高齢者がいるご家庭の場合、昔から固定電話を利用していたケースも少なくありません。今では高齢者も携帯電話やスマートフォンを使うことが珍しくなく、固定電話は徐々に役目を終えてきています。(実際に固定電話のサービスは2024年1月に終了予定)
そこで本記事では、固定電話を解約する際の基本的な流れや注意点について解説します。契約者が亡くなったあとは相続財産として課税の対象に含まれるため、相続での取り扱いについても合わせて紹介します。
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固定電話を解約する方法
数ある固定電話会社の中でも「NTT」を参考に、固定電話の解約方法について紹介します。
固定電話の解約方法
固定電話の解約は、契約者の生存中でも死後でも、基本的には以下のような流れで進みます。
- 対象エリアの確認
- NTTに解約意志を伝える
- 必要書類を提出する
- レンタル機器を返却する
対象エリアの確認
解約手続きを始める前に、利用している場所(自宅・事務所など)が「東日本」か「西日本」かを確認しましょう。
たとえば東京や神奈川はNTT東日本の管轄内ですが、静岡県はNTT西日本の管轄です。隣り合う県でも管轄が異なるので、特に中部地方の方は確認しておくことをおすすめします。
東日本と西日本では解約窓口が異なるため、対応する窓口へ連絡しましょう。
NTTに解約意志を伝える
解約の手続きはNTT東日本・NTT西日本の公式サイトにアクセス、あるいはNTTに電話をかけて解約の申し込みを行います。
以下にNTT東日本とNTT西日本の電話番号をまとめたので、電話で解約する際の参考になさってください。
固定電話からかける場合 | 携帯電話・PHSからかける場合 | |
NTT東日本 | 市外局番なしの116 | 0120-116-000 |
NTT西日本 | 市外局番なしの116 | 0800-2000166 |
契約者が死亡した場合はその旨も伝える
単なる解約ではなく、「契約者が死亡」したことによる解約の場合、契約者の配偶者や子供が解約手続きを行うことになります。
電話をかけた際に、契約者が死亡したことで固定電話を解約したい旨を担当者に伝えましょう。
必要書類を提出する
インターネットでの解約申し込みでも電話での申し込みでも、いずれの場合もNTTから必要書類の提出を依頼されることになります。「戸籍謄本」「死亡診断書」など、状況によって要請される書類の種類は異なります。必要な書類を案内に従って提出しましょう。
解約ではなく「譲渡」や「承継」などの場合、本人確認書類が必要になるケースもあります。本人確認書類として提出できるのは、以下のような書類です。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート など
求められた際にすぐ提出できるように、念のため用意しておくと良いでしょう。
レンタル機器を返却する
NTTの固定電話のレンタルサービスを利用していた場合、レンタルしていた製品の返却が必要です。故人がレンタルしていた製品があれば、相続人が返却手続きも行う必要があります。
通常の固定電話解約以外に「フレッツ光」のWi-Fiルーターなどをレンタルしていた場合も同様です。解約するとNTTから返送用のキットが届くので、案内に従って機器を取り外して梱包・返送手続きを行いましょう。
ただし、レンタルしていた製品をすべて返却する必要があるとは限りません。中には返却不要の製品が含まれる場合もあるため、解約時に担当者に確認しておきましょう。
固定電話の「解約」と「休止」の違い
固定電話には解約の他にも、休止の手続きもあります。今後も固定電話を使う可能性が残されているのなら、解約以外の選択肢も知っておきましょう。
完全に利用を止めてしまう「解約」と異なり、休止は「NTTで電話加入権を預かる」という手続きです。原則5年(最長で10年)にわたって利用を休止できます。
ただし、再利用時には新しい電話番号が必要で、名義変更も必要です。
固定電話解約によって考えられるデメリット
確かに需要が減っている固定電話ですが、ビジネスの場では未だに重宝されていることもあります。また「アナログ」であることが、現代のデジタル製品とは違ったメリットを享受できる場合もあります。
解約手続きをしてしまう前に、固定電話を解約することのデメリットを知っておきましょう。
社会的信用の低下
固定電話の解約によって、社会的な信用が低下する可能性があります。
公的な手続きの書類には今でも自宅電話の番号記入欄がありますし、法人や個人事業主の場合はビジネスに影響するかもしれません。スマートフォンだけでもビジネスはできますが、「固定電話がある方が信頼できる」というイメージを持つ方も未だにいます。
カードローンやマイカーローンなどのローン審査でも、固定電話の有無が加点対象に含まれることがあるようです。
災害時に連絡を取る利便性の低下
固定電話を解約した場合、万が一の災害時の連絡手段を失うことになる点に注意が必要です。
アナログ回線を使った固定電話なら外部電源が不要で、停電時でも利用できるメリットがあります。スマートフォンは電池が切れると充電しないと使えず、災害時は連絡が混みあって利用できないケースもあります。
家族との連絡手段を確保したい方にとって、固定電話の解約はデメリットといえます。
固定電話しか知らない相手に連絡が必要
契約期間が長引くと、長年にわたって固定電話だけでしか連絡を取り合わない方も増えます。現在は高齢者でもスマートフォンを持つ方が増えましたが、それでも固定電話に頼るケースも少なくありません。
固定電話を解約して今後は携帯電話・スマートフォンにする場合、新しい電話番号を知らせる必要があります。
もし連絡漏れがあると当面の間は連絡が取れなくなってしまうことが心配です。
携帯電話番号を知らせるリスクもある
携帯電話番号は犯罪に利用されてしまうこともあるので、できるだけ他人に教えたくないと考える方もいます。
携帯電話番号を知られたくない方にとって、固定電話を解約して携帯電話の番号を大人数に知らせることはデメリットといえるでしょう。
固定電話の契約者が亡くなったあとに解約する注意点
長いあいだ固定電話を契約していたケースで解約する場合の注意点を解説します。
NTTの場合は電話加入権が相続対象になる
いわゆる昔からある固定電話の場合は「電話加入権」という権利がついています。相続の際に相続財産の1つとして遺産分割や相続税課税の対象になる場合があります。
電話加入権とは
電話加入権は文字通り、「固定電話の回線を利用するための権利」のことです。
もともとは電話回線を引くための電柱・電線を整備する費用調達が必要だった時代に、加入者に費用負担を依頼していたのが始まりです。
かつての電話加入権の価格は72,000円(税抜)もしましたが、固定電話の需要がなくなったこともあり、2005年3月1日以降は36,000円(税抜)に変更されました。「施設設置負担金」という名前で加入時に支払いが必要です。
参考 加入電話NTT東日本電話加入権の評価方法
相続財産として課税対象とはいったものの、評価額はさほど大きなものではありません。電話加入権の評価額は基本的に全国一律で「1,500円」です。
この金額であれば相続税への影響はほぼないといえるでしょう。
また、相続税申告においても個別評価は必要なくなりました。2021年(令和3年)6月24日、国税庁の「財産評価基本通達」が改正されたことがきっかけです。
2021年(令和3年)1月1日以後の相続においては個別評価ではなく、家庭用動産等(家庭用財産)に含めて一括評価・計上することが認められました、
参考 電話加入権の評価国税庁まとめ
固定電話を解約する際には「インターネット」または「電話」による手続きが可能です。もし契約者が亡くなってから解約する場合は、その旨を電話会社に申告しましょう。
また、電話加入権を持っている方が亡くなった場合、相続税の課税対象です。現在では家庭用動産等としてまとめて申告が可能ですが、相続時に申告が必要ということは今のうちから覚えておくと良いでしょう。
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