将来のスムーズな相続をサポートする終活アプリ「そなサポ」▶︎CHECK

老後の海外移住で年金を受け取りたい方必見|手続き方法と受け取り方の注意点を解説

island

この記事のサマリ
  • 海外移住していても年金を受け取ることが可能
  • 確定拠出年金iDeCoの追加拠出はできなくなる
  • 海外移住前に「海外転出届」を必ず提出する

老後の海外移住を成功させるうえで、なくてはならないのが国民年金や厚生年金です。

受給資格期間が25年から10年に短縮されたことで、海外に移住した人でも受け取りやすくなっています。

一方、海外移住前に手続きを適切に済ませておかないと、今まで支払った年金保険料が無効になる可能性があります。現地での生活費を確保するためにも、正しい手順で手続きを行うことが必要です。

そこで今回は、海外で年金を受け取る際に理解しておくべき手続きの方法と注意点、諸外国と結んでいる社会保障協定などについて紹介します。

老後の年金は海外に移住しても受け取れる

年金

老後に海外移住を決心した場合、収入源の1つとして「年金」が挙げられます。結論を言うと、海外に移住していたとしても日本と同様に年金を受け取ることができます。

ただ「すでに年金を受け取っている方」、もしくは「これから年金を受け取る方」で海外で年金を受け取るために必要な手続きが変わってくる点にご注意してください。

すでに年金を受け取っている方

現在暮らしている市町村に「海外転出届」を提出することで、世界のどこに移住しても、これまでと同様に日本の銀行口座に入金されます。

海外に持っている口座に現地通貨で受け取ることも可能です。ただし、為替変動で受取額が増減することは知っておきましょう。円安の時に振り込まれると円の価値が目減りすることから、受け取れる金額が少なくなります。

これから年金を受け取る方

まだ年金受給年齢に達しておらず、これから海外移住される方は、海外移住をする前に「海外転出届」を出すことで年金受給資格が維持されます。

移住先で年金受給資格期間(保険料納付済等期間が10年以上の方)に達した時は、年金の受給手続きをする必要があります。

海外移住者専用の年金請求書を日本年金機構のホームページから請求書類をダウンロードし、自分自身で日本の住所があった年金事務所へ提出しなければなりません。詳しくは「海外移住で年金を受け取る方法」の項目で説明いたします。

国内居住者であれば、年金受給資格が発生する3ヶ月前に「基礎年金番号」「年金記録」が記載された年金請求書が手元に届きますが、海外の居住先までは年金請求書が送られて来ないので注意が必要です。

参考 海外居住者の年金請求日本年金機構

加入期間10年に満たない人が知っておくべき「社会保障協定」

社会保障協定

国民年金・厚生年金を将来受け取るためには、年金加入期間が10年以上なければいけません。10年に満たないまま海外に出てしまうと、受給資格を満たさないことになります。

ただし「社会保障協定」を結んだ国に移住しているのであれば、現地の年金制度と合算して受給期間を計算できます。

社会保障協定とは、異なる2国間の年金利用が利用者の不利にならないように取り決められた制度のことで、それぞれの年金加入期間を合算可能です。

例えば5年間日本の国民年金または厚生年金に加入し、その後に海外移住して社会保障協定ありの国の年金に5年間以上加入した場合、年金通算加入期間は10年以上となるため年金の受給資格を満たすことができます。

日本が社会保障協定を結んでいる国々は以下のとおりです。

ドイツ イギリス 韓国 アメリカ ベルギー フランス カナダ オーストラリア オランダ チェコ スペイン アイルランド ブラジル スイス ハンガリー インド ルクセンブルク フィリピン スロバキア 中国

出展:社会保障協定について|日本年金機構

確定拠出年金(iDeCo)の取り扱い

確定拠出年金

これまで日本で確定拠出年金(iDeCo)に加入してきた人は、海外移住にあたって以下2点にご注意ください。

海外移住すると追加拠出はできない

海外移住することで国民年金を脱退した後は、それ以降の掛け金の拠出ができなくなります。

確定拠出年金(iDeCo)とは、年金を上乗せして受け取るための私的年金のことです。掛け金を60歳まで積み立て、60歳以降に年金や一時金として受け取ることができます。

あくまで年金の上乗せのため、国民年金の滞納者や免除を受けている人は利用できません。同じく、海外移住者が国民年金に加入する「任意加入」では確定拠出年金に加入することができないことに注意が必要です。

積立が中止でも60歳になるまでは引き出せない

掛け金の拠出がストップしても、それまで積み立てたお金をすぐに使えるわけではありません。拠出ができなくなったとしても、お金を引き出して使えるのは「60歳になってから」です。

口座管理手数料も掛け金を拠出していた時と同様に発生します。

海外移住で年金を受け取る方法

受け取り

海外移住で年金を受け取るために必要なことは以下の2つです。

年金請求手続きをする

海外移住者が年金受給開始年齢になった場合は、まず年金請求の手続きが必要です。

受給開始年齢に到達した日(誕生日の前日)から受給権が発生するので、年金請求書を提出します。海外移住者が年金の請求を行えるのは、日本で最後の住所地になった地域を管轄する年金事務所や「年金相談センター」です。

必要書類は以下のとおりです。

【必要書類】(すべての方に必要な書類)

  • 年金請求書
  • 本人確認書類(戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか)
  • ※年金請求書の提出日において6か月以内、受給権発生日以降に交付されたもの
  • 本人名義の受取先金融機関の通帳
  • 印鑑

※本人の厚生年金の加入期間が20年以上で配偶者または18歳未満の子供がいる方、本人の厚生年金の加入期間が20年未満で配偶者の厚生年金が20年以上の方は、配偶者や子供の収入確認書類なども必要です。

詳しくは以下のページでご確認ください。
参考 特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き日本年金機構

年金の受取金融機関を決める

海外に住んでいたとしても、所定の手続きが完了していれば、国内外の金融機関でも年金を受け取ることが可能です。

年金を受け取る金融機関には以下の2種類から選択できます。

①国内の金融機関
②海外の金融機関

どちらの場合も、海外に居住して年金を受取る場合(国内、海外の金融機関)は「年金の支払を受ける者に関する事項」の提出が必要です。

①国内金融機関

海外に住んでいたとしても、年金は国内の金融機関の口座があれば受け取ることができます。ただし、「ゆうちょ銀行」では受け取ることができませんのでご注意ください。

②海外の金融機関

海外の金融機関へ年金の振込先を指定することもできます。

海外の金融機関を指定する際は、SWIFT(またはBIC)と呼ばれる銀行を特定するための8ケタか11ケタの送金コードが必要です。また、国や地域によって、SWIFTコード以外の情報が必要な場合もあります。

以下のページを参考に確認してください。
参考 海外居住者で海外の口座へ年金の振り込みを希望される方の手続き日本年金機構

年金の支払を受ける者に関する事項

画像引用:ダウンロードのリンク 新規ウインドウで開きます。届書「年金の支払を受ける者に関する事項」|日本年金機構

海外で年金を受け取る場合でも、日本と同じように2ヶ月に1度の受け取ります。

海外の口座に送金してもらう場合は日本円を現地通貨に換えて受け取るため、その時の為替レートの円高・円安の状況で現地通貨での受取額が変わります。

租税条約に関する届出書

海外に居住する人は、日本において「非居住者」という扱いになります。

非居住者は「国内源泉所得」に対して課税されますが、日本の所得税法では公的年金は外国の法令に基づいて支給されるものを除いて「国内源泉所得」に該当します。

つまり、通常は源泉徴収が行われてから所定の口座に年金が振り込まれるということです。ただし、日本が租税条約を締結している外国の居住者になる場合は、日本での源泉徴収が免除されます。

源泉徴収の免除を受ける場合は、「租税条約に関する届出書」を提出します。

海外移住での生活費について詳しく知りたい方は以下の記事もご参照ください。

老後のタイへの移住!メリット・デメリット・生活費を徹底解説

海外移住する前に知っておくべき年金の注意点

注意点

セミリタイアが珍しくなくなった現在、50代など「まだ年金保険料を支払っている段階」で海外移住する方もいるでしょう。

そういった方ができるだけ年金額を多く受け取るために、知っておくべきことを紹介します。

将来の受取額を増やすために任意加入の手続きをする

海外で暮らしている期間は合算対象期間受給資格期間にはカウントされますが、年金額に反映されません。

海外に移住した時点で年金への加入義務はなくなりますが、海外で住みながら年金を続けたい方は国民年金の任意加入の手続きをすることになります。

任意加入手続きは移住の前に済ませる

これから海外に移住する方は、住んでいる市区町村窓口に海外転出届などを提出します。一方の「既に海外で居住している方」の場合は、日本国内の最後の住所地を管轄する年金事務所または市区町村が窓口になります。

海外移住してしまった後でも、本人が上記の場所で手続きする必要があるため、一度帰国して手続きしなければいけないのです。

年金などの手続きは、出国前に済ませておきましょう。

日本に住民票を残していると無効の可能性も

海外移住するにあたって適切な手続きを経ていないと、移住後に払った保険料が無効になる可能性があります。

例えば「海外移住の手続きをしないまま移住」してしまった場合です。移住後に払った保険料は戻ってきますが、老後の備えとしては利用できなくなります。

「海外移住後も住民票を日本に残している場合」も同様です。あとで海外在住であることが発覚すると、移住時に遡って海外居住扱いとなり、その分の保険料支払いが無効になる可能性があります。

年に1回送られてくる「現況届」を必ず返送する

現況届とは、毎年、自分の誕生月に自身の現況を報告するための書類のことです。日本に住んでいても海外に住んでいても提出が必要になります。

現況届を提出しない場合、年金が一時的に差し止めになってしまいます。年金額が減ることはないものの、生活費としてアテにしている場合は特に気を付ける必要があるでしょう。

現況届は、住んでいる場所にかかわらず、必ず提出することを忘れないでください。

現況届について詳しいことは以下のページをご参照ください。
参考 海外居住で現況届を提出される方日本年金機構

まとめ

今回は、海外移住の希望者やすでに海外で住んでいる方が知っておくべき年金手続きの進め方と注意点について解説しました。

「年金請求書」「海外転出届」「現況届」など、必要な書類が多いのが公的年金手続きでネックになるポイントです。手続き漏れがないように、事前にご自身に必要な手続きを確認しておきましょう。

ライター紹介 | 高柳政道 Takayanagi Masamichi
1級ファイナンシャル・プランニング技能士。老後に安心して暮らすための知識とノウハウを紹介いたします。

そなサポ
「そなサポ」は、大切な資産や継承者を事前に登録することで、将来のスムーズな相続をサポートするもしもの備えの終活アプリです。

受け継ぐ相手への想いを込めた「動画メッセージ」を残すことができるほか、離れて暮らす子どもたち(資産の継承者)に利用者の元気を自動で通知する「見守りサービス」もご利用できます。

▶︎今すぐ無料ダウンロード!