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高齢者が運動しないとどうなるか|運動不足の確認方法とおすすめ運動を紹介

この記事のサマリ
  • 日本では運動不足により毎年5万人が亡くなっている
  • 運動しないと身体機能・脳機能が衰える
  • 運動しない高齢者にはフレイルや要介護状態の危険性がある
  • 高齢者におすすめの運動を紹介

「適度な運動は健康に良い」「運動すると身も心もスッキリして健康的な生活が送れる」といった運動するメリットはどなたでもご存知でしょう。

しかし私たちは運動のメリットを十分に承知しているにも関わらず、なかなか重い腰を上げられません。

そこで今回は「運動するとどんな良い影響があるか」ではなく「運動しないとどんな悪影響があるか」に焦点をあてて、特に高齢者が運動しないとどうなるかを具体的に説明していきたいと思います。

運動しない高齢者の未来を、目をそらさずにしっかりと見つめましょう。

高齢者には運動習慣が必要

人間が心身の機能を健康に保ち長生きするためには、適度な運動習慣がかなりの確率で必要です。

厚生労働省の統計によると、日本では毎年5万人が運動不足を原因として死亡しているそうです。

運動不足を原因とした死亡者数グラフ

画像引用:厚生労働省|わが国では運動不足が原因で毎年5万人が死亡!!

上記の統計では年齢とは関係ない日本全体の死亡率をまとめていますが、特に高齢者は身体を動かす機会が減り運動不足になりやすいため、運動不足の死亡者5万人の中に高齢者が占められる割合は非常に多いと考えられます。

また運動不足によって健康寿命の短期化も予測されます。

《健康寿命とは》
健康上の問題で日常生活が制限されず、自立した生活できる期間のこと

高齢化が進む中、健康寿命をいかに長くできるかが重要になってきています。

健康寿命について詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。

【最新データ】2022年の健康寿命を伸ばす方法|寝たきりを防ぐために大切なこと

高齢者が運動しないとどうなるか

高齢者が健康に長生きするためには運動習慣が必要、それはわかっていても「じゃあ運動しよう」とはなかなかならないものです。

ここからはプラス面ではなくマイナス面に目を向けて、運動しない高齢者に生じるリスクをひとつずつ確認してみましょう。

サルコペニアのリスク

サルコペニアとは、加齢や疾患により筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下することを指します。

握力が男性28 kg未満・女性18 kg未満、または歩行速度が1.0 m/秒以下であり、SMI(骨格筋量指数)が男性7.0㎏/㎡未満・女性5.4㎏/㎡未満だとサルコペニアとして診断されます。

サルコペニア診断基準

画像引用:みえロコモリウマチクリニック|サルコペニアとは?

筋肉は使わないとどんどん衰えます。サルコペニアは主に加齢によって発症しますが、運動しないと筋肉の衰えがさらに加速し、サルコペニアになる確率が上がってしまいます。

サルコペニアは簡単な「指輪っかテスト」で簡易的な自己診断ができます。気になった人はやってみましょう。

指輪っかテスト

画像引用:山梨県厚生連|「サルコペニア」と「フレイル」を予防して健康長寿!

ロコモティブシンドロームのリスク

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは、筋力の低下や関節・脊椎の病気など、運動器の機能が衰えた状態のことです。通称「ロコモ」とも呼ばれています。

上記で説明したサルコペニアは、ロコモを引き起こす原因のひとつです。しかしロコモには自覚症状がないため、車や公共交通機関、屋内でもエスカレーターやエレベーターなどの便利な移動手段が多い現代では、ロコモになっていても気が付かない可能性があります。

自分がロコモになっているかどうかは、3つの簡単な「ロコモ度テスト」で確認できます。

3つのテストのうち1つでも当てはまっている場合にはロコモに該当します。今すぐ自己チェックしてみましょう。

参考 ロコモかどうかCheckしようロコモONLINE

転倒のリスク

サルコペニアやロコモティブシンドロームは、高齢者の転倒リスクを増大させます。

転倒は外出先だけで起こる事故ではありません。消費者庁に寄せられた65歳以上の転倒事故情報では、発生場所は自宅がほぼ半数を占めています。

自宅でなく介護施設内での転倒事故も数え合わせると、およそ6割の高齢者が「安全なはずの場所」で転倒していることになります。

転倒事故の発生場所

画像引用:消費者庁|10(てん)月10(とう)日は「転倒予防の日」、高齢者の転倒事故に注意しましょう!

高齢者になると骨がもろくなるため、転倒により骨折しやすくなります。回復にも時間がかかり、治療期間における活動量の低下や気力の減少によってさらに転倒リスクが増大するという悪循環です。

生活習慣病のリスク

運動しないと増える高齢者のリスクは、筋肉などの運動器が衰えるリスクだけではありません。

運動しないと生活習慣病のリスクも増大します。

生活習慣病とは、食習慣・運動習慣・休養・喫煙・飲酒などの生活習慣が発症・進行に関与する疾患群と定義されています。

《主な生活習慣病》
・2型糖尿病
・肥満
・高脂血症(脂質異常症)
・高血圧症
・心筋梗塞
・脳卒中
・がん(肺がん・大腸がん等)
・慢性腎臓病
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
・肝硬変
・脂肪肝
・痛風

主な生活習慣病のうち糖尿病・肥満・高脂血症・高血圧症は運動不足を主な原因として発症すると言われており、特に運動不足の死亡に対する影響がもっとも大きい疾患は2型糖尿病です。

参考 2型糖尿病は運動不足の影響がもっとも大きい 運動をすれば糖尿病リスクは大きく低下 世界疾病負担研究糖尿病リソースガイド

心疾患のリスク

生活習慣病が悪化すると、心筋梗塞や狭心症などの心疾患のリスクをも増大させます。

心筋梗塞と狭心症はいずれも虚血性心疾患(心臓に十分な血液が行きわたらなくなる病気)に分類され、どちらも原因は動脈硬化にあると言われています。

心筋梗塞と狭心症の仕組み

画像引用:公益社団法人 日本心臓財団|誰も教えてくれなかった心筋梗塞の新常識

動脈硬化は高脂血症や高血圧症、糖尿病などの生活習慣病と大きな関りがあります。運動不足が生活習慣病を引き起こし、生活習慣病が心疾患を引き起こして高齢者の生命をおびやかすのです。

認知症のリスク

認知症と運動とは関係がないように思っている人も多いかもしれません。しかし、運動しないと認知症にもなりやすくなります。

運動するときには、脳が運動神経細胞を通して筋肉に「動け」と指令を出します。そして筋肉が動いたことによる信号は再び脳に送られ、脳の神経細胞が活性化します。

2011年のアメリカの研究では、継続的な運動により認知力や、認知力をつかさどる海馬の容積が増加することがわかった報告がなされています。つまり、運動によって身体の機能だけでなく、脳機能も向上させることができるのです。

運動による海馬の影響

画像引用:野田市|体を動かして脳を活性化(市報のだ8月15日号掲載)

逆に考えると、運動しないと身体が衰えるばかりでなく、脳機能も衰える原因になります。同じくアメリカの研究では、アルツハイマー型認知症の1番大きなリスク因子は運動不足だと発表されています。

また、先ほど説明した生活習慣病も認知症の発症原因になります。生活習慣病と認知症の関連性について理解したい人は以下の記事も参考にしてください。

はてなマークが書かれたブロックと鉛筆 認知症の原因は70種類以上|代表的な認知症の原因疾患と対策を紹介

高齢者が運動しないと要介護の原因になる

高齢者が運動しないと、筋肉などの運動器が衰え、血管や内臓などが衰え、脳機能が衰えます。

そうなったら、後はどうなるか。その答えはもちろん「要介護生活」です。

要介護状態の一歩手前の状態を「フレイル(虚弱)」と呼びます。高齢者がフレイルにおちいっているかどうかは以下の5項目をもって評価します。

  1. 歩行速度の低下
  2. 疲れやすい
  3. 活動性の低下
  4. 筋力の低下
  5. 体重減少

上記5項目のうち3項目以上当てはまった人はフレイルだと判断されますが、この5項目には互いに関連性があるため、いずれかの項目が該当すると他の項目にも影響が生じ、さらにフレイルの度合いが増してしまいます。この悪循環をフレイルサイクルと呼びます。

フレイルサイクル

画像引用:国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター|フレイルの原因は?

それぞれの項目が運動不足によって引き起こされることは、これまでの説明でも明らかでしょう。

つまり運動しない高齢者には「フレイル→要介護→寝たきり→死亡」という、暗い未来予想図が見えてきます。

注意喚起で高齢者の行動変容を促す

これまでの説明で、すっかり怖気づいてしまった人がいるかもしれません。

「そんな怖い話を聞きたくないよ」と耳をふさぎたくなる人もいるでしょう。

しかし人間が行動を起こすきっかけになるのは、期待よりも不安です。

いたずらに不安をあおる言い方は決してしてはいけませんが、あえて「運動しないとどうなるか」の暗い未来予想図を紹介することで、その未来を避けるためにはどうするかを考え、実際の行動に移すことができます。

今からでも運動をしてほしい場合は、エビデンスに基づいた注意喚起を行いましょう。

高齢者におすすめしたい運動とは

それでは具体的に、高齢者はどんな運動をすれば良いのでしょうか。

これまでまったく運動してこなかった高齢者は、まずはどんな強度でも構わないので、無理のない強度の生活活動を毎日40分以上行いましょう。

生活活動とは日常生活を営む上で必要な家事や労働です。その上で運動が可能な高齢者は、筋トレや有酸素運動を少しずつ生活の中に取り入れていきましょう。

高齢者の身体活動

画像引用:厚生労働省|65歳以上の人を対象にした 身体活動指針(アクティブガイド)

高齢者におすすめの筋トレ器具や運動方法については以下の記事でご紹介しています。あわせて参考にしてください。

シニアにおすすめのスポーツ5選!認知症や寝たきり予防になる運動とは 高齢者の健康維持には散歩がおすすめ|無料の歩数計アプリ11種類を紹介 高齢者におすすめの筋トレ|寝たきりを防ぐためのトレーニング

まとめ

今回は、高齢者が運動しないとどうなるかについて解説しました。

運動し続けないと、健康的な身体や脳を維持できません。できる範囲で無理なく運動を続け、フレイルや要介護状態のリスク因子を排除していきましょう。

ライター紹介 | 杉田 Sugita
終活カウンセラー2級・認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。

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