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遺産分割による相続トラブルを回避するための方策とは|遺産分割の基本からチェック

この記事のサマリ
  • 遺産分割とは相続人全員が話し合って相続財産を分け合うこと
  • 話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所で調停や審判をすることも
  • 生前に分割方法を取り決めておくと円満に遺産分割できる

親族など身近な人が亡くなった後には、その故人が所有していた現金や預金、不動産などの資産が原則として指定された相続人に引き継がれます。

相続人が複数人いる場合には、相続人全員が納得できるような形で遺産を分け合わなければなりません。

遺産の独り占めや、故人や他の相続人の意向を無視して偏った遺産分割を強行してしまうと、その後の縁戚関係にもトラブルが生じる可能性があります。

今回は遺産分割の方法や、遺産分割で相続トラブルを起こさないために有効な手段などについて解説します。

遺産分割とは

まずは、一般の人にはあまりなじみのない「遺産分割」の意味についてご説明します。

遺産分割とは、相続人に指定された人全員が話し合い(協議)の上で、誰が・どのくらい・どの遺産を分け合うかを決定することです。

遺産分割が完了するまでは、故人の遺産は処分することができません。不動産などの資産も、相続人のひとりが勝手に売却してはならないことになっています。

また、遺産分割協議は相続人全員合意が原則です。相続人として指定されている人の中に、未成年や認知症患者、その他判断能力に欠ける人がいたとしても、その原則は変わりません。したがって、未成年の場合は未成年後見人、認知症の方などには成年後見人を家庭裁判所に選任してもらわなければ、遺産分割協議はできません。

遺産分割の流れ

それでは、具体的な遺産分割の流れについて見ていきましょう。

以下の流れは一般的な順序に沿ってご説明しますが、遺産分割のやり方は特に法律上で定められているわけではありませんので、状況により順番が前後しても構いません。

また、いつまでに遺産分割をしなければいけないという定めはありませんが、相続税は故人が亡くなったことを知った日から10ヶ月以内に納付しなければならないため、遺産分割もそれ以前には決定する必要があります。

遺言書の確認

最初に確認しておきたいのが、遺言書の有無です。

遺言書は基本的に法定相続(民法で定められた相続人とその相続)よりも優先して考えられるため、もし故人の遺言がある場合には、遺産分割協議の前にそれを確認しておく必要があります。

なお遺言書には法律上の規定があり、遺言書がもし発見されても、それが法律上で有効な書面なのか無効な書面なのかを判断するため、家庭裁判所において検認を行うケースがあります。

相続財産の確認

次に、相続の対象となる故人の所有財産を確認します。

遺産分割の対象となる財産には、主に以下のようなものが挙げられます。不動産や動産については、相続が開始された時点の評価額により価値を計算します。

  • 現金および預貯金
  • 土地・建物などの不動産
  • 自動車・貴金属類などの動産
  • 有価証券
  • 借金(マイナスの遺産)

相続財産を確認して、もしマイナスの遺産の方が大きい場合には相続放棄を選択することが可能です。

ただし、相続放棄の宣言ができるのは相続の開始を知ってから3ヶ月以内です。

相続人の確定

相続財産が確認できたら、次にその財産を「誰が」受け継ぐかを確定します。

故人が遺言書を残している場合を除き、相続人候補となるのは原則として民法で定められた法定相続人です。

故人に配偶者がいる場合、配偶者は必ず法定相続人となります。

さらに故人の子、子がいなければ故人の両親や祖父母などの尊属、尊属もいなければ故人の兄弟姉妹が配偶者とともに法定相続人となります。

なお、相続対象の配偶者として認められるのは、婚姻届を提出している法律上の配偶者のみです。事実婚や内縁関係の妻(夫)は、法定相続人として認められません。

事実婚などのパートナーに財産を相続させたい場合には、パートナーに財産を遺贈する旨を書いた遺言書を作成する必要があります。

遺産分割協議

相続財産と相続人がはっきりしたところで、遺産分割協議が開始されます。

円満に遺産分割を行うためにも、遺産の独り占めや過度な要求は避け、全員が納得できるよう互いに譲歩しながら話し合いをするのが望ましいでしょう。

遺産分割協議は、必ずしも相続人全員が一堂に会して行う必要はありません。手紙やメールを使った意見の表明でも有効です。

言い間違いや聞き間違いのトラブルにならないように、電話でのやりとりではなく、証拠が残る書面でのやりとりをおすすめします。

遺産分割協議書の作成

遺産分割方法に相続人全員が納得できたら、遺産分割協議書を作成します。
協議内容及び協議に合意した旨を記載し、相続人全員が自筆で署名し、実印にて捺印します。

この協議書には後々のトラブルを避ける目的もありますが、不動産や有価証券の名義変更時に必要になります。

遺産分割協議書がないと不動産の売却ができない可能性もありますので、スムーズに話し合いが終了したとしても、必ず作成しておきましょう。

遺産分割協議書は誰でも作成できますが、より安全性や有効性の高い書面にするなら、公証人に依頼して公正証書として作成することをおすすめします。

遺産分割協議がまとまらない場合には


全ての遺産分割協議がスムーズに解決できれば良いですが、中には話し合いが紛糾してしまうこともあります。

全員合意に至らなかった、相続人の中で分割方法に納得できない人がいる場合には、当人同士でいくら話し合っても埒が明きません。

第三者の仲裁により、早急な解決をめざした方がベターです。

ここからは、遺産分割協議がまとまらなかった場合の対処方法についてご説明します。

遺産分割調停

遺産分割調停とは、家庭裁判所が間に入って遺産分割の話し合いを行うことです。

相続人の中の誰か(1名もしくは複数名)が、他の相続人を相手方として遺産分割調停事件の申し立てを行います。

事件とは言っても、調停は基本的にスムーズな解決の仲立ちをするための手段です。調停人が当事者双方から事情を聴いて、必要に応じて資料などを精査した後、解決案を提示したり、必要な助言を行います。

遺産分割審判

上記の遺産分割調停でも話がまとまらず不成立になった場合には、遺産分割調停がそのまま遺産分割審判に移行します。

調停不成立の案件は、同じ家庭裁判所で自動的に審判へ移行しますので、改めて申し立てを行う必要はありません。

遺産分割審判では、裁判官が改めて遺産の詳細や権利の種類および性質、その他の諸事情を審査したうえで、分割方法の決定をくだします。

裁判官が審判をくだした結果、不動産の競売や財産の差し押さえなどが発生するケースもありますので、遺産分割審判では慎重な対応が必要です。

深刻な事態を避けるには弁護士に依頼・相談を

上記の遺産分割審判で不利益にならないためためには、弁護士などの専門家の力を借りた方が良いでしょう。

遺産分割で他の相続人と対立した場合、相手方に弁護士がついていると、明らかに状況は不利になります。

また、通常の遺産分割協議や遺産分割調停の場でも、第三者のアドバイスやサポートを受けながら話を進めることで、当事者同士の話し合いによる深刻な事態を回避することができます。

多くの人にとっては弁護士に依頼するのはハードルが高くて気おくれしてしまいますが、自分自身を守るため、親族との関係性を壊さないための方策として考えましょう。

遺産分割時のトラブルを避けるためには


しかし、本当にトラブルのない遺産分割をしたいと思うなら、一番有効な対策は「事前の話し合い」です。

当人の生前に家族や親族と遺産の分割方法を取り決めておくことで、相続→争続になるリスクは大きく軽減できます。

取り決めの内容はエンディングノートや書面、データなどに残しておけば、いざという時にも相続人全員が再確認して納得できます。

遺言書にしておけば、さらに安心です。

自分の死後に遺された家族が遺産分割によってわだかまりを残さないよう、今からできる相続対策をはじめましょう。

監修 | 行政書士 橋本玲子
行政書士事務所経営。専門は知的財産ですが、許認可から相続まであらゆる業務を行っています。また、遺言執行や任意後見関係を専門とする社団法人の理事もしています。アドバイスや業務遂行でお客様の問題が解決するととても嬉しくやりがいを感じます。行政書士ほか、宅地建物取引士、知的財産管理技能士2級の資格所持。

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