- 認知症の完全な予防法はまだない
- 認知症のリスクを軽減する対策がおすすめ
- 認知症予防は年齢に関係なくいつでも始められる
- 認知症の症状が出てきたら早めに受診を
肺ガン予防のために禁煙をする、生活習慣病予防のためにダイエットをするなど、病気を予防するために自分自身で行える対策はいろいろあります。
それでは、認知症を予防するために行える対策はあるのでしょうか。
今回は認知症にかかるリスクを軽減できる予防方法について解説します。
目次
確実に認知症を予防できる方法はまだない
残念ながら、認知症の完全な予防方法はまだ見つかっていません。
ひとくちに認知症といっても、発症する原因はさまざまです。加齢にともなう脳機能の低下が原因の認知症もあり、脳以外の体の不調を原因とする認知症もあります。
認知症になる原因がひとつでないために「これをすれば認知症が予防できる」との決定的な予防法が確立できないのです。
また、認知症の予防方法が確立されていない理由として、予防効果の検証が不足している点も挙げられます。
これならば認知症が予防できると言い切るためには、その予防方法を実践した方が将来的に認知症を発症するかどうかを見極めなければいけないため、多数の症例と長期間の検証が必要になります。
そのため、2022年現在の段階では「認知症の予防ができる」ではなく「認知症の予防効果が期待できる」という言い方にとどまるでしょう。
予防できる認知症がある
すべての認知症の予防方法は見つかってはいないものの、予防の実践で回避できる認知症も存在します。
上記でも説明したとおり、認知症には脳の機能低下以外にもいろいろな原因が考えられます。
認知症の原因疾患が予防できる病気であれば、その原因疾患によって認知症にかかる可能性をなくすことや、治療による改善も可能になります。
認知症を誘発する原因疾患について詳しくは以下の記事をご覧ください。
認知症の原因は70種類以上|代表的な認知症の原因疾患と対策を紹介予防により認知症リスクの軽減は可能
2022年現在では認知症の確実な予防策は確立されてはいませんが、現在でも「これをすれば認知症のリスクは下げられるだろう」と一定の効果が期待できる対策方法は見つかっています。
この先に認知症の研究がさらに進み、完全な予防方法が確立されるまでの間は、以下に紹介するような対策を使って、できる限り認知症のリスクを軽減していきましょう。
一定の効果が期待できる認知症予防の対策
ここからは、2022年7月現在で「認知症の予防効果が期待できる」対策を9つ紹介します。
上記の説明のとおり、以下の予防方法は認知症にかかる確率を100%予防できるものではありません。ですが今回取り上げる認知症予防の対策は、認知症だけでなく全身の健康改善に役立てられる方法です。
認知症予防だけでなく、心身ともに健康な状態を維持するためにも是非参考にしてみてください。
食生活で予防
認知症を予防するためには、栄養バランスの良い食事を三食きちんと摂ることが推奨されています。
以下は脳の認知機能低下を防ぐ効果が期待できるとされている食材です。しかし、以下の食材だけを摂取すれば良いというわけではなく、以下の食材を含んだバランスの良い食生活を心がけるようにしましょう。
青魚
サバやイワシなどの青魚には悪玉コレステロールを減らすDHA・EPAなどの不飽和脂肪酸が豊富に含まれ、血液をサラサラにして脳内の血流を促進する効果が期待できます。
緑黄色野菜
ニンジンやカボチャなどの緑黄色野菜にはビタミンC・ビタミンE・βカロチンなどビタミンが豊富に含まれ、ビタミン欠乏症による認知症の発症を予防する効果が期待できます。
またビタミンC・ビタミンEのには抗酸化作用があり、脳の酸化(老化)の抑制も期待できます。
大豆
大豆には神経伝達物質の生成をサポートする大豆レシチンが含まれています。
脳神経の情報伝達がスムーズになり、記憶力や判断力の向上が期待できます。
ベリー系果物
果物はビタミンが多く緑黄色野菜と同じ効果が期待できますが、果物の中でもイチゴやブルーベリーなどのベリー系果物は、ポリフェノールなどの抗酸化物質が豊富に含まれているため、特に認知症予防効果が期待できます。
なおポリフェノールはコーヒーや紅茶、赤ワインなどにも含まれています。認知症予防のためには過度な飲酒は控えた方が良いものの、夕食時にグラス1杯の赤ワインを楽しむことも認知症予防には役立ちます。
スポーツで予防
運動・スポーツによっても認知症のリスクは軽減できます。特に散歩やジョギング、スイミングなどの有酸素運動は、全身の血流を促し脳細胞を活性化する効果が期待できるためおすすめです。
とはいえ、高齢になると若い頃のように激しい運動をするとケガの原因にもなります。
無理のない範囲で続けられるようなスポーツを選びましょう。
シニアにおすすめのスポーツについては以下の記事で詳しく解説しています。
シニアにおすすめのスポーツ5選!認知症や寝たきり予防になる運動とは脳トレで予防
書店や通販サイトで販売されている市販の脳トレ本は楽しみながら認知症が予防できると、高齢者の間で人気が高まっています。
「認知症予防におすすめ」と宣伝文句の付いた脳トレ本も多く見つけられるでしょう。
計算やクロスワード、漢字パズルなど記憶力や計算力を高めて脳を活性化できる効果が期待できます。
市販の脳トレ本を購入しなくても、普段の買い物で小銭を暗算したり、冷蔵庫の中にある物だけでレシピを組み立てたり、家族とクイズやゲームを楽しんだりしても脳トレ効果は発揮できます。
日常生活の中でも脳トレを実践できるシーンがないか、それを考える手段も脳トレの一環です。
睡眠リズムを整えて予防
質の良い睡眠を取ることも、認知症予防に役立ちます。
認知症の原因物質のひとつである異常タンパク質アミロイドβは、睡眠不足になると脳内に蓄積しやすくなります。
認知症のリスクを少しでも軽減するためには、睡眠リズムを整えて脳内からアミロイドβを排出していくことが有効だと考えられます。
夜間の睡眠だけでなく、日中に30分程度の軽い昼寝もおすすめです。
禁煙して予防
タバコは全身にさまざまな健康障害を引き起こす要因になるだけでなく、認知症リスクを高める原因にもなります。
タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる作用があります。つまり喫煙すると血流が悪くなり、脳への酸素も行きわたらなくなるのです。
全身の健康のためにも認知症予防のためにも、喫煙習慣のある人は直ちに禁煙にチャレンジしましょう。
歯を大事にして予防
歯みがきなどの口腔ケアをおろそかにすると、口腔内に歯周病菌が増加します。
歯周病菌が血液を通じて脳内に侵入すると、先ほどご説明した認知症の原因物質のひとつアミロイドβを歯周病菌が増加させることが最近の研究で判明しました。
参考 歯周病菌感染は全身の脳老人斑成分を脳内輸入させる九州大学認知症予防のためには歯みがきや定期的な歯科検診など、お口の健康を守る対策も重要なポイントです。
補聴器を付けて予防
高齢になると耳が聴こえづらくなる現象は、加齢性難聴によるものです。
加齢性難聴自体は認知症の直接的な原因ではありませんが、難聴のため会話に消極的になると、コミュニケーションの機会が減って認知症リスクを高めると言われています。
耳が聴こえづらくなった人は早めに耳鼻咽喉科を受診し、補聴器の使用などにより聴力の改善をはかりましょう。
手あそび・指あそびで予防
認知症予防のためには全身のスポーツも有効ですが、手先を使うことでも認知症予防効果が期待できます。
手あそびやジャンケンなども認知症予防におすすめです。
主婦の友社が提供している公式YouTubeチャンネルでは、脳を活性化させる手遊び・指あそびを紹介しています。是非参考にしてみてください。
笑いヨガで予防
笑うと全身の酸素の供給量が増えるため、認知症予防にも効果があると期待されています。
しかし、何もない状態ではなかなか思いっきり笑うことはできません。
そこでユーモアやジョークに頼らず腹の底から笑う動作を15~20分間続ける操作的な笑いを行う「笑いヨガ」が最近注目されています。
操作的な笑いだとしても、笑っているうちに気分が上がって本当に楽しくなるものです。日常で思いっきり笑う機会が減ったと感じている方は、認知症予防に関係なく笑いヨガを実践してみましょう。
参考 笑いヨガとは日本笑いヨガ協会認知症の予防はいつから始めるべきか
上記で紹介した認知症予防の対策は、年齢に関係なくいつからでも始められます。
認知症は高齢者だけがかかるものではありません。65歳以下の方に発症する若年性認知症の可能性を考えると、予防はいつ始めても決して早すぎることはありません。
また今回紹介した認知症予防の方法は、そのまま全身の健康改善につながる方法でもあります。
健康的な毎日を送るためにも、年齢や性別に関係なく即座に実践しましょう。
認知症の症状が出てきたら早めに受診を
認知症の予防策をいろいろ実践してきたとしても、認知症を発症する可能性があります。
認知症が疑われる症状が自分や家族に見られたときには、一刻も早く専門医の治療を受けて進行を遅らせる努力をしましょう。
認知症が疑われる症状とはどのような症状かは、以下の記事で詳しく解説しています。
認知症は早く気づけば治療が可能|認知症の症状を初期・進行後に分けて解説まとめ
今回は認知症を予防する方法について解説しました。
残念ながら、認知症の完全な予防策はまだ見つかっていません。ですが、何の対策もしないままでは認知症のリスクは高まるばかりです。
今の時点でできる対策をひとつずつ実践し、認知症になる可能性をできるだけ減らしていきましょう。
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