将来のスムーズな相続をサポートする終活アプリ「そなサポ」▶︎CHECK

夫婦間の念書の書き方|実際に使えるテンプレートも紹介【浮気・暴力・モラハラ】

念書に捺印する妻

この記事のサマリ

  • 念書は、約束事を書き記しておく書面のこと
  • 夫婦間では「浮気」「暴力」「モラハラ」などを二度としないと約束する際に用いることが多い
  • 「約束の内容」「破った場合の制裁内容」などは明記する

夫婦間の関係が良好であれば、両者の間で何らかの書面を交わす必要はありません。ただ、一方の浮気や暴力、精神的な苦痛(モラハラ)があった場合は別です。

片方が過ちを犯しても双方が夫婦関係を維持したい場合、離婚ではなく「二度と同じことはしない」という約束をすることになります。

今回は夫婦間で約束を交わすための「念書」について、書き方の基本と実際に使えるテンプレートを紹介します。

念書(誓約書)とは?

念書

念書とは、約束事を記しておく書面のことです。「誓約書」と呼ばれる場合もあります。

何かを話し合って取り決めた内容があったとしても、口頭だけでは後から「言った・言わない」の論争に発展する可能性は否定できません。

念書を作っておくことで不毛な言い争いを回避できます。

念書は費用さえ出せば「公正証書」として作成することも可能です。公正証書は公証役場で原本が保管されるので、万が一、公正証書を紛失したり破棄したりしても再発行できます。

念書の効力

念書は基本的には法的な拘束力はないことが一般的です。ただ、言い争いが裁判まで発展した際には証拠として提出することができます。

覚書との違い

覚書と念書との違いをまとめると以下のとおりです。

  • 念書:約束を交わす2人の片方が作成
  • 覚書:当事者双方の合意のもとで作成

念書は当事者のうち一方が作成して署名・押印も片方が行います。

一方の覚書は2人で揃って作成する点で大きく異なります。

夫婦で念書を書くのはどんなどき?

言い争う夫婦

夫婦関係が円満であれば、ほとんどの場合は念書など取り交わす必要はありません。しかし、夫婦間に深刻な問題があって修復に向けて動き出すときは別です。

婚姻生活を守るために念書(誓約書)が必要になる場合もあるでしょう。

夫婦間で念書を書く場合、一方の浮気や暴力、精神的苦痛(モラハラ)が原因であることが一般的です。

離婚後の養育費の負担を約束してもらう場合も、念書を使うことがあります。

夫婦間で取り交わす念書の書き方(基本編)

誓約書

念書には決まった形式がないので、どのように書くかは自由です。ただし、後に証拠として利用することを考えると、相手の不貞を示す内容や制裁の内容などは事細かに示しておくことが重要です。

ここでは念書に書き記しておきたい基本的な内容について解説します。

盛り込みたい必要事項を網羅する

念書は約束事を残しておくための書類です。当事者を表す情報や取り決め内容など、盛り込みたい内容は全て網羅しておく必要があります。

  • 当事者同士の氏名
  • 念書で決める約束
  • 金額
  • 日付 など

行為の内容と相手

配偶者の浮気によって念書を書かせる場合、浮気相手に関する情報を明記します。逆に浮気相手に念書を書かせる場合、自分の配偶者に関する情報を書かせます。

氏名・生年月日・住所・勤務先など、再発を防止するためにも浮気した2名に関する情報をなるべく多く記載しましょう。

また浮気の期間や経緯、不貞行為の回数や場所など、浮気に関する内容はできるだけ詳細に記載するべきです。

暴力やモラハラが原因で念書を書く際も同様に詳細な情報を記載しましょう。

今後に守らせる約束

念書を書くということは「今後は二度とこんなことは起こしません」という約束をすることを意味します。

よって、過去の不貞行為や暴力について書くだけでなく「今後は絶対に不貞行為をしません」「今後は二度と暴力はふるいません」といったように、約束の内容を定めておくことが重要です。

ただ、念書といっても「今後は一歩も家から出ません」といった常識から外れる内容は避けましょう。

約束を破った場合の制裁

念書では今後の約束に加えて、もしも約束を破った場合はどうなるかという制裁内容まで記録しておく必要があります。

制裁の内容は「違約金を支払う」「離婚する」といった内容が一般的です。

こちらも、公序良俗や一般常識に欠けた内容は避けましょう。

条件や金額は明確にする

念書を書く際に重要になるのが「約束の内容」「約束を破った場合の条件」「期日」「金額」などです。

念書を交わすうえで欠かせない情報なので、曖昧にしていると後にトラブルになる可能性があります。

「念書に書いていないから無効だ!」と主張されないように、記載漏れがないかは確実に確認しましょう。

解釈違いが起こらない文章にする

複数の意味で解釈できる文言で残してしまうと、念書を作っても結局は論争の種になってしまいます。

裁判まで発展した際に、念書は証拠として提出できますが、解釈違いを起こさせるような曖昧な文章では証拠としての効果が発揮されない可能性もあります。

念書に書く内容は、誰が読んでも正しく理解できる明確な内容で記載することが重要です。

署名・捺印をする

最後に「念書を作成した人」の署名と捺印も必要です。

浮気や暴力、モラハラを起こした配偶者に書かせた場合は「配偶者」、浮気相手に書かせた場合は「浮気相手本人」に署名・捺印をしてもらいます。

なお、捺印はシャチハタや認め印ではなく実印を使ってもらうのがベストです。

夫婦間で交わす念書の書き方(実例編)

男性 押印

念書の書き方の基本的なポイントをもとに作成したサンプルを紹介します。ただ、念書の書式には決まりがありません。

以下のサンプルはあくまでも、参考としてご利用ください。

浮気を二度としないことを誓ってもらう場合

浮気が原因で離婚することへの慰謝料支払いを約束してもらう場合

念書に関するポイント・注意点

スーツ男性 注意点

念書を作るにあたって、証拠として効果を発揮させるためのポイントや注意点を解説します。

作成者が自筆する

念書は浮気や暴力、モラハラをした側がされた側に、「今後は絶対にしない」という約束として渡すものです。

つまり「自分の意思で念書を書いた」ということになります。

署名捺印だけでなく念書の全てを、問題を起こした側の自筆で作ることが望ましいです。

公共の場で作成する

念書は、自宅などのプライベートな空間で作成しないほうが良いでしょう。後になって「脅されて仕方なく書いた」と主張されてトラブルになることもあるためです。

レストランなど人目のあるところで作成し、作成した日付や住所などの詳細を記載しておくことで今後のトラブルを防ぐことにつながります。

夫婦間の契約はいつでも取り消しできる

念書はあくまでも私的文書で、法的な効力はありません。

民法754条でも夫婦間の婚姻は一方から取り消せることが明記されています。

参考 民法e-GOV

念書の中で「約束を破ったら違約金100万円を支払います」「もう一度不倫したら離婚します」と書かれていても、これだけで違約金が発生したり離婚が成立したりといったことにはなりません。

実現不可能だったり、公序良俗に反する制裁内容だったりした場合は、念書自体が無効と判断される可能性もあります。

ただし、念書を作ることに全く意味がないということではありません。問題の内容や念書で約束を交わした事実が証拠として、のちの離婚調停に役立つこともあります。

「次に問題を起こした場合は離婚して新しい出会いを探す」と心に決めておる場合、やはり念書は作った方が良いでしょう。

実際に離婚したあとは、新しい出会いを見つけて結婚する「熟年再婚」もあり得ます。熟年再婚については以下の記事でまとめているので、気になる方は読み進めてみて下さい。

old_couple_in_the_garden 熟年再婚のメリット・デメリット|幸せになるためのチェック項目

まとめ

念書は当事者同士で約束事を書き記しておくための書類で、夫婦間においては「浮気」「暴力」「モラハラ」などが発生した場合に二度としない旨を約束する際に使われることがあります。

念書それ自体に法的効力はありませんが、最終的に離婚調停になった際の証拠として活用することは可能です。

念書には決まった書式はありませんが、今回紹介したサンプルを参考に、当事者が納得する方法で作成してみてください。

年金分割は熟年離婚する専業主婦(夫)を守る制度|種類・計算方法など解説 熟年離婚はデメリットばかり?精神的なメリットと離婚の準備方法を解説
3つライター紹介 | 高柳政道 Takayanagi Masamichi
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)。老後に安心して暮らすための知識とノウハウを紹介いたします。

そなサポ
「そなサポ」は、大切な資産や継承者を事前に登録することで、将来のスムーズな相続をサポートするもしもの備えの終活アプリです。

受け継ぐ相手への想いを込めた「動画メッセージ」を残すことができるほか、離れて暮らす子どもたち(資産の継承者)に利用者の元気を自動で通知する「見守りサービス」もご利用できます。

▶︎今すぐ無料ダウンロード!