- 2025年には高齢者の約20%が認知症になる
- 認知症の人にやってはいけないことがある
- 認知症の人に言ってはいけない言葉がある
- 対等な関係性と少しの思いやりが認知症の人を良い状態にする
認知症の人に対してやってはいけないことが、いくつかあります。
今回は認知症の人にやってはいけないこと・言ってはいけない言葉を紹介し、認知症の人に対する接し方のポイントについても説明します。
家族や身近な人が認知症だと診断された、または認知症の疑いがあるという人はぜひ参考にしてください。
目次
2025年には高齢者の約5人に1人が認知症に
認知症の長期的な調査を行っている久山町研究のデータによる推計では、2025年には高齢者の19.0%~20.6%が認知症を発症すると考えられています。
つまり、2025年にはおよそ5人に1人、人数では730万人もの高齢者が認知症になるかもしれないということです。
画像引用:首相官邸ホームページ|認知症年齢別有病率の推移等について
認知症はすでに「どこか遠くの話」ではありません。いつ自分の家族や、もしかしたら自分自身が認知症になるかもしれない時代なのです。
もし家族が認知症になったら
認知症になると物忘れが増えるだけでなく、それまでできていたことができなくなったり、認知症になる前と違った行動をとることが多くなります。
認知症の人の家族にも大きな負担がかかることが予想されます。
しかし、認知症になって一番辛いのは認知症になった本人です。自分が認知症になったことによる混乱や不安、自信喪失などのマイナスな感情にさいなまれています。
もし家族に認知症の症状が見られた場合には、まずはその人の気持ちに寄り添い、当事者の感情を理解した上で適切な治療をうながしましょう。
自分の親に認知症の疑いがあると感じた人は、以下の記事を参考に認知症検査の手筈を整えてください。
親が認知症かもしれないと思ったら|認知症診断の流れと何科を受診するか実際に親が認知症の診断を受けたという人は、以下の記事を参考にしてください。
親が認知症になったらどうする?子供ができるサポートと注意点を解説認知症の人にやってはいけない9つのこと
認知症の人にやってはいけないことを実践すると、当事者の気持ちを害すだけでなく、認知症が悪化する可能性があります。
自分の家族が認知症になった場合に備えて、いまから認知症の人に対してやってはいけないことを学んでおきましょう。
ここからは具体的に、認知症の人にやってはいけないことを9つご紹介します。
無理に思い出させようとする
認知症になると物忘れが増えるため、周囲は「あれは覚えてる?」「これはわかる?」とテストをしたくなりがちです。
認知症の進行を食い止めたいという家族の思いやりからの行動かもしれませんが、無理な記憶テストや脳トレは認知症の人に「できないこと」を自覚させる結果になることが多いので逆効果です。
素人による脳機能リハビリは難しいため、必ず専門家の指導をあおいでください。
間違いを細かく指摘する
認知症の人は、記憶や認識の混乱により実際とは異なる間違った内容の話をする場合がよくあります。
しかし間違った内容であっても、認知症の人にとっては事実ととらえている場合があります。周囲が「それは間違いだよ」「そうじゃないよ」と細かく指摘すると、何が事実なのかがわからなくなりパニックにおちいってしまいます。
認知症の人がたとえ間違った認識により発言しても、まずは「認知症の人にとっての事実」を受け止めてあげましょう。
失敗したことを責める
上記の「間違いを細かく指摘する」よりも、もっとやってはいけない行動は失敗を責めることです。
認知症が進むとできないことが増えていきますが、その失敗は認知症の人自身が一番気に病んでいます。
また、上記でも説明したように認知症の人の失敗は、自分が正しいと思ってした行動が失敗につながっている場合もあります。
失敗をした相手をつい責めたくなってしまったときには、ひと呼吸おいて寛容な気持ちを取り戻しましょう。
頭ごなしに叱る
失敗をとがめたり、頭ごなしに叱りつけても「どうせ認知症だからすぐに忘れてしまうだろう」と考えてはいけません。
頭ごなしに叱りつけられると、認知症の人は「なぜ叱られたのか」は忘れても、叱られた悲しい感情は忘れません。
自分を叱ってきた相手に対する恐怖だけが残り、その後の信頼関係にも影響します。
いきなり大声で話しかける
いきなり大声で話しかけることも、認知症の人に対してはやってはいけない行動です。
大声で話しかけられると、本人には叱るつもりはなくても認知症の人には「怒鳴られた・怒られた」と勘違いさせてしまう可能性があります。
行動を急かす
認知症の人に限らず高齢者は動作がゆっくりになるため、周囲で見ている人はつい「早くしてくれ」と言いたくなります。
まして認知症の人は行動を起こすまでの時間もかかりますので、その後に予定を控えている家族もイライラしてしまうでしょう。
ですが、行動を急かすのはかえって逆効果です。認知症の人がパニックにおちいり、何をやれば良いかわからなくなってしまうからです。
急かしてもしかたないと割り切り、できるだけ時間に余裕をもたせたスケジュールを組みましょう。
先回りして介助する
やってあげたい、手助けしてあげたいと思う気持ちが先走り、認知症の人の行動に先回りして何でも介助してあげようとする人がいます。
家族を思いやる気持ちは大変素晴らしいですが、それでも過度な介助は「やってはいけないこと」のひとつです。
何でも代わりにやってしまうと、認知症の人の脳機能・身体的機能はどんどん衰えます。また自分の役割を取り上げられた認知症の人は自分に自信がなくなり、孤独感が増してしまいます。
認知症であっても自分でできることは自分でしてもらい、小さな達成感を積み上げていくことが認知症の人の喜びにもつながります。
赤ちゃん扱い・子供扱いする
自分が認知症の人の世話をしてあげなければ、との思いがさらに発展すると、まるで認知症の人を自分の子供や赤ちゃんのように扱ってしまう人もいます。
また認知症の人の中には、不安や過度なストレスから子供返りして甘える人もいるため、ますます赤ちゃん扱いが加速しがちです。
しかし、言動は子供のようであっても認知症の人は立派な大人です。認知症だからといって子供扱いすると相手のプライドが傷つきます。
認知症の人の気持ちには寄り添いながらも、人生の経験を積んだ先輩への敬意を忘れずに、1人の大人としての対応を心がけましょう。
家に閉じ込める
認知症の症状のひとつである「徘徊」による事故を恐れ、中には認知症の人を外出させずに家の中に閉じ込めてしまう人がいます。
家族が認知症になったことが恥ずかしいと、ご近所の目を気にして外出を控える人もいるようです。
しかし認知症の人を家に閉じこもりきりにさせると、脳への刺激が減って認知症が進行する恐れがあります。
また歩く機会が減ると足腰が弱くなり、筋力低下による寝たきりの原因になります。
できる範囲で外出に付き添い、心身の活性化をうながしましょう。
認知症の人に言ってはいけない言葉
ここまで説明してきた「やってはいけないこと」を踏まえ、どんな言葉が認知症の人に対して「言ってはいけない言葉」なのかを改めて確認しましょう。
以下のような言葉は認知症の人に対して言わないように努めてください。
- どうしてできないの
- こんなことも覚えてないの?
- また間違ってる
- さっさとしてよ
- だらしない
- もうダメだね
- 何もやらなくて良いよ
- どうせ出来ないんだから
認知症の人に対する接し方のポイント
もし自分の周りに認知症の人がいたら、その人に対してどう接していくのがベストなのでしょうか。
まず大切なことは、自分自身が心に余裕をもって認知症の人に接することです。
自分の心に余裕がないと認知症特有の行動にイライラが募ってしまい、やってはいけないこと・言ってはいけない言葉が生まれる原因になります。
認知症の人の介護で心に余裕がなくなったときは、以下の記事にある相談窓口にSOSを発して誰かに助けを求めてください。
自分がこれまで接してきた相手に対する思いやりの気持ちを、相手が認知症になった後もそのまま引き続いで接しましょう。
まとめ
今回は認知症の人に対してやってはいけないこと・言ってはいけない言葉について解説しました。
これから先、ますます身の回りに認知症の人が増えていくと予想されます。
認知症の人が心おだやかに、安心して暮らせるように、認知症に関する理解を深めておきましょう。
終活カウンセラー2級・認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。
「そなサポ」は、大切な資産や継承者を事前に登録することで、将来のスムーズな相続をサポートするもしもの備えの終活アプリです。
受け継ぐ相手への想いを込めた「動画メッセージ」を残すことができるほか、離れて暮らす子どもたち(資産の継承者)に利用者の元気を自動で通知する「見守りサービス」もご利用できます。
▶︎今すぐ無料ダウンロード!