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終活で相続対策はすべき?|必要な準備と注意点も解説

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この記事のサマリ
  • 遺言書で相続指示をしている55歳以上の方は全体の6.8%
  • およそ3割の方が終活で相続対策をしたいと考えている
  • 2018年の相続法改正により相続対策がしやすくなった
  • 終活の有効な相続対策は遺言書作成(専門家に相談すると良い)

昨今の終活ブームにより、多くの方が終活にチャレンジしていると言われており、相続税の勉強会やエンディングノート、遺言書作成等セミナーも各地で行われています。

また、2019年7月に約40年ぶりに改正された相続法が施行され、新聞やニュースでも遺言書や相続関連の話題が多く取り上げられるようになりました。

そろそろ自分も終活してみようかと考えている方も多いでしょうが、実際のところ、終活で相続対策をしておく必要はあるのでしょうか。さらに終活の中でも、遺言書作成などの相続対策をしている方はどのくらいの割合なのでしょうか。

今回は終活における相続対策に関するデータを元に検証し、終活で相続対策をした方が良い理由や適切な方法について解説します。

終活で相続対策をすべきか?

Why なぜ

相続財産の大小にかかわらず、誰でも終活で相続対策をしておくべきといえます。

2025年には団塊世代が後期高齢者(75歳以上)になり、多くの方が相続に直面することが明らかです。相続をする側もされる側も事前に準備をしておかないと、いざ相続が発生した際にいくつかの問題が発生します。

終活で相続対策が必要な理由を見ていきましょう。

相続税の問題回避

相続が発生すると、被相続人の死亡日から10カ月以内に相続税の申告・納付を行わなければいけません。

10カ月は長いようにも感じられますが、被相続人の資産を確認することから始めるとなるとあっという間です。相続人間で遺産分割の争いが生じたときには、さらに時間がかかるので、相続財産が一目で分かるように終活で準備をしておくことが望ましいでしょう。

また不動産などの高額な資産を所有している場合には、あらかじめ相続対策をしておかないと多額の相続税が発生し、遺族が自宅を処分しなければいけない事態に陥る可能性があるので、生前贈与や個人所有不動産の法人化など、生前にできる限りの節税対策を取っておくことをおすすめします。

不動産の相続対策については、以下の記事も参考にしてください。

sign the contract 不動産の相続時に必要な費用と税金・必要書類とは|4種類の分割方法を解説

「争続」の問題回避

相続の際には、被相続人の生前には隠されていた親族間トラブルが表面化してしまう可能性があります。

金銭的な問題だけでなく、かつての親子関係や兄弟間の感情的ないざこざから「相続」「争続」になる場合も考えられます。

兄弟間の相続トラブルでよくある事例は以下の記事でご確認ください。

対立する兄妹 遺産相続は兄弟間で揉めやすい!分割方法の決め方&トラブル事例と解決方法

終活で相続対策を行い、法的に有効な遺言書をしっかり残しておくことが、その後の遺族間の関係悪化を防ぐ手立てにもなります。

終活を後押しする相続法改正

チャンス 標識

2018年(平成30年)7月に民法の相続について規定した部分(相続法)が改正され、多くの制度が翌2019年(令和元年)から施行されました。

この改正相続法では、旧法では難しかった介護貢献者や配偶者への配慮がしやすくなるなど、相続対策を後押しするための制度が拡充されています。

これまで相続対策をしたくてもできなかった方にとっては、今が終活で相続対策をするチャンスだと言えるでしょう。

相続法改正のポイント

2018年時の相続法改定ではいろいろな変更がありましたが、中でも特に影響が大きいと考えられる改正内容を5つご紹介します。

配偶者居住権の創設

相続発生時に、被相続人の所有建物に配偶者が居住していた場合は、配偶者が不動産の所有権を相続しなくても、一定期間(あるいは終身)居住権が認められるようになりました。

配偶者居住権

画像引用:法務省|配偶者の居住権を長期的に保護するための方策(配偶者居住権)

特別寄与料制度の創設

特別寄与料とは法定相続人以外の親族が被相続人に対し介護など「特別の寄与」を行っていた場合に、法定相続人に対して金銭を請求できる制度です。

これにより長男の嫁など、相続権がないにも関わらず介護の中心となっていた方の貢献に事が報いることができるようになりました。

特別寄与料制度

画像引用:梅田中央税理士事務所|【長男の嫁必見】特別寄与料で遺産を貰えます【介護の報酬】

自筆証書遺言の方式緩和

自筆証書遺言の作成にあたっては、旧法では遺言書本通に加え財産目録等の添付書面もすべて自署しなければいけませんでしたが、改正後は添付書面を一部をパソコン等で作成したり、コピーでの添付ができるようになりました。(ただしこれらの書類の全てのページに署名と捺印が必要です。)

自筆証書遺言書の保管開始

これまで遺言書の保管には紛失や盗難・焼失等のリスクがあり、さらに遺言実行時には家庭裁判所の検認が必要でしたが、2020年より作成した自筆証書遺言を遺言者の住居地を管轄する法務局が保管してくれる制度がスタートしました。

この制度の開始により、自筆証書遺言の保管・実行が容易になりました。

参考 自筆証書遺言を法務局に預けてみた【予約編】GoldenYears

遺産分割前の払戻し開始

相続が発生すると被相続人の預金口座が凍結され、葬儀費用や生活費用に遺族が困窮するケースが見られます。

今回の法改正により、一定額以内であれば遺産分割前の預金の引き出しが可能となりました。

預金払い戻し

画像引用:福岡相続相談手続きセンター|遺産分割前の預貯金の払い戻し制度

終活で相続対策してる人はどのくらい?

疑問 イメージ

平成29年度法務省調査の報告書によると、実際に相続対策を行ったと思われる公正証書遺言の作成件数は、平成29年で110,191件でした。平成29年中に亡くなられた方(被相続人数)は約134万人いることを考えると、まだまだ少ないことがうかがえます。

参考 我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の 作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務 報告書法務省

実際にはどのくらいの割合の方が相続対策を行っているのかを確認してみましょう。

遺言書を作成したことがある人の割合

上記の法務省調査では、全国の55歳以上の約8,000人を対象とするアンケート調査を実施しました。その結果、日本国内に在住する55歳以上の年齢の方で、遺言書(自筆証書遺言もしくは公正証書遺言)を作成したことがある方は全体の6.8%でした。

回答者の年齢が上がるごとに遺言作成経験者の割合は増し、50代後半の4.1%に対して、75歳以上の年齢の方では11.4%まで上昇しています。

遺言書を作成した人の割合

画像引用:法務省|我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の 作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務 報告書

自筆証書遺言と公正証書遺言を対比すると、60代以下の場合には公正証書遺言の方が作成率が高いのに対して、70歳以上になると自筆証書遺言の方が割合が高まります。

作成希望者の割合

同じ法務省調査の結果では、遺言を作成する予定もしくは希望していると回答したのは全世代共通で3割程度でした。

遺言書を作成したい人の割合

画像引用:法務省|我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の 作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務 報告書

実際に遺言書を作成した方以外にも多くの方が、いつかは遺言書を作成したいと希望していることが分かります。

日本人口(55歳以上)のうち1,200万人は遺言書を作成する見込み

この調査内のアンケートでは7,659 名の回答が得られました。

これを調査元の法務省が実際の日本の人口分布(55 歳以上)に照らし合わせて遺言作成予定者数を推計したところ、日本の55歳以上の方のおよそ1,200万人が遺言書を作成済もしくは作成予定であると見込まれる結果となりました。

遺言作成予定者の推計

画像引用:法務省|我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の 作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務 報告書

終活および相続対策としての遺言書作成は、日本のミドル層・シニア層の約4人に1人が検討している重要事項であることが伺えます。

では、実際に終活での相続対策に何が必要かを見ていきましょう。

終活での相続対策に必要な準備

終活で相続対策をするべき理由と2018年以降相続法の改正についてご説明しましたが、実際に終活で行う具体的な相続対策は何をすべきでしょうか?

遺言書の作成

家族や親族と相談したり、エンディングノートに自らの意向を書き残しておくのもひとつの手段ではありますが、確実を期すためにはやはり法的に有効な遺言書を作成しておくことが一番です。

遺言書には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があり、それぞれ作成の方法が異なります。

書き方にも細かい決まりがあるため、以下の記事を参考にしながら間違いのない遺言書を作成してください。

遺言書 遺言書の種類や決まり・書き方を徹底解説|自筆証書遺言サンプルあり

遺言作成の方法がわからない方は専門家に相談を

遺言書は正しい形式で作らないと、法的に有効な遺言書とは認められません。また自分や家族の実情に沿った遺言内容でないと、遺言書の存在がかえって遺族間トラブルの元にもなります。

どのような遺言をするのがベストか、また遺言書の書き方が分からない方は詳しい専門家に相談しましょう。相談先は法律上の知識がある士業に相談することをおすすめします。

弁護士や税理士、司法書士など、相続の状況によって相談先の士業は変わってきますので、以下の記事から自分に最適な専門家は誰かを探してみてください。

遺書の相談は誰に?遺言作成をサポートしてくれる4人の専門家を比較

終活で相続対策するときの注意点

先ほどの法務省調査では、回答者が相続に際して不安に感じることのトップは「遺言書の書き方・法知識」でした。

「書き方・法知識」については上記のとおり専門家のサポートを受ければ解決できますが、それ以外にも費用や保管場所など、いくつもの不安や問題点が挙げられています。

相続に対する不安

画像引用:法務省|我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の 作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務 報告書

終活で相続対策を行うときには、遺言書を作成するだけなく、遺言書作成費用や保管場所に注意して進めましょう。

費用に関する不安の解消には以下の記事も役立ちます。

相談を受ける弁護士 相続における弁護士費用の目安|各種手続きや紛争解決など事例別に紹介

遺言書の保管については遺言信託サービスを利用することも一案です。以下の記事も参考にしながら適切な保管場所を検討してください。

A woman explaining to a customer 遺言信託の2つの意味とは|サービス詳細・費用・必要書類・注意点を確認

相続対策以外の終活も忘れずに

終活で相続対策をするのはもちろん大切ですが、相続以外にも行うべき終活の種類はたくさんあります。

終末期の介護・医療や葬儀方法の選択によって相続財産の多寡にも影響してきますので、終活は相続対策と他の種類を総合的に見ながらできるだけ同時進行していきましょう。

相続対策以外に終活でどのようなことを行えば良いかについては、以下の記事も参考にしてください。

終活とは?3つのメリットと7つの手順を紹介

まとめ

スタート イメージ

今回は終活の中でも相続対策に特化し、他の方はどのくらい相続対策をしているのか、どのような対策をしていけば良いのかについて解説しました。

「大した財産はないから必要ない」「家族が仲良いから大丈夫」と楽観視している方は、数多くの方がすでに終活で相続対策をしている現実に目をやり、一刻も早く相続対策に着手しましょう。

事前の対策がスムーズな相続、ひいては自らの安らかな終わり方にもつながります。

相続を含む適切な終活を実践し、心配事のない穏やかなシニアライフを過ごしましょう。

監修 | 行政書士 橋本玲子
行政書士事務所経営。専門は知的財産ですが、許認可から相続まであらゆる業務を行っています。また、遺言執行や任意後見関係を専門とする社団法人の理事もしています。アドバイスや業務遂行でお客様の問題が解決するととても嬉しくやりがいを感じます。行政書士ほか、宅地建物取引士、知的財産管理技能士2級の資格所持。

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