- 定年後に大学に行く方法は「シニア入学制度で入学する」「聴講生として入学する」「通信制の大学に入学する」の3つがある
- 募集人数は少ないため、前々から計画して行動することが大切
- シニア奨学金制度を活用して学びにかかる費用を抑えることが可能
「若い時にもっと勉強をしておけば良かった・・・」
このように悩んでいる方は、定年退職後に改めて入学することを検討してはいかがでしょうか。定年を機に大学で学び直したいと考えるシニア世代も増えています。
学び直したい意欲はあるけれど具体的な方法や注意点が分からない方も多いでしょう。
今回は、「定年後に大学に行く方法」「メリットと注意点」「おすすめの大学」等の情報を紹介していきます。
目次
定年後に大学に行く方法
まずは、定年を機に大学に通うための方法を確認していきましょう。
シニア世代が大学に通う方法は1つではありません。予算やライフスタイル、通学に時間を使えるか等の条件に合わせて様々な制度があります。
主に、以下の3つの方法で大学進学を目指すことができます。
シニア入学制度
正規に大学生として入学したい方には、シニア入学制度という方法があります。
各大学では、シニア世代に入学してもらえるように入試制度を整備しており、社会人枠にシニア特別枠を設ける動きも出ています。シニア特別枠を使うことで、各大学が用意する「シニア奨学金」等の制度で金銭的な負担を減らすことができる場合もあります。
シニア特別枠を利用した入学制度は、学生が大学を受験するように、入学試験を受けて大学に入学する方式です。受験科目は大学によってさまざまですが、以下のような選考内容があります。
【試験項目の一例】
- 書類審査
- 課題レポート
- 小論文
- 面接
大学に通学する時間がある方へおすすめできる制度です。
聴講生制度
正規に大学生として入学することが難しい方には、聴講生制度を利用する方法があります。
聴講生制度とは、「自分が関心のある講義だけを選択して受講できる制度」のことです。時間に縛られることなく、聞きたい講義だけ参加できる気軽さが特徴です。
一方、大学生として必要な単位の取得をすることはできません。
特定の知識だけを身に付けたい方におすすめできる制度です。
通信教育
自分のペースで勉強をしたい方は、大学が実施する通信教育や通信制の大学で受講する方法があります。通信教育制度では、自分のペースで、好きな時間に勉強することができます。
通信制の大学の学費は通常の大学より安く設定されているのが一般的です。また、大学によってはシニア奨学金によって授業料の10~50%が支給される場合もあります。交通費もかからないことから、費用を安く抑えることが可能です。
近くにシニア向け大学がない方は、おすすめの制度です。
定年後に大学に行くメリット
大学へ行くことで、学習意欲が満たされるだけでなく、若者と交流することで自分のスキルアップに繋がるなど様々なメリットがあります。
若者と交流ができる
大学に通うことで、普段接することのない世代とコミュニケーションを取ることが可能です。新しい技術や価値観をどんどん取り入れる若者と交流することは、シニア世代にとって大きな刺激になるでしょう。
若者が得意なツールを習うこともできる
バリバリと新しい知識を吸収する若者世代と肩を並べて勉強すれば、自分にとって刺激になるのは間違いありません。
それだけでなく、生活面でも若者の知恵を借りられます。「Twitter」や「Instagram」といったSNSをはじめ、若者が活用するツールを教えてもらうことで、老後の生活に変化がもたらされるでしょう。
定年後のビジネスにも活かせる
興味ある分野の学び直しをした結果、定年後のビジネスに繋がる場合もあります。大学で総合的に学んだ後、ビジネスのアイデアが芽生えたり、人脈が広がるかもしれません。
例えば、国立大学の「広島大学」では、シニアを対象とした入学制度を設けており、総合学部、文学部、教育学部、法学部、経済学部、生物生産学部の入試を受けることができます。学部の選択肢も多く、専門性の高い学部も選べるのでおすすめです。教育や小売、食品開発などさまざまな分野で活かせる知識が学べそうです。
大学を卒業した後にビジネスにチャレンジしたいと思っている方は、関連する学部のある大学でその分野を総合的に学ぶことも良いですし、聴講生制度や通信教育で専門性の高い科目を選ぶことも良いでしょう。
定年後に大学に行く際の注意点
シニア世代が大学に入学するにあたって、注意しておくべきポイントも紹介します。大きく分けて「対応する大学が少ない」「募集人数が限られる」という点が挙げられます。
シニア対応の大学が少ない
大学全体の数と比べると、シニア入試制度を採用している大学は少ないのが現状です。特に地方に住んでいる場合、通学して大学に通うのは難しいと言わざるを得ません。
【シニア入試制度がある主な4年生大学】
【シニア入試制度がある主な大学院】
募集人数が少ない
学生の入試に比べ、シニア世代の募集人員は圧倒的に少ない点も注意しておくべきです。応募が集中した場合、試験結果によっては不合格になることもあります。
例えば「長野大学」における令和2年度入試の場合、学生とシニア世代の募集人員は以下のように異なります。
【募集人員の目安】※長野大学の場合
長野大学 | 一般入試 | 社会人シニア特別入試 |
社会福祉学部 | 前後期合わせて75名 | 若干名 |
環境ツーリズム学部 | 前後期合わせて57名 | 若干名 |
企業情報学部 | 前後期合わせて57名 | 若干名 |
シニア入学制度を取り入れている大学、シニア世代の募集数も少ないですが、通信制の大学、通信教育を実施している大学であれば誰でも学ぶ直せます。行きたかった大学が通信教育を実施されているかどうか調べるのも良いでしょう。
定年後に大学に通うために必要な費用
シニアが大学で学ぶための費用は、大学や学習方法によって異なります。「シニア向け大学に通学する」「通信教育を受ける」の2通りの方法で、費用が大きく異なる点を理解しておきましょう。
シニア向け大学の場合
シニア向けの入試を受ける場合は、まず受験費用が発生します。シニア世代の入試は学力試験が実施されないAO入試が主流で、かかる費用は30,000~35,000円が一般的です。
授業料は大学によって大きく異なるものの、「入学金として100,000~200,000円」「授業料として500,000~1,000,000円」という費用感が一般的です。
例として「徳山大学」の2017年入試で案内があった、入学時と1年目にかかる費用を紹介します。
- 入学費用=250,000円
- 授業料=前期・後期併せて625,000円
このほか「施設費」「後援会費」「学生会費用」等が必要となり、合計で1,168,160円が初年度費用となります。(2017年度入試のケース)
ただし、シニア特別支援AO入試の合格者は、授業料の50%が4年間減免されます。具体的にいくらが減免されるかは、各大学に問い合わせて最新の情報を入手すると良いでしょう。
聴講生制度を受ける場合
聴講生制度を受ける場合は、試験料(選考料)が発生します。書類選考のみが一般的ですが、面接も併用される場合があります。
大学によって異なりますが、「試験料(選考料)として5,000円~15,000円」「登録料として25,000円~30,000円」「聴講料(1単位につき)5,000円~15,000円」が一般的です。
一度、聴講生として受講し、その後も継続して申し込む場合は登録料はかかりません。学部、学科によって聴講料、単位数などが変わるので、事前にトータルの費用を確認しておきましょう。
通信教育を受ける場合
一般に、通信教育を選択すれば通学に比べて費用を1/5~1/10程度に抑えることが可能です。例として、「産業能率大学」の学費を紹介します。
産業能率大学では「テキスト代」「科目履修試験受験料」「土日のスクーリング授業料」「リポート添削料金」を含めて200,000円で講義を受けることができます。基本的には追加費用も発生しません。
リーズナブルに学ぶなら、通信教育の安さは魅力的と言えるでしょう。
通信制大学であれば誰でも大学に通い直せる
特に地方に住んでいるシニアの場合、大学への通学が距離的に難しいことも多いでしょう。通信制の大学なら場所を選ばずに勉強ができるほか、紹介した通り、費用も格段に抑えることが可能です。
おすすめはシニア奨学金が適用される大学
通信制を採用する大学はいくつかありますが、その中でもシニア奨学金制度がある大学を選ぶことをおすすめします。
例としては産業能率大学、愛知産業大学などがあります。
産業能率大学
入学時点で満60歳以上の方が正科生として入学する場合に、初年度に90.000~100,000円が支給されるシニア奨学金制度があります。産業能率大学の学費は年間200,000円のため、約半額を奨学金でカバーすることが可能です。
愛知産業大学
入学時に満60歳以上の人を対象に「授業料の10%」を減額するシニア奨学金制度があります。免除の金額は少なめですが、初年度から4年次までの最大4年間にわたって給付を受け続けることができます。
まとめ
今回は、仕事を定年退職したシニア世代が、大学に入って学び直すメリットと方法、注意点について紹介しました。
「人生100年時代」を迎えるにあたって、シニア世代が新しいことを学べる機会は増え続けています。「学習内容」「費用」「通学時間」「人との交流」など、何に重点を置くのかを決めておくと入学手段をスムーズに決めることができます。
定年を機に、第2のキャンパスライフを満喫してはいかがでしょうか?
1級ファイナンシャル・プランニング技能士。老後に安心して暮らすための知識とノウハウを紹介いたします。
「そなサポ」は、大切な資産や継承者を事前に登録することで、将来のスムーズな相続をサポートするもしもの備えの終活アプリです。
受け継ぐ相手への想いを込めた「動画メッセージ」を残すことができるほか、離れて暮らす子どもたち(資産の継承者)に利用者の元気を自動で通知する「見守りサービス」もご利用できます。
▶︎今すぐ無料ダウンロード!