- 両親が亡くなったら実家は空き家になる(他の同居人がいない場合)
- 空き家を放置していると倒壊等のリスクがある
- 実家が空き家になった後の対処法を5つ紹介
進学や就職、結婚などのライフイベントに伴い、多くの人が実家を遠く離れて生活しています。
長期休暇の折には懐かしい実家に帰省して両親と交流をしていたものの、その両親はいつまでも実家にいるわけではありません。
いつかは両親ともに他界し、実家が空き家となる日がやってきます。
実家に住む人がいなくなったら、その後の空き家はどうしたら良いのでしょうか。
今回は生まれ育った実家が空き家になった人や、これから実家が空き家になることが予想される人に向けて、空き家の実家を相続した後の対処方法について解説します。
目次
親の他界後は実家が相続財産の対象になる

まずは両親が亡くなった後の実家は誰の所有物になるかをおさらいしましょう。
土地や建物などの不動産を所有していた人が亡くなったときには、その不動産は相続の対象となります。亡くなった人(被相続人)が特に遺言を残していないときには、相続財産は民法で定められた法定相続人が規定の割合で相続するか、遺産分割協議によって不動産の相続人を決定します。
誰が法定相続人になるかについては以下の記事を参考にしてください。
実家を相続する人が決まったら、相続人は相続登記を行い、そこで初めて実家は相続人の所有物になります。
不動産の相続の流れについては以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
2024年4月から相続登記が義務化に
かつては相続登記が義務ではなかったため、実家を相続しても登記名義が変更されず、今でも亡くなった人の名義のままでいる不動産が多く存在しています。
そのため空き家となった不動産が適切に処分できなくなる、いわゆる「空き家問題」が社会問題にもなっています。
2024年4月からは相続登記が義務化されたため、相続により不動産を取得した人は必ず登記名義を変更しなければいけません。この義務は2024年4月以前に相続した不動産にも適用されるため、今後は少しずつ空き家問題が解消されることが期待されています。
不動産の相続について詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。
空き家の放置には大きなリスクがある
実家を相続した人は、相続登記だけ適切に行えば良いわけではありません。相続により不動産を所有する権利を得た人は、同時に管理責任も負うことになるからです。
住む人がいないと建物は急激に劣化します。両親ともに他界して空き家となった実家は、適切に管理しないと雑草が生い茂るばかりでなく屋根や外壁が破損するなどの危険、害虫や害獣の発生、果ては倒壊して近隣や通行人に重大な損害を与える危険性があります。
建物の破損や倒壊等により第三者に損害を与えたときには、所有者に賠償責任が科せられます。日本住宅総合センターの試算では、空き家の倒壊が原因で隣家が全壊し住民が死亡した場合には、損害額は2億円を超えるとの計算です。

管理不全空き家は固定資産税が6倍に
もし空き家の倒壊がまぬがれたとしても、空き家の所有者には金銭的な不利益が生じます。
土地建物を所有している人は固定資産税を支払わなければいけません。住宅用の建物であれば住宅用地の特例により固定資産税評価額が6分の1に軽減されますが、特定空き家や管理不全空き家に指定された建物は住宅用地の特例が適用外になります。
《特定空き家とは》
管理が行き届かず放置すれば倒壊など保安上危険となる可能性がある空き家
《管理不全空き家とは》
そのまま放置すれば特定空き家になる恐れがある空き家
つまり空き家の放置者は、毎年の固定資産税を通常よりも6倍も支払わなければならなくなるということです。
相続放棄しても空き家の管理責任は残る
両親が借金等の負債を抱えた状態で死亡し、実家を売却してもマイナスになってしまう場合には、相続放棄して実家の所有権を手放すこともできます。
しかし相続放棄したとしても、空き家となった実家の管理責任は残ります。
民法の規定により、相続放棄をした人は次の順位の相続人に財産を引き渡すまでの間、適切に管理して財産を保存しておかなくてはいけません。
自分の次に法定相続人となる人に相続放棄の事実を知らせなかったり、次の法定相続人がいない場合には、実家を所有していないにもかかわらず管理責任を負わされてしまいます。管理責任を逃れるには家庭裁判所で相続財産管理人を立てて管理者を設定しなければいけません。
相続放棄と不動産との関係については以下の記事も参考にしてください。
実家が空き家になったら早急にやるべきこと

空き家となった実家を放置しておくとさまざまなリスクがあることがわかりました。
では実家が空き家になったら、相続することになった人は具体的にはどうすれば良いのでしょうか。
実家を相続した人がすぐやるべきことは、早急に相続登記を行って実家の所有権を自分のものにすることです。相続した実家を利用するにしても売却するにしても、所有者でなければ身動きがとれません。
まずはきちんと相続の手続きを終わらせ、その後に落ち着いて実家をどうするか検討しましょう。
空き家となった実家の対処法

以下からは、空き家となった実家を相続して登記名義の変更手続きが終了した人ができる実家の対処法を5つご紹介します。
それぞれのメリット・デメリットもまとめていますので、メリットとデメリットを秤にかけて自分にとってベストな方法を選択してください。
1.引っ越して自分が住む
《メリット》
・思い出深い場所で暮らせる
・賃貸住まいだった人は家賃が浮く
《デメリット》
・劣化状況によりリフォームや修繕が必要
・仕事や家族の事情を考慮する必要がある
いま賃貸住宅で暮らしていて、引っ越ししても仕事に支障が出ない場合には、実家に戻って住めば毎月の家賃が浮くため生活に余裕が生まれます。
子供の頃に住んでいた実家であれば知り合いも多いでしょうから、地域にもすぐ馴染めるでしょう。
ただし建築後に長い期間経った住宅は屋根・外壁や設備が経年劣化している可能性があるため、家屋の状況によってはリフォーム・修繕費用が高額になるかもしれません。
また家族がいるときには配偶者や子どもの意向も十分に確認する必要があります。
2.賃貸に出す
《メリット》
・副収入が得られる
・特定空き家や管理不全空き家になる心配がない
《デメリット》
・事業用途の賃貸は固定資産税が高くなる
すぐに建物を処分したくない時には、空き家バンクなどに登録して借り手を見つけるのも良い方法です。人に住んでいてもらえば建物の劣化スピードが抑えられますし、家賃が副収入にもなります。
近年では古い空き家を利用したカフェや店舗などが増えているため、住居以外の用途でも借り手が見つかる可能性があります。ただし事業用に貸し出された建物は住宅用地の特例が適用できなくなるため、固定資産税が高くなる点は要注意です。
3.売却する
《メリット》
・まとまった現金が入る
《デメリット》
・解体費用がかかる場合がある(売却査定が下がる)
将来的にも実家に戻る予定がない人は売却も一考の余地があります。
所有権を手放してしまえば空き家の維持管理をする必要はありません。さらにまとまった現金が入るため、実家や地域に特に思い入れが無い人にはおすすめの方法です。
ですが過疎化している地域では、なかなか買い手が見つからない可能性があります。土地には価値があっても建物は無価値という場合もありますので、その場合は建物の解体費用がかかり、売却の査定金額が予想より下がる可能性も否めません。

4.更地にする
《メリット》
・建物の維持管理費用や火災保険料が不要になる
・売却しやすくなる
《デメリット》
・解体費用がかかる
・固定資産税が上がる
すぐに実家を手放すふんぎりはつかないものの、空き家の維持管理までは手が回らないという人は、いったん更地にしてしまうのも一案です。
解体費用はかかりますが維持管理費用は不要になりますし、いざ売却しようというときも古い家屋があるより高く売れる可能性があります。
ただし建物を解体して更地にすると、事業用の賃貸と同様にこちらも住宅用地の特例が適用できなくなります。高額な固定資産税を支払い続けたくない人は、更地にした後には早めに住宅を再建築するか売却するか検討することをおすすめします。
5.空き家管理サービスを利用する
《メリット》
・空き家の維持管理をおまかせできる
・実家の処分方法をゆっくり考えられる
《デメリット》
・費用がかかる
空き家管理サービスとは、空き家の所有者に代わって専門業者が定期的な換気、清掃、草刈り、点検などを行ってくれるサービスです。
実家が遠方にあるため管理が難しく、とはいえ実家の処分をすぐには決められないとときには空き家管理サービスを利用すれば空き家が適切に維持管理できます。
ひとまずは空き家管理サービスをお願いし、落ち着いてゆっくり実家の行く末を考えても良いでしょう。
まとめ

今回は両親が亡くなった後で空き家となった実家を相続した人に向けて、空き家の管理責任と対処法について解説しました。
両親が残してくれた思い出深い実家をどうするかは、急いで決める必要はありません。空き家になっても適切に維持管理をしつつ、後悔のない決定をしてください。
ライター紹介 | 杉田 Sugita終活カウンセラー2級・認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。
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