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要支援2で受けられる介護サービスとは|適切な介護予防で機能を維持

この記事のサマリ
  • 要支援2は要介護認定の介護ランクのひとつ
  • 要支援2の状態は立ち上がりや歩行に一部介助が必要
  • 要支援2の方は要介護にならないために介護予防サービスが受けられる
  • 要支援2で受けられる介護予防サービスを紹介

日常生活に少しずつ支障をきたし始めた高齢者が要介護認定を受けたときには「要支援2」と認定される可能性があります。

要支援2とは、介護が必要となる一歩手前の状態です。

まだ介護を必要とするまでは衰えていない要支援2の高齢者は、要介護者を対象とする介護サービスが受けられるのでしょうか。受けられるとしたらどんなサービスが受けられるのでしょうか。

今回は要支援2とは何か、要支援2の認定がおりた方が受けられる介護保険のサービスについて解説します。

要支援2とは

高齢者女性と話す女性スタッフ

要支援2とは、介護保険制度の要介護認定において「介護が必要とまではいかないが、日常生活に一部サポートが必要な状態」を指します。

介護保険を使った介護サービスを受けるためには、各自治体に介護保険適用の申請をする必要があります。申請を受けた自治体は対象者の健康状態や認知機能、家庭環境などを調査して「その人が本当に介護サービスを必要としているか」を審査し、ランクごとに利用できる介護保険の上限を決定しています。

介護保険の仕組みについては以下の記事の説明も参考にしてください。

介護保険 今さら聞けない介護保険の仕組みとは|加入者・保険料・介護サービスを解説

要介護度の一覧

要介護認定の結果は以下の8段階にわかれます。

要支援2は8段階のうち、要介護度が低い状態から3番目です。

自立 立ち上がりや歩行などの日常的な基本動作や買い物等の生活動作が問題なくでき、第三者の手助けが必要ない状態
要支援1 日常的な基本動作はほぼ自分で行えるが、要介護状態にならないよう支援が必要な状態
要支援2 日常的な基本動作はほぼ自分で行えるが、生活動作などに一部介助が必要な状態
要介護1 生活動作を行う能力が要支援の段階から低下し、部分的な介護が必要な状態
要介護2 日常的な基本動作についても部分的な介助が必要な状態
要介護3 日常的な基本動作能力・生活動作能力ともに低下し、ほぼ全面的に介護が必要な状態
要介護4 介護なしでは日常生活を送ることが困難な状態
要介護5 介護なしでは日常生活を送ることが不可能な状態

要支援1・要介護1との違い

上記の一覧表で要支援2の前後には「要支援1」と「要介護1」があります。

要支援1と要支援2の違いは、支援を要する範囲が狭いか広いかです。程度の違いこそあれ、極端なまでの違いはありません。

それに対し要支援2と要介護1の違いは明確です。要支援2は適切な介護予防をすれば機能維持が可能な段階であり、要介護1はすでに介護を必要としている段階を指します。

要支援2の状態

杖をついて窓辺から外を眺める高齢女性

要支援2と認定された方は、具体的には以下のような状態です。

動作 状態
立ち上がり 支えや手助けが必要
歩行 支えや手助けが必要
着替え 自分でできる
洗顔・整髪・歯みがき 自分でできる
食事 自分でできる
トイレ (手すり等があれば)自分でできる
入浴・清身 支えや手助けが必要
掃除・洗濯 自分でできる
簡単な調理 自分でできる
買い物 外出時に手助けが必要
金銭管理 自分でできる
服薬管理 自分でできる

要支援2の方が受けられる介護予防サービス

要介護認定で要支援1・2に認定された方は、まだ介護を必要としていない状態です。

そのため介護保険で受けられるサービスは「介護サービス」ではなく「介護予防サービス」となります。

介護保険はもともと介護サービスの費用負担が目的の公的保険なため、過去には要介護1~5以外の方が使える介護保険サービスはほとんどありませんでした。

しかし2017年に開始された介護予防・日常生活支援総合事業により、自治体やNPO法人等が主体となって自立・要支援の高齢者の生活や介護予防を支援するサービスが提供できるようになり、介護保険が使えるサービスの幅が広がりました。

介護予防・日常生活支援総合事業

画像引用:厚生労働省|介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方

以下からは、2024年時点で要支援2の方が受けられる介護予防サービスをご紹介します。

訪問型サービス

自宅等で暮らす要支援2の方が受けられる訪問型の介護予防サービスには、以下のようなサービスがあります。

サービス名 内容 利用者負担(1割)
訪問入浴 持参した浴槽により入浴介護を行うサービス 852円
訪問看護 利用者の病状に応じて健康チェック・看護を行うサービス 313円~2,954円(訪問元・時間により異なる)
訪問リハビリ 理学療法士・作業療法士等が利用者の自宅でリハビリを指導するサービス 307円

通所型サービス

自宅等で暮らす要支援2の方が日帰りで施設に通って受けられる、通所型の介護予防サービスは以下のとおりです。

サービス名 内容 利用者負担(1割)
通所リハビリ(デイケア) 通所リハビリ施設で生活機能・身体機能向上の指導が受けられるサービス ・共通的サービス3,999円
・選択的サービス150円~225円
認知症対応型通所介護 認知症対応型通所介護施設で生活機能・身体機能向上の指導が受けられるサービス 959円

要支援の場合には基本的にデイサービスの利用はできませんが、通所リハビリ(デイケア)の利用は介護保険が適用できます。

デイケアについては以下の記事で詳しく解説しています。

デイサービスとデイケアの違いを確認!相違点と共通点からおすすめ施設選び

短期入所型サービス

自宅等で暮らす要支援2の方が短期間(連続利用日数30日が限度)介護施設に入所できる短期入所型の介護予防サービスは以下のとおりです。

サービス名 内容 利用者負担(1割)
短期入所生活介護(ショートステイ) 利用者の心身の状況や病状、家族の一時不在などにより介護施設へ一定期間宿泊できるサービス 555円(1日あたり)
短期入所療養介護 医療機関や老健等に宿泊し、施設内で医療・看護・機能訓練等が受けられるサービス 721円~828円(1日あたり)

短期入所生活介護(ショートステイ)については以下の記事も参考にしてください。

ショートステイとは?具体的な利用方法やメリットデメリットを徹底解説

施設サービス

要支援の方は介護施設への入所は原則として必要ありませんが、介護予防を含む特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホーム・軽費老人ホーム等であれば要支援2の方でも利用できます。

サービス名 内容 利用者負担(1割)
特定施設入居者生活介護 生活する老人ホーム等の施設内で提供される訪問看護・訪問リハビリ等が受けられるサービス 311円(1日あたり)

福祉用具レンタル

要支援や要介護の認定を受けた方が可能な限り自立した生活を営めるよう、介護用品のレンタルをした場合の費用が原則1割負担となります。

レンタル費用の介護保険適用が認められる介護用品(福祉用具)の品目は、要介護の方に比べて要支援の方は限定されます。要支援2の方を対象とするレンタル可能な品目は以下のとおりです。

  • 手すり(取り付けに工事が必要ないもの)
  • スロープ(取り付けに工事が必要ないもの)
  • 歩行器
  • 歩行補助杖
  • 自動排泄処理装置(排便機能がないもの)

なお要支援2に認定された方でも、パーキンソン病や関節リウマチなどの疾患により医師が福祉用具の利用を必要だと判断したときには、例外措置として車いすや特殊寝台などのレンタルも認められます。

福祉用具販売

レンタルではなく福祉用具を購入する場合には、以下の品目については介護保険の適用が認められます。

  • 腰掛便座
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品
  • 入浴補助用具(入浴用イス・浴槽用てすり・すのこ等)
  • 簡易浴槽(取り付けに工事が必要ないもの)
  • 移動用リフトの吊り具部分(リフト本体は含まず)

要支援2が介護サービスを受けられる限度額

杖を持つシニア男性とお金

上記で紹介した介護予防サービスには、月ごとに受けられる上限額が定められています。

要支援2の方が介護予防サービスを受けられる上限額(支給限度額)は、月あたり105,310円です。自己負担割合が1割のときには月あたり10,531円までの支払が上限です。

月に10,531円を超える介護予防サービスを受けた場合には、超過分は全額自己負担となります。

要支援は介護リフォームも補助金対象に

戸建て住宅とリフォームのイメージ

介護予防サービスとは意味合いが異なりますが、要支援1・2の方が介護予防を目的としたバリアフリー化などのリフォームを実施した場合には、介護保険から補助金が支給されます。

要支援2の方が受けられる他の介護サービスは介護保険適用後の自己負担額を支払ますが、介護リフォームの場合はリフォーム費用の全額を先に利用者が支払う必要がある点が異なります。

介護リフォームの具体的な流れや、どのようなリフォームが介護リフォームに適用されるかについては、以下の記事を参考にしてください。

高齢者が安心して暮らせる介護リフォームとは|目的と費用・業者の選び方

まとめ

今回は要介護認定で要支援2と認定された方の状態や、要支援2の人が受けられる介護予防サービスについて解説しました。

要支援2とは、適切な介護予防を行えば十分に自立した生活を継続できる段階です。適切な介護予防サービスを受けながら心身の健康を保つ努力をし、できるだけ長く介護を必要としない状態を維持継続していきましょう。

ライター紹介 | 杉田 Sugita
終活カウンセラー2級・認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。

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