- 一部の航空会社では、遠距離介護をする人のために「介護割引」制度を実施
- 航空会社によっては、介護者だけでなく要介護者も対象に
- 事前に手続きが必要で日数もかかるので、介護が決まったら早めの手続きを
遠く離れた実家に住む親に介護が必要な状態になると、遠距離介護をせざるを得ないことが考えられます。
遠距離を移動しての介護は、体力面・精神面とも負荷がかかります。
そのため、長距離での移動の場合は疲れの少ない飛行機を利用したいと考える方も多いことでしょう。
移動に飛行機を使う場合、ぜひ利用したいのが一部の航空会社が提供している「介護割引」です。
今回は、介護割引の概要と航空会社4社の「介護割引」について解説します。
目次
航空会社の介護割引とは?
遠距離介護の一番の悩みは交通費
遠距離介護をすることとなった場合、介護費用も必要な中、毎回の帰省にかかる「交通費」はできるだけ抑えたいところです。
最近は、早期の事前予約による「旅割」を利用すると安くなりますが、介護となると、急に実家に帰らなければいけない、ということが多く、なかなか前もって予定が立てられないのが現状です。
介護割引とは – 介護者も要介護者も
そのような事情への配慮から、一部の航空会社では、遠距離介護をする人・される人に対して「介護割引」を提供しています。
割引の対象となるのは、全日空とJALは「介護者のみ」が対象ですが、ソラシドエアとスターフライヤーは、「介護者と要介護者」が対象となります。
介護者の適用条件は、以下となっています。
- 要介護者の2親等以内の親族
- 配偶者の兄弟姉妹の配偶者
- 子の配偶者の父母
要介護者は、介護保険の「要介護・要支援被認定者」である必要があります。
割引の対象となる路線は、「介護する人」と「介護される人」が住んでいる場所の最寄りの空港を結ぶ一路線です。(直行便がない場合は経由便も対象)
「介護割引」を利用するためには、必要書類の提出、情報の事前登録、割引パスの発行などが必要となります。
一連の手続きは基本的に郵送で行うこととなり、情報登録やパスの発行にはある程度の日数がかかります。
遠距離介護が必要と決まったら、早めに手続きを進めましょう。
航空会社の介護割引一覧
国内線の航空会社では、全日空、日本航空、ソラシドエア、スターフライヤーの4社が、「介護割引」を実施しています。
全日空「介護割引」
対象者 | 満12歳以上で要介護または要支援認定された方の「二親等以内の親族の方」と「配偶者の兄弟姉妹の配偶者」ならびに「子の配偶者の父母」 |
割引率 | 35%前後(時期による) |
利用に必要な手続き | 予約、購入、搭乗時に、介護割引情報登録を済ませたANAマイレージクラブカードが必要です。 お持ちでない方は、ANAマイレージクラブに入会(無料)して、介護割引情報の登録申請を行ってください。 以下の必要書類を準備して、介護者本人が申請してください。 |
必要書類 | ・介護される方の介護保険証または介護認定結果通知書 ・介護者本人の運転免許証・パスポート・健康保険証等(現住所を証明する公的書類) ・介護される方と介護者本人との関係を証明する戸籍謄本または戸籍抄本 |
郵送 | 情報登録申請用紙を印刷して必要事項を記入し、必要書類とともに下記の宛先へ郵送 〒144-8691 日本郵便株式会社 蒲田郵便局 私書箱48号 「ANA介護割引 情報登録事務局」係 ※申請から登録完了まで5日~8日程度かかります。 |
郵送以外 | インターネットでの登録申請はこちら ※申請から登録完了まで2日~5日程度かかります。 |
公式ホームページ | ANA介護割引 |
日本航空「介護帰省割引」
対象者 | 満12歳以上で要介護または要支援認定された方の「二親等以内の親族の方」と「配偶者の兄弟姉妹の配偶者」ならびに「子の配偶者の父母」 |
割引率 | 札幌東京間片道で約36%(時期による) |
利用に必要な手続き | 航空券の購入および搭乗手続きの際、介護帰省割引のお客さま情報登録済みのJMB/JALカードが必要です。 お持ちでない方は、JALマイレージバンクに入会(無料)して、介護帰省割引お客様情報の登録申請を行ってください。 以下の必要書類、介護帰省割引情報登録申込書を用意して、郵送またはカウンターで申し込みを行ってください。 |
必要書類 | ・介護される方の介護保険証または介護認定結果通知書 ・介護者本人の運転免許証・パスポート・健康保険証等(現住所を証明する公的書類) ・介護される方と介護者本人との関係を証明する戸籍謄本または戸籍抄本 |
郵送 | 1.ホームページから介護帰省割引情報登録申込書を印刷して必要事項を記入 2.申込書と必要書類をまとめて下記の送付先へ郵送 〒060-0001 札幌市中央区北1条西7丁目1-1 CARP札幌ビル JAL国内線チケットデスク宛 ※書類の審査・情報登録手続き完了までに、最大10日程度かかります。 |
郵送以外 | <カウンターでの申し込み> 1.ホームページから介護帰省割引情報登録申込書を印刷して必要事項を記入 2.申込書・必要書類・JMBカード/JALカードを用意 3.空港または市内のJALグループ国内線カウンターへ |
公式ホームページ | JAL介護帰省割引 |
ソラシドエア「介護特別割引」
対象者 | 対象者は、要介護認定者・要支援認定者とその介護者です。 介護者は、要介護認定者や要支援認定者の二親等以内の親族、配偶者の兄弟姉妹の配偶者、子の配偶者の父母に限ります。 この介護者のうち2名までが割引対象となります。 |
割引率 | ー |
利用に必要な手続き | 予約、購入、搭乗時に、介護割引パスが必要です。 介護割引パスの発行は、下記の必要書類、介護割引パス申込用紙を準備の上、 郵送にて申し込みを行って下さい。 空港カウンターや営業所など、郵送以外での申し込みは受け付けていません。 |
必要書類 | ・認定証明のある介護保険証または認定結果通知表(有効期限内のもの。コピー可) ・被認定者と介護者の関係を証明する公的書類(戸籍謄本・抄本など。コピー可) ※過去6ヶ月以内に発行されたもの(取得日記載のページ含む)。名前等の確認ができれば1通でも可。 ・「介護特別割引」適用者の現住所を証明する書類 (運転免許証、健康保険証、住民票のいずれか。コピー可) ※運転免許証、健康保険証は有効期限内の物。住民票は過去6ヶ月以内に発行されたもの(取得日記載ページ含む) ・「介護特別割引」適用者本人の写真(3cm×3cm) ※上半身で顔の確認がとれるもの。写真裏面に名前を記入 |
郵送 | 1.ホームページから介護割引パス申込用紙を印刷して必要事項を記入 2.申込用紙と必要書類をまとめて下記の送付先へ郵送 〒144-0041 東京都大田区羽田空港3-5-10 ユーティリティセンタービル10階 ソラシド介護 事務局 宛 TEL:0570-083-915 |
郵送以外 | なし |
公式ホームページ | ソラシドエア介護特別割引 |
スターフライヤー「介護割引運賃」
対象者 | 要介護・要支援被認定者および介護者(2親等以内の親族、配偶者の兄弟姉妹の配偶者ならびに子の配偶者の父母に限る) |
割引率 | 37%前後 |
利用に必要な手続き | 航空券の購入、搭乗手続き時に、「介護割引パス」が必要です。 ※インターネットからの予約/購入はできません。 介護割引パスの発行は、以下の必要書類、介護割引パス申込書を準備の上、 郵送にて申し込みを行ってください。 空港カウンター、旅行会社での申込みは受け付けていません。 |
必要書類 | ・介護される方の介護保険証または介護認定結果通知書 ・介護者本人の運転免許証・パスポート・健康保険証等(現住所を証明する公的書類) ・介護される方と介護者本人との関係を証明する戸籍謄本または戸籍抄本 |
郵送 | ホームページから介護割引パス申込書を印刷して必要事項を記入 申込書と必要書類をまとめて下記の送付先へ郵送 〒060-0001 札幌市中央区北1条西7丁目1-1 CARP札幌ビル JAL国内線チケットデスク宛 |
郵送以外 | なし |
公式ホームページ | スターフライヤー介護割引運賃 |
番外編:LCCや格安航空券サイトを使うのも一つの手
最近では、LCC(ロー・コスト・キャリア)と呼ばれる格安航空会社の路線も充実してきました。
介護割引の制度はありませんが、元々の航空運賃が安いので、目的の路線がある場合は、活用を検討してみるのもよいでしょう。
また、格安航空券サイトでは、国内の航空会社の運賃を一度に検索して比較できます。
場合によっては、介護割引を使うより安い航空券が見つかるケースもあります。
まとめ:制度を知ってお得に移動しよう
遠距離介護には、体力面、精神面、経済面での負担が大きくかかってきます。
できるだけ負担を少なくするためには、介護に利用できる割引制度をよく知り積極的に活用して、帰省の費用を抑えましょう。
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