- 親の電話契約は原則子供でも解約できない
- 認知症になると契約行為が認められない可能性がある
- 認知症初期の場合は家族がサポートしつつ親本人が解約
- 認知症後期の場合は子供が成年後見人になり代理で解約
- 親の電話を解約する前の注意点を説明
認知症になった人は意思能力が低下するため、日常生活を送る上で必要なさまざまな行動が難しくなります。
これまで当たり前のように使っていた電話についても同じです。電話のかけ方がわからない、誰に何の用件で電話をかけるのかも忘れてしまった、かかってきた電話を受けても適切に対応できないなどということが起こり、認知症の人は徐々に電話で話をする機会が失われていきます。
使わなくなった電話は解約してしまえば良いと単純に考えがちですが、認知症の人が契約している電話を第三者が代わりに解約しようとしても、解約が認められなかったり、後々に解約が無効になってしまう可能性があるため注意が必要です。
今回は認知症の人が契約していた電話を解約する方法について解説します。
目次
いつか自分の親が認知症になるかもしれない

自分の親はいつまでも元気でいるような気がしているものですが、実際には年を重ねれば人はだんだんと老いてきます。
いつかは加齢や病気により健康が損なわれてきます。認知症になる可能性も決して否定できないのです。
もし自分の親が認知症になったら、親の面倒を子供が見なければいけません。介護保険を利用して在宅・施設等の介護サービスを受けられるにしても、介護サービス提供事業者との契約をしたり、親が認知症になる前に取り交わしてきたさまざまな契約は、親に代わって子供が後始末をする必要があります。
成人の契約変更や解約は本人しかできない

成人前の子供に関する決め事は保護者である親が代行できますが、成人した親の代行はそう簡単にはできません。
日本の法律では、成人した人が取り交わした契約は原則として本人以外が変更や解約ができないことになっています。
これは契約者の健康状態には関係していません。たとえ親が認知症になったとしても、子供が勝手に親の契約を変更や解約をすることは認められていないのです。
認知症の人の契約行為は認められない
それでは認知症である親自身が解約などをすれば良いかというと、また次の問題が発生してきます。
認知症により意思決定能力が低下した人は、契約行為を行ったとしても無効となります。認知症になる前に取り交わした契約を変更または解約する行為も同様です。
つまり親が認知症になってしまうと、親が契約していた電話などのサービスが、認知症になった親本人でも子供でも解約できなくなるということです。
なお契約行為には「相続」も含まれるため、認知症の人は遺産分割協議に参加したり、相続手続きを行うこともできません。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
認知症だと契約変更や解約できない理由
認知症になった人の契約を変更・解約しづらい理由は、何も認知症の人を困らせたり、罰を与えようとしているためではありません。
認知症になると自分での意思決定が難しくなるため、第三者にうまく言いくるめられて不利益な契約(変更・解約含む)を取り交わされてしまう恐れがあります。
また家族といえども子供が勝手に親の契約行為を代行できるようにしたら、悪い考えを持つ家族が親の財産を独り占めしてしまうようなこともあり得るでしょう。
そのような事態を防ぐために、認知症の人の契約行為は厳しく制限されています。これは弱者である認知症高齢者を守るための取り決めなのだと理解しておきましょう。
認知症の親が契約者の電話を解約する方法

認知症になると電話などの解約が難しいことはわかりましたが、実際問題として、解約できないがために不要な電話料金を払い続けるのは無駄な行為です。
以下からは、認知症と診断された人の子供が親に代わって電話を解約する方法を説明していきます。
まずは認知症の進行度合いを確認
ひとくちに「認知症」と言っても、症状の進み具合は人それぞれです。
解約時点で認知症がどの程度進行しているかにより、解約の方法は変わります。
まずはかかりつけ医に相談して、親の認知症がどの程度進行しているか、意思決定能力がどの程度あるかを確認しましょう。
かかりつけ医以外では、ケアマネジャーや通っているデイサービスの職員なども日頃から認知機能の変化などを日常的に観察してくれているので、認知症の進行度合いの把握に役立ちます。
自宅内で生活している状態を確認するときには、日常生活自立度も参考にできます。以下の記事を参考に日頃の様子を観察してください。
認知症初期の場合
たとえ認知症と診断されていても、初期の認知症で意思決定能力が保たれていれば電話の解約が認められる可能性は高いです。
家族がサポートしつつ、親本人が電話の解約申し込みをしましょう。子供が代わりに解約申し込みをする場合には、電話サービス提供会社と親が直接電話などで会話し、解約の意向で間違いない旨を伝えられれば子供が代理で解約手続きできます。
NTT・au・J:COM固定電話の解約方法は以下にそれぞれ説明しています。記事を参考にしながら解約手続きを行ってください。
認知症は電話の解約手続き後も症状の進行が見込まれるため、後々になってから解約時点での認知症の進行度合いが疑われてトラブルになる可能性もなくはありません。
かかりつけ医の診断書や意見書などを書面で発行してもらい、解約時点で親に意思決定能力があった事実をいつでも証明できるようにしておいてください。
認知症後期の場合
親の認知症が進んで意思決定能力を失った状態になっていたら、残念ながら親本人が電話の解約を行うことはできません。
子供が親の代わりに電話を解約するときには、子供が親の成年後見人になり、法律上で契約代行を認められた存在になってから解約手続きを行う必要があります。
成年後見人とは

成年後見人とは法定代理人の一種で、認知症などの理由により意思決定能力が低下した人に代わって財産管理や契約行為の代理を行い、その人の生活と財産を保護する人のことです。
成年後見人になるには家庭裁判所からの選任が必要です。たとえ子供だとしても、選任されていない人が勝手に成年後見人を名乗ることはできません。
認知症になってから成年後見人の申し立てをするのでは手続きが面倒になり費用もかかりますので、可能であれば親が認知症になる前に任意後見契約を結んでおくことをおすすめします。
成年後見人のなり方や任意後見契約については以下の記事で詳しく解説しています。今回の記事とあわせて参考にしてください。
認知症の親の電話を解約する際の注意点

以下からは認知症になった親の電話を解約する前にあらかじめ確認しておきたい注意点を2つご紹介します。
1.連絡が取れなくなり困る相手はいないか
電話番号は解約すると再取得ができません。連絡が取れなくなり困る相手がいないかあらかじめ確認しましょう。
特に確認しておきたい相手は高齢者福祉関係です。高齢者向けの公共サービス・民間サービスを利用していた人は、連絡先を固定電話番号にしていた可能性があります。電話の解約前に連絡を取り、サービスの停止もしくは連絡先を子供の携帯電話番号に変更するなどの措置をとってください。
なお親本人は認知症のため相手先が思い出せない可能性が高いため、アドレス帳や電話機の発信履歴・着信履歴も調べることをおすすめします。
2.電話を使ったサービスの利用はないか
自宅のセキュリティサービスには電話回線を利用したサービスもあります。電話を解約すると通信が切れ、セキュリティサービスが利用できなくなるかもしれません。
親が引き続き自宅で生活する場合には、セキュリティサービス提供会社と相談の上インターネット回線やLTE(モバイル通信)を利用したサービスに切り替えましょう。
親が死亡した後の電話解約手続き

認知症の有無にかかわらず、親が死亡したときには電話契約をどのように解約すれば良いでしょうか。
NTTアナログ固定電話を契約していた場合、電話契約に紐づく電話加入権は相続の対象になります。相続手続きが終わってから相続人が契約名義の承継手続きを行ってください。
承継手続きが完了後、契約者本人として解約手続きが行えます。
なお携帯電話は相続の対象ではないので、親が死亡した後は家族が解約申し込みできます。死亡した人が使っていた携帯電話を解約する方法は以下の記事で詳しく説明していますので参考にしてください。
まとめ

今回は認知症になった親の電話を解約する方法について解説しました。
認知症になるといろいろなことができなくなります。これまで自分を育ててくれた親への感謝をこめて、今度は自分が親を助けてあげましょう。
ライター紹介 | 杉田 Sugita終活カウンセラー2級・認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。
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