- ケアプランは介護計画を自治体に提出する書類のこと
- ケアプランは要介護者(要支援者)本人や家族が自己作成できる
- セルフケアプランの作りかたと注意点を解説
介護保険を使って介護サービスを受けるためには、まずケアプランを作成する必要があります。
ケアプランはケアマネージャーに頼めば無料で作成してもらえますが、自分たちで作成することもできます。
今回はケアプランの自己作成について解説します。ケアプランを自己作成するメリットやデメリット、作りかたや作成する際の注意点などを確認しましょう。
目次
ケアプランとは
ケアプランとはそもそも何でしょうか。
ケアプランは、要介護者(介護が必要な人)や要支援者(まだ介護は必要ないが心身に衰えが生じてきた人)が、介護保険を使って受けたい介護サービス・介護予防サービスを自治体に申請するための計画書です。正式名称は「居宅サービス計画書」と呼びます。
介護サービスや介護予防サービス自体は介護保険を使わなくても受けることができますが、介護保険を使えばサービス代金が原則1割負担で受けられます。
ですが介護保険の財源にも限りがあるため、介護保険が適用できる範囲は各人の状況により必要と判断される介護サービスのみです。
そのためケアプランを作成して、それぞれの要介護者がどのような介護サービス・介護予防サービスをどのくらい必要としているかを自治体に提示する必要があるのです。
ケアプランはケアマネ作成のケースが大多数
最初に申し上げたとおり、ケアプランはケアマネージャーが作成してくれます。
ケアマネージャーとは正式名称を「介護支援専門員」と呼ぶ介護の専門家です。介護が必要になった人の心身の状態や家族の状況に応じて適切な介護サービスを利用できるように、要介護者本人や家族の相談にのったり、自治体や介護サービス事業所との連絡・調整を行ってくれます。
ケアマネージャーの費用は全額介護保険から給付されるため、利用に際して費用を支払う必要はありません。ケアプランの作成もケアマネージャーの業務範囲に含まれているため、ケアプラン作成をケアマネージャーに依頼している人が大多数です。
ケアプランは自己作成できる
ケアプランはケアマネージャーに依頼すれば作成してもらえますが、要介護者・要支援者本人や家族が自分たちで作成することも可能です。
ケアマネージャーが作成するケアプランに対して、要介護者・要支援者本人や家族が作成するケアプランを「セルフケアプラン」と呼びます。
とはいえセルフケアプランを作成している人は、2018年時点で全体の0.05%とかなりの少数派です。
参考 セルフケアプランに関する調査三菱総合研究所ケアプランを自己作成するメリット
ケアプランの作成をケアマネージャーに依頼しても費用はかからないのに、なぜ自己作成をしている人が少数派ながらも存在するのでしょうか。
要介護者・要支援者本人やその家族がケアプランを自己作成する主なメリットは以下の3点です。
自分の希望どおりのケアプランにできる
ケアプランを自己作成する一番のメリットは、要介護者または要支援者と家族の希望が反映されたケアプランができることです。
ケアマネージャーがケアプランを作成する際にも、もちろん本人や家族の意向は反映できますが、遠慮や知識不足により意思伝達がうまくいかず、希望どおりのケアプランが作れないケースがままあります。
ケアマネージャーにも得意分野・不得意分野があり、担当するケアマネージャーによっては自分の得意分野に関わる介護サービスを勧める傾向も高くなりがちです。
ケアプランを自己作成することで、自分たちが本当に必要としている介護サービスやサービス事業者を選択できるようになります。
サービス開始や変更が迅速にできる
ケアプランを自己作成すると、そのケアプランに載っている介護サービスを提供している介護サービス事業者とのやりとりも自分ですることになります。
間にケアマネージャーを経由する必要がないため、ケアプランが完成してから実際に介護サービスを受けられるまでの時間が短縮できます。
またサービス内容を一部変更したいときや、スケジュール変更の際にも迅速に手続きができます。
介護保険の理解が深まる
ケアプランを自己作成することで、介護保険や介護サービスへの理解が深まる点も、ケアプランを自己作成するメリットのひとつです。
ケアプランを自己作成するためには、要介護度ごとの限度額や受けられる介護サービスについてきちんと学ばなくてはいけません。勉強の過程で介護に関する知識が増え、ケアマネージャーや介護サービス事業者と交渉をする際にも対等に話ができるようになります。
ケアプランを自己作成するデメリット
メリットとは逆に、ケアプランを自己作成する上では以下のデメリットも考えられます。
情報収集が面倒
ケアプランを作るためには、介護サービスや事業者などさまざまな情報が必要です。
地域にどんな介護サービスがあるのか、具体的にはどのようなケアをしてくれるのか、サービスを受けるための費用はいくらか、調べるべき内容は膨大です。
介護の専門家であるケアマネージャーは常日頃からのコネクションを使って情報収集できますが、自己作成の場合は自分たちでひとつひとつ情報を集めていく必要があります。
事務手続きが大変
介護保険適用を申請するための事務手続きも大変です。
自治体により一部異なりますが、一般的にケアプラン作成で必要になる書類は以下のとおりです。ほとんどの人は初めて見る書類なため書きかたにもとまどうでしょうが、書類に不備がある場合は不受理となったり給付が受けられなくなるケースも考えられるため注意してください。
- 居宅介護サービス計画作成依頼(変更) 届出書
- 居宅サービス計画書
- サービス担当者会議の記録
- 居宅サービス利用票(提供票)
要介護度に応じて介護サービスの限度額も変わるため、介護保険の範囲内で最大限のサービスを受けられるようにするには、サービスごとの細かい点数計算も面倒です。
セルフケアプランを敬遠する事業者がいる
ケアプランを自己作成している人の割合は1%にも満たないため、ほとんどの介護サービス事業者は地域のケアマネージャーとのやりとりを基本としています。
そのため利用者本人や家族から直接申し込みをしても、サービスは提供するが介護保険に関する内容はケアマネージャーを経由して欲しいと要望する事業者が少なくありません。
最適な介護にならない可能性がある
私たちの多くは、介護の専門家ではありません。
自分たちが一生懸命考えて最適な介護の計画を立てても、ともすれば素人の思いこみのケアプランとなり、大切な家族に的外れな介護サービスを受けさせてしまうかもしれません。
適切な介護サービス・介護予防サービスが受けられないと、状況によっては要介護度が上がる恐れがあります。ケアプランの自己作成にあたっては十分に注意してください。
セルフケアプラン(自己作成)の作りかた
ケアプランをケアマネージャーに依頼せず自己作成するときには、以下の流れで作成します。
ケアプランを自己作成するときの注意点
ケアプランを自己作成するときには、以下の3点に注意しましょう。
本人や家族と充分に話し合うこと
自分たちの望みどおりに介護してもらうために自己作成するケアプランなのに、その望みがはっきり定まっていなかったとしたら本末転倒です。
ケアプランを立案する前に、要介護者・要支援者本人や家族がどんな介護を望んでいるか、しっかりと話し合ってケアプランの目的を明確にしましょう。
特に忘れてはならない存在が、要介護者・要支援者です。家族が中心となってセルフケアプランを作成するときには、介護を受ける本人である要介護者・要支援者の意見がなおざりになってしまいがちです。
高齢だからといい加減な対応をせず、当人の希望を第一に考えたケアプランを立ててください。
専門家のアドバイスを受けること
デメリットの項でもお伝えしたとおり、介護の専門家でない人が立てるセルフケアプランは的外れなプランになってしまう危険性があります。
ケアプランを最終決定する前に、できるだけ多方面から外部のアドバイスを受けるようにしましょう。
地域包括支援センターでは作成途中のケアプランに関する相談も受け付けてもらえます。ぜひ積極的に利用してください。
常に見直しすること
ケアプランは、一度作成したら終わりではありません。
介護サービスが実際に開始されてからも、常にチェックする必要があります。
自己作成したケアプランに基づく介護が実際には不適切な介護だった場合には、ケアプランを見直して再作成しましょう。
また、高齢者の健康状態は日々変化します。心身の状態に変化が生じ、要介護度が変更された際には新たなケアプランを早急に検討してください。
まとめ
今回はケアプランの自己作成について解説しました。
大切な家族がこれから受ける介護サービスを充分に吟味して決定したい人は、今回の記事を参考にケアプランの自己作成にチャレンジしてみてください。
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