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相続税・所得税の確定申告は必要か|要不要のケースと申告方法について解説

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この記事のサマリ
  • 相続による確定申告は相続税→必要、所得税→原則不要
  • 相続税は基礎控除額以下であれば確定申告は不要
  • 所得税は原則不要、ただし準確定申告が必要になるケースも
  • 相続財産によってさらなる所得を得た場合には所得税の確定申告が必要
  • 相続がからむ確定申告は専門家のサポートを受けながら慎重に

身近な親族が亡くなったとき遺産の相続人になる場合があります。

訳もわからぬままにバタバタと遺産分割協議を行って遺産が振り込まれた預金通帳を眺めているとき、ふと疑問に思うかもしれません。

「この振込(収入)によって、今年は確定申告が必要になるのだろうか?」

今回は、遺産相続をする方の確定申告の要・不要について解説します。

遺産相続時に確定申告は必要か

相続時の納税ルールについて、最初に大前提をお伝えしておきます。

  • 相続税は原則として必要
  • 所得税は原則として不要

言い換えれば「相続で増えた資産については申告が必要」ですが「相続によって得られた所得については申告不要」です。

相続税と所得税の確定申告の詳細を、もう少し詳しく見ていきましょう。

相続税の確定申告

相続税とは、故人の財産を相続人の「資産」とした事実に対して発生する課税です。

日本に相続税が設けられている理由は「富の再分配」にあります。親から子に財産がそのまま受け継がれると、特定の家系のみに財産が集中して貧富の格差が広がり続けます。

そのため相続時に国が財産の一部を吸収し、広く国民に分配しようとする目的で設けられました。

相続財産は、その種類によって以下の5つに大別できます。

  1. 本来財産:現金・預貯金・不動産・動産・有価証券など
  2. みなし財産:死去をきっかけにして受け取れる財産
  3. 祭祀財産:先祖をまつるための目的の財産(非課税)
  4. 贈与財産:死去から3年以内の生前贈与
  5. マイナス財産:借金など

これら相続財産を合計して、一定金額以上であれば相続税を納付する必要があり確定申告が必要で、一定金額以下であれば相続税を払う必要はなく確定申告も不要です。

申告方法

相続税の確定申告書は、被相続人の死亡時における住民登録地の管轄税務署に提出します。 相続人が住んでいる住所の管轄税務署ではないのでご注意ください。

申告書の用紙自体は、全国のどの税務署でも共通書式の申告書がもらえます。また、国税庁のホームページからダウンロードも可能です。

国税庁|相続税の申告書等の様式一覧

提出時には、申告書とあわせて以下の書類が必要です。

  • 提出者の本人確認書類(免許証・健康保険証・マイナンバーカードなど)
  • 被相続人の除籍謄本
  • 遺言書または遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書

配偶者の税額軽減特例小規模宅地等の特例などを受ける場合には、それぞれに必要な書類を別に用意します。

具体的にどんな書類が必要かは、管轄の税務署か税理士などに確認してください。

申告期限

相続税の申告期限は、相続が発生した日から10ヶ月以内です。この期限内に申告および納付まで完了させないと、無申告加算税延滞税がかかる可能性があります。

確定申告が不要なケース

相続する財産が一定金額以内であれば、相続税の確定申告は必要ありません。

相続税の計算をする上では基礎控除額を差し引けるため、相続財産が基礎控除額以下であれば相続税の納付は不要です。

基礎控除額の計算式は以下のとおりです。

3,000万円 + (600万円×法定相続人の数)

例えば、法定相続人が妻と子2人の計3人だったときには、3,000万円+(600万円×3人)と計算して基礎控除額は4,800万円になり、相続財産が4,800万円以下の場合は相続税を納付する必要はありません。

ここで注意しなければならないのは、カウントできる人数が法定相続人である点です。もし遺言書により法定相続人の数よりも多い人数に遺産を分割したとしても、基礎控除の計算式には当てはまらないので注意しましょう。

所得税の確定申告

所得税とは、個人(もしくは法人)が得た「所得」に対してかかる課税です。その所得は内容によって以下の11区分に分かれています。

所得区分

画像引用:国税庁|所得の種類と課税のしくみ

このように、所得税区分には相続所得が含まれません。

なぜ相続所得が所得税区分に含まれないのかというと、「既に相続税の確定申告をしているから」です。税金を重複して納付する必要は基本的にありません

ただし、所得税の確定申告が不要なのは「相続人の所得」に対してです。「被相続人の所得」に関しては、準確定申告が必要になるケースがあります。

準確定申告とは

準確定申告とは、被相続人が亡くなった年に得ていた支出や収入について相続人が代理で行う確定申告のことです。

準確定申告が必要なケースは以下のとおりです。

  • 個人事業主だった
  • 年収2,000万円以上の会社員だった
  • 死去した年に不動産や株式の売却益があった
  • 死去した年に高額な医療費を支払っていた

最後のケースのみ準確定申告が義務ではありません。しかし準確定申告により医療費控除が計算されて税金が戻ってくる可能性がありますので、被相続人が該当する場合には準確定申告をすることをおすすめします。

申告方法

準確定申告書は相続税の確定申告と同じく、被相続人の死亡時における住民登録地の管轄税務署に提出します。提出先の税務署が遠方の場合は、郵送による提出も可能です。

国税庁タックスアンサー|死亡した者の平成_年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表 (兼相続人の代表者指定届出書)

複数の相続人がいる場合は、準確定申告は連名で提出します。

なお、通常の確定申告ではe-Taxによる申告が可能ですが、準確定申告ではe-Taxが利用できませんので注意しましょう。

申告期限

準確定申告の提出期限は、相続が発生してから4ヶ月以内です。通常の確定申告は毎年2月16日~3月15日が提出期間ですが、準確定申告は異なりますので混同しないように注意しましょう。

相続後に確定申告が必要となるケース

先ほどご説明したとおり、相続で得られた「所得」に対しては確定申告の必要はありません。

ただし、相続された財産を元手にして相続人がさらなる収入を得たときには、相続人自身の確定申告が必要になります。

たとえば相続財産が収益物件の場合には、家賃収入などから経費を差し引いた利益分に対する確定申告が必要です。また、不動産を売却して売却益を得た場合や換価分割(遺産をすべて現金化して相続人同士で分け合うこと)を行った場合、「収入が発生した」とみなされ、確定申告が必要です。

また、相続財産を自治体や各種団体等に寄付したときには、確定申告により寄付金控除が計算されて税金が還付されます。

相続の確定申告には専門家のサポートが必須

確定申告を自分でやったことがある方はお分かりだと思いますが、実は、通常の確定申告はさほど難しい手続きではありません。

毎年2月~3月には各税務署で確定申告相談コーナーも開設され相談ができるため、初めて確定申告を行う人でも不安なく申告完了まで進められます。

しかし相続が関係してくる確定申告ではそうはいきません。対象金額が高額なため、不適切な申告をすると高額な税金がかかってくる可能性もあります。通常の確定申告よりも慎重に処理すべきです。

正しく確実に申告するためには、税理士などの専門家によるサポートが必須だと認識しておきましょう。

まとめ

今回は、相続時の確定申告の要・不要について解説しました。

確定申告の要・不要は、個々の相続状況により異なります。今回は一般的な例によりご説明しましたが、自分自身の相続時に確定申告が必要になるかどうかは、今のうちから確認しておくことをおすすめします。

自分の相続財産と相続人候補者をしっかりと確認しておけば、必要な対処があらかじめでき、万が一のときでも遺された家族が戸惑わずに済みます。

家族のために自分に何ができるかを考えてみましょう。

監修 | 行政書士 橋本玲子
行政書士事務所経営。専門は知的財産ですが、許認可から相続まであらゆる業務を行っています。また、遺言執行や任意後見関係を専門とする社団法人の理事もしています。アドバイスや業務遂行でお客様の問題が解決するととても嬉しくやりがいを感じます。行政書士ほか、宅地建物取引士、知的財産管理技能士2級の資格所持。

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