- 老後の仕事に求めるのは「経験を活かすこと」
- 経験を活かせる仕事の方がストレスが少ない
- 「異業種×同職種」の方が「同業種×異職種」より再就職が楽
- シニア向け求人媒体は複数チェックする
日本では近年、老後も働く人が多くなっています。
世界トップクラスの長寿国である一方、「貯蓄だけでは老後の生活が不安」という方が多数派です。そういったシニア世代の多くは、再就職・再雇用を選択しています。
シニアが再就職先を決めるときに重要視する基準のひとつが、「これまでの経験を活かせる仕事かどうか」です。しかし、シニア世代を雇用する企業の中には、シニアに簡単な業務を担当させるところも少なくありません。
そこで今回は、これまでの経験を活かし、老後もやりがいを持って働くにはどうすればいいかをご紹介します。
目次
老後の仕事に求める働きがいランキング
下の表は、「日本政策金融公庫 総合研究所」の働くシニア世代に関するレポートを参照して作成した、定年前と定年後の働きがいランキングです。
定年前と定年後の働きがいランキング
定年前の働きがいTOP5 | 割合 | 定年後の働きがいTOP5 | 割合 |
---|---|---|---|
【1位】自分の業績が給料に反映する・昇給する | 33.8% | 【1位】その他(あてはまるものはない) | 27.9% |
【2位】顧客に喜ばれる | 30.9% | 【2位】顧客に喜ばれる | 26.0% |
【3位】会社の業績が上がる | 28.0% | 【3位】自分の培った能力が活かせる | 24.0% |
【4位】会社が社会や顧客から高く評価される | 25.4% | 【4位】自分が納得する出来栄えの仕事ができる | 16.8% |
【5位】業務上の目標を達成する | 24.1% | 【5位】会社の業績が上がる | 16.8% |
※中小企業に勤務する60~64歳の男性が回答 複数回答可
参照データ:日本政策金融公庫 総合研究所|日本公庫総研レポート No.2017-5
定年後の働きがいランキングを見ると、1位はその他で回答にばらつきがあるのがわかります。2位の「顧客に喜ばれる」は、定年前ランキングと順位は変わらないものの数値を下げています。
そのため、上位にランクアップした「自分の培った能力が活かせる」が注目すべき生の声であると言えます。
定年前には業績や収入、周囲の評価を重要視する傾向がありますが、定年後は仕事内容への充実感を重要視する人が増えています。
老後も経験を活かして働きたい人が多い理由
誇りを持って働くことができる
現役時代から培ってきた経験を活かせば、老後も仕事に誇りを持って働くことができます。新しい職場でも早く仕事を覚えることができ、能力の高い人として重宝されるからです。
老後は雇用の待遇が変わりますし、一般的には職場での扱われ方も「変わった」と実感する方が多いようです。それまでの職場では上司や先輩として敬意をもって扱われたのに、新しい職場での再就職であれば、仕事を教えなければいけない新人として扱われるからです。
経験のある仕事であれば、新しい職場でも貢献できるようになるのが早く、「自分だからこそこの仕事が務まる」という実感もわきやすいのです。
ストレスが少ない
人は決断を下すだけで心理的に消耗するという研究があります。新しい職場で未経験の仕事に従事する場合、覚えることが多いだけでなく、何をどのようにすべきかという決断の連続で疲労困憊してしまいます。
その点、老後も経験のある仕事を続けると、仕事に慣れるのが早いだけでなく、決断による消耗が少なくなり、ストレスが軽減されます。
また、経験を活かした仕事であれば、できることが多いので、新しい職場でも必要とされ、居場所を作りやすくなります。周りに余計な気を遣わなくて済み、対人関係のストレスも少なくなります。
老後の仕事選び4パターン
老後の再就職で仕事先を選ぶとき、「これまでの仕事と同じ業界か違う業界か」「これまでの仕事と同じ内容の仕事か違う内容の仕事か」によって、4パターンの選択肢があります。
同業種 | 異業種 | |
---|---|---|
同職種 | ①「同業種」×「同職種」
例:電機メーカーA社の営業→電機メーカーB社の営業 |
②「異業種」×「同職種」
例:電機メーカーの営業→お菓子メーカーの営業 |
異職種 | ③「同業種」×「異職種」
例:電機メーカーの営業→電機メーカーの製造 |
④「異業種」×「異職種」
例:電機メーカーの営業→お菓子メーカーの製造 |
①「同業種」×「同職種」
同じ業種で同じ職種であれば、老後も現役時代の延長として働くことができます。
ただし、老後はこれまでと異なり、収入が減少する可能性があります。働き方改革で「同一労働同一賃金」というルールになりましたが、少しでも異なる条件であれば適用されません(残業可→残業不可など)。
同業種同職種での再就職・再雇用にも関わらず、収入が減ることでモチベーション維持が難しいようなら検討が必要です。
②「異業種」×「同職種」
一般的に、業種を変える転職の方が、職種を変える転職より難易度が低いと言われています。業種が違っても職種が同じなら、仕事内容にそれほど大きな違いはないからです。
③「同業種」×「異職種」/ ④「異業種」×「異職種」
職種を変えると、たとえ同じ業種内であったとしても、仕事内容がガラリと変わります。その場合、自分に合った仕事内容かどうかの見極めが重要になります。
当然ながら、一番難易度が高いのは異職種異業種への再就職です。
老後の再就職は現役世代の転職とは異なり、キャリアアップや収入増加を目的としない場合が多いです。そのため、老後の自分にとって負荷の少ない仕事かどうか、精神的に楽な仕事かどうかが重要になるでしょう。
老後も経験を活かして働く方法
できることとできないことを仕分けする
社会人になろうとする就職期に、自己分析は誰もが行ったことかと思います。この自己分析は、老後の再就職の際にも重要です。若い頃とは働くスタンスを変える必要があるからです。
若い頃には、多少の無理をしてもすぐに回復できたかもしれません。しかし、老後に無理をすれば、心身ともに大きなダメージになることもあります。
老後の仕事では、体力・気力の面で無理をしないことが一番です。そのため、自己分析をして、できることとできないことを仕分けすることが重要になります。
そこで、以下の項目を参考に、自己分析をしてみましょう。
- これまでの仕事をこれからもできるか
- どのくらいできるか
- 若い頃はできたけれど現在はできなくなったことは何か
- これまでの仕事とは違うけれど経験や能力を活かせる仕事はあるか
- これまでの仕事とは違うけれど昔からやってみたかったことはあるか
- 趣味や特技を活かせる仕事はあるか
- 抵抗を感じる仕事は何か
複数の求人媒体をチェックする
経験を活かして働くには、経験を存分に活かせる職場と出会うことが何より大切です。
そのためには、できるだけ多くの選択肢を用意することが肝心です。求人情報を探すときは、ひとつの方法だけに徹するのではなく、幅広く求人媒体をチェックしましょう。
近年の人材不足の影響で、求人媒体や窓口はますます幅広くなっています。「どこでも同じ」ということは決してありません。ハローワークでしか募集していない企業もあれば、クラウドソーシングでしか出会えない仕事もあります。
◆求人情報を得る方法
- ハローワーク
- 人材派遣会社への登録
- インターネットのシニア向け求人サイト
- インターネットのクラウドソーシングサービス(登録者が個人として仕事を受注する) 「ランサーズ」など
- 求人雑誌・求人フリーペーパー(スーパーやコンビニ、ファミリーレストランなどで無料配布)
- 知人・前の職場の紹介(働く意欲をアピールしておく)
キャリアカウンセラーに相談する
自分ひとりで老後の適職を見つけるのは難しい場合もあります。再就職活動が難航した場合は、キャリアカウンセラーなどの専門家に相談してみましょう。経験を活かせる職場を提案してもらえます。
- シニア歓迎の転職エージェントで面談を受ける
- 人材紹介会社で面談を受ける
- シルバー人材センターの面談を受ける
ただし、相談員の意見を絶対視してはいけません。専門家とはいえ、考え方の相性が合うかは別問題です。あくまで選択肢を広げてくれる存在と捉えましょう。
老後でもこれまでの経験を活かせる仕事
コンサルタント
コンサルタントとして企業や顧客の相談役となるには、知識や経験が必要です。第一線のプレイヤーからは退いても、豊富な知識・経験を活かせる仕事です。
講師・インストラクター
企業やセミナー、カルチャースクールの講師・インストラクターは、経験や知識、趣味や特技を活かせる仕事です。
技術職
電気技師や施工管理技士・大工などの技術職は、人材不足のため老後の再就職を募集している場合があります。時短勤務にしてもらったり、後続の教育係を担当するなど、体力面で働き方を調整できれば十分に活躍できる仕事です。
訪問看護師・ホームヘルパー
総合病院の看護師や特養ホームの介護士などは激務ですので、体力的な限界を感じて退職する人もいます。しかし、訪問看護師やホームヘルパーなら利用者と1対1で行う業務が多く、事務所に相談すれば無理のない訪問先を調整してもらえる場合があります。
Webライター
Webライターの仕事は、クラウドソーシングサービスで見つけて応募することができます。Webライターなら年齢は問われませんし、パソコンさえあればどこでも作業ができます。勤務時間に拘束されないため、シニアにも無理なく始められます。
金融業界や不動産業界、人材業界、IT業界などの知識は需要が多いため、それらの業界に携わった経験があれば、価値のある記事を執筆できます。
家事代行・ベビーシッター
女性の中には老後まで専業主婦をしていたという方もいらっしゃいます。専業主婦の経験・知識も家事代行や保育補助・ベビーシッターなどの仕事に活かせます。単身者や共働き世帯が増えたため、ニーズが増えている仕事です。
活躍の場はこれから増える
現在、日本は深刻な人手不足です。そのため、社会は経験豊富で意欲のあるシニアの労働力を求めています。
しかし、まだシニアの雇用を取り入れていない企業も多く、活躍の場が広がっていくのはこれからであると考えられます。働き方はどんどん多様化していますので、情報収集をこまめにするようにしましょう。
また、やりたいことが明確であれば、起業するのも選択肢のひとつです。
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