- 遺産相続手続きの流れを6つの順番を追って確認
- 遺産の確認や相続人の確定には時間がかかりトラブルも生みやすい
- スムーズな相続手続きのためには生前から準備するのがおすすめ
家族の誰かが亡くなったときに、必ず発生するのが相続手続きです。
プラスの遺産であれマイナスの遺産であれ、何かしらのものを残した状態でお亡くなりになります。
遺産の相続をするにはしかるべき手続きが必要ですが、初めて相続発生に直面する人にとってはわからないことが多いので、遺産相続の手続きについてわかりやすく説明します。
目次
遺産相続手続きの流れ
被相続人が亡くなった後には、一般的には以下6つの流れで相続手続きが進められます。
個々の状況により順番が前後したり、手続きの一部が割愛されたりすることもあります。以下はあくまでも一般的な例だとお考えください。
手続き1:遺言書の確認・検認
被相続人が遺言書を書き残している場合には、その遺言書を相続人全員で確認します。
遺言書が封筒に入っていて封印されているときには、相続人のひとりが勝手に開封して見てはいけません。法定相続人が立ち会いの元、家庭裁判所にて開封します。この際、相続人全員に裁判所から検認期日の通知はありますが、期日への出席は各人の判断に任されています。必ずしも全員が立ち会う必要はありません。
また、遺言書には法律で定められた書き方があります。発見された遺言書が法的に有効なものかどうかをはっきりさせるために、家庭裁判所での検認が必要です。
遺言書が正規のものであると検認が済んだら、相続人の誰かが異議を申し立てない限り遺産は遺言書のとおり相続されます。
手続き2:相続財産の確認
遺言書が残っていないときには、遺産分割協議をするために相続財産の洗い出しと確認を行います。
なお遺言書があったとしても、遺言書に記載されていない遺産が見つかる可能性もありますので、相続財産の確認は必須です。
不動産や貴金属類などの金額が明確でない遺産に関しては、相続が発生した日の時点で評価額を計算します。なお貴金属や宝石・書画・骨とう品などで、1個または1組の評価額が30万円未満のものは課税対象外なので計算に含めなくても問題ありません。
手続き3:相続人の確定
次に、相続人を確定します。
遺言書による指定がなければ、法定相続人に相続されます。被相続人の配偶者は必ず法定相続人になり、配偶者以外には民法で定められた順位で相続人が決まります。
相続人候補に指定された人のうち、相続を希望しない人は相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ相続放棄の申述をします。
3ヶ月を過ぎると相続放棄はできませんが、やむを得ない理由があるときは家庭裁判所に延長の申立ができます。
法定相続人のうち誰かが相続放棄をしたときは、次の順位の法定相続人に相続権がスライドし、最終的な相続先が確定するまで続きます。なお、いったん相続放棄をした人は再び相続人にはなれません。
すべての相続候補者が相続放棄をした際には、国が最終的な相続先として確定します。国が相続先になった場合には、プラスの遺産は国のものになり、マイナスの遺産は相殺される場合や消滅する場合があります。
手続き4:遺産分割協議
遺産の総額と相続人が決定したところで、指定された相続人同士で遺産分割協議を行います。
相続人全員が分割方法に納得できるように、お互いの気持ちを尊重しながら話し合いをしましょう。
遺産分割方法に全ての相続人が納得できたら、遺産分割協議書を作成してその証しにします。
もし、話し合いにより互いの折り合いがつけられないときには、家庭裁判所が間に入って遺産分割調停や遺産分割審判を行います。
なお、遺産分割協議書が作成された後に遺産分割協議のやり直しは原則としてできません。ただし、相続人全員の合意、もしくは遺産分割協議の後で遺言書が発見されたときには、部分的もしくは全体的に遺産分割協議をやり直すことができます。
手続き5:相続財産の受け取り
遺産分割協議書もしくは調停・審判の決定に基づき、実際に遺産の受け取りを行います。
預貯金は払い戻し、有価証券は名義変更、不動産は登記変更など、それぞれの種類に応じて受け取り方法は変わります。
銀行や証券会社などの取引先によっても手続きの仕方は違いますので、ひとつひとつの相手先に問い合わせて手続き方法を確認しましょう。
◎主な銀行の相続手続き
◎主な証券会社の相続手続き
◎不動産の相続手続き
手続き6:相続税の納付
最後に残された手続きは相続税の支払いです。被相続人が最期に住んでいた住所の管轄税務署に申告および納付をします。
今回の相続により相続税の支払いが必要なのかどうかは、国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」からおおよその判定ができます。
画像引用:国税庁|相続税の申告要否判定コーナー
なお、このページでできるのは簡易的なシミュレーションなため、正確に税額計算を行うためには税務署や税理士等への相談が必要です。
相続税の申告期限は相続発生から10ヶ月以内です。もしそれまでに上記の手続き1~5が完了していなくても、相続税がかかる可能性が見込まれる際には概算で申告しましょう。
遺産相続手続きでトラブルにならないために
ここまで遺産相続の手続きを見てきて、かなり面倒だと感じた人もいるのではないでしょうか。
特に時間がかかると思われるのが相続財産の確認です。どの銀行にどれだけ貯金があるか、また株式や不動産の有無など、あまり他人に明かさない情報ですので、調べるのに手間がかかります。
遺産が不明瞭な状態では遺産分割協議も進まず、親族間のトラブルに発展する可能性もあります。
相続税の申告期限である10ヶ月を超えてしまうと、無申告加算税や延滞税を納付しなければいけません。
自分自身の相続が起こったときに備えて、今のうちから財産目録を作っておくのが良いでしょう。
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まとめ
今回は相続が発生した際に遺産をどのように処理しなければならないか、手続きの方法をまとめました。
生前からしっかり対策をしておけば手続きのひとつひとつをスムーズに行うことができます。
万が一の備えが自分自身と家族を守ります。今のうちから夫婦間または親子で話し合って、いつどんな事態になっても遺された人が手続きに困らないように、財産目録や遺言書を作成しておくなどして準備をしておきましょう。
行政書士事務所経営。専門は知的財産ですが、許認可から相続まであらゆる業務を行っています。また、遺言執行や任意後見関係を専門とする社団法人の理事もしています。アドバイスや業務遂行でお客様の問題が解決するととても嬉しくやりがいを感じます。行政書士ほか、宅地建物取引士、知的財産管理技能士2級の資格所持。
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