- クラウドデータとはインターネット上にあるデジタルデータ全般のこと
- 資産的価値があるクラウドデータはネット預金・ネット証券など
- クラウドデータを無視して相続するとトラブルの原因になる
- デジタル終活でクラウドデータの整理がおすすめ
いまや日本国民の8割近くが、パソコンやスマートフォンなどで日常的にインターネットを活用する時代になりました。
ネット動画やSNS、ブログなどのコンテンツを楽しむだけでなく、ネット銀行で預金を管理したり、キャッシュレス決済で買い物をするなどの経済活動にも利用しています。
多くの人がインターネット上で資産のやりとりをするようになった現代では、相続においてもクラウドデータの存在は無視できません。
今回はクラウドデータの相続について解説します。いざ相続に直面したときにとまどうことがないよう、今からきちんと予習しておきましょう。
目次
クラウドデータとは

クラウドデータとは、パソコンやスマートフォンなどのデジタル端末ではなくインターネット上に存在するデータのことです。IT業界では昔からネットワーク図を描くときにインターネットを雲の形で表していたため、インターネットを経由してやりとりをするデータをクラウドデータと呼びます。
正確に言えば、データは各種インターネットサービスを提供するサービス提供元のサーバーに保存されています。サービス利用者はインターネットを経由してサーバーにアクセスし、データを自分の端末に持ってきます。
クラウドデータにはさまざまな種類があります。一般的に利用されているクラウドデータは以下のようなデータです。
- クラウドストレージに保存した写真・動画・音楽など
- Gmail・iCloudメールなどのクラウドメール
- アプリのセーブデータ、アカウント情報
- SNS投稿・メッセージ・フォロー情報など
- パソコンやスマートフォンと同期する予定表・アドレス帳など
- デジタル端末のバックアップデータ
相続対象になるクラウドデータの種類

クラウドデータの種類は多岐にわたりますが、すべてのクラウドデータが相続の対象になるわけではありません。
金銭的な価値があり、相続の対象になるクラウドデータは以下のような種類です。
ネット預金
ネット預金とは、実店舗を設置せずインターネット上で口座開設や入出金、振込などが利用できる銀行に預け入れている預金のことです。
実店舗がある従来の銀行に比べて手数料や金利が低めに設定できるため、多くの人がネット銀行を利用しています。
ネット証券
ネット証券とは、ネット銀行と同じく実店舗を持たない証券会社が提供するインターネット上の証券口座のことです。利用者は来店や電話ではなく、ネット証券会社のウェブサイトやアプリ上で有価証券の売買を行います。
取引手数料が従来の証券会社よりも圧倒的に安く、つみたてNISAや新NISAなどの口座も簡単に開設できるため、特に投資初心者の間でネット証券の利用が広まっています。
暗号資産(仮想通貨)
暗号資産とは、インターネット上でやり取りされるデジタル資産のことです。紙幣や硬貨は存在せず、ブロックチェーンという仕組みを使って管理されています。
いわゆる「仮想通貨」は暗号資産の一種で、ECサイトでの買い物などをする際に決済に使える暗号資産を指します。ただし一般的には種類の区別なく暗号資産全般を仮想通貨と呼んでいることが多いです。
《代表的な暗号資産》
・ビットコイン(BTC)
・イーサリアム(ETH)
・リップル(XRP)
暗号資産は価格変動が大きいため、投資対象として人気が出ています。
電子マネー
電子マネーとはキャッシュレス決済の一種で、現金の代わりにデジタルデータで決済をする仕組みのことです。コロナ禍によりキャッシュレス決済が推奨された頃に急激に世の中に広まりました。
多くの電子マネーではカードやスマートフォンアプリに現金やクレジットカード決済などでお金を電子的にチャージしておく方法を採用しています。
《代表的な電子マネー》
・交通系(Suica、PASMO、ICOCAなど)
・流通系(WAON、nanaco、楽天Edyなど)
・QRコード型(PayPay、ファミPayなど)
・スマートフォン決済型(Apple Pay、Google Payなど)
相続人の73%がクラウドデータを相続した
相続の世界では、クラウドデータの相続はすでに一般化しつつあります。
デジタル遺品の整理や暗号資産の復元等を行う株式会社GOODREIが2025年に実施した独自調査によると、過去5年以内に相続を経験した人のうち、73%は資産価値があるクラウドデータを相続していたそうです。

画像引用:PR TIMES|株式会社GOODREI 相続実態調査(2025年)
被相続人(亡くなった人)の年代別に見ると、被相続人が40代以下だった場合には全員の相続財産にクラウドデータが含まれています。50代~70代でも8割以上、もっとも割合が少なかった80代以上の被相続人であっても57%もの被相続人がクラウドデータを残しているのです。

画像引用:同上
パソコンやスマートフォンが高齢者にも浸透するようになった現代では、被相続人の年齢にかかわらず、相続の際には資産的価値があるクラウドデータがあるかどうかの確認が必須と言えるようです。
有料サブスク契約は相続財産に影響する

クラウドデータの中には、有料サブスクリプション契約のアカウントもあります。
有料サブスクリプションのアカウント自体は相続対象にはならないものの、相続財産の算定額には影響してくるため注意が必要です。
被相続人(亡くなった人)の有料サブスクリプション契約を継続したままにしていると、月額または年額の利用料の支払いも継続されます。支払方法を被相続人が保有していたネット銀行口座からの引き落としにしていた場合には、相続人の誰も気づかないままに預金だけが目減りしていくかもしれません。
クラウドデータを無視した相続のリスク

上記でも説明したように、近年では7割以上の相続でクラウドデータが相続資産に含まれています。
もし資産的価値があるクラウドデータがあることを知らずに、また知っていても面倒だからといって無視したまま相続手続きを終わらせてしまうとどうなるでしょうか。
以下からは被相続人のクラウドデータを無視して相続したときに起こり得るリスクを3つ紹介します。
1.相続人が適切に財産を活用できない
被相続人が給与や年金の振込先をネット銀行口座にしていた場合には、財産の多くがクラウドデータとして存在していることになります。もしかしたら被相続人がネット証券でつみたてNISAをして、着々と資産形成をしていたかもしれません。
相続対象となるはずのクラウドデータは、長期間利用されない場合にはデータの種類に応じて以下のように処理されます。
| ネット預金 | ・10年以上動きがない預金は休眠預金となる ・預金残高は預金保険機構に移管 |
| ネット証券 | ・長期間動きがない口座は休眠口座扱いになる ・株式名義はそのまま残り配当金は未受領配当として口座に積立 |
| 暗号資産 | ・取引所口座はそのまま残る ・秘密鍵が不明だとアクセスできず実質的に資産が消滅する |
| 電子マネー | ・長期間利用がないと失効する可能性がある |
クラウドデータの存在を相続人が把握できなければ、当然のことながら相続はできません。せっかく被相続人が家族に残した財産も活用できなくなります。
2.相続のやり直しが必要になる
いったん相続手続きが終わってからクラウドデータなどの新たな相続財産が見つかったときには、相続は最初からやり直しとなります。遺産分割協議や相続税申告も改めて行わなければいけません。
スムーズに相続が終わった人であっても、手続きをすべて終えるまでには大変な苦労をしたと感想を抱くのが相続というものです。ましてや最初の相続のときに親族同士で揉めごとがあったような場合には、もう一度あの面倒を繰り返すのかと思うだけでゆううつな気持ちにもなるでしょう。
3.ペナルティの税金が課せられる
相続税の申告は相続が発生した日から10か月以内に終わらせなければいけません。
申告が終わってからクラウドデータの相続財産が見つかった場合、または税務署の調査によりクラウドデータの申告漏れが発覚した場合には、以下のようなペナルティの税金が課せられる可能性があります。
| 税の種類 | ペナルティの理由 | 税率 |
| 過少申告加算税 | 相続税計算の際にクラウドデータ財産が漏れていた | 10%または15% |
| 無申告加算税 | 相続税申告をしなかった | 15% ※税務署の指摘前に自主申告すれば5%に軽減 |
| 延滞税 | 相続税の納付期限を超過した | ・年7.3%(納付期限の翌日から2か月以内) ・年14.6%(納付期限の翌日から2か月以上) |
クラウドデータの相続のしかた

クラウドデータの相続方法は、預貯金などのアナログな財産と変わりありません。財産がある場所がリアルであってもクラウド上であっても、相続では基本的に同じものとして扱われます。
資産的価値があるクラウドデータを管理しているネット銀行、ネット証券会社、暗号資産取引所に連絡して資産額の確認をしたり、解約や名義変更の手続きを行います。
以下の記事で詳しく相続の流れと、銀行や証券会社の手続き方法を解説しているので、本記事とあわせて参考にしてください。
株の相続については以下の記事も参考になります。
なお電子マネーは相続できるものと相続できないものが混在しています。相続に関する制度が整っていないサービス提供会社も多いため、被相続人が保有していた電子マネーのサービス提供会社に問い合わせてご確認ください。
生前にデジタル終活すれば家族が安心できる

クラウドデータは紙の通帳や貴金属、不動産のように肉眼で見ることはできません。
そのため相続が発生したときに遺族が財産の存在に気付かず、相続漏れになってしまう可能性が十分にあります。
また各種クラウドサービスにアクセスするためにはアカウントやパスワード等のアクセス情報が必要なため、クラウドデータの存在は知っているのに遺族が手を付けられないといった事態も起こり得るでしょう。
いざというときに残された家族が困らないように、生前にデジタル終活をしておくことをおすすめします。
デジタル終活とはクラウドデータをはじめとするデジタル情報全般を整理し、自分の死後にどう対処して欲しいかをまとめておく活動です。
以下の記事ではデジタル終活について詳しく解説しています。資産的価値があるクラウドデータだけでなく、デジタル情報全般に関する終活をするときの参考にしてください。
まとめ

今回はクラウドデータの相続について解説しました。
今後、クラウドデータが相続対象に含まれる確率はより一層高まっていくものと推測されます。相続漏れが発生しないよう、日頃からクラウドデータの相続対策をしておきましょう。
ライター紹介 | 杉田 Sugita終活カウンセラー2級・認知症サポーター。父母の介護と看取りの経験を元にした、ナマの知識とノウハウを共有してまいります。
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