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不動産の相続時に必要な費用と税金・必要書類とは|4種類の分割方法を解説

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この記事のサマリ
  • 相続財産に不動産がある場合には手続きが面倒
  • 不動産の分け方には4種類ある(現物分割・代償分割・換価分割・共有)
  • 不動産の相続では「相続時」と「相続後」のそれぞれに税金がかかる
  • 専門家のアドバイスが円満な不動産相続につながる

相続は、ある日突然やってくる場合があります。

親や兄弟などの身近な親族が亡くなったとき、悲しむ暇もなく遺産相続について考えなければいけません。

遺産の種類が預貯金等の分けやすいものであれば、相続も比較的簡単に済むでしょう。

しかし、故人の遺産の中に、かつて故人が住んでいた自宅などの不動産が含まれている場合には、相続手続きが複雑になります。

いざ相続に直面してから慌てないように、不動産の相続方法をあらかじめ知っておきましょう。

不動産相続の流れ

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まずは、基本的な相続の流れから理解しましょう。

相続は、故人が遺言を残していたかどうかにより分け方が変わります。

遺言書の書き方には法律上の細かい規定がありますが、ここでは故人が書き残した遺言書が法律上有効であると認められたと仮定して説明します。

遺言書について詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。

遺言書の種類や決まり・書き方を徹底解説|自筆証書遺言サンプルあり

遺言書がある場合

遺言書がある場合、故人は遺言で誰に何の財産を残したいかを指定できます。そこで「相続をさせる」のか「遺贈する」のかを示すことができます。
遺贈と相続は違う制度です。法定相続人に対しても遺贈はできますが、その場合には、遺言書に「~に相続させる」ではなく「~に遺贈する」と書かなければなりません。

法定相続人以外の人に不動産を残したい場合は遺贈の形をとります。その場合には、必ず遺言書によって遺贈先を指定しておかなければなりません。

なお、故人の配偶者や子、父母以外の相手に不動産を遺贈した場合には、相続税は2割加算ですが、登録免許税は相続に比べ5倍増しになります。

遺言書がない場合

故人が遺言書を残していなかったときには、遺産は法律で定められた法定相続人全員で遺産分割協議を行い、分割します。

遺産分割協議の際の不動産の評価額は、故人が死亡した日(相続発生時)の時価とするのが一般的です。

相続税を計算するときの評価額は、実際の時価よりも低くなる場合が多いため、相続税評価額を元にして遺産分割すると相続トラブルになる可能性があり、ほとんどのケースでは時価による算出が行われています。

不動産の相続は4種類

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不動産も預貯金などと同じように金銭的価値に換算して遺産分割することは可能ですが、土地や建物は細かく分けてしまうと資産価値がなくなってしまうことが多いです。

そのため不動産を相続する際には、以下4種類の分け方のうちどれかを相続人が選択できます。

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現物分割

一般的な相続では、この現物分割を選択するケースが多くなっています。

現物分割とは相続財産の形状を変えずに、土地建物を現状のまま各相続人に分配するやり方です。

「不動産は配偶者、預貯金は子供」などの分け方がこれに当たります。

また、土地を分筆して分筆後の土地をそれぞれに相続させるのも現物分割の1種です。

代償分割

代償分割とは、相続人の誰かが不動産を相続し、法定相続分を超えた分を精算するために他の相続人に金銭を支払う方法です。

不動産を相続することになった人に、ある程度の金銭的な余裕がある場合には、この方法もよく取られています。

換価分割

換価分割とは、不動産を売却して換金し、得られた金銭を相続割合で分配する方法です。相続財産となった不動産が空き家で、相続人全員が今後とも住む意思がない場合に選択されています。

共有

共有分割とは、相続された不動産を相続人全員で共有する方法です。登記上の所有者の欄には相続人全員の氏名が連ねられます。

不動産の共有名義は、共有者全員が賛成しないと「売却などの処分ができない」「賃貸するにも持ち分価格の過半数を持っていないと単独でできない」などの不便があり、後々トラブルに繋がりやすくなるため、他に手段がない場合以外に、あまり選択されることがありません。

不動産相続に必要な書類

不動産を相続する際には、一般的に以下の書類が必要です。

  1. 遺言書または遺産分割協議書
  2. 被相続人の出生から死亡までのすべての(除籍・原戸籍を含む)戸籍謄本
  3. 被相続人の住民票の除票
  4. 相続人全員の戸籍謄本
  5. 相続人全員の印鑑証明書
  6. 相続登記する不動産を取得する相続人の住民票
  7. 固定資産税評価証明書
  8. 登記申請書

上記の1~5までは、相続財産の中に不動産があるか否かに関わらず必要となる書類です。6~8は不動産の相続時に必要となる書類です。

また、預貯金や有価証券など不動産以外の相続財産を受け継ぐためには、それぞれに必要となる書類があります。

不動産相続で発生する税金

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不動産は高額な資産ですので、相続人にかかる税金についてもあらかじめ把握しておく必要があります。

不動産の相続により発生する税金には、相続時にかかる税金と相続後にかかる税金の2種類があります。それぞれの税金を確認しましょう。

相続時の税金(相続税など)

遺産の種類が不動産かどうかに関わらず、相続を受けた人には相続税がかかります。

ただし、相続税にはあらかじめ「3,000万円+(600万円×相続人数)」の基礎控除がありますので、相続財産の総計が基礎控除分を上回らない限りは支払いが免除されます。

相続税以外の税金としては、不動産の名義変更登記を行う際の登録免許税もかかります。

相続後の税金(固定資産税など)

相続された不動産を所有している人には毎年固定資産税がかかります。また、相続された土地が都市計画地域である場合には都市計画税も毎年かかります。

さらに、その不動産を収益物件として賃貸等に出して収入を得た場合には、経費等を差し引いた利益に対して所得税・住民税がかかります。

また、不動産を売却して売却益が出た年の翌年にも、売却益に対する所得税・住民税が発生します。この売却益に関しては、相続人が換価分割を選択した際には相続時にも発生します。

税金以外でかかる費用

相続自体で税金以外に必ず発生する費用というものはありませんが、不動産の相続登記手続きを司法書士に依頼した場合には、司法書士に報酬を支払います。

また、不動産の評価額を算出するために不動産鑑定士などのプロに鑑定してもらった場合にも、報酬を支払う必要があります。

不動産鑑定士に依頼するとき

画像引用:国土交通省|不動産鑑定士パンフレット「私たち不動産鑑定士です」

専門家のアドバイスを受けて円満な不動産相続を

相続財産に不動産が含まれているときには財産も高額になり、相続人の間で遺産分割をめぐって思わぬトラブルになってしまうケースがよくあります。

遺産分割が当事者同士で解決できなさそうなときには、トラブルが深刻になる前に専門家に相談することをおすすめします。

また、そもそも相続トラブルが勃発する前に専門家からアドバイスを受けておけば、後々に親族間でわだかまりができるのを防ぎ、円滑に相続が進められます。

相続に関する相談は弁護士・税理士・司法書士・行政書士などの専門家、もしくは不動産業者ファイナンシャルプランナーなどにもすることができますが、最も確実な相談先として適切なのは弁護士だと考えられるでしょう。

弁護士には相談だけをすることも可能ですので、実際の相続でトラブルが起きそうな場合は弁護士に相談するのが良いでしょう。トラブルがあるかどうか分からない場合は、より相談料の安い行政書士に相談することもおすすめします。

弁護士に相談をした場合の費用の目安は、以下の記事も参考にしてください。

相続における弁護士費用の目安|各種手続きや紛争解決など事例別に紹介

まとめ

寝室

今回は、相続手続きについて、特に相続財産の中に不動産が含まれていた場合について解説しました。

「遺産争いなんて自分には無縁の話」とは思っていても、不動産は資産額が大きいために予想もしていなかったところからトラブルが発生してしまう場合もあるので注意が必要です。

あらかじめ不動産相続の流れを把握しておきつつ、必要なときには適切な専門家にいつでも相談ができるように心の準備をしておきましょう。

監修 | 行政書士 橋本玲子
行政書士事務所経営。専門は知的財産ですが、許認可から相続まであらゆる業務を行っています。また、遺言執行や任意後見関係を専門とする社団法人の理事もしています。アドバイスや業務遂行でお客様の問題が解決するととても嬉しくやりがいを感じます。行政書士ほか、宅地建物取引士、知的財産管理技能士2級の資格所持。

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