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認知症は早く気づけば治療が可能|認知症の症状を初期・進行後に分けて解説

この記事のサマリ
  • 早く治療すれば「治る認知症」もある
  • 認知症の初期症状は認知機能障害(MCI)と呼ばれる
  • 進行後の認知症の症状は中核症状と周辺症状に分かれる
  • 認知症の症状に気づいたら一刻も早く病院で検査を受けよう

認知症の症状というと、多くの方が「忘れものをする」「人の名前が思い出せなくなる」との症状を連想するかと思われます。

しかし認知症の症状は「忘れる」だけではありません。

ちょっとした性格の変化や見た目の様子からも、認知症の症状に気づくことができます。

今回は認知症の症状について解説します。認知症の症状を知り、認知症の早期発見に役立てましょう。

認知症は早期発見すれば治療が可能

笑顔の三世代家族

2022年現在では、すべての認知症を完全に治す方法は見つかっていません。

しかし近年では、治療により認知症の進行スピードを遅くすることができるようになってきました。

また認知症の種類によっては、治療により「治る認知症」もあることがわかっています。

いずれの認知症治療も、発見が早ければ早いほど高い治療効果が期待できます。

いかに早く認知症の予兆を見つけるかが、認知症高齢者本人と家族の、その後の生活を左右すると言えます。

周囲が認知症の症状に早く気づく必要あり

認知症の症状は、認知症になった本人はなかなか気づけません。

また本人が症状を自覚していても、恥ずかしさや不安感、また「本当に認知症だったらどうしよう」という恐れのために、周囲にも相談できずに時間が経ってしまう可能性が考えられます。

ですから家族や近所など周囲の方が認知症の傾向に早めに気づき、症状がまだ初期のうちに適切な治療ができるよう誘導してあげる必要があります。

いつから症状に気をつけるべきか

実は、認知症は高齢者だけがなるものではありません。

一般的に「認知症」は65歳以上の高齢者が発症した場合を指し、65歳未満の方が発症した場合には「若年性認知症」と呼ばれます。

この言葉の違いは、同じ症状や脳機能の状態を発症年齢によって区別しただけです。つまり若い方でも認知症になる可能性があります。

認知症の症状チェックは、年齢に関係なくすべての方に対して行っていかなくてはいけません。

認知症の初期症状とは

認知症アンケート

認知症の初期症状は、正しくはまだ認知症までは到達していない軽度認知障害(MCI)と呼ばれています。

MCIの方のうち約半数は5年以内に認知症に移行すると言われているため、初期のうちにしっかり症状を見極め、MCIが認知症にならないように先手を打っていった方が良いでしょう。

認知症の初期症状とも言える軽度認知障害(MCI)の症状には以下のようなものが挙げられます。

同じ話を繰り返す

少し前に話していた話の内容を何度も繰り返すようになってきたときには、初期症状のひとつ「もの忘れ」が疑われます。

忘れ物が多くなる

財布やスマホを自宅に忘れて外出するなど、忘れ物が増えた方は「もの忘れ」の症状が起き始めているのかもしれません。

また忘れ物は「しまい忘れ」「置き忘れ」も含まれます。これまで整理整頓を怠らなかった方がそこら中にモノを散らかすようになったときには、置くべきところにモノを置き忘れている可能性も疑ってみましょう。

身なりに構わなくなる

MCIの症状が起きると、全体的に活力がなくなる傾向にあります。

これまできちんと身づくろいをしていた方が、どことなくだらしない恰好をするようになってきたときには注意が必要です。

ぼーっとする

活力の低下や集中力の低下により、ぼーっとしていることが多く見られるようになった場合にも、MCIの影響が疑われます。

ミスが増える

認知機能が低下すると、運転や買い物、仕事などの社会的活動にも支障が出はじめます。

うっかりミスが多くなった方は、単なる「うっかり」ではなく、認知症の初期症状なのかもしれません。

気分が落ち込む・怒りっぽくなる

MCIによる生活への支障は、本人が一番よく自覚しています。

自分自身に対する漠然とした不安感で、気持ちが落ち込んだり、その反動で怒りっぽくなったりする方が多いようです。

以前と性格が変わってきたと思ったら要注意です。

また高齢者の気分の落ち込みは、MCIではなく老年期うつの可能性もあります。本人が希死念慮(死にたくなる気持ち)を訴えはじめたら直ちに精神科や心療内科への受診を検討しましょう。

認知症が進んだ症状とは

ごろ寝している高齢者女性の後ろ姿

認知機能の低下が進み、MCIから認知症に移行したときの症状は、以下の2つに分けて考えられます。

  • 中核症状:「脳の変化」として身体に起こる症状
  • 周辺症状:中核症状の発生にともない「行動の変化」として起こる症状

以下からは中核症状と周辺症状について詳しく説明します。

認知症の中核症状

脳神経細胞が破壊されて起きる「脳の変化」の中核症状は、ほぼすべての認知症の方に発生します。ただし症状の出現は認知症の進行度によりますので、認知症になったら直ちにすべての中核症状が起きるわけではありません。

認知症の中核症状は以下のとおりです。

記憶障害 経験や体験、過去の記憶が欠落する症状
実行機能障害 計画立った行動をすることが困難になる症状
見当識障害 時間や場所、人物、周囲の状況など自分が置かれている立場を理解する能力が弱まる症状
失語 自分の考えを口に出せなくなる言語障害の症状
失認 モノの認知や空間把握などができなくなる症状
失行 日常的な簡単な動作が行えなくなる症状

認知症の周辺症状

中核症状の発生によって引き起こされる「行動の変化」の周辺症状は、脳の変化だけでなく本人の環境やもともとの性格、健康状態などのさまざまな要因によって変化します。

そのため同じ認知症高齢者であっても、どのような周辺症状が発生するかは個々に違います。

代表的な認知症の周辺症状は以下のとおりです。

抑うつ・無気力

MCIの症状だった「気分の落ち込み」がさらにひどくなり、抑うつや無気力、アパシー(無関心)の状態におちいる症状です。

不安感

自分が自分でなくなる恐怖や置き去りにされる恐怖で不安感が増し、家族や知人に何度も電話をかけたり助けを求めたりする行動は、認知症の症状によるものです。

被害妄想

実際には被害を受けていないにも関わらず「財布を盗られた」「暴力をふるわれた」など、第三者に対して被害を訴える言動は、認知症の周辺症状のひとつ「被害妄想」が理由である可能性があります。

暴言・暴力

認知機能が低下して感情をコントロールすることが難しくなると、家族に対して暴言を吐いたり、暴力をふるう方もいます。

もともと暴力的な傾向があった方だけでなく、これまで温厚だった方でも性格が変わったように暴言・暴力を繰り返す可能性があります。

また暴言や暴力の対象が家族ではなく、介護施設の職員やホームヘルパーなどに向かう方もいます。「介護の拒否」も認知症の周辺症状のひとつです。

作話

事実とは異なる内容を語る「作話」という症状も認知症になった方には見受けられる症状のひとつです。

これは嘘をついているというよりも、自分自身は話の内容を真実だと思い込んで話しているため「正直な嘘」とも呼ばれています。

徘徊

認知症の社会問題としてよく取沙汰される「徘徊」は、中核症状のひとつ「見当識障害」によって自分のいる場所が認識できず、自宅内にいるにも関わらず「自宅」に帰ろうとして発生しているものだと考えられています。

その他の症状

その他の周辺症状として「異食」や「弄便(ろうべん)」、「性的異常行動」などが出現する可能性もあります。

症状に気づかず認知症が進むと生活に影響

高齢者のゴミ屋敷のイメージ

認知症の前段階であるMCIのうちは、周囲がきちんと見守っていれば自立した生活が可能です。

しかし症状に気づくのが遅れて認知症に移行し、その後認知症の進行が進むと本人だけでなく家族など周囲の人の生活にも大きな影響を与えます。

介護が必要な状態になると、介護する側の家族には時間・金銭・労力の大きな負担がかかります。できるだけ介護が必要な状態を遅らせられるように、初期症状のうちから適切な対処をしなければいけません。

また認知症になると相続にも影響します。認知症の症状があり、意思決定能力を欠いていると見なされた人は遺産分割協議などの相続手続きに参加できません。

認知症の症状がある方の相続に関する影響と回避策については、以下の記事をご覧ください。

認知症イメージ 認知症だと相続できない?回避策を解説|成年後見人・任意後見契約・遺言書

相続にまで影響する認知症の度合い

認知症になると相続にも影響が出ますが、だからといって認知症の人の全員が相続に参加できないわけではありません。

症状の進行度合いによっては、たとえ認知症になっていたとしても本人の意思決定能力が認められる場合もあります。

意思決定能力が認められる判断基準については、以下の記事で詳しく解説しています。

認知症の被相続人 被相続人に認知症の疑いがあったときの判断基準|判断すべき状況と対策

「もしかして認知症?」気になる症状が出たら

ジグソーパズルとハテナマーク

上記で説明したような症状が家族や身近な人に見られたときには、できるだけ早く専門医の診察を受けましょう。後のばしにしても良いことはひとつもありません。

認知症の検査は「もの忘れ外来」や「認知症外来」などでできます。以下のサイトから全国の専門外来が検索できますので、お住まいの地域の専門外来を探してみてください。

参考 全国もの忘れ外来一覧公益社団法人認知症の人と家族の会

まとめ

今回は認知症の症状について解説しました。

認知症の治療は一日でも早く開始する方が、高い効果が期待できます。

大切な人にできるだけ長く有意義な人生を送ってもらうためにも、小さな違和感を見逃さないようにしましょう。

ライター紹介 | 杉田 Sugita
認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。

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