に気をつけたい年金減額・停止条件と対策

まとめ

今回は年金受給者が確定申告をする必要があるか、必要がないかの切り分けについて解説しました。

確定申告は税金を追加納税するためだけの制度ではなく、払い過ぎの税金を返してもらえる制度でもあります。

適切に確定申告を行い、各人の状況に合わせた過不足ない納税を行えるようにしましょう。

ライター紹介 | 杉田 Sugita
認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。

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