会社で所属していた社員が亡くなった場合、功労の意味を込めて「弔慰金」を贈る場合があります。
また、葬儀に関するお金といえば他にも香典があります。お金の入れ方など似通ったマナーもありますが、そればかりではありません。弔慰金は振込でお金を贈ることもあるため、マナー上の注意点もあります。
今回は、弔慰金についての基本をおさらいしつつ、封筒(不祝儀袋)に入れるときのポイントを解説します。
目次
弔慰金とは
弔慰金は「ちょういきん」と読み、会社員や公務員などが亡くなった場合に所属する企業・組織から渡されるお金のことです。
弔慰金は「死者を『弔う』」「遺族を『慰める』」という意味があり、故人本人ではなく、遺族に渡されます。
社員が亡くなった場合だけでなく、社員の家族が亡くなった場合にも支払われることがあります。
弔慰金と香典の違い
香典とは、線香やお花の代わりとして故人にお供えする金品のことです。
昔は線香をそのままあげていたのですが、現在では遺族の葬儀費用を少しでも助ける思いやりの気持ちから現金を渡す方法が一般的です。
一方の弔慰金は、会社や組織が故人の功労の意として遺族の方に渡すものです。扱いとしては給与や賞与と同様、会社が正式に払うものとされます。
まとめると、以下のとおりです。
- 故人の霊に供える金品:香典
- 遺族に渡される金品:弔慰金
また、渡すタイミングも異なります。
香典は葬儀に持参しますが、弔慰金は葬儀が終わったタイミングなどで渡されることが一般的です。
弔慰金の封筒(不祝儀袋)とは
弔慰金は普通の封筒では決して贈らず、不祝儀袋(ぶしゅうぎ袋)に入れて渡す方法が絶対のマナーです。
不祝儀袋は、葬儀や法事で金銭を送る際に金銭を納めておく封筒のことです。
不祝儀袋は、別名で「香典袋」と呼ばれることも珍しくありません。違いとしては「香典」は仏教用語であるということです。
不祝儀という言葉であれば、宗教や宗派に関係なく利用できます。
弔慰金の封筒への入れ方
弔慰金を封筒(不祝儀袋)に入れる際は適当に入れてよいのではなく、香典と同じようにマナーがあります。
ここでは弔慰金を渡す前に封筒に入れる場合のマナーを見ていきましょう。
お札は表面左側が上になるように
葬儀全般に言えることですが、現金で弔慰金を渡すには一定のマナーがあります。
弔慰金にお金を入れる場合、「封筒を開いたときにお札の表側がくるようにする」のが基本です。
まずはお札の表裏について理解しておく必要があるということです。
裏表については以下のとおりに把握してください。
- お札の肖像があるほうが表
- 描かれていないほうが裏
まずは肖像が描かれている表面が上になるようにしましょう。
さらに数字の向きにも注意が必要です。お札を縦にして封筒に入れることになりますが、ことのとき肖像が下、数字が上にくるようにします。
封筒や中袋を表向きで見た時、お札を裏向きして入れるのがマナーです。」
お札の上下に関しては、中袋や封筒の底にお札の下が来るようにしましょう。
弔慰金では新札を避ける
香典や弔慰金では、新札を使うことを避けるべきというマナーがあります。
「亡くなることを事前に予想していたと思われる」といった良くない印象を与えるためです。
身の回りに新札しかない場合は一度折り目を入れるなど、キレイな状態を崩してから封筒に包むようにしてください。
渡し方で中身の入れ方が変わる
弔慰金は香典と違って現金で渡す場合のほか、振込で贈る場合もあります。
現金で渡すか振込で渡すかで中身の入れ方が異なる点に注意が必要です。
現金で渡す場合
現金で渡す場合、中袋の中にお札と目録を入れて直接渡します、
「中袋を外袋に入れること」「外袋に水引をつける」のは後述する振込みの場合も変わりません。
なお、水引の色については包む金額の大小で変わります。
一般的な金額と水引の色の組み合わせは以下のとおりです。
- 銀色のみ(双銀):50,000円以上
- 黄白:10,000円~50,000円
- 黒白:1,000円~10,000円
5,000円未満であれば、印刷された黒白の水引で構いません。それを超える場合はキチンとした水引を使うのが礼儀です。
振込で渡す場合
振込で弔慰金を渡す場合、弔慰金としては目録が入った不祝儀袋を渡します。
目録は「中入れ」とも呼ばれ、実物の代わりに商品名だけを記して贈るもののことです。
文房具店に目録用の用紙が売っていますから、それを使えば簡単です。
また、「奉書紙」でも簡単に作れます。奉書紙を縦に二つ折りにし、輪になった部分を下にして左右三つ折りにするだけで完成します。
三つ折りになった目録を開き。向かって右側に大きく「目録」と書きます。
中央には金額と日付が入ります。
振込み日と目録を渡す日が離れている場合、日付は振込み日を記載する方法が一般的です。
左には差出人に当たる会社名と贈る方の名前を書きます。
なお、贈る方の名前は故人ではなく遺族の名前になる点には注意が必要です。
目録を上包みに入れたあとは、そこにも目録と書いたうえで水引をつけましょう。
弔慰金の封筒(不祝儀袋)の書き方
ここでは、弔慰金を包む封筒(不祝儀袋)の表書きなどの書き方を解説します。
基本的に薄墨を使って書きますが、和紙を使っている不祝儀袋の場合は文字がにじんで読めなくなることも考えられます。
見やすさを優先するなら、薄墨ではなく、普通の墨でも問題ありません。
表書きの書き方
現金で渡す場合と振込みで渡す場合で表書きの書き方が異なる点に注意しましょう。
現金で渡す場合、表書きには「弔慰金」と書きます。
不祝儀袋を香典袋ということもありますが、御香典・御霊前などとは書きません。
振込の場合はお金が封筒に入っていないので、「目録」と書くこともあります。
中袋の書き方
中袋には、中に包んだお金の金額を記入します。
旧字体の漢字を記入することは香典と変わりません。
また金額の上には「金」と記載することも忘れないようにしましょう。
もし5万円なら「金伍蔓圓」といった具合です。
弔慰とは何か|弔意との違いとそれぞれの使われ方・弔慰が付く用語の解説 遺族へ支給される「弔慰金」とは|税制や死亡退職金との違いを解説まとめ
今回は弔慰金についての基本をおさらいしつつ、封筒(不祝儀袋)に入れるときのポイントを解説しました。
香典と同様に「お札の向き」「包み方」「旧字体を使う」など基本的なマナーのほか、振込の可能性もある弔慰金ならではのマナーも欠かさず覚えておく必要があります。
弔慰金を包むマナーを理解したうえで、故人とのお別れの場に向かうようにしましょう。
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