- 葬儀証明書は「葬儀を施行したこと」のみを証明する書類
- 忌引き休暇の提出書類として利用できる場合がある
- 公的書類としての効力はない
家族や親族が亡くなって忌引き休暇を取得した際、葬儀が行われた事実を証明する書類の提出を求められることがあります。
どのような書類が証明書として使えるのでしょうか?
今回は、葬儀の証明として使用できる書類について解説します。
目次
葬儀証明書とは
葬儀を執り行ったことを証明する書類としては、「葬儀証明書」があります。
葬儀証明書は葬儀施行証明書とも呼ばれており、葬儀を執り行った日にち、故人の氏名、喪主の名前などが記載された書類です。葬儀会社に依頼をすると発行してもらえる書類で、公的な書類とは異なります。
あくまで「葬儀を執り行った証明」の書類のため、故人が亡くなったことを証明する死亡診断書とは別の書類です。死亡診断書の提出の代用のように使うことはできません。
葬儀証明書の使われ方
葬儀証明書の使われ方としては、以下の2点が挙げられます。
忌引き休暇時の申請書類
忌引きでお休みをする際に、提出する書類として葬儀証明書が認められるケースがあります。
忌引き休暇では返礼品に入っている会葬礼状があれば書類として利用できますが、家族葬の場合は会葬礼状がない場合もあります。
そういった場合に、葬儀を行った証明として葬儀証明書を利用できます。
忌引きとは
「忌引き」とは、家族や親族が亡くなった場合に喪に服すことを指します。忌引きのために会社や学校を休むことが「忌引き休暇」です。
一般的に、忌引き休暇は欠席扱いにはなりません。そのため、皆勤賞や卒業のための単位等には影響を与えずに休むことができます。
忌引きでは通常、配偶者が亡くなった場合は10日前後、両親の場合は1週間前後は喪に服します。
ただし、忌引き休暇の日数は会社や学校の規定で定められ、葬儀を行う日数分だけ用意されるのが一般的です。
喪に服す期間より短く設定されるケースが多く、何日休めるかは会社の規定次第で変わります。
弔慰金の申請書類
会社で働いていた方が亡くなった場合、社員の遺族に対して弔慰金が支払われることがあります。
弔慰金の受け取りに必要な書類は会社ごとに規定があり、死亡診断書のコピーがあれば十分というケースもあります。
一方で、死亡診断書のコピーにプラスして葬儀の日程がわかる書類の提出を求められることもあります。その際は、葬儀証明書の提出が可能です。
葬儀証明書の記載内容
葬儀証明書に決まった形式はありませんが、一般的に以下のような内容が記載されます。
- 葬儀日程
- 会場名
- 故人名
- 喪主名
- 葬儀社名
葬儀社独自で発行されるため、決められたテンプレートはありません。証明に必要な内容が網羅されていない場合は、葬儀社への個別の相談が必要です。
イメージとしては、以下のような書式になります。
忌引き休暇で葬儀証明書が必要なケース
忌引き休暇に葬儀証明書の提出が必ずしも必要なわけではありません。会社等の規定によっては、書類の提出自体が不要の場合もあります。
また、忌引き休暇を取得するのが会社員なのか学生なのかによっても異なります。
会社では原則として不要
会社員が忌引き休暇を取得する際に、会社員の場合は書類の提出を求められないことが多くなっています。
そのため、葬儀証明書の提出も不要なケースが一般的です。
ただし、忌引き休暇の規定は会社ごとに異なるため、何らかの書類が必要になるケースもあります。
その時は葬儀証明書が提出書類として認められることもあります。忌引き休暇に際して書類が必要かどうかは、事前に確認をしておくと良いでしょう。
学校の場合は提出を求められることが多い
学生が忌引き休暇を取得した場合は、証明書の提出が求められることがあります。
忌引きか通常の休みかで内申点に影響する可能性もあるため、学校側から求められた提出書類はなるべく提出しましょう。
ただし、葬儀証明書が提出書類として認められるかは学校の規定によります。提出前に必ず学校側への確認が必要です。
葬儀証明書以外に証明書として使える書類
忌引き休暇の申請書類として利用できるのは、葬儀証明書だけではありません。以下の書類も証明書として活用できます。
それぞれの詳細について、以下で解説します。
葬儀でもらう会葬礼状
一般的に忌引きの証明に使われる書類としては、葬儀の出席者に渡される会葬礼状が利用されます。
葬儀の場で会葬礼状を受け取れば、葬儀証明書を改めて発行してもらう必要がありません。
会葬礼状を発行する葬儀が減少している
最近は、葬儀で会葬礼状を発行する機会が減少しています。理由としては、家族葬をはじめとしたコンパクトなお葬式が増えているためです。
学校や会社から会葬礼状の提出を求められても。受け取れない以上は提出することができません。葬儀証明書の需要が増しているのは、このためです。
会葬礼状を受け取れない時は、葬儀証明書を会葬礼状の代用として提出できます。
死亡診断書・火葬許可証等のコピー
死亡診断書・火葬許可証は、市役所等が発行する公的な書類です。関係が近い身内の葬儀に参加した場合は、コピーをもらうことで葬儀証明書のように使うことができます。
ただし、近しい親族でもなければもらうことは難しいでしょう。
入手できない場合は、会葬礼状か葬儀証明書を提出することになります。
葬儀証明書の注意点
葬儀会社に依頼することで発行してもらえる葬儀証明書ですが、決して万能な書類ではありません。以下のような注意点があります。
ここでは、葬儀証明書を利用する際の注意点を解説します。
法的な効力はない
葬儀証明書は葬儀会社が独自に作成する書類で、自治体等が発行する公的な書類ではありません。
そのため、法的な効力は一切ありません。
会社から公的な書類のコピーなどの提出を求められた際に、葬儀証明書を利用することはできない点を覚えておきましょう。
保険金の請求には使えない
生命保険に加入していた場合、死亡によって保険金を請求できる場合があります。
請求に必要な書類は保険会社ごとに異なりますが、公的な書類ではない葬儀証明書は保険金の請求手続きには利用できません。
一例として、アフラックのがん保険の死亡保険金で必要な書類を紹介します。
1)死亡証明書
当社所定のものをご提出ください。
ただし、以下の条件をすべて満たす場合は「死亡診断書のコピー」で代用できます。
※死亡診断書が当社所定の死亡証明書と同じ書式である。
※他保険種類と合算した患者様お一人あたりの死亡保険金額が600万円以下である。
※当社「がん保険」の給付を受けたことがある、または、今回死亡保険金のみのご請求ではない。
2)給付金等請求書
当社所定のものをご提出ください。
振込先は必ず受取人様名義の口座をご指定ください。
3)患者様の住民票
死亡の事実の記載のあるものをご提出ください。
主たる被保険者様との続柄の記載のあるものをご提出ください。
4)主たる被保険者様の住民票
5)受取人様の公的証明書のコピー
公的証明書とは、現在有効な健康保険証、運転免許証、パスポート等のことです。
受取人様が法人の場合には、法人の印鑑登録証明書および「保険金等請求内容確認書」の提出が必要です。
6)個人番号(マイナンバー)提供書および契約者様・受取人様それぞれの個人番号カードのコピー(死亡保険金額が100万円を超える場合のみ)
1)の死亡証明書の項目で必要書類の解説がされています。アフラックが指定する死亡証明書に代わる書類として「死亡診断書のコピー」は利用することができますが、葬儀証明書が利用できる記載は一切ありません。
アフラック以外の生命保険会社でも、請求に必要になるのは死亡診断書等の公的な書類です。
葬儀証明書は、あくまでも葬儀を行った事実を証明する書類のため、保険金の請求には使えません。
まとめ
今回は、忌引き休暇などに利用できる書類として、葬儀証明書について紹介しました。会葬礼状の代用として需要が高まっていますが、公的な書類ではありません。
保険金の請求等には利用できないことは、予め知っておきましょう。
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