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実はカンタン・医療費控除をスマホとマイナンバーカードで申告するやり方

この記事のサマリ
  • 1年間の医療費が10万円以上の人は医療費控除が申告できる
  • 確定申告はスマホでやれば簡単にできる
  • スマホを使った確定申告(医療費控除)のやり方を解説

確定申告は、会社で年末調整をしてもらっている人や年金暮らしの人にはあまりなじみがない制度です。

しかし確定申告をした方が、税金が還付されてお得になるケースがあります。そのひとつが医療費控除です。

今回は確定申告で医療費控除をするやり方について、いまや身近な存在であるスマホで申告するやり方を主に説明します。

医療費控除とは

救急車と電卓

まずは医療費控除とは何かについて、基本をおさらいしましょう。

医療費控除とは、自分や同世帯の家族が1年間で支払った医療費(病院の診察代・薬代など)が一定額を超えたときに、超過分に応じて所得税・住民税の計算をし直す制度です。

所得税や住民税は所得を元に算出しますが、支払った医療費が大きいと所得が多くても手元に残る金額が減るため、納税により家計がひっ迫する恐れがあります。そのため超過分医療費を税計算から差し引こうとする仕組みです。

医療費控除については以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

医療費控除 【所得控除・節税】年金受給者が知っておきたい医療費控除の仕組み

支払が年間10万円を超えたら控除対象に

医療費控除は、1年間の医療費支払総額が10万円を超えたときに対象になります。自分だけでなく世帯を同一にする家族や親族の支払を合算することもできます。

ただし控除対象になるのは、支払った医療費総額から10万円を差し引いた分だけです。また入院・手術等により保険金が給付された場合には、給付金も差し引く必要があります。

《例》
・医療費の年間支払が10万円だった場合→控除対象にならない
・医療費の年間支払が11万円だった場合→1万円が控除対象になる
・医療費の年間支払が11万円で保険金が1万円おりた場合→控除対象にならない

医療費控除は確定申告で支払医療費を申告する

確定申告イメージ

支払った医療費が総額10万円を超えても、自動的に納税額が差し引かれるわけではありません。

医療費控除を受けたい人は年1回の確定申告時期に申告します。確定申告時期は毎年2月16日から3月15日です。

働いている会社で年末調整をしている人や、年金支払い時に税金を徴収されている人も別途申告が必要です。医療費控除以外に確定申告をしたほうがよい控除の種類や、確定申告しなければいけない人については以下の記事をご覧ください。

年金受給者の確定申告は必要か不要か|要不要の判断基準と申告方法・FAQ付

医療費控除はスマホからでも申告できる

確定申告をする作業は、以前には普通の人には面倒な作業でした。

申告書類の書き方も難しく、わざわざ税務署の確定申告相談コーナーに行って長い行列に並んで申告書類のチェックをしてもらった経験がある人もいるでしょう。

10年ほど前からはパソコンで確定申告ができるようになりましたが、e-taxによる提出にはあらかじめ電子証明書の取得やICカードリーダーの購入などの準備が必要だったため、数年に一度あるかないかという医療費控除だけのため確定申告する人にとっては不向きなやり方でした。

しかし2020年に新しいe-taxのサービスが始まり、スマホからも確定申告ができるようになりました。そして2024年の令和5年度確定申告からはマイナンバーカードとの連携により医療費控除だけでなく給与所得やiDecoの掛金による控除も申告対象になり、以前に比べて確定申告は格段にやりやすくなっています。

スマホ確定申告の控除対象

画像引用:国税庁|令和5年分の確定申告はマイナンバーカードとe-Taxでさらに便利に!

過去には「面倒だから」とあきらめていた医療費控除申告も、今では驚くほど簡単です。前年に医療費がかさんだ人はぜひスマホでの確定申告にチャレンジしてみましょう。

スマホで確定申告するときに必要なもの

スマートフォン

確定申告をスマホで申告するときに必要になるものは以下のとおりです。

なお、今回の記事では確定申告の目的が医療費控除のみの場合に必要なものをご紹介します。ふるさと納税や住宅ローン控除など、医療費控除以外の控除対象がある人は必要に応じてそれぞれの証明書類を追加してください。

  • スマートフォン(マイナンバーカード読み取りが可能な機種)
  • マイナンバーカード
  • 所得を証明する書類(給与や年金の源泉徴収票など)
  • 医療費の領収書および診療報酬明細書
  • 生命保険給付金支払通知書(給付があった場合)
  • 還付先預金口座の情報

健康保険組合から医療費通知書が郵送された人は、該当期間分の診療報酬明細書が不要になります。

マイナンバーカードがなくても申告は可能

マイナンバーカードを取得していない人でもスマホから確定申告はできます。

マイナンバーカードを持っていない人が確定申告する場合の申告のやり方は「マイナンバーカード方式」ではなく「ID・パスワード方式」となります。

ただし国税庁としてはID・パスワード方式をマイナンバーカードが普及するまでの暫定的なやり方としていますので、今後マイナンバーカードの普及に伴い終了する可能性があります。

これからスマホで確定申告をする人は、今後に備えてマイナンバーカードの新規取得をおすすめします。

スマホで確定申告するための事前準備

確定申告のやり方

画像引用:国税庁令和5年分確定申告書作成コーナー|税務署への提出方法の選択

パソコンやスマホで初めてe-Taxを使って確定申告をする人は、事前にe-Taxを利用するための利用者識別番号(ID)と暗証番号(パスワード)を取得する必要があります。

利用者識別番号とはe-Tax利用のために1人につき1つ与えられる16桁の番号です。マイナンバーではありませんのでご注意ください。

利用者識別番号はマイナンバーカードを持っているか否かで取得のやり方が異なります。

マイナンバーカードを持っている人

スマホ版e-Taxサイトの「マイナンバーカードの読み取りへ」ボタンをタップし、画面の指示にしたがってマイナンバーカードを読み取り、利用者証明用パスワード(数字4桁)を入力すれば利用者識別番号を入力しなくてもe-taxにログインができます。

なおスマホでマイナンバーカードを読み取るときには「マイナポータルアプリ」が必要となります。事前にインストールをしてください。

参考 初めてご利用の方e-Tax

マイナンバーカードを持っていない人

以下e-Taxサイトから開始届出書をWeb提出します。

参考 開始届出(個人の方用) 新規e-Tax

住所・氏名・納税地などを画面に入力して申請を行ってください。後日郵送で利用者識別番号通知書が送付されます。

スマホで医療費控除を申請する4つのやり方

スマホを触る手元

事前準備が完了したら、いよいよスマホで確定申告の開始です。

以下リンクの「作成開始」から画面指示にしたがい申告内容を選択し、事前準備で確認したマイナンバーカード読み取りもしくは利用者識別番号の入力を行った後、医療費控除の申請画面に移ります。

参考 確定申告書類等作成コーナー国税庁

医療費控除を申請するやり方は4つあります。以下からは4つのやりかたをおすすめ順に説明します。

マイナポータル連携

マイナンバーカードを持っていて事前準備もマイナンバーカード読み取りを選択した人は、マイナポータル連携を使った医療費控除の申請が便利です。

マイナポータルと連携すると、自分が健康保険を利用したデータがマイナポータルを経由して一括で取得できます。

医療費支払明細一覧表を作成する

用意した医療機関等の領収書と診療報酬明細に書かれている金額を一覧表に起こし、合計金額を入力項目に転記するやり方です。

作成した一覧表はスマホで読み込み、確定申告書類等作成コーナーにアップロードします。

医療費集計フォームをアップロードする

国税庁は上記の支払い明細一覧表をエクセル形式で作成しやすいよう、医療費集計フォームのフォーマットを用意しています。

参考 医療費集計フォームのダウンロード令和5年分確定申告特集

パソコンで作成する必要がありますが、上記リンクから医療費集計フォームをダウンロードして入力していけば一覧表が簡単に作成できます。

医療費通知データを読み込む

最後のやり方は、健康保険組合から送信される医療費通知データを読み込んで医療費控除の金額を自動計算するやり方です。

医療費通知データをスマホに保存し、確定申告書類等作成コーナーの「xmlデータの読み込み」で当該ファイルを読み込みます。

合計金額が自動的に医療費項目に反映されるので面倒な計算が不要になります。ただし医療費通知書がデータではなく郵送で送られてくる場合にはこのやり方は利用できません。

別途証明書が必要な医療費もある

診察する医師

治療上必要なものであると認められるものであれば、オムツ代やメガネ代なども医療費控除の対象になります。

ただしその場合には、医師または介護事業者が発行する証明書を別途添付しなければいけません。

添付が必要な証明書は以下のとおりです。

オムツ使用証明書 傷病により6ヶ月以上寝たきりで治療上オムツ使用が必要であると証明するもの
ストマ用装具使用証明書 生活上ストマ(人工肛門・尿路変更)使用が必要であると証明するもの
眼鏡使用指示の処方箋 白内障など治療目的で眼鏡が必要であると証明するもの
運動療法実施証明書 運動療法処方箋に基づき指定運動療法施設で運動療法を行ったと証明するもの
在宅介護費用証明書 医師と連携して在宅療養のための在宅介護サービス等を利用したことを証明するもの

医療費控除をスマホ申告した後の領収書は

CAUTIONの文字を指差す棒

確定申告で医療費控除を申告した後も、領収書は捨ててはいけません。

医療費控除を申告した領収書等は5年間保存する義務があります。ファイルなどにまとめてきちんと保管しましょう。

なおオムツや眼鏡などの購入費用を医療費控除申告する人は、証明書を別途郵送する必要があります。確定申告書類等作成コーナーに記載の送付先に郵送してください。

まとめ

今回はスマホを使った医療費控除の申請のやり方を解説しました。

スマホでの確定申告は、やってみると驚くほど簡単です。前年の医療費支払が多かった人は医療費控除をして、少しでも税金を取り戻しましょう。

ライター紹介 | 杉田 Sugita
終活カウンセラー2級・認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。

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