- 年金生活者支援給付金は2019年の消費税増税とともに開始された制度
- 年金生活者支援給付金は恒常的な制度(いつまででももらえる)
- 支給要件を満たさない人は受給できない
- 支給要件を再び満たせばもう一度年金生活者支援給付金がもらえる
私たちが納めている消費税の一部は、年金生活者への支援にも充てられています。
年金だけでは生活資金が足りない高齢者に対して、消費税を財源とした年金生活者支援給付金が支給されています。
この年金生活者支援給付金の支給は、いつまで続くのでしょうか。期間に定めのある制度なのか、それともいつまででも続く制度なのでしょうか。
さらには、年金生活者支援給付金の受給者はそれぞれいつまで受給が可能なのでしょうか。
今回は、年金生活者支援給付金がいつまでもらえるかについて解説します。
目次
年金生活者支援給付金とは
年金生活者支援給付金とは、2019年の消費税増税に伴い開始された給付金制度です。
高齢者が老後を快適に過ごすためには年金受給額だけでは不足するという話は、2019年にいわゆる「老後2,000万円問題」として世間の注目を集めました。
老後2000万円問題をきちんと検証|算出根拠と最新データによる変化・回避方法ただでさえ老後資金が足りない可能性に加えて、消費税が10%になってしまってはさらに困窮する高齢者が増える恐れがあります。
年金生活者支援給付金制度は、年金生活者の中でも特に年金額が低い一部の高齢者を救済するために設けられました。
年金生活者支援給付金については以下の記事でも詳しく解説しています。
年金受給者が受け取れる「年金生活者支援給付金」をわかりやすく解説年金生活者支援給付金はいつまでもらえるか
いま年金生活者支援給付金を受け取っている高齢者としては、はたして年金生活者支援給付金がいつまでもらえるかが気になるところかもしれません。
まず基本的な考え方として、年金生活者支援給付金は恒常的な制度です。
支給要件を満たしている年金受給者であれば、制度自体が終了しない限りいつまででも給付金が受け取れます。
2021年度以降の支給対象期間
2021年度の制度改正に伴い、年金生活者支援給付金の支給スケジュールが変更されました。
2019年の制度開始時点では、年金生活者支援給付金の支給対象期間は「8月分から翌年7月分まで(12ヶ月分)」とされていました。
しかし2021年度の制度改正により、支給対象期間が「10月分から翌年9月分まで」に変更されています。
この改正により2020年度の年金生活者支援給付金受給者には2ヶ月間の空白期間が生じるため、2020年度の受給者のみ「2020年8月分から2021年9月分まで(14ヶ月分)」が受給できます。
2021年度以降の年金生活者支援給付金受給者からは通常どおり12ヶ月分の受給となります。
受給2年目以降は手続き不要
上記でも説明したとおり、年金生活者支援給付金は恒久的な給付金です。
受給開始2年目以降も支給要件を満たす限りはいつまででも受給できます。また、受給継続に際して書面等での手続きを行う必要もありません。
年金生活者支援給付金が停止するとき
先ほどより何度も「支給要件を満たす限りはいつまででも」と申し上げているとおり、年金生活者支援給付金には支給要件が存在します。
すべての方が年金生活者支援給付金を受給できるわけではなく、既に受給している方でも、支給要件から外れれば給付金が停止します。
以下からは年金生活者支援給付金が停止するのはどのようなときか、また具体的にいつの時点で停止するかを説明していきます。
受給者の死亡
いつまでもらえるか:受給者が死亡した月分まで
年金生活者支援給付金を受給していた方が亡くなると、死亡時点で年金生活者支援給付金の受給権利は消滅します。
年金に関して言えば遺族年金や寡婦年金など、大黒柱がいなくなったときの遺族を救済する仕組みも存在しますが、年金生活者支援給付金にはそのような仕組みはありません。
ただし年金生活者支援給付金は後払い支給なので、例えば1月に亡くなった方の1月分給付金は、未支給年金とともに遺族が代わりに受け取れます。
未支給年金や遺族年金、寡婦年金などについて詳しくは以下の記事を参考にしてください。
年金受給者が死亡した場合の手続き|遺族が受け取る年金とは受給者の年金支給停止
いつまでもらえるか:年金の停止月まで
年金生活者支援給付金はあくまでも「年金だけでは生活資金に足りない」高齢者を支援するための制度ですので、年金が支給停止したときには当然のことながら年金生活者支援給付の支給も自動的に停止します。
シニア世代になってから再就職を志す場合には、年金生活者支援給付金の支給停止も考慮して、毎月の収入支出を検討しましょう。
高齢者が再就職したときの年金支給停止については以下の記事で詳しく解説しています。
受給者の所得超過
いつまでもらえるか:対象年度の終了月まで
年金がもらえる範囲内で仕事をしている方でも、年金生活者支援給付金が設定している支給要件の所得範囲を超えた所得を得ている方は支給対象外になります。
この場合には、所得が超過したときに直ちに停止するのではなく、対象年度が終了するまでは年金生活者支援給付金がもらえます。
年金生活者支援給付金がもらえる2021年度の所得範囲は以下のとおりです。
老齢年金生活者支援給付金の受給者 | 所得の合計額881,200円まで |
障害年金生活者支援給付金の受給者 | 所得の合計額4,721,000円まで |
遺族年金生活者支援給付金の受給者 | 所得の合計額4,721,000円まで |
前年の所得が超過し、次年度の年金生活者支援給付金が支給されなくなる予定の受給者には「年金生活者支援給付金不該当通知書」のハガキが郵送されます。
受給者の海外移住
いつまでもらえるか:海外転出届を出した月まで
年金は海外に移住しても引き続き受け取れますが、年金生活者支援給付金は日本に住んでいない方は受け取ることができません。
海外の移住により年金生活者支援給付金の停止が見込まれる方は届出をしなければいけません。海外にいるにもかかわらず日本に在住しているふりをして年金生活者支援給付金を受給し続けていると、不正受給として扱われます。
必ず年金事務所で相談するか、給付金専用ダイヤルに電話しましょう。
海外に移住しても年金を引き続き受け取る方法については以下の記事をご覧ください。
老後の海外移住で年金を受け取りたい方必見|手続き方法と受け取り方の注意点を解説受給者の刑事施設等への拘禁
いつまでもらえるか:拘禁が開始された月まで
拘置所や刑務所などの刑事施設等に年金生活者支援給付金の受給者が拘禁された際にも、年金生活者支援給付金は停止します。
このケースでも海外移住と同じように届出が必要ですが、刑事施設等に拘禁されている方が自分で手続きはできません。家族などの代理人に支給停止の手続きを依頼する必要があります。
停止後も再び基準を満たせば再度もらえる
上記に該当して年金生活者支援給付金が停止された後でも、再び支給要件を満たせばまた年金生活者支援給付金が受け取れるようになります。
海外移住から日本に戻ってきた方、または刑事施設等の拘禁を終えた方は、支給停止時と同じく年金事務所で相談するか給付金専用ダイヤルに電話をして、認定請求の手続きを行ってください。
就労をやめて再び年金をもらうようになった方は、年金の受給手続きを行うときに一緒に手続きができます。
所得が低くなり次年度からの年金生活者支援給付金が再び受け取れるようになった方には、日本年金機構から「簡易な請求書(はがき型)」が届きます。
画像引用:日本年金機構|令和3年度の年金生活者支援給付金の簡易な請求書(はがき型)の送付について
このはがきを返送しないと、年金生活者支援給付金の再受給はできませんから注意してください。
2021年度の年金生活者支援給付金の再受給が可能になった方は、2022年1月4日までに請求書が届けば2021年10月分からの受給が可能です。
はがきの提出が2022年1月5日以降になった場合には、年金生活者支援給付金の受給開始月は日本年金機構で請求書を受け付けた月の翌月分からとなります。
まとめ
今回は年金生活者支援給付金がいつまでもらえるかについて、制度自体の対象期間やそれぞれの受給者の状況ごとにもらえる期間を説明しました。
すべての高齢者が経済的な不安を抱えずに生活できるようにするための制度が、年金生活者支援給付金です。
いつまでも高齢者が笑って生活できるように、私たちも消費税を通して間接的に支援していきましょう。
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