- ショートステイは居宅サービスのひとつ
- 利用できる期間は最長30日間
- 被介護者の安全確保ができるが、予約が取りづらい
- 30日間の利用であれば、費用は2万~3万円程度が目安
- 必要な事態になる前に施設を選んでおくことが肝心
- ショートステイを利用して介護の負担を軽減しましょう!
長い在宅介護の間には、さまざまな理由で介護者が家を空けなければならない事態も発生します。
自宅に介護者がいたとしても、急な病気や過度の介護ストレスにより、一時的に介護が行えないときもあるでしょう。
そんなときに利用したいのが、短期間だけ介護施設に入居できるショートステイです。
今回は、介護者と被介護者の緊急事態に役立つショートステイについて解説します。
目次
ショートステイとは
まず、多くの人がしている勘違いを正しておきます。
ショートステイは介護施設への短期入居をすることですが、「施設サービス」ではなく「居宅サービス」に分類されています。
いつもは在宅介護を受けている高齢者が、短い期間だけ施設に宿泊して介護を受けるのがショートステイです。
「引越し」ではなく「旅行」と考えるとわかりやすいですね。
あくまでも在宅介護を主体としたサービスであることを覚えておきましょう。
ショートステイの種類
ショートステイの業態は、以下の二種類に分けることができます。
併設型 | 長期入居者向けホーム等の一部を短期利用者に開放する施設 |
単独型 | ショートステイ専門の施設 |
利用する側にしてみれば併設型でも単独型でも、施設によるさほどの違いは見受けられません。
また、宿泊する部屋のタイプによっても分けられます。
個室 | 一人部屋 |
多床室 | 4~6人程度の大部屋 |
ユニット型個室 | 宿泊は個室だが、日中帯は共同スペースで過ごすタイプ |
ユニット型準個室 | 天井等にすきまを空けて、ある程度プライバシーを確保した大部屋タイプ |
近年では、従来型の個室や大部屋よりもユニット型を採用している施設が増えてきています。
限られた敷地面積内ではユニット型の方が入居者数を増やせるため、特に都市部において増えている傾向にあります。
ショートステイを利用する条件
介護保険を使ってショートステイを利用する場合、
利用できる人は65歳以上で要介護1~5、要支援1・2の認定を受けている、もしくは40歳~64歳ではあるが特定疾病により要介護認定を受けている必要があります。
介護保険を使わない高齢者向け民間サービスのショートステイを利用する場合には、要介護度による条件設定はありません。
利用の理由については、介護保険利用の場合でも特に条件を設けられてはいません。
介護者のストレス軽減や、利用者本人のリハビリ目的でも利用されるケースがあります。
ショートステイを利用できる期間
ショートステイの利用期間は、最短で1泊2日、最長では29泊30日です。
これは介護保険の有無に関わらず、ほとんどの施設で上記の期間設定がされています。
また、介護保険で利用できる範囲は、上記の30日以内に加え、1年間のうち180日以内との定めもあります。
利用上限の期間を超えてしまうと、超過分のショートステイ代金は全額自己負担での支払いとなります。
デイサービスとショートステイの違い
ショートステイと似た言葉で「デイサービス」という介護サービスもありますが、その違いは何でしょうか。
簡単に説明すれば、宿泊をするかしないかの差です。
デイサービス | 朝から夕方までを施設で過ごす オヤツと昼食が出るのが一般的 |
ショートステイ | 入居した日の翌日まで施設で過ごす 朝食・オヤツ・夕食が出る 当日と翌日の昼食がいつ出るかは、施設により異なる |
どちらの施設も、お風呂は週2回が基準となります。
「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の違い
もうひとつ、わかりにくい言葉の違いについて説明しておきましょう。
「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」はどちらもショートステイですが、その利用目的と対象施設が異なっています。
短期入所生活介護 | 特養や有料老人ホームが対象 食事や入浴、排泄などの生活面の支援と機能訓練などが受けられるショートステイ |
短期入所療養介護 | 老健や介護療養型医療施設が対象 リハビリなどの医療サービスを中心に、生活面の支援も受けられるショートステイ |
ショートステイのメリットとデメリット
メリット
ショートステイの一番のメリットは、被介護者の安全確保ができる点です。
高齢者の場合は介護者の不在が生命危機に直結する可能性もありますから、これは重要ですね。
日々の介護が小休止(レスパイト)できて、介護者のストレスが軽減するのもメリットです。
デメリット
デメリットとしては、需要が多いサービスなだけに予約が取りづらい点が挙げられます。
また、被介護者が生活環境の変化に対応できないと、不安やストレスにより健康を害する可能性があります。
短期間の利用では友人も作りにくいので、孤独にもなりがちな点もショートステイ特有のデメリットです。
ショートステイの費用
ショートステイの利用料金は、利用者本人の要介護度や施設の種類、部屋タイプなどによりさまざまです。
一概にはいくらとは言えませんが、平成30年の厚生労働省「介護報酬の算定構造」では、介護保険の自己負担分625円~956円/日が平均額とされています。
30日間の利用であれば、2万~3万円程度が目安となるでしょう。
ただし、介護保険適用外の民間ショートステイの場合は、まったく異なります。
東京都23区内の某併設型施設では、1泊2日(2食付)で15000~25000円程度の価格が提示されています。
シティホテルに宿泊するのと、さほど変わりませんね。
ショートステイの選び方
併設型施設への長期入居を視野に入れた体験入居を除けば、ショートステイの利用シーンは緊急性の高い場合がほとんどでしょう。
正直言って、その時点で「どの施設が良いか…」などと悠長に選んでいるヒマはありません。
どのショートステイ施設が良いのかの検討は、まだショートステイを必要としていない時点にしておくことが肝心です。
余裕をもった状態でいくつかの施設を見学して、いざ必要になった際にはどの施設に申し込めば良いか選んでおきましょう。
その時になって空きがない可能性も充分に考えられますので、候補は複数考えておいた方が安全です。
ショートステイの申し込み方法
いざショートステイを利用しようとなった際には、担当のケアマネージャーさんに連絡をしてください。
ケアマネージャーが立てたケアプランに基づき、施設に申し込みが行われます。
あらかじめケアプランが立っていなくても、緊急性の高い4日間以内のショートステイであれば可能なので、まずはケアマネさんに相談しましょう。
ショートステイを申し込む際の注意点
ショートステイ利用前に注意しておくべき点は、利用者本人の健康管理です。
入居者が風邪やインフルエンザなどにかかっている場合には、ほとんどの施設で入居を断られてしまいます。
そして施設に入居した後でも、やはり注意が必要です。
高齢者にとって、日頃の生活環境を離れて知らない場所で過ごすのは、大きなストレスになります。
認知症患者の場合、不安やストレスから症状が進んでしまう可能性もあります。
「入居すれば安心」ではなく、退所日まで目配りは怠らないようにしましょう。
まとめ
今回は居宅サービスのひとつである、ショートステイについて解説しました。
ショートステイができる施設にもいろいろありますから、どんな施設が望ましいかを、あらかじめよく検討しておくことをおすすめします。
わからない点は専門家に相談しながら、納得のいくステイ先を探しましょう。
いざというときの落ち着き先が心に決めてあることで、毎日の在宅介護も安心して行えるようになるでしょう。
ライター紹介 | 杉田 Sugita
40代兼業主婦。母と義母を亡くし、現在は父の介護施設探しに帆走中です。ヒトの人生の終わりで起きること、幸せな最期のために何ができるかについて、ナマの知識とノウハウを共有していきます。
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