- デジタル遺品とは亡くなった人が所有していたデジタルデータのこと
- デジタル遺品を整理せずに放置しておくとトラブルの原因になる
- 具体的なデジタル遺品の種類と整理方法を解説
かつては、遺品と言えば預貯金や現金、有価証券などの金融資産や、宝飾品や骨とう品などの資産的価値があるモノ、そして故人が所有していた趣味の用品や思い出の品などが一般的でした。
しかし現在は新たな遺品が誕生しています。それはパソコンやスマートフォン、あるいはインターネット上のクラウドデータとして存在する「デジタル遺品」です。
今回はデジタル遺品の整理方法について解説します。多くの人がこれから初めて直面するデジタル遺品の整理に備え、今のうちにしっかり予習しておきましょう。
目次
デジタル遺品とは

デジタル遺品とは、亡くなった人が所有していたデジタルデータ全般のことです。デジタル遺品のうち資産的な価値があるものについては「デジタル遺産」とも呼ばれます。
パソコンやスマートフォンなどが高齢者にも浸透した現代の日本においては、成人の8割~9割程度が何らかのデジタルデータを保有していると推測されます。
デジタル遺品については以下の記事でも詳しく解説しています。
デジタル遺品の種類
主なデジタル遺品の種類は以下のとおりです。
| 端末内のデータ | パソコンやスマホに保存した写真・動画・音楽・文書・メールなど |
| クラウド上のデータ | クラウドストレージに保存したデータ、有料アプリやゲーム内アイテムなど |
| 金融系のデジタル情報 | ネット銀行・ネット証券等の保有口座、暗号資産など |
| オンラインサービスのアカウント | SNS・ECサイト・サブスク等のアカウント |
デジタル遺品は整理しないと永遠に残る

現金や宝飾品などが所有者の死後にも残り続けるように、デジタル遺品も所有者の死後に残り続けます。
ネット銀行やSNSなどのサービス提供側がサービスを終了したり、長期間アクセスのないユーザーを抹消すればインターネット上のデジタルデータは消滅します。しかしデジタル端末内のデータやサービス提供側が抹消しないデータは、たとえ所有者が亡くなっても自然に消えることはありません。
デジタル遺品の放置で起こり得るトラブル

故人のデジタル遺品を整理せずにそのまま放っておくと、思わぬトラブルを呼び起こす可能性があります。
以下からは、故人のデジタル遺品を放置したときに起こりうる可能性があるトラブルを3つご紹介します。
1.財産の相続額が下がる
最近では実店舗がある昔ながらの銀行ではなく、実店舗を持たないネット銀行で預金口座を開いている人が増えています。
ネット銀行が主な預金の預け入れ先だった人が亡くなった場合、遺族がネット預金口座の存在を知らなければ預貯金を相続することはできません。
予想していたよりも少ない財産にがっかりしたり、相続人間で財産の使い込みがあったのではないかと互いに疑ってしまうようなトラブルも起こり得るでしょう。
なおネット銀行では、9年以上放置されているネット預金口座の持ち主にはメールや郵送でお知らせを送ることが多いですが、登録住所や登録メールアドレスにお知らせが届かないときには残高は預金保険機構に移管されます。
2.オンライン上の支払いが停止できない
有料アプリや有料クラウドサービスは、支払いが継続している限りサービスが停止されることは基本的にありません。
紙の通帳であれば記帳されている決済の記録で支払い状況を確認できますが、故人がネット銀行の預金から払い込む設定をしていると、遺族の誰も気づかないままに財産だけが目減りしていくことになります。
3.アカウント乗っ取りによる炎上等の危険
SNSアカウントやブログサービス、メールサービスなどのデジタル遺品にも注意が必要です。
使われなくなったアカウントはセキュリティが脆弱になるため、悪意ある第三者の乗っ取りや成りすましの危険があります。
故人のSNSアカウントを使って炎上目的の投稿をされたり、故人のメールアカウントを媒介したウィルスやスパム等の発信元にされてしまうかもしれません。
デジタル遺品を整理する流れ

デジタル遺品を放置すると思わぬトラブルがあることを理解して頂いたところで、次にはデジタル遺品を実際に整理する方法をステップごとに説明しましょう。
まずデジタル遺品は以下の流れに沿って整理していきます。
種類別デジタル遺品の整理方法

以下からはデジタル遺品の種類別に整理する方法を説明します。
ネット預金・ネット証券等の整理方法
ネット銀行やネット証券会社の保有口座は、相続人が解約および預金・有価証券の移行手続きを行います。
やりかたは従来の銀行や証券会社の手続きと基本的に同じです。各金融機関のお客様サービスセンター等に連絡し、保有者が亡くなった旨を伝えてください。
なお銀行のうち、ゆうちょ銀行の相続手続きだけは他の銀行よりも手続き方法が複雑です。ゆうちょ銀行口座を相続した人は以下の記事もあわせて参考にしてください。
オンラインサービスの整理方法
故人が加入していたオンラインサービスのほとんどは、加入者が亡くなった後にはサービスが終了します。一部サービスを除き、加入の権利を第三者に移行することはありません。
オンラインサービスの加入者が亡くなった後は、家族や親しい友人であれば故人の代わりに退会・解約することができます。多くの場合には死亡証明書などの公的書類による証明が必要です。各オンラインサービスのサポート窓口に連絡の上、手続き方法をご確認ください。
なおオンラインサービスを退会・解約すると、各サービスで保存されていたデータはすべて失われます。メールデータや写真だけでなく、ポイントやコインなども使えなくなりますので注意しましょう。
SNS・ブログ登録アカウントの整理方法
SNSやブログも、オンラインサービスと同様に家族や親しい友人が退会・解約の申請ができます。SNSの中には解約せずに「追悼アカウント」として残しておけるSNSもあります。
《追悼アカウントとは》
故人の思い出を共有するためのアカウント。ログインや新規投稿はできない。
ブログには追悼アカウントという考えかたはないので、故人のブログを残しておきたい場合には新たな管理者を設ける必要があります。
パソコン・スマホ内データの整理方法
パソコンやスマートフォンに保存されているデータは、別の端末やUSBメモリ等の記録装置などにコピーして、コピーが済んだら元の端末からデータを消去します。
データをそのままに残しておくと、端末を売却・廃棄などで処分したときに中身が外部に漏洩してトラブルになる可能性があるので注意しましょう。
デジタル遺品の整理は洗い出しが一番大変

デジタル遺品の整理は、何を整理するかがわかっていればさほど難しくはありません。
しかしデジタル遺品の整理で一番大変な過程は、デジタル遺品の洗い出しです。
パソコンやスマートフォンを使っていて、パスワードをかけていない人はまずいないでしょう。パスワードがわからないとログインができないため、デジタル遺品の洗い出しもできません。
例えばiPhoneなどは、何度も間違ったパスワードを入力するとデータが消去される設定になっている場合があります。推測であれこれとパスワードを打ち込むのは非常に危険です。
終活ノートでデジタル遺品を生前整理

自分が亡くなったときにデジタル遺品のことで面倒をかけさせたくないと思う人は、生前に終活ノート(エンディングノート)を作成しておくことをおすすめします。
エンディングノートには相続に関することや墓・葬儀の希望だけでなく、家族や身近な人に伝えておきたいことを何でも書くことができます。
終活の一環としてエンディングノートを作成し、利用しているオンラインサービスの一覧などデジタル遺品の詳細を残しておきましょう。
エンディングノートを書くときの注意点
エンディングノートでデジタル遺品について書くときには、ログインIDやアカウント、パスワードは絶対に記載しないでください。エンディングノートは紙なので、盗まれたり第三者に見られたりする可能性があります。
アカウントやパスワードはエンディングノートではなく別の紙に記し、封筒に入れて別の場所で保管しておくことをおすすめします。そしてエンディングノートには「必要な情報は○○の中の封筒にあります」とだけ書いておきましょう。
まとめ

今回はデジタル遺品の整理方法について解説しました。
私たちの生活には、すでにパソコンやスマートフォン、オンラインサービスは欠かせないものになっています。デジタル遺品についても重要性は増すばかりです。
自分や家族が亡くなった後にデジタル遺品をどうするか、今のうちから整理方法を話し合っておきましょう。
ライター紹介 | 杉田 Sugita終活カウンセラー2級・認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。
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