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親が認知症かもしれないと思ったら|認知症診断の流れと何科を受診するか

この記事のサマリ
  • 家族に認知症の疑いが出てきたときは早急に専門医の診断を
  • 早い診断で認知症への進行を遅らせることが可能になる
  • 認知症診断は脳神経内科などを受診(かかりつけ医に相談もおすすめ)
  • 認知症検査は問診・身体検査・スクリーニングテスト・脳画像検査
  • 認知症になる前の予防を積極的に実践しよう

いつまでも元気でいてくれると心のどこかで思っていた親も、年を取ればだんだんと老いてくるものです。

昔とは違う親の様子に「もしかしたら認知症なのでは?」と不安になる日も、いつかはやってくるかもしれません。

しかし認知症への進行を少しでも遅らせるためには、その不安を放置したままではいけません。一日も早く専門医の診断を受ける必要があります。

今回は「親が認知症かもしれない」と思ったときに子供がどうすべきか、何科の診断をあおぐべきかについて解説します。

「もしかして認知症?」そんなときは

白背景の前で悩んでいるポーズをする主婦

昔に比べて忘れっぽくなった、何度も同じ話を繰り返すようになったなど、親が認知症かもしれないとの可能性に気付くきっかけはさまざまです。

また認知症の症状には「もの忘れ」だけでなく、怒りっぽくなる・落ち込むなど他にも症状が考えられます。

認知症の症状をあらかじめ理解し、認知症が疑われる症状が見られたときには早めの対応が大切です。

認知症で見られる症状については以下の記事を参考にしてください。

認知症は早く気づけば治療が可能|認知症の症状を初期・進行後に分けて解説

早く診断すれば認知症の進行を遅らせることが可能

認知症の疑いが見られたときに一日も早く専門医の診断を受けた方が良いというのは、理由があります。

認知症は進行性のため、放っておくとどんどん悪化します。しかし早期に認知症の診断を受け治療を開始すれば、症状の進行を遅らせて日常生活に支障がない状態を長く保つことができます。

認知症の進行と予防による効果

画像引用:大阪大学大学院医学系研究科(老年・総合内科学)|認知症の診断と治療

そのため認知症の初期のサインを見逃さず、早期の診断と治療ができるよう誘導することが重要なのです。

認知症の検査は何科で受ける?

診察をする男性医師

認知症の診断は脳神経内科・脳神経外科・精神科で受けられます。

しかし、いくら認知症の疑いがあったとしても、いきなり本人に「精神科に行け」と言ったら反発を受ける可能性があります。

総合病院の中には老年科など、高齢者の健康に特化した診療科目を設けている病院もあります。そのような名称の診療科目の受診をうながせば、比較的スムーズに誘導できるためおすすめです。

老年科を設けている病院・クリニックは以下サイトから調べられます。

参考 老年科専門医・老年科指導医一覧(随時更新)一般社団法人日本老年医学会

なお認知症は心の病気ではないので、心療内科やメンタルクリニックを受診しても診断は受けられません。

かかりつけ医に相談しても良い

診療科目を選んでも、病院自体に抵抗感を感じて受診を拒否する高齢者もいることが考えられます。

そのような場合には、日頃から診察にかかっている「かかりつけ医」に相談しても良いでしょう。

かかりつけ医であれば普段の様子もよく理解していますし、本人や家族としてもいつもの調子で相談がしやすいため、最初の相談窓口としておすすめです。

かかりつけ医から見ても本人に認知症の傾向があるようであれば、そこから専門医への紹介を書いてもらい、専門医の診断につなげてもらいましょう。

認知症の診断の流れ

聴診器とパソコン

専門医を受診した場合、一般的には以下のような流れで診断が行われます。

1.問診

最初に本人や付き添いの家族と対面して、現在の状況や困っていること、気になる症例などを聞く問診が行われます。

この問診中、医師は話を聞きながら患者の受け答えの様子やしぐさを観察し、認知能力や精神状態などを確認しています。

緊張して本人がうまく症状の説明をできない可能性がありますが、付き添いの家族は本人の会話を取り上げて代わりに説明するのではなく、医師と本人の会話の補足説明にとどめておくことを心がけましょう。

2.身体検査

認知症を引き起こす原因疾患を確かめるため、尿検査や血液検査、心電図検査、感染症検査、内分泌検査などの全身の身体検査を行います。

認知症の原因は一説によれば70以上もあり、その原因によっては治療により改善する認知症もあるため、原因解明が大変重要になるからです。

認知症を引き起こす原因疾患については以下の記事を参考にしてください。

はてなマークが書かれたブロックと鉛筆 認知症の原因は70種類以上|代表的な認知症の原因疾患と対策を紹介

3.スクリーニングテスト

スクリーニングテストは別名「神経心理学検査」とも呼ばれる、簡単な質問への回答や作業によって受験者の認知機能状態を図るテストです。

日本で行われている主なスクリーニングテストは以下の2種類です。

改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

改訂長谷川式簡易知能評価スケールは「認知症」の名称を日本に広めた長谷川和夫氏が開発した、もっとも代表的な認知症スクリーニングテストです。

参考 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)一般社団法人日本老年医学会

30点満点とし、合計点数が低いほど認知症の疑いが強まります。

ミニメンタルステート検査(MMSE)

日本国内でも多数の専門医が採用し、世界的にはもっとも活用されている認知症スクリーニングテストがミニメンタルステート検査、通称MMSEです。日本では別名「精神状態短時間検査」とも呼ばれています。

参考 ミニメンタルステート検査えひめ介護情報サイト愛顔(えがお)ケアねっと

上記の長谷川式スケールと同様に合計点数は30点満点で、合計点数が低いほど認知症の疑いが強まります。

4.脳画像検査

脳画像検査は、機械を使って脳の状態を確認する検査です。脳の萎縮を調べるCTスキャンやMRI画像検査や、脳の血流を調べるPET検査やSPECT(単一光子放射断層撮影)などがあります。

認知症診断にかかる費用

がま口から出る小銭

認知症の診断を受けるためにかかる費用は、行う検査の内容によって大きく幅があります。

一般的な問診と身体検査、スクリーニングテストだけで診断がくだせる状態であれば、初診料などを含んでも自己負担額は2~3,000円程度です。

しかしCTやMRIなどの脳画像診断や、脳の血流を調べる検査には数万円ほどの費用がかかり、検査の種類によっても費用は上下します。

金銭的に心配であれば、専門医の診察予約をする際にあらかじめ費用の目安を聞いておき、高額な検査は受けられないとの意向を率直に伝えておくことをおすすめします。

認知症診断を受ける前に準備しておくこと

手帳にメモする女性

認知症診断のために病院に行くときには、家族が本人の状況をあらかじめメモしておくと説明がしやすくなります。

《メモしておいた方が良い情報》
・気になる症状は何か
・いつから症状が出はじめたか
・症状のきっかけとなる病気やケガ、出来事などがあったか
・持病および服薬中の薬品名、既往症
・その他気がかりなこと

問診の際に家族が本人の状況を代わりに説明することはよくありますが、 説明のしかたによっては本人のプライドを傷つけてしまう可能性があります。

初回の診察で気分を害してしまうと、その後の治療にも大きな影響を与えます。本人のプライドを傷つける恐れがある情報は、口頭では伝えずメモをそっと医師に渡すことをおすすめします。

認知症だと診断されたら

検査の結果、認知症であると診断がくだったときには、まず家族に診断結果が告知されます。

本人に告知するかどうかは、医師の判断により異なります。日経メディカルが実施した2019年のアンケート調査によると、認知症の告知をした経験がある医師3068名のうち49.6%は本人と家族に同時に告知しています。

認知症診断結果の告知率

画像引用:日経メディカル|自分の認知症「どんな状況でも告知を」は6割

本人に告知すべきか否かについては個別に判断するより他ありませんが、認知症の診断によって精神的に大きなダメージが想定される場合には、家族に先に告知して欲しいとあらかじめ医師に頼んでおき、その後の対応も相談しておきましょう。

告知後は十分な心のサポートを

本人に認知症の事実を告知することに決めた場合には、告知後の十分なメンタルケアも考えておく必要があります。

認知症の診断をくだされて、一番ショックを受けている人は認知症になった本人です。

ショックから立ち直り落ち着きを見せるまで寄り添い、その後は前向きに治療に取り組めるように励ましていきましょう。

認知症になる前の対策がおすすめ

前向きに頑張る女性

認知症は早めに診断を受ければ、治療によって進行を遅らせることが可能です。

しかし、できることなら認知症にならずにすめば、それが一番です。

残念ながら2022年現在ではまだ認知症の完全な予防方法は確立されていませんが、認知症のリスク軽減が期待できる方法は見つかっています。

以下の記事を参考に「そもそも認知症の診断を必要としない」対策を進めてください。

認知症を予防する方法|リスク軽減のために今からできる対策9選

まとめ

野菜を持つ高齢者夫婦と成人した子供

今回は、認知症が疑われた際の病院での診断の受け方について解説しました。

親が認知症かもしれないと思ったときに、つい見て見ぬフリをしてしまいたくなる気持ちはよく分かります。しかし見て見ぬフリを続けていても、問題は解決せずに悪化の一途をたどってしまいます。

本人の前にまず家族が勇気を出して、病院の診断を受ける決意を固めましょう。

ライター紹介 | 杉田 Sugita
認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。

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