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不動産を借りられない高齢者がとるべき対策|2025年に始まる国の支援制度とは

この記事のサマリ
  • 不動産オーナーの約7割は高齢者に貸したくないと考えている
  • 高齢者には「孤独死」「家賃滞納」「住民トラブル」等のリスクがある
  • 高齢者が苦労せず不動産の賃貸契約を結ぶための対策を5つ紹介

高齢になるとアパートやマンションなどの賃貸不動産が借りにくくなると言われています。実際に賃貸物件を借りるために不動産屋さんに行っても良い物件が紹介してもらえなかったり、オーナーから断られてしまうといった事例も多くあるようです。

高齢者世帯が増加しているいま、高齢者が不動産を借りられない事態は由々しき問題です。どうすれば高齢者が苦労せずに不動産を借りられるようになるのでしょうか。

今回は高齢者が賃貸不動産を借りられない問題と、借りられるようにするための対策について解説します。

高齢者が不動産の賃貸契約に苦労している

国土交通省の調査によると、アパートやマンションのオーナーの約7割が高齢者に不動産を貸したくないと考えているそうです。

高齢者以外にも障がい者や外国人、子育て世代についても拒否感を抱いているオーナは存在しますが、現在の日本では高齢者の数が総人口の29.3%を占めているため、不動産探しに苦労している高齢者の数は他の住宅確保要配慮者(居住に課題を抱える人)に比べて圧倒的に多いと考えられます。

参考 住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討状況について国土交通省

また近年では不動産を借りるときに家賃債務保証会社との契約を求められるケースが増えていますが、70代以上の高齢者は30代に比べて5割以上審査が通りにくくなっているとの調査結果もあります。

年代別の審査状況

画像引用:国土交通省|家賃債務保証の現状

オーナーからも保証会社からも拒否され、これでは高齢者が不動産を借りられないのも納得です。

高齢者が賃貸不動産を借りられない理由

家の模型を手に持つ人とはてなマーク

なぜ不動産オーナーや家賃債務保証会社は高齢者に不動産を貸したがらないのでしょうか。

以下からは高齢者が賃貸不動産を借りにくくなる理由を6つご説明します。

1.孤独死・孤立死のリスクがある

高齢者は若い人よりも病気になりやすく、自宅内で突然に亡くなる可能性も高くなります。

病気や事故で突然死したときでも同居家族がいれば看取ってもらえますが、いわゆる独居老人と呼ばれる独り暮らしの高齢者では、万が一のときに周囲に誰もおらず、発見が遅れる可能性があります。

誰にも看取られず独りで亡くなることを孤独死または孤立死と呼びます。アパートやマンションで孤独死・孤立死が発生すると、その部屋は事故物件となってしまうため、不動産経営に悪影響をおよぼすリスクがあります。

孤独死・孤立死については以下の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

自分や家族が孤独死しないための8つの対策|社会的孤立解消が孤独死を防ぐ

2.死亡後の家財等処分に困る

不動産を借りていた人が亡くなったときには、不動産賃貸契約は相続人に相続されます。居住者がいなくなれば契約解消とはなりません。

スムーズに相続人が賃貸契約を引き継げれば良いですが、身寄りのない高齢者の場合には相続人探しも困難です。とはいえ相続人を無視してオーナーや不動産屋さんが残された家財道具を勝手に処分したり、不動産の賃貸契約を解約することはできないため、オーナーが対処に苦労することになります。

3.住民トラブルの懸念がある

高齢者に不動産を貸すときに心配な点は、亡くなってからの心配だけではありません。同じ入居者や周辺住民とトラブルになる可能性も懸念されます。

例えば加齢により耳が遠いせいでテレビの音量が大きくなり、騒音の苦情が発生することが考えられます。また認知機能が衰えたためにゴミ出しをする曜日がわからなくなって、不適切な曜日にゴミが出されたりするかもしれません。

認知症の高齢者には徘徊や、火の始末を忘れての火事などの危険性も考えられます。

入居したときには元気だとしても、入居者が長く借り続けるとしたらオーナーは長期的なリスクを視野に入れる必要があるのです。

4.家賃滞納の不安がある

高齢者に不動産を貸すオーナーにとっては、家賃が滞りなく支払えるかという点も懸念事項になります。

仕事をリタイヤした高齢者は年金だけしか収入がありません。家賃が年金の範囲内で払える額だったとしても、長く暮らすうちには医療費や介護費用が生活費を圧迫する事態も考えられ、家賃を捻出できなくなる可能性があります。

なお年金受給額は、加入していた年金保険の種類により大幅に変動します。持ち家がなく賃貸物件に住んでいる人は、以下の記事で国民年金と厚生年金の平均受給額を確認し、住居費が年金で支払い可能かを確認することをおすすめします。

年金受給額の平均と将来もらえる年金が増やせる5つの対策|2024年最新版

5.物件が限られる

高齢者が賃貸不動産を探す際には、希望する条件が厳しいためにそもそも物件が限られているという理由もあります。

足腰が弱っているためにエレベーター付の建物か1階しか選択できない高齢者も多く、さらにバリアフリー化されているマンションを希望すれば数が限られます。

条件を満たす物件には申込者が殺到し、人気の高さゆえに家賃も高くなりがちです。

6.保証人が見つからない

近年では不動産契約の際に家賃債務保証会社との契約を必須としているところが多いですが、かつては不動産を借りる際には連帯保証人を立てることが一般的でした。現在でも以前と変わらず連帯保証人を立てて欲しいとしているオーナーも存在します。

連帯保証人には家族や親族がなることが多いですが、子どもがいない高齢者だと家族や親族も高齢なため、連帯保証人がなかなか見つからないかもしれません。

不動産を借りられない高齢者がとるべき対策

戸建てとマンションの模型を持つ手

上記の理由により高齢者の不動産探しは困難になりますが、安心して住める場所が見つからなければ人間的な生活が送れません。

ここからは不動産がなかなか借りられない高齢者がとるべき対策を5つご紹介します。しっかり対策し、物件探しを成功させましょう。

1.保有資産を証明する

年金受給額が低いためにオーナーや家賃債務保証会社の審査がおりない可能性がある人は、預金通帳のコピーや銀行が発行する残高証明書などの書類を提出し、きちんと家賃が支払えることを相手に証明しましょう。

高齢者に限らず、収入が不安定な人に対しては、預貯金審査という方法で審査ができます。基準となる資産額はオーナーや家賃債務保証会社の規定によりますが、一般的に2年分の家賃が支払えるだけの預貯金額があれば審査が通りやすいと言われています。

2.近くに住む家族や親族の存在をアピールする

独り暮らしをしていても、すぐ近くに住んでいる家族や親族がひんぱんに様子を見られる状態であれば、孤独死・孤立死のリスクが軽減できます。

不動産屋さんへ相談に行くときに家族に同行してもらうなどすれば、いざというときに頼れる人物がいるとわかり、物件を紹介してもらいやすくなるかもしれません。不動産オーナーが連帯保証人を求めている場合には、その家族に連帯保証人になってもらえばさらに安心感は高まるでしょう。

3.身元保証サービスを利用する

家族や親族と離れた場所に住む、または身近な家族がそもそもいないといった場合には、身元保証サービスと契約している旨をアピールするのも一案です。

身元保証サービスとは、身寄りがいない高齢者が入院や介護施設入居をするときに身元保証人となってくれるサービスです。賃貸契約の債務保証は除外しているところが多いですが、サービス事業者やプランによっては日々の見守りや生活支援、万が一の際の駆けつけや遺体の引き取り、死後の事務処理などを引き受けてくれます。

身元保証サービスについては以下の記事で詳しく解説しています。

→リンク「身元保証 とは」

4.UR賃貸住宅や公営住宅を借りる

頼るべき家族や親族がいない、かつ所得が少ない高齢者の場合には、UR賃貸住宅や公営住宅などの費用が安価で高齢者でも借りやすい種類の賃貸住宅を検討してみましょう。

特にUR賃貸住宅では高齢者が安心して暮らせるよう、従来の建物をバリアフリーに改修した高齢者向け賃貸住宅を増やしています。安否確認サービスなどの生活支援サービスが受けられる住宅もあるため、住み始めてからも安心です。

参考 高齢者向け賃貸住宅UR賃貸住宅

5.老人ホーム等の高齢者向け住宅に移り住む

すでに健康面で不安を自覚していて、日常生活に何らかのサポートを必要としている高齢者は、普通の賃貸住宅ではなく老人ホームやサービス付高齢者向け住宅、介護施設などの高齢者向け住宅も検討してみましょう。

現在はさまざまな高齢者向け住宅があり、入居する人の状態や状況にあわせた選択ができます。

以下の記事では日本の高齢者向け住宅9種類を比較しご紹介しています。費用や入居しやすさなどを一覧表で確認できますので、ぜひ参考にしてください。

あなたにぴったりの老人ホームはどこ?老人ホーム9種類を一挙ご紹介!

「住まい難民」の高齢者を助ける国の制度

丸いライトが置かれたベッドサイド

今後、日本では高齢者がますます増えることが予想されます。それに伴い不動産が借りられない「住まい難民」の数も増加が見込まれるため、すでに国では対策に乗り出しています。

高齢者を含む住宅確保要配慮者を支援する住宅セーフティネット法が2024年に定められ、その法律に基づき制度化された「居住サポート住宅」の認定制度が2025年秋から始まる予定です。

居住サポート住宅が広まれば、いま多くの高齢者が苦労している不動産探しを自治体の協力の下で行えるようになり、入居後も生活支援等のサポートが受けられるようになります。

これからますます増える高齢者世帯が安心して生活できるよう、制度の広がりを期待したいところです。

参考 住宅入居等支援事業(居住サポート事業)厚生労働省

まとめ

自宅で食事する笑顔の高齢女性

今回は高齢者が不動産を借りられない問題について解説しました。

住宅環境は人の暮らしの品質を左右します。自分の希望に合う良い住まいを見つけて、これからの暮らしをより良いものにしていきましょう。

ライター紹介 | 杉田 Sugita
終活カウンセラー2級・認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。

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