- 職業訓練とはハローワークがあっせんする公共の能力開発
- 職業訓練ではさまざまな専門知識や技能が学べる
- 職業訓練は無料で受けられ手当が出る(高齢者は給付金ももらえる)
- 職業訓練を受けて新たに学ぶ喜びを得よう
就職先を探しているとき、業種や職種によっては経験や専門知識、スキルを求められるケースがあります。
これまで経験してこなかった新しい仕事にチャレンジしたい方は、あらかじめ業務に関する実践的な訓練をしておけば、採用のチャンスが広がるかもしれません。
今回はハローワーク(公共職業安定所)から申し込める職業訓練制度について解説します。
目次
職業訓練(ハロートレーニング)とは
職業訓練とはハローワークが実施している、、就職活動のために必要な知識やスキルが学べる公的な就職支援制度です。
愛称として「ハロートレーニング(ハロトレ)」とも呼ばれています。
参考 就職のために役立つ知識・スキルを学ぶハロートレーニング政府広報オンライン職業訓練は就職を希望する方であれば、誰でも受けることができます。
現在無職の方向けだけでなく学生や在職者向けの職業訓練もありますが、本記事では現在職業に就いておらず、再就職を希望している方が受けられる「離職者訓練」について主に説明していきます。
職業訓練がおすすめな方
職業訓練の受講をおすすめしたい方は、再就職に際して以下のような希望を持っている方です。
- ブランク期間が長い方
- 新しい仕事にチャレンジしたい方
- 即戦力として働きたい方
- 定年後にも定年前と同等の収入を確保したい方
定年を迎えた後に同じ会社で再雇用されている方は、一般的に再雇用後の給与は下がることが多いようです。
老後資金を確保するために年収の水準を維持したい方は、思いきって再雇用の会社を辞め、職業訓練を受けてから専門的な分野に転職を図る案もあります。
会社定年後に再就職先を探す方法については以下の記事も参考にしてください。
60歳からの仕事探し|シニア歓迎の職種と仕事の探し方職業訓練の種類と受講資格
ハローワークが実施する職業訓練は「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2種類に分かれます。
公共職業訓練と求職者支援訓練で学べる内容にほとんど違いはありませんが、受講対象者の状況により違いがあります。
公共職業訓練
公共職業訓練とは、失業保険を受給中の求職者を対象とする職業訓練です。
公共職業訓練が受講できる方は以下の条件をすべて満たす方です。
- 失業保険の給付期間が3分の1以上残っている
- 前回の公共職業訓練終了から1年以上が経過している
- 過去1年に公共職業訓練の退校処分を受けていない
- ハローワークから職業訓練の必要性を認められている
求職者支援訓練
求職者支援訓練とは、失業保険を受給していない求職者を対象とする職業訓練です。
仕事をしていなかった期間が長い方だけでなく、前職で雇用保険に加入していなかった方や、失業保険の受給期間中に再就職できなかった方も求職者支援訓練の対象になります。
求職者支援訓練が受講できる方は以下の条件をすべて満たす方です。
- 雇用保険の受給資格がない
- 労働する意思が明確である
- ハローワークに求職申込済である
- ハローワークから職業訓練の必要性を認められている
ハローワークで職業訓練を受ける方法
ここからは職業訓練について、もう少し詳しく説明していきます。
以下では公共職業訓練と求職者支援訓練について同時に解説し、いずれか一方が対象となる場合には都度ご説明を入れていきます。
職業訓練を受ける場所
職業訓練が受けられる場所は、ハローワークが認定した以下の施設等です。
うち求職者支援訓練で受けられる施設は、表の一番下部にある民間施設のみです。
名称 | 概要 |
職業能力開発促進センター(ポリテクセンター) | 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が運営する職業訓練・人材育成施設 |
職業能力開発校 | 都道府県や市区町村が設置した公共職業能力開発施設 |
職業能力開発大学校・短期大学校 | 厚生労働省が所管する公共職業能力開発施設 |
専門学校・カルチャースクール | 法人や団体が運営する民間の職業訓練施設 |
職業訓練で学べる内容
職業訓練では以下のような内容を学ぶことができます。
分野 | 内容 |
IT | ・基本的なパソコン操作方法 ・インターネット・メールの使用方法 ・Office(Word・Excel・PowerPoint)の使用方法 他 |
事務 | ・ビジネスマナー ・総務・経理事務 ・営業事務 ・医療事務 ・簿記 他 |
ものづくり | ・機械加工 ・自動車整備 ・建築 ・塗装 ・造園 ・電気工事 他 |
専門知識 | ・プログラミング ・CAD ・FP技能士の試験対策 ・宅建士の試験対策 他 |
その他 | ・介護・福祉スキル ・営業・販売スキル ・接遇マナー・コミュニケーションスキル 他 |
職業訓練を受ける期間
職業訓練の期間は多くが3ヶ月~6ヶ月程度ですが、一部の訓練コースでは受講期間を1年間に設定している科目もあります。
また、職業能力開発大学校は4年間、職業能力開発短期大学校は2年間の受講が必要です。
職業訓練にかかる費用
職業訓練を受けるときの受講料は基本的に無料です。
ただし、テキスト代などの実費は受講者自身が負担する必要があります。
職業訓練を受けるまでの流れ
求職者が職業訓練を受講するまでの流れは以下のとおりです。
上記のSTEP2にある職業訓練校をインターネットで探したい方は、以下ハローワークのホームページから訓練検索を行ってください。
参考 訓練検索・一覧ハローワークインターネットサービスハローワークの職業訓練は手当がもらえる
職業訓練は無料で受けられるだけでなく、要件を満たせば各種の手当がもらえる場合があります。
職業訓練の受講者がもらえる可能性がある手当は以下のとおりです。
基本手当
基本手当とは失業後の安定した生活を支援する、いわゆる「失業保険」です。通常の基本手当は認定後3回(3ヶ月)の給付ですが、ハローワークが職業訓練の必要性を認めた場合には最長2年まで延長が可能になります。
受講手当
受講手当は「技能習得手当」とも呼ばれ、職業訓練に参加した日数分だけもらえる手当です。
日額500円で、最高2万円までもらえます。
通所手当
通所手当は職業訓練施設に通うための交通費を支給する手当です。電車だけでなく自動車での移動も対象となります。
寄宿手当
寄宿手当は、職業訓練の開催地が遠方なため自分が養っている同居家族と別居を余儀なくされた場合にもらえる手当です。月額1万700円が支給されます。
65歳以上の求職者は給付金がもらえる
65歳以上の高齢者がハローワークに求職申し込みをすると、職業訓練の受講有無にかかわらず「高年齢求職者給付金」がもらえます。
参考 離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>厚生労働省上記でご説明した各種手当とは別に給付金がもらえますので、ハローワークで求職申し込みをする際には必ず高年齢求職者給付金の申請もしましょう。
高年齢求職者給付金の受給期間は、離職後の翌日から1年間です。申請が遅れた分だけ支給額が減りますので、早めの手続きをおすすめします。
職業訓練後に再就職するなら年金は繰下げ申請を
65歳以上の高齢者が職業訓練後に首尾よく再就職を果たすと、収入額に応じて年金が減額されたり、さらに支給停止になる事態も考えられます。
せっかく再就職に成功して収入が得られるようになっても、それで年金が減ってしまっては本末転倒です。
年金受給資格のある65歳以上で、少なくとも70歳までは働く希望がある方は、あらかじめ年金の繰り下げ受給手続きをしておくことをおすすめします。
年金の繰り下げ受給とは、年金受給年齢を最長70歳まで延期できる制度です。繰り下げした月数だけ支給率が上乗せされるため、将来的にもらえる総受給額がアップする可能性があります。
年金の繰り下げ受給について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
65歳からの仕事探し|仕事の探し方と年金についてのポイントを解説まとめ
今回はハローワークの職業訓練について解説しました。
人間は、いくつになっても学ぶことができます。職業訓練で得た知識やスキルを次の仕事に活かすことで、収入アップだけでなく学ぶ喜び・働く喜びをいつまでも持つことができます。
公共の職業訓練制度をうまく活用して新たな知識やスキルを学び、新しい自分を見つけましょう。
認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。
「そなサポ」は、大切な資産や継承者を事前に登録することで、将来のスムーズな相続をサポートするもしもの備えの終活アプリです。
受け継ぐ相手への想いを込めた「動画メッセージ」を残すことができるほか、離れて暮らす子どもたち(資産の継承者)に利用者の元気を自動で通知する「見守りサービス」もご利用できます。
▶︎今すぐ無料ダウンロード!