- 慶弔金とは人生の節目に会社から支給されるお金
- 8割以上の日本企業は慶弔金制度を設けている
- 慶弔金の種類や対象者が誰かによって相場は異なる
長い人生の間には、突然、多額の出費が必要になる場合があります。
結婚や出産などおめでたい話だけでなく、自分や大切な家族が病気になったり、残念なことに亡くなってしまう可能性もあるでしょう。また近年の自然災害の多さから考えれば、災害により自宅が全損失・半損失してしまう恐れなども決して否定できません。
突然の出費が発生する事態に備えて、あらかじめ働いている会社からもらえる予定の慶弔金相場についても把握しておけば、いざというときの経済的な見通しが立てやすくなります。
今回は慶弔金について、実際に企業が支給した額の統計から相場を算出し詳しく解説します。
目次
慶弔金とは
慶弔金とは企業に勤めている社員に与えられている福利厚生制度のひとつです。社員に祝事や弔事などがあったときに、働いている会社で慶弔金制度が設けられている場合に支給を受けることができます。
慶弔金制度がない企業や自営業の方、すでにリタイアされた方は慶弔金をもらうことはできないのでご注意ください。
慶弔金制度に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
慶弔金とは何か|6種類の慶弔金の相場と非課税限度額・申請の仕方慶弔金制度がある企業は86.5%
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査によれば、2017年時点で慶弔金制度を設けている日本企業は全体の86.5%です。慶弔休暇制度の割合90.7%についで、2番目に高い割合となっています。
画像引用:独立行政法人労働政策研究・研修機構|企業における福利厚生施策の実態に関する調査―企業/従業員アンケート調査結果―
福利厚生制度全体を通して言えば、企業規模が大きいほど福利厚生制度を設けている割合が高い傾向にあります。
なお正規雇用・非正規雇用など雇用形態の違いによって慶弔金制度が異なる企業もありますが、以下からは正規雇用・非正規雇用で同一の慶弔金制度を採用している場合の相場について解説していきます。
統計からみた慶弔金の相場
では、ここからは一般財団法人労務行政研究所が実施した「慶弔見舞金、慶弔休暇に関する実態調査」の統計結果から各種慶弔金の相場を確認していきましょう。
当該調査では民間企業だけでなく、国家公務員や協同組合などの共済会も調査対象に含めています。
つまり今回導き出された慶弔金相場は、日本で働いている人をほぼ全域カバーしていると考えられます。
結婚祝金(本人)の相場
平均相場額:3万円
本人が結婚したときにもらえる結婚祝金の金額は、最低1万円から最高18万円までと回答が幅広く分布しています。もっとも多い金額は「3万円台」の41.3%です。
一部例外を除き、1万円~5万円程度だと思っておけば良いでしょう。
なお初婚・再婚の別は、ほとんどの企業では区別していません。
結婚祝金(子)の相場
平均相場額:1万円
本人の結婚では9割以上の企業が結婚祝金を支給していますが、子供が結婚したときの結婚祝金を支給している企業は20%程度です。
子の結婚に対して祝金を支給している企業では、金額を1万円~1万5千円程度に設定している企業が多いようです。
出産祝金(本人)の相場
平均相場額:1万円
本人が出産した場合に出産祝金を出す企業の割合は、本人の結婚祝金のケースと同様に高くなっています。
しかし第2子以降の祝金の額が第1子出産時に対してどう変わるかは、各企業により異なります。
何人目の子供かに関わらず同額支給している企業もあれば、第2子以降は減額している企業、また逆に増額している企業もあります。
これは業態にもよりますが、日本の少子化を各企業がどのように捉えているかが現れたものと考えられます。
出産祝金(配偶者)の相場
平均相場額:1万円
社員の配偶者が出産したときの出産祝金の相場は、社員本人が出産した場合とほぼ同額です。
なお同じ企業で共働きしている夫婦に子供が生まれたときには、夫か妻のどちらか一方に出産祝金が支給されるケースが多いようです。
入学祝金(子)の相場
平均相場額:5千円
割合は低いものの、子供が小学校・中学校・高等学校に入学したときに入学祝金を支給している企業も存在します。
また祝金ではなく図書カードや記念品を贈っている企業もあります。
弔慰金(本人)の相場
参考額:22万円
本人が亡くなったときの弔慰金については、相場の算出が非常に困難です。
上記では参考金額を22万円と記載していますが、死亡理由が業務内か業務外か、勤続年数、保険加入の有無など考慮すべき要素が多いため「相場はいくら」とひとからげにまとめて言うことができません。また弔慰金と死亡退職金を区別して考える必要もあります。
本人が亡くなったときの弔慰金に関しては以下の記事でまとめていますので、詳しく知りたい方は以下を参考にしてください。
→リンク「弔慰金 とは」
弔慰金(配偶者)の相場
平均相場額:5万円
配偶者が亡くなったときの弔慰金は3万円もしくは5万円を支給する企業が圧倒的です。それより少ない額でも多い額でも、割合は大変に低くなります。
3万円と5万円の間ではありますが、支給額を4万円とする企業もほとんどありません。その理由は「4=死」を避けているためだと考えられます。
弔慰金(子)の相場
平均相場額:2万円
子が亡くなったときの弔慰金の額は、配偶者が亡くなったときの弔慰金に比べて金額が低くなる傾向にあります。
弔慰金(親)の相場
平均相場額:2万円
親(本人の父母)が亡くなったときの弔慰金の額は、子がなくなったときとほぼ同額です。
なお本人の父母でなく配偶者の父母が亡くなった場合でも、弔慰金の額にはほとんど変動はありません。
傷病見舞金の相場
平均相場額:1万円
傷病見舞金は多くの場合、本人が病気やケガにより30日間以上休業した場合に支給されます。配偶者や子、父母が病気になったときに傷病見舞金を支給するケースはほとんどありません。
なお傷病見舞金は休業補償や医療補償などとは区別してお考えください。
災害見舞金の相場
平均相場額(全損失の場合):15万円
平均相場額(半損失の場合):10万円
平均相場額(一部損失の場合):5万円
地震や火災、水害などにより被災した場合の災害見舞金は、住居や家財がどのくらい損害を受けたかの程度により金額が異なります。
以下の参考リンクは地震保険の認定基準の一例です。実際にはそれぞれの企業により認定基準が変わりますが、全損失・半損失・一部損失の違いの参考にしてください。
参考:三井住友海上|【地震保険】地震保険の損害の程度とはどのような状態をいうのでしょうか?
慶弔金を渡すとき・もらうときのマナー
慶弔金は企業規定により半ば自動的に支給されるお金ではありますが、慶弔金をもらう立場の方からすれば「人生の一大事」に関わるお金です。
総務担当など慶弔金をあげる立場の方も、もらう立場の方も、マナーには十分に注意しましょう。
例えば「ご弔慰」とは遺族側が言う言葉ですので、弔慰金を渡すときに「ご弔慰をお渡しします」などと言うと失礼にあたります。
以下の記事なども参考にして、失礼のないふるまいができるようにしましょう。
弔慰とは何か|弔意との違いとそれぞれの使われ方・弔慰が付く用語の解説まとめ
今回は慶弔金の相場について、実際の統計をもとに解説しました。
慶弔金は人生の節目の折に、働いている方がもらえる大変ありがたい制度です。この機会に自分の勤めている会社の慶弔金規定を確認し、福利厚生のありがたみを理解しましょう。
認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。
「そなサポ」は、大切な資産や継承者を事前に登録することで、将来のスムーズな相続をサポートするもしもの備えの終活アプリです。
受け継ぐ相手への想いを込めた「動画メッセージ」を残すことができるほか、離れて暮らす子どもたち(資産の継承者)に利用者の元気を自動で通知する「見守りサービス」もご利用できます。
▶︎今すぐ無料ダウンロード!