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孤独死保険で万が一に備えられるか|単身高齢者に必要な孤独死対策とは

この記事のサマリ
  • 自宅で孤独死した人の割合は76%が高齢者
  • 孤独死は家族や周囲に多大な迷惑をかける
  • 「孤独死保険」は賃貸住宅の家主・オーナーが加入する保険
  • 持ち家の人は死後事務委任契約が保険の代わりになる
  • 孤独死を防ぐ対策が一番の「保険」

昭和の昔に比べ、日本では単身で暮らす「おひとりさま」が急激に増加しました。

ひとり暮らしは気楽で良いものですが、突然病気になったり家庭内で事故を起こしたときには助けてくれる家族がいません。

誰にも看取ってもらえずに、ひとりで亡くなることを「孤独死」または「孤立死」と呼びます。家族と一緒に暮らしている人に比べ、ひとりで暮らす単身者は孤独死のリスクが高まります。

できれば孤独死したくないとは誰もが願っていることですが、もし万が一に自分が孤独死する可能性を考え、生前から何らかの保険に加入するなどの対策は取れるのでしょうか。

今回は孤独死と保険との関係について解説します。

孤独死の増加は社会問題に

「孤独死」という言葉が言われ始めたのは、日本の高齢化が進みはじめた1970年代です。その後1995年の阪神淡路大震災後、仮設住宅に単身で暮らす被災者の孤独死が相次いだために注目されるようになりました。

その孤独死が昔に比べて非常に増えており、現代ではさらに深刻な社会問題になっています。

日本全体の孤独死者数については、これまではきちんとした統計が取られていなかったために比較はできませんが、東京都内に限定すれば2012年からの10年弱で孤独死数は1,000名以上も増えているのです。

東京都内の孤独死者数の推移

画像引用:男女共同参画局|東京都区部における年齢階級別の孤独死数の推移

自宅で孤独死する人の76%は高齢者

孤独死はどんな年齢の人にも起こり得ますが、中でもひとり暮らしの高齢者は孤独死のリスクが高いと言われています。

警察庁の発表によると、令和6年(2024年)に警察が通報を受けて取り扱った遺体のうち、自宅内で亡くなっていることが発見されたひとり暮らしの死者数は76,020名でした。

そのうち50,844名、割合にして76.4%は65歳以上の高齢者です。高齢者の中でも60代に比べ70代、80代と年齢を重ねるにつれて孤独死した人の数は増えています。

自宅で孤独死した人の年齢グラフ

画像引用:警察庁|令和6年中における警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者について

高齢者は若い人よりも病気のリスクが高まります。また足腰が弱っているため転倒による事故や、認知の衰えが原因の事故などの危険性も高くなります。

考えたくもないことでしょうが、いまひとり暮らしをしている高齢者は「自分が孤独死するかもしれないリスク」をいつでも念頭に入れておかなければいけません。

日本で高齢者の孤独死が増えた理由

なぜ昔よりも孤独死の数が増え、特に高齢者の孤独死が顕著に増えているのでしょうか。

以前に比べて高齢者の孤独死が増えている理由には、以下の3つの要因が考えられます。

1.単身世帯の増加

未婚率の増加や核家族化の進行により、家族と同居せずひとり暮らしをしている人の割合が増加しています。

1990年に実施された国勢調査では単身世帯の割合は23.1%でしたが、2020年時点では38%にまで増加しました。厚生労働省の将来推計では、2050年には全年代の単身世帯は44.3%、高齢者に限定すると45.1%にまで上昇することが見込まれています。

世帯構成の推移と見通し

画像引用:厚生労働省|世帯構成の推移と見通し

家族と同居している人が孤独死する可能性はゼロではありませんが、突発的な事態が起こったときに助けてくれる同居人がいないひとり暮らしの人は孤独死の可能性が高まります。

2.地域とのつながりの希薄化

以前の日本では、今よりもっと「ご近所づきあい」が盛んでした。

日常のあいさつや気軽な交流が当たり前のように行われていたため、ひとり暮らしの高齢者が病気になったりしたときでも、近隣住民が様子を見に行って大事にいたる前に対処できたという話もよく聞かれていました。

しかし現代ではライフスタイルが変化し、特に都市部ではご近所づきあいの風習が失われつつあります。単身者向けマンションやアパートで暮らす人の中には、隣の部屋にどんな人が住んでいるか知らない、見かけても挨拶しないといった人が少なくありません。

さらに町内会や自治体への加入率も減少しているため、地域のイベントやお祭り、社会活動に参加しない人が増えています。

日頃のなにげない交流をとおして高齢者などの弱者を地域全体で見守る雰囲気がなくなっているため、住民の誰かに異変が起こっても気づかれにくい状態です。

3.物価の上昇

この30年で日本は高インフレとなり、ライフラインや生活必需品の価格が上昇しています。しかし賃金はさほど上がっていません。

物価の上昇は、年金受給だけが収入源となる高齢者にとっては死活問題です。老齢基礎年金の支給額は多少上がっているものの、厚生年金の加入者だった人に上乗せされる老齢厚生年金は変わらないため、同じ年金額を受給していても生活は苦しくなります。

日々の生活で精一杯だと、病気やケガをしても診察代を気にして病院にかかることをためらってしまいます。早期に発見できれば対処できる病気だったものが、我慢していたために悪化し、そのまま孤独死してしまう危険性があります。

孤独死は遺族や周囲に多大な迷惑をかける

両手で顔をおおって悲しむ男性

たとえ孤独死しても、亡くなった当人にとっては後始末など何の関係もない話かもしれません。

しかし孤独死すると、当人ではなく第三者に多大な迷惑をかけることになります。

孤独死した遺体が腐敗すると、死亡した現場は特殊清掃が必要ないわゆる「事故物件」となり、原状回復やクリーニングの多額な費用が発生します。アパートやマンションなどの賃貸住宅が現場となった場合には、その後の家賃にも影響してくるため金銭的な影響は計り知れません。

別居している家族や親族に賠償額が請求されるケースもあり、家族や親族にも大きな負担がかかります。

さらに孤独死現場では悪臭や害虫の発生も懸念されるため公衆衛生上も問題があります。

孤独死は自分だけの問題ではなく、周囲の関係者にも重大な影響をおよぼすことを、特にひとり暮らしの高齢者は理解しておかなければいけません。

孤独死保険とは

保険と書かれたブロック、電卓、スマホ

できれば孤独死はしない方が良いですが、万が一に孤独死してしまった場合に備えて保険をかけておくことはできるのでしょうか。

損害保険会社の中には、アパートやマンションなどの賃貸住宅内で入居者が孤独死した事態に備えて家主・オーナーが加入できる「孤独死保険」を用意している会社があります。

孤独死保険に入っておけば孤独死現場の原状回復費用や空室家賃などの逸失利益が保険でまかなえるため、収益物件を所有する家主・オーナーからは大変注目されている保険です。

参考 【無縁社会のお守り】自殺や孤独死に対応する保険アイアル少額短期保険

また単体の孤独死保険ではなく、賃貸住宅の全般的な損害保険のオプションとして孤独死の対応費用をまかなえる保険商品も存在します。

ただし孤独死保険は基本的に賃貸住宅の家主・オーナーが加入する保険です。入居者が賃貸契約時に加入する火災保険の特約に含まれている場合を除き、入居者が独自に孤独死保険に加入することはできません。

個人が孤独死に備える保険に加入できるか

クエスチョンマークとビジネスマン

上記でご紹介した孤独死保険は、賃貸住宅で孤独死したケースに備えて家主・オーナーが加入できる保険です。

では家主・オーナーが存在しない持ち家に住んでいる人が孤独死したときには、保険によって原状回復等の費用がまかなえるのでしょうか。

残念ながら、持ち家の所有者が個人的に加入できる孤独死保険は、少なくとも2025年11月時点では存在しません。持ち家の所有者自身が亡くなった場合だけでなく、遠方の実家に住んでいた親が孤独死した場合でも、修繕やクリーニングにかかる費用は所有者や相続人が全額負担する必要があります。

死後事務委任契約で孤独死に備えられる

バインダーを持つ笑顔の男性ビジネスマン

個人が加入できる孤独死保険は存在しませんが、だからと言って個人がまったく孤独死のリスクに備えるすべが無いわけではありません。

同居をしていなくても遠方に家族がいる人であれば、一定の資産を相続することで孤独死した後にかかる費用が捻出できます。そして配偶者や子ども、兄弟姉妹などの身寄りがまったくいない人には「死後事務委任契約」の設定がおすすめです。

死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後の手続きを専門家などに一任できる契約のことです。具体的には葬儀の手配や役所等への手続き、遺品整理などが行えます。

契約者が孤独死した場合でも特殊清掃の手配や家主・オーナーとの交渉を行ってくれるため、孤独死保険の代わりになると言って良いでしょう。

死後事務委任契約については以下の記事でも詳しく解説しています。亡くなった状況が孤独死でなくても死後事務委任契約がおすすめできるケースがあるため、本記事とあわせてぜひ参考にしてください。

死後事務委任契約とは|知っておきたいメリット・デメリットや費用を解説

生命保険信託が活用できる可能性も

死後事務委任契約は身寄りがない高齢者に役立つ契約ですが、費用がかかる点が難点です。

契約内容や引き受け会社により異なりますが、死後事務委任契約にかかる費用は契約時に20万円程度、契約者の死後に100~200万円程度が相場です。この相場は契約者の死亡状況が孤独死ではないケースが想定されているため、孤独死した場合にはさらに費用がかかる可能性があります。

参考 死後事務委任契約にかかる費用の実例死後事務支援協会

死後事務委任契約で契約者の死後にかかる費用の支払いは、契約時に遺言書を作成しておき遺産を引き受け会社に遺贈して支払いにあてる方法が一般的です。しかしこの方法では保有資産が少ない人だと死後事務委任契約が契約できません。

死後事務委任契約の引き受け会社によっては、契約者が加入する生命保険を使って支払いにあてる生命保険信託が活用できる場合があります。保有資産が少ない人でもあきらめずに、生命保険信託が利用できないか確認してみましょう。

そもそも孤独死を防ぐ対策が重要

ダンベルを使う高齢者女性

いくら金銭的な負担が保険や死後事務委任契約によって軽減できたとしても、孤独死が残された家族や周囲の人々に与える影響は大きなものがあります。

「死んだら終わり」だとしても、自ら孤独死を望む人はどこにもいないでしょう。

万が一自分が孤独死したときのために備えておくことは重要ですが、それよりももっと重要なことは、そもそも自分が孤独死しないようにするための備えです。

孤独死を完全に避けることはできなくても、孤独死するリスクをできるだけ減らす、または孤独死したとしても死後速やかに発見してもらえるように対策しておくことはできます。

以下の記事では自分や家族の孤独死しないためにできる対策をご紹介しています。ひとり暮らしの人、またはひとり暮らしの家族がいる人はぜひ参考にしてください。

自分や家族が孤独死しないための8つの対策|社会的孤立解消が孤独死を防ぐ

まとめ

INSURACEとRISKと書かれた立て札

今回は孤独死に備える保険について解説しました。

孤独死は、できればしないに越したことはありません。ですが孤独死したとしても十分な備えがあれば、死後の処理をしてくれる関係者の負担は一部軽減できます。

自分が生きている間の備えだけでなく、死後の備えについても考えておきましょう。

ライター紹介 | 杉田 Sugita
終活カウンセラー2級・認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。

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