- 弔慰とは哀悼の意を表し遺族を慰める意味がある
- 弔意とは故人が旅立ったことによる自らの悲しみの気持ち
- 弔慰が使われる言葉は「弔慰金」「弔慰休暇」「弔慰品」など
- 弔意が使われる言葉は「弔意を表す」など
長く社会人生活を送っているうちに、知り合いの誰かがお亡くなりになる日が来るかもしれません。
葬儀に参列したりお悔みの金品を贈った後で、お香典返しの品が届くこともあります。
添え状にはよく『御弔慰を賜り厚く御礼申し上げます』などと書かれていますが、はたしてその「弔慰」とは何でしょうか。
さらには同じ読み方の言葉に「弔意」もありますが、この2つは何が違うのでしょうか。
今回は「弔慰」について、言葉の意味や使われ方、また「弔意」との違いについても解説します。
目次
弔慰とは
まず「弔慰」の意味を確認しましょう。
[名](スル)死者をとむらい、遺族を慰めること。
誰かが亡くなったときにその死を悼み、遺された遺族の悲しみを癒そうとすることを「弔慰」と言います。
ただし遺族を慰める際に「弔慰する」などという言い方をすることはありません。
弔慰の読み方
「弔慰」は「ちょうい」と読みます。
似ている言葉「弔意」との違い
「弔慰」と同じ読み方で「弔意」という言葉もあります。
この2つは似ているようにも思えますが、厳密には意味合いが違います。
弔意とは故人が亡くなったことによる自分の悲しみ・弔いの気持ちを意味し、弔慰とは、遺族に対する哀悼の意や態度、物品等を意味します。
つまり弔慰と弔意は、その単語が指す対象が異なり、使い分けが必要ということです。
「弔慰」が使われる用語
「弔慰」は、それ単独で使用されることはほとんどありません。多くは「~金」や「~品」など、他の名詞等と接続して使われています。
具体的にどのような用語が存在するのか、ひとつずつ見ていきましょう。
弔慰金
「弔慰金」とは企業に勤めている社員や、その家族が亡くなった際に会社から支給される慶弔金の一種です。
慶弔金は弔慰金を含め6種類あります。それぞれの概要や申請方法などは以下の記事を参考にしてください。
また弔慰金には企業の福利厚生だけでなく、戦没者遺族へ国や自治体が支給する「特別弔慰金」もあります。
参考 「戦没者等の遺族に対する特別弔慰金」(第十一回特別弔慰金)の支給について厚生労働省弔慰休暇
「弔慰休暇」とは上記の弔慰金と同様に、企業の福利厚生制度の一環として社員に与えられる慶弔休暇の一種で「忌引き休暇」とも呼ばれています。
弔慰休暇の日数は各企業の規定により異なりますが、一般的には以下日数が付与されることが多いです。
亡くなった家族・親族 | 休暇日数 |
配偶者 | 10日間 |
父母 | 7日間 |
子 | 5日間 |
祖父母・兄弟姉妹 | 3日間 |
孫 | 1日間 |
社員ではなく配偶者の父母や兄弟姉妹が亡くなった際には、社員本人の関係者が亡くなったときよりも弔慰休暇の日数を少なくしている企業もあります。
弔慰品
「弔慰品」とは遺族への慰労のために贈る品物です。
故人の死去を葬儀後に知り、後日弔問に訪れる際には弔慰品を持参します。遠方や体調不良などの理由で弔問に行けないときは郵送等で送る場合もあります。
弔慰品の包装には細かいしきたりがあるため、以下の2点に注意しましょう。
熨斗(のし)はかけない
贈答品にはよく「のし紙」を掛けますが、熨斗(のし)は慶事で使われる縁起物の意味があるので弔事では使用しません。
弔慰品には水引きのみの「掛け紙」を掛けます。
画像引用:カタログギフトのハーモニック|香典返しの「掛け紙」で気をつけたい4つのポイント
掛け紙は左前で重ねる
掛け紙が裏面で重なってしまう場合には、裏面から見て左端が上にくる「左前」で重ね合わせるのが正しいやり方です。
左前の重ね方は「弔辞掛け」と呼ばれています。
弔慰状
「弔慰状」とは、故人に哀悼の意を表し遺族を慰めるために送る手紙です。
故人の死去を葬儀後に知り、遠方などの理由で弔問にも伺えない場合に、弔慰品や香典に添えて送ります。また弔慰状のみを送るケースもあります。
弔慰状を書く際は、以下の点に注意してください。
- ハガキは使わず封書で送る
- 薄墨で書く(ペンで書く場合は黒またはブルーブラックのインク)
- 「拝啓」などの頭語は付けない
- 時候の挨拶は入れない
- 「合掌」など結語を付ける
弔慰電報
「弔慰電報」とは、葬儀に参列できない人が取り急ぎ葬儀の場に送る電報です。略して「弔電」もしくは「お悔み電報」とも呼ばれます。
上記の弔慰文と同じ目的がありますが、時間をかけてじっくりしたためる弔慰文よりも簡潔かつ早急に哀悼の意を示すものになります。
弔慰電報は電話で番号115をダイヤルして、NTTもしくは加入している電話サービス会社から申し込みます。またインターネットからも申し込み可能です。
参考 弔電NTT東日本Dmail御弔慰(ごちょうい)
「御弔慰」とは、上記とは違い遺族側が使う言葉です。
弔慰金や弔慰品を贈ってくれた相手に対して、香典返しなどの御礼をお贈りするときなどに使用します。
遺族以外の方が「御弔慰」と言ってしまうと失礼にあたるので注意しましょう。
「弔意」が使われるシーンとは
「弔慰」が含まれる言葉を紹介しましたが、それでは「弔意」はどのような場合に使われるのでしょうか。
実は「弔意」の方には、弔慰金や弔慰品のように他の名詞と接続して成り立つ用語はほとんどありません。これは弔意とは自らの哀悼の意を示す言葉なので、物質的なものに代えられないという理由によります。
弔意を使う場合には、基本的に「弔意を表す」や「弔意を伝える」など、動詞と接続することが多いです。例外としては「弔意表明」がありますが、これは「弔意を表す」と同じ意味となります。
弔辞は故人に向けた弔意を表す言葉
宗派に関わらず葬儀でよく読まれている弔辞は、故人と特に親交の深かった方が故人にあてて贈る別れの言葉です。
祭壇で故人に向かって読み上げる手紙であり、遺族を慰めるのが主な目的ではないので、「弔意」を示していることになります。
ただし弔辞はそれ自体で1つの名詞になり「弔意辞」などのようには使われません。
供物は故人に対しての弔意の贈り物
上記で説明した「弔慰品」は遺族に贈る品物ですが、故人に対して品物を贈る場合には「供物」と呼ばれます。
なお香典も供物の一種です。
現金以外の供物は基本的に祭壇に供えられるため、宗教によって贈って良い品物・贈ってはいけない品物が違います。代表的な宗教の供物は以下のとおりです。
宗教 | 贈って良い品物 | 贈ってはいけない品物 |
仏教 | ・食品 ・花 ・ロウソクや線香 ・浄水 |
・肉や海産物 ・アルコール |
神道 | ・海産物 ・日本酒 ・フルーツ等食品 |
・ロウソクや線香 |
キリスト教 | ・生花(宗派により例外あり) | ・生花以外すべて |
冠婚葬祭では漢字一文字にも気遣いが必要
冠婚葬祭の中でも、「葬」は特に礼節を重んじる必要があると言われています。
不幸があった際の立ち居振る舞いが適切でなかったり、遺族の気分を害するような言い回しをしてしまうと、後々まで禍根を残す原因にもなりかねません。
葬時に限らず、冠婚葬祭の大事な場面ではマナーをしっかり守り、漢字一文字まで気を配れるよう細やかな気遣いをするのが大人の社交生活だと心得ましょう。
まとめ
今回は「弔慰」の意味や使われ方について解説しました。
「弔意」との違いや、どのような状況で使うのかがご理解いただけたことと思います。
2つの言葉を正しく理解し、それぞれのシーンに合わせた適切な言葉の選択をしましょう。
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