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暗号資産(仮想通貨)の相続で起こり得る4つのリスク・4つの相続対策

この記事のサマリ
  • 暗号資産(仮想通貨)の相続には4つのリスクがある
  • 暗号資産の相続により理論上では最大110%の税金が発生する
  • 暗号資産の保有者が生前からできる4つの相続対策を紹介

暗号通貨は価格変動が大きい、ハイリスク・ハイリターンな金融取引です。

この記事をお読み頂いている人の中にも、暗号資産への投資で多大な利益を上げた人がいるかもしれません。

暗号資産は現金や他の金融資産と同じように相続ができますが、実は暗号資産の相続には他の金融資産を相続するときにはない、あるリスクがあります。

今回は暗号資産の相続について解説します。暗号資産を保有している人はぜひ参考にしてください。

暗号資産(仮想通貨)は相続財産の対象

暗号資産のコインのイメージ

暗号資産とは、世界中に存在する多数のコンピューター(サーバー)上で分散管理されているデジタル資産です。

通貨や証券のように目には見えませんが、暗号資産も経済的価値がある財産の一種だと見なされています。暗号資産が値上がりしたときには所得税がかかり、暗号資産を持っていた人が亡くなったときには相続の対象になります。

なお、インターネット上で管理する財産は暗号資産以外にもネット銀行の預金、ネット証券の株式などがあります。ネット銀行・ネット証券で保有している資産も暗号資産と同じく相続の対象になることも知っておいてください。

クラウドデータは相続の対象になる|生前のデジタル終活がリスク回避のカギ

暗号資産と仮想通貨の違い

暗号資産という言葉を聞いた人の中には「仮想通貨と何が違うの?」と疑問に思った人がいるかもしれません。

実は、暗号資産と仮想通貨は同じ意味です。2010年代には仮想通貨という名称が一般的でしたが、2020年に金融商品取引法が改正されたのを機に、法律上の名称が暗号資産に統一されました。

参考 金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案金融庁

現在でもまだ暗号資産を仮想通貨と呼ぶ人は多いですが、本記事では法律上の名称にのっとり「暗号資産」と呼ぶこととします。

暗号資産の相続手続きの流れ

相続と書いたブロックとさまざまな遺産のイメ^時

暗号資産を保有している人が亡くなったときの相続手続きの流れは、基本的には銀行に預けている預貯金と同じです。

暗号資産は銀行ではなく、インターネット上の取引所(交換所)の口座で管理されています。相続人が暗号資産を相続するときには、取引所のカスタマーセンターに連絡の上、相続手続きに必要な書類を郵送で提出し、以下いずれかの方法で払い戻しを受けます。どちらの方法がとられるかは取引所によります。

  1. 日本円に換金して受け取る
  2. 相続人の暗号資産口座に移管する

銀行預金を相続するときの流れは以下の記事で説明しています。

遺産相続手続きを丸ごと解説|スムーズな手続きのため今からできる対策とは

暗号資産の相続にはリスクがある

RISKと書いた箱の上に乗る男性の人形

この記事の最初にお伝えしたとおり、実は暗号資産の相続には、他の金融商品の相続では存在しないリスクがあります。

暗号資産を持っている人、家族の誰かが暗号資産を持っている人は、将来に発生するかもしれない相続リスクをあらかじめ理解しておきましょう。

1.評価額が相続発生時を基準にしている

一般的な株式の相続では、評価額は亡くなった人(被相続人)が株式を購入した時点での金額を元に算出されます。

しかし暗号資産の相続においては、評価額は被相続人が亡くなった日(相続発生日)の金額を元に算出される決まりです。

暗号資産は乱高下が激しい金融資産です。もし相続発生時点で暗号資産が一時的に高騰していて、その後すぐに暴落したとしても、相続税の算定は高騰していたときの評価額が基準になります。

2.相続税の延納・物納ができない

相続税は相続発生日から10ヶ月以内に納付する義務があります。

相続した暗号資産を売却すれば金銭は捻出できますが、海外の取引所で取引していた暗号資産の売却には日数を要するケースがあります。相続財産の中に暗号資産が含まれていることに気づくのに時間がかかっていたりすると、相続税の申告や納付に間に合わないかもしれません。

さらに、暗号資産は相続税の分割払いをする「延納」や、暗号資産をそのまま税金として納付する「物納」が認められていません。相続税の納付をしたくても納付できないといった事態が起こり得ます。

3.売却時の所得が雑所得になる

相続した株式を売却したときには、売却益は譲渡所得となり一律20.315%の税金がかかります。それに対して暗号資産を売却したときの売却益は雑所得なので、所得が増えるほど税率が上がり、最大で55%もの税金が発生します。

この場合の所得とは、給与などの年間収入を合算した合計所得を指します。つまり暗号資産の売却益がいくらかは関係なく、収入がある人ほど税金が高くなる仕組みです。

4.取得費加算の特例が適用できない

相続によって得た不動産や株式などを売却したときには所得税がかかりますが、相続発生日から3年10ヶ月以内の売却であれば所得税の計算時に「取得費加算の特例」が適用できます。

取得費加算の特例とは、相続の際に支払った相続税の一部を取得費用として売却益から差し引くことができる制度です。最終的な利益が減るため税金が安くすみます。

しかし暗号資産の売却時には取得費加算の特例が適用できません。取得費加算の特例は、譲渡所得にしか対応していないからです。

暗号資産の相続により最大110%税金がかかる

驚く人の横顔

上記で説明した4つのリスクのうち、売却時の所得が雑所得になるリスクと、取得費加算の特例が適用できないリスクは、税金の計算をするときに非常に重要になります。

この2つのリスクを掛け合わせると、暗号資産には相続税と所得税の二重課税が発生することになり、理論上では最大で110%の税金が発生することになるのです。つまり、相続で得た暗号資産よりも納税する額の方が高いという結果になります。

税率が合計110%になるのは暗号資産の評価額が6億円を超えていることが条件なので、すべての暗号資産の相続で110%の税金が発生するわけではありません。

ただ暗号資産は突然に何十倍にも高騰する可能性があるハイリターンな投機なので、少額で購入した暗号資産が6億円以上になるといった事態も、決して夢物語ではありません。

しかし、暗号資産が高騰して大喜びしても、実は将来の相続によって家族にそれ以上の負債を背負わせてしまう危険性が隠れているのです。

暗号資産の保有者が生前からできる相続対策

新札の1万円の束を持ち上げる6人の人

暗号資産の取引でせっかく財産を積み上げても、税金によって家族を苦しめる原因になっては元も子もありません。

暗号資産を持っている人は、今のうちから将来に備えた相続対策をしておきましょう。

以下からは暗号資産の保有者が生前からできる相続対策を4つご紹介します。

1.取引所と保有銘柄を一覧にしておく

暗号資産は取引所の口座情報に加え、パスワードや秘密鍵などのアクセス情報がないと資産が動かせません。

他の金融情報と同じく、暗号資産の保有状況についてもエンディングノートなどに記載しておきましょう。記載すべき情報は以下のとおりです。

  • 取引所の名称
  • 登録メールアドレス
  • 保有している暗号資産の銘柄
  • 管理端末の置き場所(ハードウェアウォレット利用に限る)

パスワードや秘密鍵はエンディングノートには決して記載せず、信頼できる人にだけ別の方法で伝えておいてください。

2.海外取引所から国内取引所に移管する

暗号資産の海外取引所は取扱銘柄も多く、高いレバレッジが使えるなどのメリットもありますが、相続の手続きは非常に煩雑で面倒です。

国内取引所では対応できないマイナーな暗号資産(草コイン)は除き、移管が可能なコインは国内取引所に移管しておいた方が、いざ相続が発生したときの手続きがスムーズになります。

3.レートが低いタイミングで生前贈与する

暗号資産の評価額は相続発生日の価額を元に計算されるため、相続発生日のレートがいくらになるかは誰にもわかりません。

しかし生前贈与であれば、評価額は生前贈与の契約をした日のレートで計算できます。レートが低いときを狙って少しずつ生前贈与していけば、相続税と所得税の二重課税を防ぐことができます。

生前贈与については以下の記事もあわせて参考にしてください。

上手な生前相続のやり方4選|節税しながら好きな相手に確実な財産譲渡を

4.口座を解約し換金する

上記3つの対策を取っていたとしても、暗号資産の相続はやはり手続きが大変で、リスクも変わらず存在します。

もし暗号資産の存在が家族に大きな負担を与えそうだと考えられる場合は、いっそ暗号資産の口座を解約し、日本円に換金しておくのも一案です。現在の値動きや将来的な予測も十分に加味した上で、暗号資産の口座を維持するかどうか検討してください。

まとめ

ビットコインとチャート

今回は暗号資産の相続について解説しました。

暗号資産はハイリターンが期待できる一方、ハイリスクでもあります。それだけでなく暗号資産は相続においてもリスクがプラスされます。

暗号資産の取引をしている人は、せっかくの儲けが相続のときに台無しにならないよう、万全の相続対策をしながら慎重に取引を行ってください。

ライター紹介 | 杉田 Sugita
終活カウンセラー2級・認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。

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