- 2024年の夏は熱中症に厳重警戒が必要
- 高齢者は若年層より熱中症のリスクが高い
- 高齢者の健康と生命を守る熱中症対策を紹介
今年2024年の夏も危険な暑さが続く猛暑だと予報されています。
暑いと心配になるのが、熱中症による体調不良です。
特に子供や高齢者など体温調節機能が充分でない人は熱中症になりやすいと言われているため、注意していかなくてはいけません。
今回は高齢者の熱中症による危険性についてきちんと解説します。熱中症のリスクを正しく理解し、自分や家族の身を熱中症から守りましょう。
目次
2024年の夏は熱中症に一層の警戒が必要
昨年2023年の夏は、1898年の統計開始以降でもっとも平均気温が高くなった酷暑でした。
5月~9月中に熱中症で救急搬送された人数も9万人を超え、2022年の同期間より約1.3倍も多い人が病院に運ばれています。
参考 令和5年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況総務省消防庁しかし、今年2024年は昨年よりも一層の注意が必要です。
2024年7月初めから1週間の間に熱中症で救急搬送された人の数は9,105人でした。この数字は2023年の同期間と比較して倍以上です。
参考 全国の熱中症による救急搬送状況 令和6年7月1日~7月7日(速報値)総務省消防庁梅雨明け以降から夏本番となり、今後も熱中症の救急搬送者が増えることが予想されます。
新聞やテレビのニュースでは「10年に一度の暑さ」と言っていますが、実際には私たちがこれまで経験したことがないほどの酷暑を、これから体験しようとしているのです。
熱中症とは何かを改めて確認
熱中症とは、気温や湿度が高い場所に長時間いることで体温調節機能のバランスが崩れ、身体に熱がこもって人体にさまざまな悪影響をおよぼす状態のことです。
人間の身体は、本来は体温が上がっても汗をかくなどして体温を外に逃がす仕組みが備わっているため、身体の熱が溜まることはありません。
しかし体温調節機能がうまく働かないと体温を外に逃がせなくなるため、どんどん熱が溜まってしまいます。
これにより全身の障害が発生した状態が熱中症です。
日射病との違い
熱中症は、かつては「日射病」と呼ばれていました。
日射病は熱中症の一種です。熱中症は高い気温を原因として起こる健康障害の総称で、その中でも太陽の光が原因となって起きた健康障害を日射病と呼びます。
日射病を避けるために、炎天下に長時間いないようにしようとは昔から言われてきましたが、自宅等の屋内でも熱中症にかかるリスクは屋外と同様に存在することがわかっています。
そのため現在では太陽に限定せず、総称としての「熱中症」を使用するようになっています。
熱中症の症状
熱中症になると、進行するに従い深刻な症状が現れます。
最初は軽い症状でも、適切な対処をしないと急激に悪化して重症化する可能性があります。以下の症状が現れたら軽症のうちに迅速に対処し、重症と思われる症状が出たときには即座に救急車を呼んでください。
軽症
軽症 (重症度Ⅰ度)の主な症状は以下のとおりです。
- 気分が悪くボーっとする
- めまい・立ちくらみ
- 筋肉痛・こむら返り
- 手足のしびれ
中等症
中等症 (重症度Ⅱ度)の主な症状は以下のとおりです。
- 発熱
- 吐き気・嘔吐
- 頭痛
重症
重症 (重症度Ⅲ度)の主な症状は以下のとおりです。
- 高温の発熱
- 意識障害
- 痙攣・ひきつけ
- 呼吸困難
重症のまま治療をしなかった、あるいは治療が功を奏しなかった際には死亡に至る可能性がある、重大な病気です。
熱中症による救急搬送の半数以上は高齢者
熱中症は性別や年齢に関わらず、誰でもなる可能性があります。
しかしその中でも、もっとも重症化リスクが高いのは高齢者です。
上記でも説明したように2024年7月1日~7月7日までの間に熱中症で救急搬送された人は9,105人でしたが、高齢者は内訳の6割近くを占めています。
画像引用:総務省消防庁|全国の熱中症による救急搬送状況 令和6年7月1日~7月7日(速報値)
つまり高齢者は子供や若い人よりも熱中症になりやすく、また重症化しやすいため、より一層注意しなければいけません。
高齢者が熱中症になりやすい理由
どうして高齢者は熱中症になりやすく、また重症化しやすいのでしょうか。
さまざまな理由が考えられますが、主な理由は以下の4点です。
暑さ寒さを感じにくい
高齢者は加齢により皮膚の温度センサーの感度が鈍くなっているため、若い人よりも暑さ寒さを感じにくくなっています。
窓を閉め切った状態で室内の温度が上昇しても、自分が暑いと感じないために窓開けやエアコン使用の必要性が感じられなくなります。自宅等の屋内で高齢者が熱中症になる理由はこのためだと考えられます。
また暑さ寒さを感じにくくなっているのと同様に、高齢者は喉の渇きも感じにくくなっています。そのため飲水する機会が減り、脱水が進んで熱中症になるリスクが高まります。
エアコンを使いたがらない
昔はエアコンが今ほど各家庭に普及していなかったため、高齢者の中には未だにエアコンに慣れず、できるだけ使わないようにしようと考えている人もいるようです。
冷たい風が身体に当たると身体が冷えるから嫌だと言う人や、夏が暑いのは当然だからエアコンには頼りたくないと言う人もいます。
また2022年から続く光熱費の上昇により、電気代がもったいないからエアコンを使わないという人もいます。そのような人には電力会社の切替えなどをして、節約しながらエアコンを使うことも提案してみましょう。
体内の水分量がもともと少ない
人体を構成する成分のおよそ60%は水だと言われていますが、この60%は成人男性を基準にした数値です。
高齢者になると体内の水分量の割合はぐっと少なくなり、高齢男性で約52%、高齢女性だと約42%に低下します。
画像引用:西条市|水の歴史館 人間の体の60%は水
もともと少ない体内の水分が汗により排出されると、それ以上汗をかくことができなくなるため、体内の熱を外に追い出す手段がなくなります。
自律神経が老化し体温調整しにくい
人間の体温調整は、自律神経の働きによって行われます。
自律神経が「暑い」と判断すると、体温を元に戻すために発汗や血流の促進を全身にうながして熱を追い出そうとします。これを自律性体温調節と呼びます。
しかし高齢者になると、自律神経も老化します。自律神経がうまく働かないと自律性体温調節がスムーズにできなくなるため、体に熱が溜まり熱中症になりやすく、また重症化しやすくなります。
自律神経が老化すると、熱中症以外にもさまざまな健康障害が起こる可能性があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
→リンク「高齢者 自律神経」
熱中症から高齢者を守る対策
人の健康だけでなく生命をも失わせる可能性がある熱中症から、高齢者を守るにはどうすれば良いのでしょうか。
以下からは高齢者を熱中症から守る対策を3つご紹介します。
なお以下の対策は高齢者のみならずすべての人に対して有効です。いま高齢者の人も、まだ高齢にはなっていない人も積極的に実践しましょう。
こまめな水分補給
放っておくと体内の水分は汗でどんどん失われてしまいます。
こまめに水分補給を行い、体内の水分量をキープさせましょう。
上記でも説明したように高齢者は喉の渇きを実感しづらいため、家族や周囲の人が水分摂取をうながすようにしてください。
飲水を面倒がる高齢者もいますので、水分の多い夏野菜や果物なども接触的に摂りいれて、毎日の食事からも水分摂取量を増やしていきましょう。
適切なエアコン使用
室内にいても熱中症にはなるため、暑い日にはエアコンを上手に使って快適な温度をキープしてください。
室温が常に28度以下になるようにエアコンを設定しましょう。高齢者は自分自身では温度を感じ取れない場合が多いため、部屋に温度計を置いて客観的に温度を判断してもらいましょう。
運動して汗をかく
日頃から汗をかかないと、人間は汗のかき方を忘れてしまいます。
1日1回は汗をかき、必要なときに汗をスムーズに出せる状態にしておくべきです。
また日常的に運動している高齢者は、自律神経が整い体温調節機能が向上します。体温が上がっても熱を排出しやすくなるため、熱中症に負けない身体作りができます。
高齢者におすすめしたい運動については以下の記事でもご紹介しています。本記事とあわせて参考にしてください。
もし熱中症かなと思ったら
もし自分や家族に熱中症の症状が出たときには、以下の対処をしてください。
- 涼しい場所に移動
- 衣服を脱がし身体を冷やす
- 経口補水液を補給(水と塩でもOK)
上記の対処をしても回復せず、中等症~重症と思われる症状が見られたときには、すぐに救急車を呼ぶなどして医療機関を受診しましょう。
まとめ
今回は熱中症について解説しました。
熱中症は正しく予防や対策をすれば防げる病気です。できる限りの工夫をして、危険な暑さから身を守りましょう。
終活カウンセラー2級・認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。
「そなサポ」は、大切な資産や継承者を事前に登録することで、将来のスムーズな相続をサポートするもしもの備えの終活アプリです。
受け継ぐ相手への想いを込めた「動画メッセージ」を残すことができるほか、離れて暮らす子どもたち(資産の継承者)に利用者の元気を自動で通知する「見守りサービス」もご利用できます。
▶︎今すぐ無料ダウンロード!