- 法事とは故人の関係者が集結して故人を供養する行事
- 「法要」と「会食」をまとめて「法事」と呼ぶ
- 一般的な法事は亡くなった日から数えて7日目~32年目まで
- 法事の施主が準備すべきことを確認
日本人の多くが信仰している仏教では、故人の冥福を節目節目に供養する「法事」という行事があります。
祖父母や親戚の法事に出席した経験がある人も多いでしょうが、自分の両親が亡くなったときには、今度は自分が法事を執り行う側にならなくてはいけません。
今回は初めて法事の施主を務める人に向けて、法事とは何か、法事の準備の進めかたなどを解説していきます。
目次
法事(法要)とは
法事とは、故人の家族や親族、親しかった知人や友人が集まって故人を偲ぶ一連の行事を指します。
厳密には故人を供養するために僧侶に読経をあげてもらう供養を「法要」と呼び、法要の後の会食や懇談も含めて「法事」と呼びます。
一般的には法要の後には会食が設けられますので、法事と法要はほぼ同じ意味だと考えて差し支えありません。
法事(法要)の種類
法事は、故人が亡くなってからの年月により種類が変わり、種類に応じて規模ややり方が異なります。
故人の葬儀が終わってから行われる法事の種類を、順に追って確認しましょう。
初七日法要
初七日法要とは、故人が亡くなった日から数えて7日目に行われる法要です。初七日は正式には「しょなぬか」と読みますが、現代では音変化により多くの人が「しょなのか」と読んでいます。
人は亡くなってから7日目に三途の川にたどり着くと仏教では考えられているので、初七日法要は故人が無事に三途の川を渡り切れるようにと祈る意味があります。
初七日の日程は葬儀の日から間もないため、最近では葬儀の後に引き続いて初七日法要を行う場合がほとんどどです。
四十九日法要
四十九日法要とは、故人が亡くなった日から数えて49日目に行われる法要です。
亡くなった人は、49日目に閻魔様の最終審判を受けて極楽に行くか地獄行きになるかが決定されると仏教では考えられています。そのため仏教における四十九日法要はきわめて重要な法事だと位置づけられています。
一般的には四十九日法要のときに納骨も行います。
一周忌法要
一周忌は、故人が亡くなってから最初の命日に行われる法要です。
一周忌の法事では家族や親族だけでなく、葬儀に参列してくれた友人や知人なども招いて一緒に故人を偲びます。年忌の法事の中ではもっとも規模が大きい法事です。
三回忌法要
三回忌法要は、故人が亡くなってから2年目の命日に行われる法要です。
「三回忌」なのに2年目である理由は、亡くなった日を1回目の忌日として数えるしきたりがあるからです。
三回忌法要までは親族や友人・知人を招いて比較的盛大に法事を執り行うのが以前には一般的でしたが、最近では葬儀の簡略化やコロナ禍の影響もあり、家族と親族のみで行う家庭も増えてきました。
七回忌~二十七回忌法要
三回忌の後の年忌法要は、七回忌・十三回忌・十七回忌・二十三回忌、二十七回忌の5回あります。いずれも三回忌の数えかたと同じく、6年目・12年目・16年目・22年目・26年目の命日に開催します。
かつての七回忌法要は親族も招くのが一般的でしたが、最近では七回忌法要も家族だけで行う家庭が増えています。十三回忌法要からはほとんどの場合では家族だけで行います。
三十三回忌法要
三十三回忌法要は、故人が亡くなってから32年目の命日に行われる法要です。
故人は三十三回忌をもってご先祖様のいる極楽浄土に旅立つと考えられており、法要も三十三回忌で「弔い上げ(法事の終了)」となります。
ただし宗派や寺院の方針によっては、49年目の五十回忌まで法要を行うこともあります。
法事の施主が準備すること
ここからは、家族が亡くなって法事の施主を務めることとなった人に向けて、法事の準備の進めかたを説明していきます。
なお以下で説明する法事の準備は、年忌法要としてはもっとも法事の規模が大きい一周忌法要を例にしています。
葬儀に続いて行われる初七日法要と四十九日法要、また規模を縮小して行われる三回忌法要以降の法事に関しては、一周忌法要の例を参考にしながら各自ご判断ください。
1.日程を決める
基本的な年忌法要は故人の命日が基点となります。
命日が平日にあたり開催が難しいときには、命日よりも前の週末などに開催します。命日よりも遅れての日程は不適切なので避けてください。
年忌法要をする年以外の命日でやることなどについては、以下の記事でご確認ください
2.参列者を選定する
法事に来てもらう人を選定します。
上記でも説明したように、一周忌法要では家族と親族に加え、故人と特に親しかった知人や友人も招くのが一般的です。
故人と親しかった友人や知人の範囲は施主の判断によりますが、火葬の際にお骨上げを一緒にした人は一周忌法要のときにもお声かけすると考えておきましょう。
3.僧侶に読経を依頼する
法要では僧侶に読経をあげて頂く必要があるため、菩提寺に連絡をとり読経を依頼します。
菩提寺がない場合には葬儀を執り行ったときの葬儀社に相談すれば、適切な宗派の僧侶を紹介してもらえます。
4.開催場所を決める
法事の開催場所を決定します。
法要を菩提寺で執り行う場合は、その後の会食は料亭やレストランなど開催場所を別途設けます。自宅や斎場で行う場合は、法要と会食を同じ場所にもできます。
お呼びする人の人数や状況にあわせて決定しましょう。
5.案内状を出す
法事に参列して頂きたい人に向けて案内状を送付します。
案内状をお送りするときには返信ハガキも同封しておくと、参加の有無が確認しやすくなります。返信ハガキを同封しない場合でも、電話やメールなどで必ず相手から参加するかどうかの確認をとってください。
案内状の書きかたは後ほど詳しく説明します。
6.会食のメニューを決める
法事の会食は和食が一般的です。食品アレルギーにも配慮し、高齢者でも食べやすいメニューを考えましょう。
またコロナ禍の影響により、最近では法要後に会食を行わないケースが増えてきています。その場合にはお持ち帰り用の折詰を別途用意してください。
7.引き出物を準備する
法事に参列して頂いた人に当日お渡しする引き出物を準備します。
法事の引き出物は「消えもの」と言われる食品や消耗品を選ぶのが適切です。以下のような品物が引き出物として多く用いられています。
- 和菓子
- 日本茶・コーヒー
- 調味料
- タオル
- カタログギフト
8.卒塔婆の手配をする
卒塔婆とは、お墓の背後に立てられている文字の書かれた細長い板のことです。
卒塔婆は菩提寺が準備するため、卒塔婆を立てたい施主や親族は菩提寺にあらかじめ連絡して準備をしてもらう必要があります。
法事の案内状をお送りするときに、卒塔婆についても意向を確認しておいた方が良いでしょう。
なお浄土真宗は卒塔婆を立てる習慣がないため、宗派が浄土真宗の人は不要です。
9.供物・供花の準備をする
法要の祭壇に備える供物(くもつ)・供花(きょうか)の準備をします。
法要を菩提寺や斎条で行う場合には供物や供花もおまかせできますが、自宅等で行う場合には自分たちで準備が必要です。
10.お布施を準備する
読経を行う僧侶には、法要当日に謝礼として「お布施」をお渡しします。
一周忌法要のお布施の相場はおおむね3~5万円です。三回忌法要から先は1~5万円と、年月の経過により少しずつ金額が下がるのが一般的です。
法要の開催場所や状況により、お布施とは別に僧侶へお車代やお食事代を渡すケースもあるため、あわせて準備しておきましょう。
11.墓の掃除をする
法事を菩提寺以外の場所で開催する場合にはお墓のこともつい忘れがちですが、法事に参列する人が法事の前後にお墓参りにも行く可能性が濃厚です。
汚れて雑草だらけのお墓のままでは、故人や家族が恥ずかしい思いをしてしまいます。お墓の掃除は法事の前に必ず行い、新しいお花も供えておきましょう。
お墓の掃除に持参すると便利なグッズや、お墓に備える花の種類については以下で詳しく解説しています。
法事の案内状の書きかた
葬儀と同様に、法事は厳粛な儀式の場です。
失礼がないように法事の案内状の書きかたにも気を配りましょう。
法事の案内状に書くべき内容
法事の案内状はフォーマルを意識して、頭語である「拝啓」や結びの「敬具」を使ったきちんとした文体で書く必要があります。時候のあいさつ文も忘れずに書き添えましょう。
また法事の案内状では「、」「。」を書かない決まりがあります。改行やスペース空けにより読みやすく工夫しましょう。
以下の項目は法事の案内状に記載する必要がある内容です。
・法事の種類(何の法要か)
・故人の氏名
・日時
・場所(法要)
・場所(会食)
・出席可否の確認
・施主の氏名
一周忌法要の案内状文例
以下は一周忌法要の案内状の文例です。他の法事にも応用して自由にご利用ください。
拝啓 皆様におかれましてはご清祥のこととお慶び申し上げます
下記のとおり 亡き(故人の氏名)の一周忌法要を執り行いますので
ぜひご列席くださいますようお願い申し上げます
日時:○年○月○日 午前○時○分より
法要場所:○○
住所:○○
電話:○○
なお法要後にささやかながら供養の粗宴をご用意しております
会食場所:○○
住所:○○
電話:○○
誠に恐縮ではございますが ○月○日までに同封の葉書でご都合をお知らせ頂ければ幸いです 敬具
令和○年○月○日
施主 (施主名)
まとめ
今回は法事の準備のしかたについて解説しました。
法事は、節目節目にあらためて故人を思い出し、故人の供養を祈る行事です。
落ち着いた気持ちで故人と対面できるように、きちんとした準備をしましょう。
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