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- 老後のUJIターン移住を希望する人が増えている
- 国や自治体も老後の移住を後押ししている
- デメリットとリスクを減らすには移住前から対策が必要
会社を定年退職した後のセカンドライフは、田舎暮らしでのんびり過ごそうと考えている人もいるかもしれません。
ゴミゴミした都会から離れて晴耕雨読の日々が送れると思うと、定年後の夢も広がります。
しかし老後に地方への移住生活をする場合には、メリットもあればデメリットもあります。メリット・デメリットをきちんと把握して移住計画を立てなければ、いざ移住した後で「こんなはずじゃなかった」と後悔するはめにもなりかねません。
移住地の選び方でよく使われるのが、「Uターン」「Jターン」「Iターン」という言葉です。
「Uターン」はかつて住んでいた故郷から都市部に移住した人が再び故郷に戻ることを言います。「Jターン」は故郷から都市部に移住した人が利便性も考え、故郷に近い都市に戻ることを言います。「Iターン」は生まれ育った故郷ではないものの、自分が住みたいと思った地方などに移住することです。以後、総称してUJIターンと表記します。
今回は、高齢者が地方に移住して老後の人生を送るために知っておきたいメリットとデメリットをご紹介します。
目次
UJIターンによる地方移住を希望する人の増加
田舎暮らしやUJIターンを支援するNPO法人ふるさと回帰支援センターが受け付けた2019年度の移住相談件数は、過去最大の49,401件です。
画像引用:NPO法人ふるさと回帰支援センター|ニュースリリース
また2016年に三菱総合研究所が行ったアンケート集計によれば、首都圏在住の50~64歳の男女のうち、10%以上が地方移住に大きな関心を持ち、具体的な検討をしているそうです。
画像引用:南魚沼市|三菱総合研究所「移住に関するアンケート調査結果」
地方移住に対する人々の関心が増し、いつかは実際にUJIターンしようと考えている人が多いことが伺い知れます。
いろいろな移住先
ひとくちに地方移住と言っても、移住先により老後の暮らし方は変わってきます。
雪の多い北国とあたたかい南国では生活もまったく異なりますし、方言や慣習、県民性も違います。
全般的なメリットとデメリットを理解した上で、さらに地域を絞って移住先を探したい人には、以下のサイトも参考になります。
移住・交流推進機構(JOIN)|2019年版 おすすめ移住・交流先 15選
老後移住のメリット
メリット1:自然が豊か
田舎暮らしの最大のメリットと言えば、自然を身近に感じながら生活ができることです。
自然環境と人間のストレスには大きな関係があり、花や緑にはストレスを軽減させて、体調を整える調整効果があることが判明しています。
波の音にもリラクゼーション効果があることがわかっているので、海や山など自然からの恵みを豊富に受けることで、心身ともに比較的豊かな生活を送ることができます。
メリット2:家賃が安い
都市部に比べて田舎の家賃相場は比較的低額です。
同じ金額を出せば都心部より広い部屋を借りることができるので、居住にかかるコストを削減しながら快適な住居環境を得ることができます。
もちろん賃貸ではなく、不動産を購入する費用も安価です。
地方の空き家問題を解決するために低価格で空き家をあっせんするNPO法人なども多く、良い建売物件が見つかれば建物の建築費用もかかりません。
メリット3:健康的な生活ができる
自然が豊かな環境であればストレスが大きく軽減されることは上記でもご説明したとおりですが、それ以外に健康を増進する効果も期待できます。
新鮮な食材も比較的手に入りやすく、老後の食生活も豊かになります。
メリット4:自治体の補助が期待できる
最近では国や自治体でも、高齢者の地方移住についてさまざまな移住支援制度を設けています。
家賃補助や移住費用の助成金など自治体ごとに移住支援制度がありますので、うまく活用すれば老後にかかる費用が節約できます。
〇移住支援制度の例
上記の例以外にも自治体によっていろいろな移住支援制度があります。興味がある地域の支援制度をよく調べてみましょう。
老後移住のデメリット
デメリット1:案外物価が高い
地方では居住地にかかる費用は安いものの、日用品などの価格は都市部よりも高い傾向です。
大手スーパーがない田舎では個人商店が主な購入先となり、大幅な値下げは期待できません。
細かい消耗品代の差が積み重なって、思ったよりも生活費がかかる可能性があります。
デメリット2:病気や介護の不安
老後の心配ごとのひとつが、病気や介護の不安です。
近隣に大きな病院や福祉施設がないと、いざという時に適切な治療や介護が受けられない可能性があります。また大病をしていなくても、老後には何かと病院に行く機会が増えるものです。
また、親族がいない土地に移住した場合には、見舞いや事務手続き、看護を頼める身近な方がいなくなってしまう点も不安材料のひとつです。
デメリット3:マイカーが必須
公共交通機関が発達した都市部に対して、田舎はマイカーが必須です。
どこに行くにも車が必要となり、ガソリン代や車の維持費がかかってしまいます。
また、近年は高齢者の自動車事故のニュースも目立ち、高齢者の免許返納が推奨されています。
高齢者運転免許自主返納ロゴマーク
老後に車を運転するのは、自分だけでなく第三者へも被害をおよぼす危険性があります。
免許を返納して自分と周囲の身の安全をはかった後でも、公共の電車やバスを利用して移動できるかどうか、移住先の交通事情をよく調べておく必要があります。
老後の移住を成功させるには
上記のデメリットやリスクを少しでも減らすためには、移住前からの対策が肝心です。
老後の地方移住を成功させるために、今のうちから以下の準備をしておきましょう。
移住先の入念な調査
田舎であればどこでも良い、と安易に移住先を決めてしまうと、住んでからギャップを感じてしまいます。
事前に移住先の気候・風土・土地柄・県民性などをしっかり調査しましょう。
最近では各自治体が都市部で移住相談会を開催したり、体験移住を受けているところもあります。興味がある地域のイベントやセミナーには積極的に参加してみましょう。
移住前に人間関係を構築する
知っている人が全くいない土地に引っ越すのは、誰でも不安が大きいものです。
できれば移住前に可能な限り実際に現地に足を運んで、その土地に信頼できる知人を作っておくことをおすすめします。
また、地方における高齢者の生活共同体CCRCは、現在地方創生の観点から国が推進している制度です。
老後に地方へ移住した人が従来の住民と協力しながら暮らしていけるようなまちづくりを進めています。
画像引用:首相官邸公式サイト|まち・ひと・しごと創生本部|生涯活躍のまち(日本版CCRC)
老後資金の十分な確保
何をするにしても、先立つものはまず金銭です。
老後の収入源として見込めるのは年金だけという人も多いと思いますので、もらえる年金予定額はきちんと把握しておきましょう。
また病気等で突然の出費が重なるときに備えて、十分な貯蓄もしておく必要があります。
海外移住を希望する場合は?
老後の移住先を国内ではなく海外にしようという人もいるかもしれません。
特に老後の海外移住で人気が高い国として、タイ・マレーシア・フィリピン・ハワイなどが挙げられます。
いずれも日本からのアクセスが良く、気候が温暖で暮らしやすい国と言われています。
▶老後のタイへの移住!メリット・デメリット・生活費を徹底解説
海外移住はメリットもデメリットも増す傾向
上記で説明した地方移住のメリット・デメリットは、海外移住においても共通しています。
海外の場合、移住する国によっては日本よりも物価が安いので、生活コストは国内に移住したときよりも抑えられる場合もあるでしょう。
しかし、日本のような健康保険制度が整備されていない国の場合、病気になったときには高額な医療費がかかる場合もあります。
老後は病気にかかる率も高くなるため、医療面でのリスクを事前に調査し、リスクがある場合はそれを回避するかを十分に検討しておく必要があります。
まとめ
今回は老後の地方移住について解説しました。
老後のUJIターン移住には多くのメリットもあれば、いくつかのデメリットもあります。
新たな土地で素晴らしいセカンドライフを送るために、移住を実行する前から十分な対策をしておきましょう。
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