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高齢者の自律神経が乱れると認知症等の原因に|自律神経を整える5つの方法

この記事のサマリ
  • 自律神経は内臓や器官を支配する末梢神経のひとつ
  • 自律神経には交感神経と副交感神経がある
  • 交感神経と副交感神経のバランスが崩れると心身に不調をきたす
  • 高齢者の自律神経が乱れると認知症等になりやすくなる
  • 自律神経を整える方法を5つ紹介

自律神経が乱れると心身に不調をきたすとよく言われていますが、実のところ自律神経とは何かをあまりわかっていない人が多いようです。

高齢者は加齢の影響により自律神経が乱れがちになります。体調悪化を引き起こす要因となる自律神経について、高齢者本人も周りの家族ももっと理解しておかなければいけません。

今回は自律神経について解説します。自律神経が乱れると心身にどのような不調があらわれるのかと、高齢者の自律神経を整えて心身ともに健康でい続けられる方法を知りましょう。

高齢者の身体の不調は自律神経が原因かも

うつむいて悩む女性

高齢になると身体にさまざまな不調が出現します。

もしかすると、その不調は単に「年のせい」ではなく、自律神経の乱れが原因になっているかもしれません。

以下のチェックリストを使って、自律神経の働きをセルフチェックしましょう。

《自律神経チェックリスト》
・頭痛やめまいがしばしば起こる
・下痢や便秘が続いている
・肩こりや腰痛がひどくなった
・食欲がない
・胃もたれや吐き気
・イライラして落ち着きがない
・わけもなく憂鬱になる
・寝つきが悪い、眠れない

上記の不調は自律神経失調症以外の病気によっても発生する可能性がありますが、チェックした項目が多い場合には自律神経の乱れも疑ってみる必要があります。

自律神経とは

英語の本とメガネ

自律神経とは末梢神経のひとつで、心臓や肺など人間が無意識のうちに動かしている全身の器官を支配している、生命維持には欠かせない神経です。

自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つの要素で構成されています。それぞれの働きは以下のとおりです。

交感神経 身体活動を活発化させる働きがある
副交感神経 身体活動を鎮静化させる働きがある

交感神経と副交感神経は、どちらか一方の働きが偏っても適切な身体活動が行えません。人間は無意識のうちに活発と鎮静(リラックス)のバランスを取りながら生活をしているのです。

しかし自律神経はデリケートなので、ちょっとした要因で交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまいます。

《自律神経のバランスが崩れる原因》
・ストレス
・過労
・睡眠不足
・不規則な生活習慣
・厳しい環境(気温・高度など)

交感神経と副交感神経のバランスが崩れて正常な調節が行われなくなる状態を、一般的に「自律神経の乱れ」と呼びます。

自律神経は加齢により老化する

杖を突いた老人のイメージのデッサン人形

加齢により筋肉や骨が老化するように、自律神経も老化することがわかっています。

年をとるに従い神経細胞を包み込む髄鞘(ずいしょう)の修復機能が低下し、神経細胞がうまく働かなくなってきます。抹消神経のひとつである自律神経も神経細胞から成り立っているため、加齢の影響をうけます。

特に副交感神経は、男性は20~30代、女性は30~40代から10年ごとに15%ずつレベルが低下すると言われているため、高齢者になった頃には自律神経の働きがかなり低下していると考えられます。

自律神経の乱れで起きやすい高齢者の病気

高齢者と医療のイメージ上記のチェックリストでチェックされた項目が多かった人は、自律神経が乱れる「自律神経失調症」になっている可能性があります。

自律神経失調症になると心身に不調があらわれますが、適切な治療や対策をせず放っておくと、さらに不調が悪化して深刻な健康被害を引き起こす危険性があります。

以下からは、特に高齢者が自律神経失調症になると発症しやすくなる病気を3つご紹介します。

誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎は食べものや飲みものが気管に入り、口腔内の細菌が肺に侵入して炎症を起こす病気です。肺炎は年齢が上がることに死亡リスクが高まり、肺炎による死亡者の97.9%は高齢者との統計も出ています。また、高齢者の肺炎のほとんどが誤嚥性肺炎です。

嚥下(飲み込むこと)をつかさどる喉や食道の自律神経が衰えると、誤嚥が多くなり誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなります。

心不全

高齢者になると副交感神経の働きが低下し、逆に交感神経が優位になってきます。

すると心臓が常に活発に動いている状態となり、心拍数や脈拍が高めの状態が続きます。

このような状態が続くと、心臓の負担は大きくなります。不整脈や心機能低下、そして心不全による突然死なども招きかねません。

認知症

自律神経の乱れは認知症の発症リスクも高めます。

副交感神経が低下すると、アルツハイマー型認知症の発症因子であるアミロイドβというタンパク質が脳内に蓄積されやすくなります。アミロイドβが過剰に溜まると脳内で固まりを生成し、脳を萎縮させる原因となるのです。

また交感神経が過剰に働き過ぎると、活性酸素が生まれて身体が酸化ストレスのダメージを受けます。特に脳は酸化ストレスの影響を受けやすく、脳梗塞や脳出血など脳の病気を起因とした脳血管性認知症の一因になります。

なお、認知症の原因は自律神経の乱れだけではありません。認知症の原因疾患については以下の記事で詳しく解説しています。

はてなマークが書かれたブロックと鉛筆 認知症の原因は70種類以上|代表的な認知症の原因疾患と対策を紹介

自律神経が乱れた高齢者は転倒の危険あり

袋から転がったリンゴ

高齢者の自律神経が乱れると病気のリスクを高める以外に、もうひとつ重大なリスクが高まります。

それは転倒のリスクです。

高齢者は足腰が弱っているために転倒しやすくなります。また高齢者は骨がもろくなっているため、転倒により骨折する危険もあります。実際に、転倒した高齢者のおよそ5%が骨折しており、1年間で61万人程度が転倒を原因として骨折しています。

参考 理学療法ハンドブックシリーズ18 転倒予防日本理学療法士協会

自律神経が乱れるとめまいやふらつきが起こりやすくなるため、転倒する確率はよりいっそう高まります。骨折を機に寝たきりになる高齢者も多いため、自律神経を整えて転倒リスクを少しでも軽減しなくてはいけません。

高齢者の自律神経を整える方法

クローバー

以下からは自律神経を整える方法を5つご紹介します。

なお以下の方法は高齢者だけでなく、どんな年代の人にも有益な方法です。

高齢の親を持つ人は、ぜひ家族全員で実践してみてください。

規則正しい生活をする

規則正しい生活をすると自律神経が整います。

早寝早起きと朝昼晩3回の決まった時間にとる食事は、体内時計を正常に動かすために必要なアクションです。交感神経と副交感神経が入れ替わるタイミングも規則正しくなるため、自律神経のバランスが均衡に保たれます。

なお人間の体内時計は24時間きっかりではないため、少しずつ地球の周期とズレが生じてきます。このズレは朝の光を浴びることで修正できます。

朝起きたらカーテンを開けて朝の光を浴び、体内時計をリセットさせましょう。

毎日軽い運動をする

適度な運動は交感神経を活発にさせ、運動した後にはゆっくりと副交感神経が優位になりますので、運動は自発的な自律神経の調整に効果的だとされています。

特に自律神経が整いやすくなる運動は有酸素運動です。有酸素運動は自律神経を整える効果以外にも、フレイル予防や免疫力アップなどの効果も期待できるため、高齢者には特におすすめの方法です。

→リンク「高齢者 運動(おすすめ)」

有酸素運動は短い時間では十分な効果を得られず、少なくとも20分以上は行う必要があります。ウェアラブルデバイスや歩数計などのグッズを活用して長い時間運動を継続しましょう。

高齢者の健康維持には散歩がおすすめ|無料の歩数計アプリ11種類を紹介

栄養バランスの良い食事をとる

高齢者の健康を守るには栄養バランスの良い食事は欠かせません。

その中でも自律神経を整えるために有効な栄養素が、必須アミノ酸のトリプトファンやビタミンB6等いくつか存在します。

自律神経を整えたい人は、日々の食事に以下の食材をプラスしていきましょう。

栄養素 含まれる食材
トリプトファン 牛乳・チーズ・豆腐・赤身魚・ナッツ類など
ビタミンB6 ごま・バナナ・ニンニクなど
マグネシウム 蕎麦・海藻類・キノコ類など
ナイアシン ほうれん草・レバー・ひじきなど

腸内環境を整える

近年の研究により、腸と脳には互いに影響を及ぼしあう「脳腸相関」があることがわかってきました。

腸は第二の脳とも呼ばれているため、腸内環境が乱れると自律神経の乱れにもつながります。

腸内環境を整えるためには、善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌を積極的に摂取する必要があります。乳酸菌やビフィズス菌は発酵食品などの食材でもとりいれることができますが、お腹の調子を整える整腸剤などの利用もおすすめできます。

よく笑う

最後にご紹介したい方法は「笑う」です。

思いっきり笑うと交感神経が活発に働き、その後に副交感神経が優位になります。

これは上記でご紹介した運動と同じです。つまり笑うたびに運動したと同じ効果が得られるというわけです。

また笑うとストレスホルモンの分泌が減少するため、ストレス軽減の効果にもなります。

作り笑いでも一定の効果はありますが、できれば腹の底から思いっきり笑った方がより効果的です。テレビのお笑い番組や落語を見たり、誰かと楽しめるゲームをしたりなど、思わず笑顔になれるような楽しみ方を見つけてみましょう。

まとめ

今回は自律神経について解説しました。

自律神経は私たちの心と身体の状態を左右する、目には見えなくても重要な身体の一部です。

バランスよく自律神経が働けるよう、日々の生活でしっかりコントロールしていきましょう。

ライター紹介 | 杉田 Sugita
終活カウンセラー2級・認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。

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