仏教では故人が亡くなった日を命日と呼び、お墓参りや法要を行うことで故人を弔います。「これをやらないといけない」という決まりはありませんが、一般常識としてやってはいけないマナーもあるので注意が必要です。
今回は祥月命日と月命日で執り行う行事と、「命日でやってはいけないタブーな行為」についてそれぞれ解説していきます。
目次
命日とは
「命日」は、個人が亡くなった月日のことです。
亡くなった月と日が一致する「祥月命日(しょうつきめいにち)」と、日にちのみが合致する「月命日(つきめいにち)」の2つに分かれます。
年に1回訪れるのは「祥月命日」
祥月命日はいわゆる一般的な命日のことです。故人が10月1日に亡くなった場合、毎年10月1日が祥月命日になります。
「祥月」とは逝去した日の1年後からの逝去月のことです。命日は逝去したその日を指すため、その2つを合わせて「祥月命日」と呼ばれるようになったそうです。
毎年ある祥月命日ですが、区切りの年には「追善法要」「年忌法要」といって僧侶が法要を執り行います。
葬式のあとは初七日、四十九日、一周忌、三回忌と続き、その後は3と7にまつわる年に年忌法要を行うのが一般的です。
三十三回忌まで進むと「弔い上げ」になり、年忌法要が終わる家庭が多いですが、地域によっては五十回忌まで行う家庭もあります。
逝去月を除いて訪れる「月命日」
月命日は個人が逝去した日にちと同じ日であり、かつ祥月命日を除いた日のことです。亡くなったのが10月1日なら、10月以外の毎月1日が月命日になります。
年に11回も訪れる月命日では祥月命日のように追善法要は行わないことが多いですが、お墓を清掃したりお供え物を供えたりして個人を偲ぶことは行われます。
祥月命日に行うこと
祥月命日では故人を偲んでさまざまなことを行うのが一般的ですが、絶対にこれと決まっていることはありません。
ただ、できる限りのことをすることで故人の追悼につながります。ここでは一般的な祥月命日の行事について見ていきましょう。
法要
仏教では一周忌・三回忌・七回忌・十三回忌など、一定の年数で冥福を祈る法要を行います。
法要では僧侶にお経をあげてもらいます。
なかでも逝去した翌年の一周忌では個人と縁の深い方を招待して法要を行います。
亡くなって日が浅いことから故人に手を合わせたい方も多く、思い出話にも花が咲くでしょう。
よって、一周忌は年忌法要の中でも特に重要とされています。
お墓参り
祥月命日の当日はお墓参りをするのが一般的です。
遠方に暮らしていてひんぱんにお墓参りが難しいとしても、祥月命日では家族総出でお墓参りをする方もいるでしょう。
もし命日の当日に予定が合いそうもない場合は、週末など別の日にずらすことも可能です。
卒塔婆供養
家庭によっては、卒塔婆供養を行うこともあります。
「卒塔婆」はお墓の後方に置く木の板のことで、梵字・戒名・逝去した日付などが墨で書かれています。仏教における自然観の5要素を表現した形をしているのも特徴です。
卒塔婆を立てることで個人の冥福を祈ることに繋がります。
以前から立ててある卒塔婆がたまって古くなっている場合には、お寺に依頼してお焚き上げも行います。
月命日に行うこと
一般的に月命日では祥月命日のように行事が組まれることは少なく、供養を行うとしても親族でも関係の濃い人たちだけで小規模に行います。
故人が好んでいたお菓子、酒、花などのお供え物や線香を仏壇に供えることが多いですが、お供えせずに手を合わせるだけでも供養につながります。
ただ、可能であれば祥月命日だけでなく、月命日にもお墓を掃除したいものです。日頃から綺麗な状態にしているとしても、命日と月命日には改めて掃除をすると良いでしょう。
命日にやってはいけないこともある
命日の法要やお供えは故人を偲ぶために行われるものであり、決まりではありません。とはいえ一般的に「これはやってはいけない」とされるマナーもあります。
ここでは命日の法要などでやってはいけない一般的なマナーを紹介します。
急に法要の日程を決めること
命日の法要を開催する側は、案内状をできるだけ早く送ることがマナーです。年に1回の祥月命日では急に案内を送っても予定が合わずに参加できないこともあります。
一般的には命日の法要までに1ヶ月程度の余裕をもって案内を出すと良いとされます。
案内状を受け取った側も、スケジュールが分かり次第すぐに返信を出すことがマナーです。
参加者が早めに分かれば、法要を行う側も当日の準備をスムーズに進められます。
殺生をイメージさせるお供え物
仏教では「殺生をしてはいけない」という教えがあり、殺生をイメージさせるものは避けるべきとされています。
もっともイメージしやすいのは「肉」「魚」です。命日に限らず、肉や魚を供えることは避けましょう。
お墓に飲みものをかける行為
ご先祖様が好きだったジュースやお酒などをお墓にかける行為はやってはいけません。
ドラマや漫画で行われているシーンもあり、供養に繋がると思いがちですが、虫が寄ってくるうえにお墓の痛みも早くなります。
飲みものはかけるのではなく、コップに入れてお供えするべきです。
生菓子を供えること
定番のお供え物といえばお菓子ですが、生菓子は傷みやすく賞味期限が短いので、お供え物には適していません。
比較的日持ちがする焼き菓子がおすすめで、クッキーやカステラがお供え物として人気です。
大きい・重いお供え物
殺生に関係ないとしても、大きいものや重くてかさばるものはお供えしないほうが賢明です。
必要以上に大きなお菓子の詰め合わせや一升瓶では、遺族に悪印象を持たれることになるかもしれません。
お菓子の詰め合わせの大きさで迷ったときは店舗で相場を確認するなど、遺族への配慮を忘れないようにしたいものです。
偶数のお線香
祥月命日や月命日でも、故人の冥福を祈るために必要不可欠な「お線香」ですが、線香をあげる際は「奇数」が良いとされています。
偶数のお線香は避けましょう。
棘(とげ)やつるのある花
日本では一般的に白・黄色・青・紫などの色が供花に適しているとされます。ただ、色がよくても命日のマナーとして選んではいけない花もあるので注意が必要です。
たとえば「棘(とげ)のある花」「つるのある花」「においが強い花」「花粉が飛びやすい」などの特徴がある花はお供え物としては不適当とされます。
最近は自由に花を選ぶ風習が広まりつつありますが、なるべく上記の花は避けたほうが無難でしょう。
花選びが不安なら、菊の花や白を基調としたシンプルな花を選ぶのがおすすめです。
派手な服装
命日に限らず、お墓に訪れる際は華美な格好や匂いのきつい香水などは避けるのがマナーです。
喪服ではないとしても地味な色の服装を心がけ、女性は化粧や香水を必要最小限にとどめるのが良いとされています。
今回紹介した「やってはいけないマナー」は、ごく一部です。以下の記事ではお墓参りのマナーについて幅広くまとめているので、この機会に合わせてご覧ください。
【お彼岸】お墓参りのマナーを徹底解説|時期や時間・服装・持ち物などのNGと対処法まとめ
祥月命日や月命日では一般常識として「やってはいけない」という行為があります。「派手な服装にはしない」「つるやにおいの強い花は避ける」というのは命日だけでなく葬祭行事全般で避けるべきことです。
命日の場にふさわしくないことをしてしまうと、他の参列者からの印象も悪くなります。
命日は厳粛な場ですから、あとから指摘されないためにもふさわしいマナーを調べておきましょう。
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