- 趣味で脳を活性化すると認知機能が維持しやすい
- 認知症予防には「趣味活」がおすすめ
- 高齢者におすすめの趣味を8種類紹介
趣味は私たちの生活に喜びと楽しさを与えてくれ、趣味を持つことで人生はより豊かになります。
また、趣味はただ単に「やって楽しい」だけでなく、認知症予防に役立つなど健康上の効果も期待できます。
今回は趣味をとおした認知症予防について解説します。いま何らかの趣味を持っている人はもちろん、特に趣味はないという人も新たな趣味を見つけて楽しく認知症を予防しましょう。
目次
趣味を楽しんでいる人は認知症になりにくい
趣味を持っている人は趣味を持ってない人に比べて、認知症になりにくいということが最新の研究でわかっています。
国立長寿医療研究センターの研究部NILS-LSAが行った研究では、休日や余暇の時間に趣味をして過ごしている60歳以上の人は、そうでない同年代の人よりも認知機能が低下するリスクが低くなっていることがわかりました。
画像引用:国立長寿医療研究センター|“趣味活”でイキイキした毎日を 【認知症予防】
加齢にともない人間の脳は老化していきますが、趣味で脳を活性化することによって脳機能が維持でき、認知症の予防にも一定の効果があると考えられます。
「趣味活」で楽しく認知症予防
上記の研究結果を踏まえて、国立長寿医療研究センターは認知症予防に役立つ活動として「趣味活」を推奨しています。
最近は「婚活」「就活」など、「〇〇+活(動)」の略語が流行しています。
高齢者が是非とも取り組みたい活動は、人生の終わりに備える「終活」です。そしてこれからの高齢者は「終活」に加え、認知症を予防して老後をいきいきと健康に過ごすための「趣味活」も始めてみてはいかがでしょうか。
おひとりさまの認知症早期発見にも役立つ
趣味活はすべての高齢者におすすめしたい活動ですが、中でもおすすめしたい人は独身で一人暮らしの「おひとりさま」です。
配偶者や家族と生活していない「おひとりさま」は、社会的にも孤立化しやすくなります。
認知症は自分ではなかなか自覚できないため、早期発見には家族など身近な人が認知症のサインに気づいてあげる必要があります。
一緒に暮らす家族がいない「おひとりさま」は自宅内でサインに気づく人がいないため、趣味などの社会活動をとおして他者と継続的なコミュニケーションをとり、もし認知症になったときにはできるだけ早く第三者に気づいてもらう必要があるのです。
高齢のおひとりさまに起こるリスクについては以下の記事でも解説していますので、あわせてお読みください。
認知症予防に役立つ趣味8選
ここからは、高齢者でも楽しみながら実践できて、認知症予防の効果が期待できる趣味を8種類ご紹介します。
なお「ごろ寝が趣味」と言う人もいますが、本記事ではごろ寝は趣味に含みません。
上記で紹介した国立長寿医療研究センターの研究によれば、余暇の時間をほとんど「ごろ寝」していた人は、何もしていなかった人よりも認知機能が低下するリスクが高まっています。
これまでごろ寝を趣味にしてきた人は、以下で挙げる趣味の中から自分でも取り組めそうな趣味を探してみましょう。
スポーツ
スポーツは身体を動かしながら頭でもいろいろな考えをめぐらすため、脳の海馬に良い刺激を与えて認知症予防になると考えられています。
ウォーキングや水泳など1人で行うスポーツでも認知症予防の効果は期待できますが、テニスやゲートボールなど、誰かと一緒に行うスポーツは同じ趣味を共有する仲間もできて、高齢者の社会的孤立の解消にも役立ちます。
体力の衰えた高齢者でも無理なく楽しめるおすすめのスポーツは、以下の記事でいくつかsご紹介しています。
手芸
手は「第二の脳」とも呼ばれるほど、脳と密接なつながりがある器官です。
そのため手芸などの手先を細かく動かす趣味は、脳が活性化され認知症予防の効果が期待できると考えられます。
また刺繍や編み物をするときには図面を読み取りながら正しく行う必要があるため、空間認識能力が鍛えられて脳機能を正常に保ちやすくなります。
園芸・ガーデニング
園芸・ガーデニングにも認知症予防の効果が期待できます。
植物の世話をすることで精神を癒す「園芸療法」というセラピーがあります。日本の介護施設や障がい者施設でも、高齢者ウツや認知症の高齢者のリハビリ手段として用いられています。
植物を育ててきちんと花を咲かせたり実をつけるためには、毎日決まった時間に世話をしなければいけません。園芸・ガーデニングを趣味にすることで生活リズムが整い、体内時計が正常化する働きが生まれます。
花の匂いを嗅いだり収穫した野菜を食べたりすることで、五感(視覚・触覚・嗅覚・聴覚・味覚)をフルに使って脳を刺激できる点も、園芸を趣味にする利点です。
読書
読書を趣味にする利点は、大きくわけて2つあります。
まず1つ目は、本に書かれている事柄を自分で読み解く知的活動が脳を活性化する効果です。
東京医科大学が5年間にわたり高齢者の座位行動(読書・テレビ視聴など)を解析した結果、読書時間の長い人は認知症の発症リスクが低下していることがわかりました。
同じ座位行動でも、流れてくる映像をぼんやり眺めているだけのテレビ視聴では、読書のような改善結果は見られていません。
参考 知的な活動と運動で認知症予防公益財団法人 明治安田厚生事業団もう1つの利点としては、本の種類によっては認知症予防に役立つ知識が得られる点です。
最近ではさまざまな認知症に関する書籍が出版されていますので、認知症予防に関する本を読むことで、読書による直接的な予防効果と本による知識のダブル効果を得ることができます。
以下の記事では高齢者におすすめの書籍をご紹介していますので、あわせてご覧ください。
ボードゲーム
ボードゲーム・テーブルゲームは想像力と戦略性を必要とするゲームなので、脳機能の維持にも高い効果が期待できます。
またボードゲーム・テーブルゲームは複数人で行うため、ゲームをとおして第三者と活発にコミュニケーションができる点も認知症予防に効果的です。
料理
料理は最初に献立を考えるところから、必要な材料の調達、下ごしらえ、調理、盛り付けまでを一連の流れとして考える知的活動です。
できあがった料理を自分で食べたり、家族など他の人に食べてもらったりすることで満足感や達成感も味わいやすい趣味と言えます。
これまで料理をほとんどしてこなかった高齢男性は、料理教室への参加もおすすめです。講師や教室仲間と楽しくコミュニケーションしながら、新たなスキルを身につけられます。
ただし、すでに認知機能が低下している人や、認知症にかかっている可能性がある人は注意してください。火や刃物で火事や思わぬケガを招く危険があるため、他の趣味を検討した方が良いでしょう。
旅行
ドライブや観光などの旅行でも認知症が予防できます。
楽しい旅行でストレス発散になる効果に加え、大自然や文化財、名所に訪れることは新たな発見や創造力の強化につながります。
また、旅行にはちょっとしたトラブルがつきものです。予期しない状況に身を置かれると、それに対処しようと頭を働かせる必要に迫られ、脳の血流量が増加します。
加齢により足腰が弱り、車いす生活を送っている人はなかなか旅行をするにも大変ですが、車いすでも行けるバリアフリーの温泉宿があります。以下の記事でも具体的なバリアフリー宿泊施設をご紹介していますので参考にしてください。
SNS
パソコンやスマートフォンのSNSを日常的に利用している人は、認知症になりにくいとの可能性が指摘されています。
デジタル機器の操作で手先と脳に刺激を与える効果に加え、自宅にいながらでもSNSで他者とコミュニケーションをとれる点は、健康上の理由により外出が難しい高齢者の孤独感を解消する効果があります。
ただし過度なSNS利用は、スマホ依存症やネットトラブルなどのリスクも招きます。適度な利用を心がけてください。
高齢者におすすめのSNSは以下の記事でご紹介しています。
趣味だけでは認知症を予防しきれない
ここまでは、認知症の予防効果が期待できる趣味をご紹介してきました。
しかし、残念ながら趣味だけでは認知症を完全に予防することはできません。現在判明しているだけでも認知症の原因は70種類以上もあり、発症原因がよくわかっていない認知症も存在しています。
そのため趣味でいくら脳を働かせても、すべての認知症発症リスクを回避することはできません。
主な認知症や、認知症を引き起こす可能性がある病気は以下の記事でご確認ください。
趣味以外で認知症を予防する方法
上記でも説明したとおり、認知症を完全に予防する方法はまだ解明されていません。
しかし、一定の予防効果が見られる方法はあります。あきらめずに少しでも認知症発症リスクを下げる努力をすることが大切です。
以下の記事では、毎日の生活から認知症を予防する方法を説明しています。趣味を楽しみながら日々の生活習慣を改善し、多方面から認知症予防をしていきましょう。
まとめ
今回は趣味を楽しみながら認知症を予防する方法について解説し、認知症予防におすすめの趣味をご紹介しました。
趣味がある人は、毎日をいきいきと楽しんでいる人です。
長い人生をより一層いきいきと健康に過ごせるよう、趣味で新たな世界を広げましょう。
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