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満足いく介護施設の選びかた|種類と入居の流れ・失敗を防ぐポイント

この記事のサマリ
  • 介護施設には介護保険上「施設」と「居宅」の分類がある
  • 介護施設は費用・立地・要介護度・医療ケア等で絞り込むと良い
  • 失敗ない介護施設選びのために確認すべきポイントがある

在宅介護の生活に限界を感じたときには、老人ホーム等の施設への入居を検討するタイミングです。

しかし、できれば介護が限界になる「前」に施設選びをある程度しておくことをおすすめします。必要になってからあわてて介護施設を探すと、検討する時間が少ないため施設選びに失敗する可能性があるからです。

今回は介護施設の種類を説明しながら、適切な介護施設の選びかたとポイント、介護施設に入るまでの流れについて解説します。

介護施設には「施設」と「居宅」の2種がある

青と赤の旗を持った手

介護施設を探す前にまずは、介護保険上では「施設」には属さない介護施設があることを理解しておきましょう。

老人ホーム等はその種類によって制度上の分類が異なります。同じように介護施設で暮らしている方でも、どの施設で生活しているかによって介護保険で受けられるサービスが「施設サービス」と「居宅サービス」に分かれるため、入居後のケアプラン作成にも影響しますから覚えておきましょう。

介護保険の仕組みについては以下の記事をご覧ください。

介護保険 今さら聞けない介護保険の仕組みとは|加入者・保険料・介護サービスを解説

介護保険の「施設サービス」施設

介護保険上で「施設サービス」に類する介護施設は、以下の3種類です。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム・略称は特養)
  • 介護老人保健施設(老人保健施設・略称は老健)
  • 介護医療院

介護保険の「居宅サービス」施設

上記の3種類以外の老人ホーム等介護施設は、介護保険上ではすべて「居宅サービス」に分類されます。

老人ホーム等で生活している方はホームを自宅としていると見なされ、自宅で介護サービスを受けている方と同じ扱いになります。

居宅サービスが受けられる介護施設は以下のとおりです。

  • シニア向け分譲マンション
  • サービス付き高齢者向け住宅(略称はサ高住)
  • 住宅型有料老人ホーム
  • 介護付有料老人ホーム
  • グループホーム
  • ケアハウス(軽費老人ホーム)

施設サービスの介護施設・居宅サービスの介護施設ともに、それぞれの介護施設の詳細は以下の記事で詳しく説明しています。

あなたにぴったりの老人ホームはどこ?老人ホーム9種類を一挙ご紹介!

介護施設の選びかた

いろいろな方向を示す道しるべ介護施設に入居した方は、その後長い年月を入居した施設で暮らすことになります。

「どこでも良い」と安易な選び方をすると、入居後に後悔する羽目になりかねません。

また現在では数多くの介護施設が存在するため、何を基準にして介護施設を選べば良いかわからないと候補が絞り込めなくなってしまいます。

以下からは入居する介護施設の候補を絞り込むために、介護施設の選びかたを説明します。

費用で選ぶ

何よりも先立つものは、お金です。

介護施設で生活している人の介護費用は、自宅で生活している人が必要とする介護費用に比べて高額になりがちです。

在宅介護・施設介護の費用の違いは、以下の記事も参考にしてください。

在宅・施設の平均的な介護費用(初期・月額)|6つの介護破産防止策を解説

入居者自身の年金や貯蓄で支払える範囲の介護施設が理想ですが、本人に資産がなく年金も少額な場合には、子供など家族が一定額を負担しなければいけない可能性があります。

長期的な支出に耐えられる範囲内の介護施設を選びましょう。

立地で選ぶ

介護施設の立地は、入居者が生活する上での住み心地を左右する重要な要素です。

また、それぞれの入居者が入居後に何を望むかによって最適な立地は異なります。

介護施設を選ぶときには対象の介護施設がどこにあるか、そこで暮らす方にはどんな利点が考えられるかを想像しながら検討しましょう。

《交通アクセスの良い場所》

家族が面会に来やすい

《入居者の地元》

住み慣れた地域に居る安心感がある

《近隣に公園や散策路がある》

散歩レクに行きやすい

《海・山の付近》

施設からの景観が良い

《幼稚園・保育園に隣接》

子供の声で華やぐ・交流レクが期待できる

要介護度で選ぶ

介護施設によっては、要介護度が規定より高すぎる・低すぎる場合には入居できない介護施設があります。

《要介護度による入居条件の例》

住居型有料老人ホーム 自立~要介護1・2程度のみ入居可能
介護老人福祉施設(特養) 要介護3以上のみ入居可能

認知症の有無が入居条件になっている介護施設もあります。グループホームは要支援2以上の認知症高齢者が少人数で共同生活を送る介護施設のため、認知症と診断されていない方は入居できません。

必要な医療ケアで選ぶ

入居する方が医療ケアを必要としている場合には、必要な医療ケアが提供可能かどうかも介護施設を選ぶうえで大切なポイントです。

《介護施設で提供される医療ケアの例》

  • 経管栄養(胃ろう等)
  • 痰の吸引
  • インスリン注射
  • 在宅酸素療法
  • 人工呼吸器の管理 他

基本的に介護施設は「生活の場」なので、医療ケアをお願いしたいときには医師や看護師が配置されている介護施設を選ぶ必要があります。

《医師・看護師が配置されている介護施設の例》

  • 介護医療院
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 介護付有料老人ホーム(施設による)

特に医療ケアを必要としてない方でも、入居後の体調の変化に応じて介護施設が医療体制をとっているか、クリニックや薬局との連携体制についてもよく確認しておくべきでしょう。

介護施設の入りかた

STEP BY STEPの文字が置かれた階段

ここからは、上記の選びかたを参考にして絞り込んだ候補の介護施設に問い合わせを行うところから、実際に入居に至るまでの流れを説明します。

STEP.1
問い合わせ・資料取り寄せ
希望条件に合致する介護施設が見つかったら、電話やインターネットで問い合わせをし、パンフレットなどの資料を取り寄せます。できれば1箇所だけでなく複数の施設の資料を比較検討しましょう。
STEP.2
見学
パンフレットでは見えない箇所や実際の雰囲気。スタッフの印象などを確認するため、必ず見学を行ってください。多くの施設では予約が必要です。施設によっては食事の試食や体験入居も可能です。
STEP.3
仮申し込み
入居希望が決まったら施設に仮申し込みを行います。空きがない場合には仮申し込みの状態で入居待機となります。
STEP.4
資料提出
仮申し込み後、STEP6の入居審査の前までに施設へ必要書類を提出します。書類は健康診断書・診療情報提供書などです。入居希望者の経済状況を証明する書類を求められるケースもあります。
STEP.5
本人の面談
施設側と入居者本人の面談を行います。面談場所は施設もしくは自宅、入院先の病院などです。面談の際にはほとんどの場合、家族やケアマネージャーが同席します。
STEP.6
入居審査
面談の結果と書類内容に基づき、施設側で入居審査を行います。審査の検討対象となる要素主に入居希望者の要介護度・健康状態・経済状況です。経済状況では身元保証人の有無も重要な要素となります。
STEP.7
契約
入居審査で承認がおりたら施設と入居希望者(家族・後見人)間で契約を締結します。入居一時金が必要な施設の場合には、入居前に一時金を支払います。
STEP.8
入居
契約時に定めた入居希望日に引っ越し、入居開始となります。

介護施設と契約する前に確認すべきポイント

ラベンダーと水色のPOINTの文字

十分に比較検討して選んだはずの介護施設でも、いざ入ってみたら「こんなはずじゃなかった…」と入居を後悔するような事態はいくらでも起こり得ます。

ここからは入居後に後悔しないために、介護施設へ入居申し込みをして契約に至る前に確認しておきたいポイントを3つご紹介します。

本当に満足できる介護施設を見つけるためには、パンフレットには書かれていない多角的な側面からの確認が欠かせません。必要に応じて介護の専門家に相談するなど、契約前の万全を期してください。

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安全性

高齢者が介護施設で暮らす上では、単に生活の面倒をみてもらうだけではなく、入居者の安全と健康が最期に至るまで守られなければいけません。

介護施設の比較検討では食事の見栄えや楽し気なレクリエーションに目が行ってしまいがちですが、防犯や防災、緊急時の対応についても十分に確認しておきましょう。

また入居者が突然の病気になったときのことも考え、医療機関との連携状況についても確認が必要です。

スタッフの定着度

介護施設に見学に行った際には必ずスタッフの勤続年数や入れ替えの頻度を質問し、定着度を確認しましょう。

介護業界はもともと離職率の高い業界です。しかしその中でも特にスタッフの入れ替えが多い介護施設は、スタッフに対する教育や業務負担、人間関係に何らかの原因があると考えられます。

スタッフの入れ替わりが激しいとスタッフ同士の連携もうまくいかず、提供サービスの質にも影響が生じます。また次から次へと担当が代わってしまっては、入居者も落ち着いて生活することができません。

スタッフの定着度は介護士の採用情報によっても推測できます。施設のホームページや介護士求人サイトなどを確認し、他の介護施設と比較して極端に人材募集されてないかをチェックしてみてください。

経営状況

例え良い介護施設でも、その施設を運営する介護事業者の経営状況が悪ければ、経営不振により施設が閉鎖して強制的に退去させられてしまう可能性があります。

そのため介護施設との契約前には、運営事業者の経営状態も確認しなければいけません。

介護事業者の経営状況は前述のスタッフ定着度や入居率によってもある程度推測できます。

また2024年度からは、すべての介護事業所にて損益計算書や貸借対照表などの財務諸表の公開が義務付けられる方針です。より一層介護事業者の経営状況が把握しやすくなりますので、しっかり確認して経営状況を見極めてください。

まとめ

今回は介護施設の選びかたや入りかたなど、介護施設に入居を検討する際に知っておきたいポイントについて解説しました。

介護施設は、もしかすると入居者にとって終の棲家になるかもしれない場所です。今だけでなく将来のことも予測しつつ、後悔のない介護施設選びをしてください。

ライター紹介 | 杉田 Sugita
終活カウンセラー2級・認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。

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