- 終活には、余生の生活設計・財産整理・葬儀の準備などがある
- エンディングノートを無料配布している自治体がある
- 高齢者の安否確認、葬儀や死後事務の生前契約サポートを行う自治体がある
- 身寄りのない一人暮らしの高齢者こそ自治体の終活サポートを受けるべき
終活は、自分の死について考える必要があるため、とっさに避けたいと感じる人もいます。しかし、終活は余生を前向きに過ごすための活動です。
超高齢社会に突入している現在では、終活が一般的に浸透しはじめ、自治体でも終活支援を行うようになってきました。民間の終活支援サービスは基本的に有料ですが、自治体なら無料で受けられるサポートもたくさんあります。
そこで今回は、自治体で受けられる終活支援サービスをご紹介します。
目次
終活とは?
終活とは、自分の死について考え、残りの人生を悔いのないものにし、自分らしい最期を迎えられるように準備する活動です。具体的には、次のような活動が該当します。
余生の生活設計・準備
高齢者となり身体が不自由になったときを想定し、最後まで安心して過ごせるように準備することは、大切な終活のひとつです。
- どのような生活を送りたいか(自宅で最後まで過ごしたいか、晩年は老人ホームで過ごすか等)考える
- どのくらいの生活費が必要か、確保できるか試算する
- 自宅をリフォームし、バリアフリー化する
- 快適に過ごせる老人ホームを探す など
財産や所持品の生前整理・遺言書の作成
自分の死後、財産や所持品をどのように扱ってほしいか決めておくことが、終活では大切です。経済的価値のある財産があれば、相続問題を起こさないように遺言書を作成しておきます。
また、できる範囲で生前整理もしておきます。
①誰に何を譲りたいか・捨てていい物と捨ててほしくない物の分類などを周囲に伝えておく、②見られたくない物は今のうちに処分しておく、信頼できる人に託す、などの作業を少しずつ行っておきます。
葬儀・埋葬の準備
終活では、人生の締めくくりである葬儀・埋葬についても、自分で考え準備します。
- どんな葬儀にしてほしいか、どこで行うか、誰を呼んでほしいか考える
- どこに埋葬してほしいか決める
- 墓地や墓石の準備、購入
また、葬儀代を自分で出したい場合は、家族に託す準備をしたり、葬儀社と生前契約を結びます。
エンディングノートの作成
エンディングノートとは、自分に万が一の事が起こり、意思疎通が取れなくなったり亡くなったりしてしまったときのために、家族や周囲の人に伝えておきたいことを書き残しておくノートです。
エンディングノートの作成は、終活の全てに関わってくるので、最も大切な作業のひとつです。
エンディングノートの内容
- 自分の情報(生年月日などの基本情報や保険証・年金手帳など重要書類の保管場所)
- 家族・親戚・友人の情報(家系図、入院や死亡時に連絡してほしい友人知人)
- 医療・介護に関する希望(延命措置や終末期医療・臓器提供など)
- 財産の情報
- 葬儀・埋葬の希望
- 自分史
- その他、皆または誰かに伝えたいこと
エンディングノートは、遺言書と違い法的効力はありません。
あくまで自分の伝えたいことを自由に書き残すものです。そのため、好きなだけ何を書いても構いません。
自治体で受けられる終活サポート
これまで個人が自主的に行うことが多かった終活ですが、最近では終活をサポートする自治体が増えています。現在自治体で行われている終活サポートを、以下にご紹介します。
エンディングノートの配布・作成サポート
終活サポートの一環として、エンディングノートの配布や作成サポートを行っている自治体があります。パソコンからデータを直接ダウンロードできるところもありますので、チェックしてみてください。
エンディングノートを配布している自治体の例
都道府県・地域 | 市区町村 |
---|---|
東京都 | 狛江市 / 府中市(ダウンロード版のみ無料) |
神奈川県 | 横浜市(磯子区・西区・南区・金沢区・旭区・瀬谷区・青葉区・保土ケ谷区・緑区・都筑区・戸塚区・栄区) / 横須賀市 / 逗子市 / 厚木市 / 大和市 / 茅ヶ崎市 |
埼玉県 | 八潮市 / 北本市 / 鶴ヶ島市 |
茨城県 | 古河市 / 取手市 |
栃木県 | 足利市 |
愛知県 | 北名古屋市 / 豊川市 |
大阪府 | 堺市(中区・西区) / 大東市 |
奈良県 | 橿原市 |
滋賀県 | 守山市 |
福岡県 | 糟屋郡宇美町 |
大分県 | 杵築市 |
※上記以外にも随時実施している自治体があります。
住宅リフォームの助成金
高齢者が余生を自宅で安全に生活するためには、自宅をバリアフリー化することが大切です。介護保険制度では、要介護認定を受けた高齢者が自宅をリフォームするとき、一定の条件を満たせば助成金を受け取ることができます。
住宅改修助成金の支給対象となるリフォーム例
-
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 滑り防止のための床材の変更
- 引き戸への取替え
- 洋式便器への取替え など
安否確認・見守り
一人暮らしの高齢者の場合、いざというときに気付かれることなく、病気・事故・死亡の発見が遅れてしまう危険性があります。そこで、多くの自治体では、一人暮らしの高齢者に対して安否確認や見守りのサービスを行っています。
サービスの形態は自治体によって異なりますが、①通報装置やセンサー機器の設置・②食事や飲料の宅配・③電話確認などがあります。
全国の見守りサービス検索(2016年4月現在)|高齢者安否確認比較.com
地域包括ケアシステム
厚生労働省は、2025年を目途に、高齢者が最後まで住み慣れた地域で生活していくために、「地域包括ケアシステム」の構築を目指しています。これは、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステムのことです。
地域包括ケアシステムは、各自治体が地域に合わせて作り上げていくことになっています。
そして、地域包括ケアシステムにおける相談窓口や支援体制作りを担うのが、「地域包括支援センター」です。現在、地域包括支援センターは全国の自治体に5,100ヶ所以上設置されています。
葬儀生前契約・死後事務委任契約の支援
身寄りのない地域住民が亡くなった場合(孤独死)、発見後に自治体によって埋葬され、死後の対応が行われます。しかし、それはあくまで特別措置であり、基本的には家族や関係者または本人の出費で埋葬・対応するものとされています。
そこで最近、自治体の終活支援として増えつつあるのが、葬儀生前契約・死後事務委任契約の支援(エンディングサポート)です。
葬儀生前契約とは、本人が生前に葬儀社と葬儀・埋葬の事前契約をすることです。死後事務委任とは、本人の死後に発生する様々な事務手続きを行うよう、生前に委託契約を交わすことです。
主な死後事務
- 葬儀・埋葬
- 住居の片づけ
- 公共料金やカード類、健保や年金などの解約や清算
- 個人情報の消去、破棄など
民間の生前契約サービスには、経営破綻・費用持ち逃げの前例や危険性があります。しかし、自治体が支援することで、契約通り遂行されるか見届けてもらえ、責任が果たされやすくなります。
生前契約の支援を行っている自治体
終活セミナー・相談事業
最近、終活について知識や情報を共有するセミナーや、相談窓口の設置を行っている自治体が増えました。これらのサービスは各自治体が随時行うものですので、自治体のホームページなどを確認してみましょう。
終活登録 ~横須賀市の取り組み~
横須賀市は、自治体としていち早く終活支援を開始しました。横須賀市の終活支援の中でも注目を集めているのが、「わたしの終活登録事業」です。
これは、生前に終活関連情報を自治体に登録しておき、万が一の時には病院や福祉事務所・消防や警察・本人指定の人物に開示して、本人の意思の実現を支援する事業です。
今後、同じような取り組みが各地に広がっていくのではと期待されています。
自治体の終活サポートをおすすめしたい方
一人暮らしの方
パートナーや家族がいれば、いざというときに助けを呼んだり治療方針を決めたりなど、対処してもらえます。しかし、独身の方・パートナーに先立たれた方・家族と離れて暮らしている方は、一人暮らしであるため孤独死の危険があります。
そのため、安否確認やエンディングノートの配布などを利用することをおすすめします。
身寄りのない方
離れて暮らしていても家族や親戚がいれば、いざ亡くなっても埋葬や死後事務を担ってもらえます。しかし、親族が皆他界してしまった、音信不通、疎遠になって久しい、頼りづらい関係であるなどの理由で身寄りのない方は、対処してもらえません。
その場合は、葬儀生前契約や死後事務委任契約のサポートを活用するといいでしょう。
所得の低い方・貯蓄が少ない方
経済的に余裕のある方は、民間のサービスを利用できますが、所得が低い方・貯蓄が少ない方は、利用しづらい場合もあります。
しかし、自治体のサービスであれば、無料または低額のものがほとんどですので、安心して利用できます。また、終活支援サービスの対象者にあらかじめ一定条件を設け、経済的に苦しい方のためのサービスとしている自治体もあります。
最後に
超高齢化社会となりつつある近年、各自治体の終活サービスは少しずつ充実しはじめています。まずは、ご自身の自治体を調べ、どんな終活サービスを受けられるかを確認してみましょう。
また、これまで実施してこなかった自治体でも、新たに終活サポート事業を開始する可能性があります。今は過渡期で、これからどんどん増えていく見込みです。そのため、市報などに目を通す習慣をつけ、自治体の高齢者支援情報をキャッチしましょう。
終活カウンセラー。介護用品まで手掛ける健康器具開発メーカーでMDと営業を経験。その後、ECサイト運営企業にて健康食品と化粧品の開発・MDに従事。
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