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熟年離婚はデメリットばかり?精神的なメリットと離婚の準備方法を解説

この記事のサマリ

  • 熟年離婚は長年連れ添ったシニア夫婦が離婚すること
  • 「金銭的に不足する可能性がある」「孤独を感じる」などがデメリット
  • 「人間関係から解放される」「自分らしい余生を過ごせる」というメリットも

長年連れ添った夫婦でも、離婚を決意することは少なくありません。離婚総数が減少傾向にあるなかで熟年離婚は横ばいまたは増加傾向にあります。

ただ、簡単に離婚を決意してしまうと、あとから後悔することになってしまうでしょう。熟年離婚をするとどんな問題があるか、しっかり把握することが重要です。

本記事では熟年離婚のデメリットと、その代わりに得られるメリットなどについて紹介します。

熟年離婚とは

熟年離婚 黒板

熟年離婚に明確な定義はなく、必ずしも熟年者の離婚を表す言葉ではありません。

2005年に放送された「熟年離婚」というドラマが高い視聴率だったのを覚えている方も多いのではないでしょうか。

一般的には20年以上連れ添った夫婦、年齢的には40歳代~60歳代のシニア夫婦が離婚することだといわれています。

どれだけの夫婦が熟年離婚しているのか

厚生労働省の統計(「人口動態統計月報年計(概数)の概況」)によると、令和3年の離婚件数の総数は184,386件でした。

参考 令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況厚生労働省

離婚件数自体は2005年をピークに、右肩下がりの傾向が続いています。

一方、離婚件数全体に見る熟年離婚の割合は以下のとおりです。

熟年離婚数

画像引用:厚生労働省|令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況

20年以上の同居年数の夫婦が離婚した件数に大きな変化はありません。離婚の総数が減少していることから、熟年離婚の割合は高まっていることが伺えます。

熟年離婚のデメリット

デメリット

熟年になってからの離婚を考えている方もいるかもしれませんが、熟年離婚にはさまざまなデメリットがあります。

生活のための資金が少なくなる

熟年離婚でまず懸念されるデメリットが「生活が苦しくなること」です。

結婚して共働きだった夫婦でも老後の不安はゼロにはなりません。収入が年金しかなくなる老後を迎えたあと、1人しかいないとなると金銭的な不安は大きいでしょう。

離婚で財産分与があったとしても、夫婦の時代に蓄えた資産が少ないと老後を賄うほどもらうことはできません。

金銭的に厳しいから働こうと思っても、上手くいかないケースも考えられます。正社員としての経験や有効な資格を持たず長く専業主婦(夫)をしてきた方の場合、求人の幅は狭まります。

家事を全て1人でやるしかなくなる

熟年離婚では「家事」も問題になります。男性は今まで妻に任せきりだった炊事・洗濯・掃除などの家事を自分で行わなければいけません。

女性は今まで夫に頼ってきた力仕事や高所作業を自分で行うことを余儀なくされます。

今までやったことのない不慣れな家事を進めることができず、困ってしまうことも考えられるでしょう。

入院や介護で頼れる人がいない

家事に関しては「家政婦さんを雇う」「スーパーの宅配サービスを利用する」などの手段で対策できそうではありますが、入院や介護の問題も深刻です。

入院や介護の手続きを全て1人で完結できれば良いのですが、年齢を重ねるとそれも難しくなります。

孤独な老後になる

老後に離婚する場合、孤独になってしまうデメリットもあります。

熟年離婚の多くの場合で子供は成人・独り立ちしている状態です。同居して助けてくれることもあるでしょうが、仕事に結婚・子育てに忙しい時期で親の老後に付き合ってくれるとは限りません。

離婚して数年間は独身の身を楽しめるかもしれませんが、だんだんと孤独を感じるようになります。仕事を退職したり習い事も行けなくなったりして社会とのつながりが無くなるとなおさらです。

熟年離婚にメリットはあるのか?

安全 リスク

「金銭的な不安がある」「人間関係が希薄になる」などのデメリットがある熟年離婚ですが、メリットもあります。

大きなメリットは、自分の有意義な時間が持てるということでしょう。

自分らしい余生を歩める

現役世代と違い、定年退職後は夫婦で自宅にいる時間が増えます。それまで気付かなかった配偶者の嫌なところが目に付き、最終的に「顔も見るのもイヤ」な状態になって熟年離婚を決意する夫婦もいるようです。

配偶者との生活でストレス・不満に感じていたことから解放されるのは、熟年離婚の大きなメリットといえるでしょう。

離婚によって自由に使える時間が増え、有意義なプライベートを過ごせるようになります。

相手の親・親族の介護を気にしなくて良い

シニアの年齢に差し掛かると自分の両親や配偶者の健康も気になりますが、配偶者の両親の健康状態も気にする必要があります。

古くからある価値観として「夫の親の面倒は妻が見る」というものがあり、夫側の義両親の介護が妻の役目にされてしまうケースも多いのではないでしょうか。

義両親との関係が良好であれば問題ありませんが、良好な関係ばかりでありません。頑張って介護しても「当然」と言われることに我慢できない時もあるでしょう。

熟年離婚することで、配偶者の親・親族の介護から解放されます。

また、すでに配偶者が死亡していても人間関係にストレスを抱えているケースもあるようです。その場合は「死後離婚」という選択肢もあります。

詳しくは以下の記事で解説しているので、気になる方は読み進めてみて下さい。

widow 死後離婚で相続はどうなる?|姻族関係終了届の出し方と提出後の影響を確認

相手の親族と縁を切ることができる

女性の場合は夫の家庭に嫁ぐことが多く、人間関係に悩む方は少なくありません。

夫の両親はもちろん、お盆や正月などには親戚とも顔を合わせることになります。同居や義両親の介護だけでなく、親戚との人間関係に疲れてしまうケースも少なくないでしょう。

熟年離婚を選択すれば、こうした親族との人間関係も解消できます。

熟年離婚で子供に影響があるのか

子供 悩む

子供が小さいうちは、離婚して片親になることで学業をはじめとしてさまざまな影響があることをご存じの方も多いでしょう。

熟年離婚を検討している理由として「子供が小さいうちは我慢してきたから」という方もいるはずです。

ただし、熟年離婚であっても子供への影響・迷惑は避けられません。

たとえば「病院への通院を配偶者が手伝ってくれた」「足が悪くて日常の買い物も介助がないと難しい」といったケース。夫婦間で助け合ってきたことを、今度は子供に負担させることになります。

生活が立ちいかなくなり、子どもから金銭的な援助を受けることも考えられます。

将来的に自分が要介護になった場合も、子供に自分の面倒を見させることになるでしょう。

熟年離婚の準備と手続き

離婚届

ここまで熟年離婚のデメリットや子供への影響を解説してきました。それでも、どうしても「離婚したいという場合、しっかり準備を重ねて万全な状態を目指しましょう。

老後資金の目途を立てる

金銭的に困窮しないように、離婚後の生活費を綿密に計算して生涯の生活ができることを確認することをおすすめします。

老後資金として「自分が受け取れる年金額」以外に、「年金分割」についても調べておきましょう。

離婚すると配偶者の年金の半分をもらえるイメージがありますが、必ずしもそうではありません。

夫や妻に会社員としての記録があって厚生年金加入記録がある場合、離婚すると厚生年金の標準報酬を分割します。婚姻期間中の標準報酬を合計したうえで、最大50%ずつで分割するのが原則です。

つまり、標準報酬が多いほうから少ないほうへ移ります。会社員期間が長い夫、会社員期間が短い妻であれば、夫から妻へ年金が移ることになるでしょう。

分割されるのは厚生年金部分のみ

ただし、分割の対象になるのは厚生年金の部分のみです。老齢基礎年金は年金分割の対象になりません。

たとえ年金分割が行われることになっても、老齢基礎年金はそのまま受給できることになります。

分割されるのは婚姻期間に限られ、しかも厚生年金の部分しか分割されない。この点を考慮して年金分割で受け取れる金額を把握しておきましょう。

相手の不倫が原因なら証拠を集める

もし相手の不倫が原因で熟年離婚する場合、証拠集めは同居中にしておくことが鉄則です。

ただ、別居後に不倫した場合は「不倫の原因として別居が考えられる」と判断され、損害賠償請求が認められない可能性があります。

まとめ

熟年離婚のデメリットとして最初に思い浮かぶのは、やはり金銭的な問題です。年金収入しか得られなくなってから1人で生活できるのか、事前に良く計算しておく必要があります。

一方のメリットは「自由を楽しめる」「人間関係から解放される」などです。ただ、逆に孤独を感じてしまうこともあるかもしれません。

熟年離婚の前にメリットとデメリットを良く理解し、綿密な計画を立てて準備を進めていきましょう。

今回は熟年離婚について解説しましたが、離婚後に熟年再婚する方もいるでしょう。以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもあわせて読み進めてみてください。

old_couple_in_the_garden 熟年再婚のメリット・デメリット|幸せになるためのチェック項目
3つライター紹介 | 高柳政道 Takayanagi Masamichi
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)。老後に安心して暮らすための知識とノウハウを紹介いたします。

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