- 独身男性が抱えている老後の不安は孤独死
- 独身女性が抱えている老後の不安は金銭
- 独身世帯は老後に1000万円かかる試算
- 有意義な老後のために行える対策は3つ(資金準備・終活サポート・遺言書)
配偶者のいる方と比べて、独身者の老後はどのような違いがあるのでしょうか?
現役時代は給与額をすべて自分の生活費や遊興費に使用できるため、金銭面でも既婚者より比較的余裕が感じられるでしょう。
しかし、老後を迎えると収入も減り、人とのコミュニケーションも減ってしまうので、金銭的にも精神的にも不安になることが予想されます。
そこで今回は、独身者の老後における不安と対策について解説します。
目次
既婚者に比べ独身者は老後の不安が大きい
高齢者のライフスタイル研究をしているダイヤ高齢社会研究財団が40代・50代の独身者と既婚者にアンケートを行ったところ、独身のデメリットは老後の不安であるとの回答が多く得られました。
まだ元気なうちは気楽なおひとりさま生活が満喫できても、高齢者になったときに同じような生活ができるのか、多くの独身者が不安を抱えているようです。
画像引用:公益財団法人 ダイヤ高齢社会研究財団|40 代・50 代未婚者の生活と意識に関する調査報告書
男性の独身者は孤独死が不安
独身男性の老後は独身女性よりも孤独死する割合が大きい傾向にあります。
2015年4月~2019年3月までの孤独死発生件数を男女差で比較すると、ひとり暮らしの方が孤独死する割合は女性17.3%に比べて男性82.7%と圧倒的な差がありました。
画像引用:一般社団法人日本少額短期保険協会孤独死対策委員会|第4回孤独死現状レポート
孤独死の定義
主にひとり暮らしの方が誰にも看取られず自宅内で死亡し、死後に発見されること
また孤独死してから発見されるまでにかかる日数も男性の方が長い傾向があり、発見者や賃貸住宅のオーナー、親族などに迷惑をかける可能性も高くなっています。
画像引用:一般社団法人日本少額短期保険協会孤独死対策委員会|第4回孤独死現状レポート
孤独死リスクを避ける方法に関しては同記事内の「自治体・民間の終活サポートを活用」の項目をご参照ください。
女性の独身者は老後資金が不安
独身女性の老後は独身男性よりも経済的な面での不安が大きい傾向にあります。
総務省統計局の平成26年全国消費実態調査によると、高齢者無職単身世帯の男性に比べて女性の方が月ごとの実収入が低く、不足額も大きめです。
画像引用:総務省統計局|平成26年全国消費実態調査
また生涯年収についても女性は男性よりも得られる賃金の平均が低く、限られた給与内で十分に貯蓄しておかないと将来的な生活費や医療・介護にかかる費用が捻出できなくなる可能性があります。
画像引用:厚生労働省|令和元年賃金構造基本統計調査
老後資金の備えに関しては同記事内の「老後資金の準備」の項目をご参照ください。
独身者の老後にかかる必要額はいくらか
パートナーがいない独身者はどのくらい老後費用が必要なのかを見ていきましょう。
独身者の「老後2000万円問題」
老後2000万円問題とは、2019年に金融審議会の市場ワーキング・グループが「高齢社会における資産形成・管理」を公表し、「老後に2000万円ないと生活していけない」と議論の元になった問題です。
参考 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」金融庁この「老後2000万円」高齢者夫婦を元とした試算でしたが、それが独身世帯だとどうなるでしょうか。
総務省統計局の2019年家計報告書を元に上記報告書の算出方法と同じ計算をすると、独身世帯が老後30年間で必要になる不足額はおよそ1000万円です。
つまり「老後2000万円問題」は、独身者の場合には「老後1000万円問題」に置き換えれば良いでしょう。
老後2000万円問題について詳しくは以下の記事もご参照ください。
老後2000万円問題をきちんと検証|算出根拠と最新データによる変化・回避方法老後資金シミュレーションに挑戦
画像引用:松井証券|松井FP~将来シミュレーター~
上記の「老後2000万円問題→独身世帯の老後1000万円問題」はあくまでも平均値です。実際には持ち家の有無やそれぞれの状況により必要な老後資金は異なります。
個別のライフスタイルや資産状況を踏まえて、自分の老後はどうなるのか事前にシミュレーションしてみましょう。
松井証券では画面タップだけで自分の生涯収入・生涯支出がわかるシミュレーターを提供しています。松井証券との取引がなくても無料でシミュレーションできます。
参考 松井FP~将来シミュレーター~松井証券独身者の老後に必要な対策は3つ
独身者の老後の不安がわかったところで、ここからは独身者が行うべき老後の対策をご紹介しましょう。
老後に向けて行うべき対策は以下の3つです。
- ゆとりある老後のための対策→老後資金の準備
- 介護や医療・終末期の備えのための対策→自治体・民間の終活サポートを活用
- 死後の財産処理のための対策→遺言書作成
以下で詳しく確認しましょう。
老後資金の準備
上記でも説明したように、老後にかかる費用は決して少なくはありません。現役時代からしっかり貯蓄にはげみ、必要な老後資金を確保しておきましょう。
また将来もらえる年金がいくらなのか、老後の収支計算をする上ではあらかじめ知っておく必要があります。
以下の記事を参考にして、年金の平均受取額や自分の受給年金額を調べておきましょう。
年金額の平均はいくら?厚生年金と国民年金、年金を増やす方法も解説受給予定額を調べた上で、公的年金だけでは老後資金に足りないと思う方は、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)を利用して老齢給付金を積み立てておくことも一案です。
参考 トップページiDeCo公式サイト自治体・民間の終活サポートを活用
後期高齢者になると病気や認知症による介護・看護の必要性が増してきます。
配偶者や子に介護や看護、見守りを頼めない独身者は孤独死リスクを避けるためにも、将来自分に介護や看護の必要性が生じたときに頼れる相手を見つけておきましょう。
さまざまな自治体で行っている高齢者支援や終活サポートを活用するのも良い手段です。
自治体が提供している終活サポートについては以下の記事も参考にしてください。
終活サポートを行う自治体は?サービス内容と実施地域を紹介また、独身世帯が自立して暮らしていけなくなった場合には、高齢者施設への入居も検討する必要があります。
保証人になってくれる親族や知人、保証人協会への加入も検討しておきましょう。
遺言書作成
死後に事務処理や財産処理で関係者に迷惑をかけないためにも、相続についてあらかじめ決めておく必要があります。
配偶者や子が存在しない場合、親以外の相続先は兄弟姉妹や甥、姪になることが考えられます。
自分が望む第三者に遺産を譲渡したいときには、遺言書で遺贈の旨を明記しておかなければいけません。「独身者だからこそ遺言書作成が必須」なのだと心得ておきましょう。
遺贈について詳しくは以下の記事も参考にしてください。
遺贈とは?相続・死因贈与との違いと遺産の残し方を検討するポイント独身だからこそできる老後の楽しみ方
不安な面もある独身者の老後ですが、逆に、独身ならではの魅力もあります。老後の生活スタイルを自由に決められるのが身軽な独身者のメリットです。
ここからは独身だからこそできる老後の楽しみ方を確認しましょう。
旅行・レジャーを楽しむ
気軽に旅行やレジャーなど遊びに行けるのが身軽な独身者の利点です。
最近ではシニア向け優待を提供しているところも多いので、シニア優待を上手に使えばコストも削減できます。
以下のサイトでは全国の交通機関やレジャー施設、旅行会社などのいろいろなシニア向け優待を確認できます。自分の行動範囲にはどのようなシニア向け優待があるか参考にしてください。
地方・海外に移住する
現役時代に賃貸住宅で暮らしていた方は、老後は家賃が安い地方に引っ越してしまうのも一案です。
UIJターン(地方移住)の移住者に対して家賃補助や助成金などの支援を行っている自治体もあるので、興味がある地域の移住支援体制を調べてみるのも良いでしょう。
地方移住について詳しくは以下の記事も参考にしてください。
老後の地方移住のメリットとデメリット|成功させるための3つの対策とはさらに物価の安さを求めて海外に移住する策もあります。
以下では特に日本人シニアに人気が高いタイへの老後移住について詳しく解説しています。移住先をタイ以外で検討している方でも参考になる点が多いので、海外移住を検討している方はお読みください。
老後のタイへの移住!メリット・デメリット・生活費を徹底解説仲間作り・出会い探しをする
いま現在が独身だからといって、一生涯独身者だとは限りません。
大人同士のきちんとしたお付き合いをして、老後を共に過ごせる相手を見つけるのも良いでしょう。
また恋愛や結婚には至らなくても、異性・同性に関わらず友達や仲間との交流は老後の社交生活には欠かせません。
中高年シニアの出会いをサポートするサークルに参加したり、ボランティアや趣味の集まりに参加したりして交流関係を作ることもおすすめです。
独身者の孤独を回避する方法については以下の記事もお読みください。
独身男性・女性が孤独を感じないための仕事や趣味の見つけ方まとめ
今回は独身者の老後における不安と対策について解説しました。
独身の「おひとりさま」が有意義な老後を過ごせるかは、事前の対策の有無が重要なキーポイントです。
できる対策を万全にとっておき、おひとりさま生活を老後になっても楽しみましょう。
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