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【決定版】相続財産リスト|課税対象チェック&故人の資産の調査方法

財産の相続イメージ

この記事のサマリ
  • 相続税の対象となる財産には、民法上の相続財産以外も含まれる
  • マイナス財産も相続の対象となる
  • 相続が発生したら相続財産の調査から始める
  • 遺産分割は相続人全員の合意が必要となる

相続税の対象となる財産を知りたい

亡くなった家族や近親者から相続を受けると、一定額以上の財産相続には「相続税」が課税されます。

相続財産の捉え方には違いがあり、「民法上の相続財産」と「相続税法上の相続財産」はイコールではありません。民法上は相続とはされない財産移転でも、相続税の対象となるものがあります。

そこで今回は、相続税の対象となる財産にはどんなものがあるかご説明します。また、相続となる財産のチェックリストもご用意しましたので、ご活用ください。

相続財産に該当するもの

木製の家のオブジェと積み上げられたコインが3山。コインから芽が生えている。

相続財産の条件

相続財産となる条件には、どんな基準があるのでしょうか。

①所有者の死亡により移転・継承したもの

所有者の死亡を理由に発生した財産の移転・継承を、「相続」と言います。また、法定相続人(法律上相続する権利を有する者)以外への財産の移転・継承は「遺贈(遺産の贈与)」と呼ばれますが、こちらも相続税の対象となります。

②経済的価値のあるもの

金銭に見積もることができる経済的価値のあるものすべてについて財産とみなし、所有者の死後にその移転・継承があった場合、相続となります。

③故人に帰属していた価値を継承できるもの

生前に故人が所有権を有していたもので、その価値・所有権を移転・継承できる財産が、「相続財産」となります。つまり、故人が所有することでしか価値を有しないものは、相続財産にはなりません。

「みなし相続財産」とは

「みなし相続財産」とは民法上の相続ではなくても、相続税法上は相続とみなされ、相続税が課税される財産の移転・継承を言います。

例えば、生前は故人の所有財産とはいえなかったけれど、故人の死亡によって発生した財産などが、みなし財産に該当します。

また、相続開始前3年以内に起こった贈与についても、相続税の対象となります。これは、贈与による財産の移転と相続開始のタイミングが近いため、相続と変わらない継承が行われたとみなされるからです。

マイナス財産も相続の対象

先程ご説明した通り、相続財産の定義は、「金銭に見積もることができる経済的価値のあるもの全て」とされています。その中には、借金などマイナスの経済的価値も含まれます。

財産所有者が死亡し相続が開始されると、法定相続人は自動的にこの「マイナス財産」も相続することになります。

「相続財産リスト」でチェック

チェックリストにチェックマークを書き込む手元。

これまでご説明した「民法上の相続財産」「みなし相続財産」「マイナス相続財産」には、具体的にどんなものが当てはまるのでしょうか。相続財産のチェックリストをご用意しました。自分や家族の財産を確認する際にご活用ください。

民法上のプラス相続財産
現金 現金 / 普通預金 / 定期預金
不動産 ①内容 土地 / 建物 / 借地権 / 借家権 / その他
②用途 自宅用 / 事業用(自社ビル、オフィス、店舗、工場、倉庫、農地など) / 賃貸用 / その他
動産 自動車・船舶など / 家財道具(家具、家電など) / 貴金属・宝石など / 骨董品・美術品 / その他
有価証券 株券 / 国債 / 小切手 / その他
債権 貸付金 / 売掛金 / その他
無体財産権 特許権 / 商標権 / 著作権 / その他
その他相続可能な権利 電話加入権 / ゴルフ会員権 / 慰謝料・損害賠償の請求権 / その他
みなし相続財産
生命保険金
退職手当金(死亡退職金)
保険金・定期金に関する権利
3年以内の生前贈与
遺贈(相続人以外への贈与)
被相続人が管理していた相続人名義の預金
その他
マイナス相続財産
負債 借金 / 住宅ローン / 買掛金 / その他
未払い金 家賃 / 地代 / 医療費 / 慰謝料 / 損害賠償金 / その他
税金未納分 所得税 / 住民税 / 固定資産税 / その他
その他の義務・債務 賃貸人の義務 / その他

※住宅ローンについては、負債に入りますが、現在では金融機関は団体信用生命保険に入らないとローンを組んでくれないのが一般的なので、死後に残債務を支払わなくて良い場合が多いです。ご確認ください。

相続財産に該当しないもの

一身専属的な財産・権利

一身専属的な財産・権利とは、本人に固有の財産・権利で、他人に譲ることができないものを指します。例えば、以下のようなものが該当します。

  • 雇用契約上の権利
  • 資格や免許
  • 債務の連帯保証人の立場
  • 代理権

宗教的礼拝に使用する財産

墓地に並ぶ墓石と墓前に生けられた花束

宗教的礼拝に使用する財産は、資産形成など経済的目的のある消費行動ではないとみなされるため、相続税非課税となります。宗教的礼拝に使用する財産とは、以下のようなものが該当します。

  • 仏壇・仏具・位牌
  • 墓地・墓石

弔慰金

香典などの弔慰金は、遺族を慰めるために贈られるものであるため、被相続人帰属の財産とはなりません。ただし、あまりにも額が大きい場合は相続税の対象となることがあります。(死亡退職金とせずに弔慰金で同額を支払うなど)

相続財産の調査・評価

相続財産の調査

相続税は、被相続人から相続される財産の総額によって決定されます。そのため、遺産分割や相続税の申告をする前に、まずはすべての相続財産をきちんと把握する必要があるのです。

しかし、被相続人の自宅を調査するだけでは発見できないものもあるかもしれません。そのため、次のような方法で財産があるかどうかを確認します。

①名寄帳や登記簿から不動産を調べる

市区町村の役所で取得できる名寄帳(なよせちょう)により、故人の所有していた不動産の一覧を確認できます。さらに、法務局で登記簿謄本を取得すれば、不動産の詳細を調査することができます。

②通帳やキャッシュカードから残高を調べる

預貯金通帳やキャッシュカードが発見されたら、それをもとに金融機関にて残高証明書・取引明細書を発行してもらいましょう。

③証券会社や信託銀行に問い合わせる

証券会社や信託銀行からの郵便物など取引きの形跡がある場合は、それらの会社に問い合わせて、詳細な情報を提供してもらいましょう。

相続財産の評価

相続税は、財産の評価額をもとに計算されます。財産の評価方法は、国税庁のホームページで確認できます。

国税庁ホームページ「財産評価」

ただし、土地などの評価方法には、いくつか選択肢があります。その場合、どの方法で計算するかによって、相続税額が変わります。相続税の負担割合に関わるため、相続人の間で丁寧に話し合い、どの方法を選択するかで合意する必要があるのです。

財産相続で気をつけるポイント

テーブルを囲む5体の人形

遺産分割の完了までは相続人全員の共有となる

財産所有者が死亡し、相続が発生した時点では、すべての財産を法定相続人全員で分け合っている状態です。例えば、不動産の相続が発生し、法定相続人が複数人いた場合、相続人全員で不動産を共同所有している状態となります。

遺産分割は相続人全員で協議する

実際の相続では、共同所有のまま相続することは稀です。不動産はAさん、現金はBさんなど、相続しやすい分割方法を検討することになります。

その際、問題となるのが「誰が何をどれくらい相続するか」という相続割合です。取り分の公平さだけではなく、生前の被相続人との関係性などが関わってくるため、争いが起こりやすい問題です。

しかし、遺産分割の方法には、相続人全員で合意する必要があります。全員の合意が取れていない相続は無効となるため、勝手に財産を所有・処分することは許されません。

そのため、相続人全員による遺産分割協議を行う必要があります。

マイナス財産は相続放棄の検討を

相続財産には借金などのマイナスの財産も含まれます。借金を受け継ぎたくない場合には、「相続放棄」という選択肢も検討しましょう。

ただし、相続放棄をすると、すべての遺産相続を受けられなくなります。

相続放棄をした場合、次の相続権順位者に相続権が渡り、新たな相続人がマイナス財産を受け継ぐことになります。そのため、相続放棄を選択する場合には、次の権利者と話し合っておく必要があります。

また、相続放棄の申告期限は、相続が開始したことを知ってから3ヵ月以内となります。短期間で決定しなければならないため、注意が必要です。

残される家族のために財産目録を作成しよう

テーブルに向かい書き物をしている手元とマグカップ。

相続財産に該当するものは、かなり広範囲にわたります。にもかかわらず、相続の承認期限=相続放棄の申告期限は短期間で過ぎてしまいます。

そのため、いざ相続が開始してから残された家族が慌てないよう、財産の権利書などを整理したり、財産目録を作成しておくと良いでしょう。

また、相続の仕方や相続税の申告方法により、課税される相続税額にはかなり差が生じます。生前から相続方法について計画し、生前贈与や生命保険への加入などの対策を検討することをおすすめします。

監修 | 行政書士 橋本玲子
行政書士事務所経営。専門は知的財産ですが、許認可から相続まであらゆる業務を行っています。また、遺言執行や任意後見関係を専門とする社団法人の理事もしています。アドバイスや業務遂行でお客様の問題が解決するととても嬉しくやりがいを感じます。行政書士ほか、宅地建物取引士、知的財産管理技能士2級の資格所持。

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